赤司のロンパ ~ 超高校級の『天帝』と呼ばれた男~ 作:ばうむくうへん
今更な話ではあるが、ここ修学旅行先である「ジャバウォック島」には不自然な点が二つほどある。それも容認するにはあまりにも大きな点が。
まず一つ。僕らはどのような手段でここ「ジャバウォック島」へやってきたのかと言う事。当初は事態を整理するためにあえて考慮はしなかったが、学園の門扉をくぐってから教室にたどり着き、この場所にやってくるまでどう長く考えても一時間と満たない。さらに教室の四方がオープンされた先が海岸であったことを考えると時間的にも移動手段を考えても『不可能』であると断言できる。となると考えられる理由は一つ。門扉をくぐった時に襲われた強烈な眩暈。それによって僕らは校門から教室までの移動の記憶が曖昧、または操作されている可能性がある。これだけでも立派な犯罪と言える行為だ。なぜそのような手間をかけこの島まで僕らを連れてきたのか、その真意はこの場にいる者の中ではウサミにしか分からない。もっとも当人に聞いたところで適当にはぐらかされるだけであろうことは分かっていたので無駄な問答はしていない。
次に二つ目。辿り着いたこの「ジャバウォック島」は世界的に有名な観光地の一つであり、年間での来客数は数百万に及ぶ。邦人の間でもハワイ諸島と並ぶ人気スポットであるが、僕らが足を踏み入れた先には観光客はおろか、島民・施設関係者を含む全ての現地人が不在という有り得ない光景があった。さらに島内では至る所にモニター・スピーカー・監視カメラが設置されており、観光名所を巡るうちに徐々にその異変に気付いたクラスメイト達もいたが、閉鎖空間からの解放と一瞬で南国諸島に降り立った事実、そして不可思議な物体であるウサミを前にしてこの異常とも言える事態に対してさしたる疑念を持たなくなってしまっていた。
かくゆう僕も集団心理とでもいうのだろうか。この修学旅行生活が1週間を迎えるころにはいつしかその疑念は薄れていった。希望ヶ峰学園へやってきた本来の目的とともに・・・。
「なるほど、民を統べるにはそのような柔軟性も必要なんですね。メモメモですわ」
「・・僕が言ったのはあくまでも所属していたバスケ部においてのことだ。参考程度に留めておけ」
その日の昼食を終えた僕らはしばしの休息を取っていた。絆を深めると溜まる「希望のカケラ」は実務以外でも効力があるとはウサミの談。こうしてクラスメイトとの雑多な会話もその一環というわけだ。本日は『超高校級の王女』こと『ソニア・ネヴァーマインド』と統制について語らっているところである。
「それにしても赤司さんは博識ですわ。帝王学に精通しているということは高貴なお家柄なのですか?」
「・・白夜ほどではないが、一応名家としての位にある」
名家 赤司家の長男として生まれた僕は幼少の頃より厳格な父親から英才教育を叩き込まれてきたが、それが辛いとは微塵も思わなかった。子供ながらにして僕は王者としての宿命を背負っているのだと理解していたから。その使命感が僕を常に前に進めてきた。
「頭脳明晰でありながら『超高校級のバスケットボール部』なんてパーフェクト超人の極みでございますわ!」
「そのパーフェクト超人という言葉の意味は分からないが、褒め言葉として受け取っておこう」
絶対的王者の宿命を背負いこの世に生を受けた僕であるが、あくまで生まれとしての地位は白夜の生まれである十神家と比較して凡百の名家の一つに過ぎない。ソニアのように王族という高貴な血統の出自の者との会話は僕にとっても大きなプラスとなっていた。
「ところで赤司さんは日本のドラマでは何がお好きですか?私はもちろん80年代の名作である・・」
「・・・・・・・」
時折、訳の分からない話題となることもあるのが厄介ではあるが。
・・・・・・・・・・・・・・・
「あ、あの・・いいかな、赤司?」
「・・む」
昼の休憩時間が終了し、午後からは海岸のビーチクリーン活動に勤しんでいると赤毛で短髪の女性が声をかけてきた。『超高校級の写真家』である『小泉 真昼』だ。
「僕に何か用か、真昼?」
「えっ・・とあの、写真撮らせてもらってもいいかな?」
そう言うと彼女は常時首にかけているカメラに手をやる。あまりカメラに詳しくないがそれでも一般的なそれよりも高価なものであることが分かる。
「清掃の途中だ。作業中で良ければ構わないが」
「あっ、全然いいよ。むしろ動いている所が撮りたいんだよね」
集団行動中は輪を乱した行動は問題視される。真昼の班は別行動の為、この海岸にいることに何ら問題はないが彼女とプライベートな時間を持つことは褒められたものではない。申し出を受けはしたが気を使ってカメラに視線をやる必要はない。僕はその後も黙々と清掃活動を続けていった。
「よ~し!今日はここまででいいじゃろう!もうじき日が暮れる、引き揚げるぞぉ!」
