倉田ましろといろんなことがしたい。 作:フロストヴェール
誕生日。
1年の内、自分だけ優遇される、と思い込める1日だ。
実際、プレゼントやサプライズなど、優遇はされるし楽しいものだ。
...とは、思うけども。
「...なーにあげたら喜ぶんだよ...」
問題は、プレゼントの質と量、及びそれが送り主の要望と合致しているかどうかだ。
かと言って、「何が欲しい?」なんて聞くわけにもいかない。
それはなんだか、保身に走った上でサプライズ感もないふざけたプレゼントになる。
そんなのが嬉しいだなんて、例え建前でも言うはずがない。
故に。
「...はぁ、どうしたらいいんだ...」
こうしてデパートのベンチで、俺こと
本当に悩む。
どうしたらいいんだ。
「おや?これはこれは~」
「んぁ?」
項垂れていた頭の上からかけられた声に反応して頭を上げれば、ピンク髪をハーフツインにした少女が立っていた。
「なんだ、七深か」
「そうでーす!頼れる味方の広町さんですよ~?」
「...どこで覚えたその前口上」
まぁ、その前口上は置いといて。
「どうして七深はここにいるんだ?」
「それはもちろん、しろちゃんへの誕生日プレゼント!...の材料を買いに来ました」
「あ、材料...」
そうだった、こいつは手芸とかできるやつだった。
「あー...何作るとか聞いても...?」
「ん?うーん、ひろくんだったらいいかなぁ...」
そう言いながらスマホを操作し、俺に見せてきたのは。
「マシュラビ、か」
「うん、しろちゃんが好きだって言ってたし、その形のチョコもくれたからね~」
なるほど、ぬいぐるみか。
しかしこうなると、マシュラビ被りは避けた方が良さげだろう。
そうなると...どうするべきか...
「うーん...ひろくんがそんなに悩む事はないと思うんだけどなぁ」
「なんでだ?」
「だってしろちゃん、ひろくんの贈り物全部大事にしてるし」
「...それがなんか関係が?」
「ひろくんがくれたものなら、なんでも喜ぶんじゃないかなって」
そう、それが俺を悩ませているもう一つの理由でもある。
俺があげたものは何でも喜ぶということは、裏を返せば何をあげても同じ反応ということ。
不満はないし、むしろ彼女の笑顔が見れるなら願ったりなのだが、こっちの都合で申し訳ないがプレゼントし甲斐がない。
どうせなら喜んでくれるものを...と考えた結果、こうなっているのは、七深には黙っていた方が良さそうだ。
「しろちゃんは何でも似合うからな~」
それも悩みの一つ。
「あ」
「なになに、思いついた?」
「ブレスレット」
「おぉ...いいセンス...」
そうと決まれば、そこからの行動は早かった。
割と高めの物を買い、ましろの帰りを待つ。
「た、ただいま」
「おかえり、今日もお疲れさま」
へとへとになって帰ってきたましろを介抱する。
フラフラなのは見ててちょっと怖い。
「先風呂行くか?」
「うん、そうする...」
「お、お待たせ」
「ん、ちょうどいいタイミングだ」
...やっぱ、なんかもちもちだよなぁ。
「ぇ、ふと、った...?」
「いえ断じて決してそういう意図で発したわけではなくえぇそんなことは絶対に」
「...えへへ、なんか面白い」
「...やめろって」
と、こんな和んだ会話している場合ではない。
着替えを待ってから話しかける。
「なぁ、ましろ」
「ん?どうしたの?」
「あー...その、ハッピー、バースデー...」
ムードもへったくれもない渡し方。
それでも、彼女は喜んでくれた。
「えへへ、ありがとう。その、今日ね?貰えるかなーって思って、期待してた...」
「...期待には、答えられたか?」
「うん。開けてもいい?」
「あぁ、もちろん」
紙袋から箱を取り出し、それを開ける。
「これは...ブレスレット、かな?」
「うん、金属アレルギーとかなきゃ、つけててほしいかなって。もちろんましろの自由だけど」
「ううん、せっかくくれたんだもん。いっぱいつけるね?」
「...あぁ、ありがとう」
浮気じゃない!(浮気じゃない)
浮気じゃない!(浮気じゃない)
ホントのこーとさー
なーに言ってんだこいつ
これの奇跡は広町がぬいぐるみをあげたのが偶然一致したこと