倉田ましろといろんなことがしたい。 作:フロストヴェール
「うぅ...寒い...」
こたつに包まって、温かさを享受する彼女の名は倉田ましろ。
「何が寒いだコラ。こたつに包まって寒いは外道だぞ」
そして、キッチンで寒さに晒されながら料理を作る彼は
「だって見てよぅ、室温計」
彼女が指さした室温計が示す温度は10℃。
家の中にしては寒い。
「見てるよ。だとしてもこたつで寒いって言うな」
「うぅ、だってぇ...」
なおも寒いと小言を漏らすましろに、当夜はため息をつきながらてきぱきと夜飯を作っている。
「ましろ、手伝ってくれ」
「やだ、寒い」
断るましろ。
「はぁ、飯抜きにするぞ」
「えぇ...うぅ...わかった、手伝う」
「よし、いい子だ」
身震いしながらこたつから出たましろは、カウンターに置かれた料理をテーブルに置いていく。
「飲み物どうする?お茶にするか?」
「うん、寒いから温まりたい」
「さっきまでこたついたろうが...」
当夜はお湯を沸かして急須にティーバッグを入れてからお湯を注ぐ。
「はい、出来たぞ」
「えへへ、おいしそう」
「そりゃどうも、そんじゃ」
「「いただきます!」」
しばし無言の食卓。
唐突にましろが口を開く。
「ねぇ、当夜くんってどうして料理が上手なの?」
「え?誰かが転がり込んでくる前まで一人暮らしだったからなぁ」
ましろの親はそれぞれ出張に行っており、その間は当夜の家に世話になっている。
「うっ...そ、それは...」
「あはは、そんなに気にすんなよ。むしろおかず余らしてて虚無だったし、助かってるよ」
談笑しながら箸は進む。
特段重大発表があるわけでもなく、特段悲しいニュースがあるわけでもない。
そんな食卓を、今日も二人で囲む。
「「ごちそうさまでした!」」
二人同時に手を合わせ詠唱。
その後は動かない。
食べ終わった食器を端に寄せ、二人してこたつに伏している。
「...飯ってさ」
「うん」
「片付けが一番だるくね?」
「そうだね」
「じゃあ、じゃんけんしよう」
生産性のない会話が紡がれていく。
腹を満たしたから次は脳を休めるために眠りたいという人間の本能からこんなことになっている。
「じゃーんけーんぽん」
「私の勝ちー」
「あー...じゃあ片付けすっかぁ...」
当夜はこたつを出て、食器を持ってキッチンに向かう。
「ましろ、溶けるなら布団行ってろよ」
「はーい...」
「あいつ寝る気満々だろ...」
そして、片付けと食器洗いが終わった後。
「...だろうな」
こたつに伏して寝る