倉田ましろといろんなことがしたい。 作:フロストヴェール
「えぇっ!?む、無理だよぉ...」
「無理とか言わない!!あたしの家でチョコ作って渡すんだからね!!」
そうキレ気味に言った金髪ギャルは白髪の子を連行していった。
「...女の子は大変だな」
「あ?どうした
「あぁいや、今しがた金髪の子が白髪の子を引っ張ってったから、なんだか大変そうだなって」
そう言うと、俺の友人は深くため息をついて、俺の机に両手をついた。
「いいか蒼咲。この時期、この季節、この月、女の子にとっては勝負なんだよ」
「勝負...?」
「そう!お前も知ってるだろ、バレンタインデーだよ」
バレンタイン...聖ウァレンティヌス(バレンティヌス)が処刑された日だっけか。
愛の大切さを説いていたその人は、当時禁止されていた結婚式をしようとして、それがバレて殺されたとか。
「...人が殺された日と、女の子が忙しいのは何か関係があるのか?」
「違う、違うぞ蒼咲。バレンタインの語源は確かにそこからだが、今のバレンタインは『女の子が男の子にチョコをあげる日』ってことになってるんだ」
「...だいぶアレンジされてるんだな。で、女の子が忙しいのはチョコを買いに行くからか?」
「まぁそうなんだけど...違うんだよ。いいか、好きな人には手作りのチョコを渡したいのが女の子の心理なんだ。だからチョコを買ってきて、それで溶かして成形して、それをあげるんだよ」
だいぶ回りくどくて面倒くさいことをするものだなと思った。
そこまでして振り向かれるようにしなきゃいけないのか、恋愛って大変だな。
「蒼咲。悪いことは言わないから、校舎裏に来いって言われたら行った方が良いぞ」
「...あぶねえだろ、それ。チョコを渡されると思ってウキウキで言ったらカツアゲでしたなんてオチ、どっかで見たぞ」
「...お前妙にそういう知識だけはあるんだな」
だから校舎裏とか体育館裏とかの呼び出しは危ないってどっかに書いてあった。
「けどな蒼咲、よく考えろ。ここは元何だった?」
「女子学園...?」
「そうだ。だからそんな野蛮なやつはいない。良いな?」
「...元ヤンのお嬢様とか、お前好きそう」
「好きだけどっ...蒼咲テメェ、いきなり俺の性癖を暴露するんじゃねぇ」
友人の癖はどうでもいいとして。
「要は、明日を楽しみに待っとけってことか?」
「そう言うことだ!まぁ、もらえるかは知らねえけどな」
「それはそうだな」
翌日、朝。
教室に入るや否や、
「はい、ハッピーバレンタイン!」
「あぁ、どうも...」
金髪ギャルから貰ったぞ、これが義理チョコってやつか?
いや、みんなに配ってるから友チョコか?
いやでも友達になった記憶は...ないな、うん。
ていうか、あの子同じクラスじゃなかったよな?
と、教員が入ってきた。
「ちょっと2人ぐらい手伝ってくれないか、少し荷物が多くてな」
そう言うので、手をあげる。
「蒼咲助かる!あと一人ぐらい欲しいんだが...」
おずおずと手が上がる。
「私、でも、大丈夫ですか?」
「じゃあ二人で。ちょっとついてきてくれ」
席を立った時、友人になんだか暖かい目線を向けられた気がする。
「重っ...」
成人男性が多くて持ってくるのを放棄するのは理解した。
台車でも何でも使えばいいのにとか思ってしまった俺は面白みがないのだろうか?
それはそうと。
「...大丈夫か?重いならもうちょい持つぞ?」
「大、丈夫...体力、つけなきゃ、だから...」
だとしたら付け方間違ってるし、たぶん醜い筋肉が付くぞ。
おずおずと手を挙げたのは倉田ましろという、昨日ギャルに引っ張られていった子だ。
「...どうして立候補したんだ?男手に任せた方が良かったろうに」
「...その、蒼咲くんと、二人になりたくて」
こういう時、断らない方が良いだろうな。
「...そうか。手短にな」
「うん。...その、放課後、空いてますか...?」
「...どこで待ってればいい?」
イエスの意味を彼女はちゃんとくみ取ってくれたみたいだ。
「えっと...教室にいてくれればいい、かな」
「了解。じゃ、こいつら手早く運んじまうか」
「そうだね...んしょ」
「...やっぱり半分くれ、ちょっと危なっかしい」
重い教材を持って歩く彼女は、だいぶ危なっかしく見えた。
なんで倉田ましろ小説増えないのん...?
もっと増えてよ()