倉田ましろといろんなことがしたい。 作:フロストヴェール
「はぁ...やべぇ、腹痛くなってきた...」
俺、
別に俺はドラッグストアに用事があるわけではなく、待ち合わせ場所がこの辺りなのだ。
そして、俺は待ち合わせ相手が男友達であれば、待ち合わせ5分前とかに到着する。
何なら遅れるぐらいだ。
しかし、現在時刻は13時30分。
集合時間は14時。
30分前に着いてるなんて、俺はどうかしているのか?
いや、これが正しい。
何故なら。
「...推しと二人でお出かけって...俺明日生きてるかな...」
いや、たぶん死んでる。
間違いない。
それは俺の過去の行動が証明している。
彼女と話した時、ふとした瞬間に触れてしまった時、俺は決まってその後に過呼吸を起こしていた。
そんな俺が?
彼女と二人で?
「...あれ、無理じゃね?」
ではその推しというのは誰なのか?
彼女というからには女の子ではあるけども。
じゃあ、その正体はーー
「仮咲くん。ごめんね、待たせちゃった、かな?」
女神かっ!?
...失礼、取り乱した。
彼女こそ俺の推しにして今日のお出かけ相手、倉田ましろである。
今をときめくガールズバンド、そのうちの一つ『Morfonica』のボーカル。
そんな人と、俺は二人で出かけるんだよ。
ーー心臓、持つかな。
「仮咲くん?大丈夫?」
「大丈夫です。ちょっと、明るさに当てられただけなので...」
「...そっか。もう少し、休んでいく?」
「いや、大丈夫です。行きましょう」
俺、今日で死ぬかも。
色々と回った挙句、倉田さんがお気に入りという公園に来た。
「仮咲くん、ごめんね。いっぱい、振り回しちゃって...」
「大丈夫です、これくらい、どうってこと...」
強がりの裏側には弱さが隠れているものです。
でも、この状況から逃げたら疲れは取れますが、進めば彼女と同じ景色が見れます。
「じゃあ、ちょっと休憩しよっか?」
「...ハイ、お手数おかけします」
彼女に気を使われてしまった。
何と情けない。
公園のベンチに並んで腰かけ、一息つく。
「仮咲くんは、その、私といて、楽しい?」
「楽しいですけど」
俺、なんか彼女につまんなそうに見える態度でも取ったかな。
こりゃ家帰ったら腹切るか。
「ううん、それならいいんだ。私の都合で、いろんなとこ、振り回しちゃって」
「楽しかったですよ。倉田さんのいろんな部分、知れた気がして」
「えへへ、ありがとう」
あー笑顔がまぶしい。
やばい、女神がおられる。
「じゃあ、帰ろっか」
「...はい」
この時間は名残惜しいけど。
一介の学生で、ただの同級生ごときが、彼女の時間を奪う訳にはいかないから。
「今日はありがとうございました。とっても楽しかったです」
「私こそ、ありがとう。よかったら、その。また、一緒にお出かけしてくれる?」
「あ...俺で、良ければ、是非」
彼女と別れ、帰路につく。
「...推し尊い、マジ無理あの笑顔可愛い」
独り言がデカい。
本当に、黙って欲しい。
だけど。
「...楽しかった」
また誘ってくれるなら、それに甘えちゃおう。
推しとお出かけしたいですか?
俺はしたいです。