班長である猫丸の一声でその日の作業の終わりを迎える。清掃とは言え砂浜に足を取られた中での作業は相当の体力を消費する。今回のメンバーに僕や猫丸、赤音といった体力に自信のある者が選出されたのはそういった理由からだろう。
回収したゴミをまとめ終わったところで先程の真昼が声をかけてきた。
「ありがとう、赤司。バッチリ撮らせてもらったよ」
「・・まさか今までずっと撮影をしていたのか?」
「う、うん。今日はアタシたちの班、午前中で作業が終わっちゃったから・・」
とは簡単に言うが先程の申し出から今までゆうに3時間は経過している。被写体の顔を追わなければならないため、その間カメラを構え続けていたのだろう。疲労の顔が視てとれる。
「そこまでして撮影に拘るなら一言声をかければよかったろう。振り向くだけの協力ならば応じていたぞ」
「言ったでしょ?動いている写真が撮りたいって。人の自然な表情の写真を撮るのが好きなの」
その為だけに炎天下の砂浜で3時間も撮影に挑むとは。そういえば以前にも同じような事があったな。あれは確か・・・
「・・そうか。昨年のIH本戦前に取材撮影を希望した女学生がいたな。あれはお前だったのか」
「覚えててくれたんだ。躍動感のある人の表情を撮影したいと思って洛山高校バスケ部の練習の撮影をお願いしたんだ」
その時の写真が掲載された記事は覚えている。目立ちたがりの小太郎がやけに写真映りの良い記事があると騒いでいたので目をやったが、全国屈指の運動量を誇る洛山高校バスケ部の練習風景をまるで静止画で捉えたかのような鮮明なカットだった。
「・・あれは見事だった」
「・・実はあの写真が決め手になって希望ヶ峰学園にスカウトされたんだ。だから赤司はアタシの恩人ってことになるのかな?」
「僕は関係ない。お前が選ばれたのは写真家としての才能があったためだ。謙遜することはない」
「・・あ、ありがとね」
この1週間で僕はクラスメイトの様々な才能に触れてきた。いずれもその分野においては比類なき実績・功績をあげておりまさに『超高校級』と呼べるものである。とすれば僕が本来有する『超高校級の天帝』とはどのような才覚なのだろうか?僕は自身の才能を「バスケットボール」を通してしか知り得ていない。僕の真の才能とは果たして何なのか?真の天帝とは何なのか?いつしか自身の才能の本質を知ることがこの修学旅行での新たな目標となっていた。
・・・・・・・・・・・・・・・
この修学旅行が始まってから初の週末が訪れた。本日は終日休暇となっている。ウサミ曰く労働の後には休息も必要とのことだが、面妖な姿をしておいて随分と所帯じみたことを言う。しかしその効果は覿面だったようだ。海岸ではウサミの用意したスクール水着に着替えたクラスメイトが一様に楽しんでいた。
「うっきゃ~、今日は泳ぐッスよ~!」
「じ、準備運動はしっかりしてくださいね~、澪田さぁん」
「ゲロブタは必要ないかもね。無駄に脂肪ついてるからプカプカ浮かぶんじゃないの~?」
唯吹を筆頭に海へと向かっていく面々。波打ち際で戯れる者や、沖に向かって全力で泳ぐ者、砂浜で日光浴を楽しむ者など様々だ。僕はというと、実は海水浴というものになじみがない。幼い頃に今は亡き母と共に出かけた記憶がかすかに残っているだけである。その為、何をして楽しむかという考えはなかった。仕方なくパラソルの下に腰掛け、クラスメート達の戯れを見学することにする。
・・・もしかしたら、かつての旧友とこのような時間を過ごすこともあったのかもしれない。今となっては意味のないことだが。・・そう、僕は切り捨ててきたのだ。先のウインターカップにて全ての過去を、因縁を。慈悲など微塵もなく完膚なきまでに叩き潰したのだ。僕が絶対王者であることを証明するために。
未練などない。あるはずがない。僕らは帝光中学を卒業する際に袂を分ったのだ。再び相見えるときはお互いが『敵』であると。そして僕は『敵』に勝利したのだ。そして今、さらなる高みを目指し希望ヶ峰学園へとやってきた。・・そうだ。僕は何をしているんだ?この希望ヶ峰学園へやってきた理由は僕が全てにおいて絶対的な王者であることを証明するためのものだったはずだ。それを・・・
「・・・赤司君?」
「・・・千秋か。どうした?」
ふいにかけられた千秋の声にはっとする。今何を考えていたのか。つい先ほどまでの思考なのに上手く思い出せない。慣れない修学旅行生活に僕も少々疲れているのかもしれないな。
「海と言えば人生ゲーム。今日はこれで勝負しよっか?」
「何故、海でボードゲームなんだ。まぁいいだろう・・」
修学旅行3日目に白星を挙げて以来、千秋にはチェスで敗戦を続けている。一局ごとに打ち手が変わったかのような戦術は僕の『眼』を以てしても見破ることはできなかった。だがこの人生ゲームとやらは運が大きく左右するもの。勝敗は五分五分といったところだろう・・・・。
「・・あ、ボクの上がりみたいだね」
「さすが狛枝君だね。これで10回連続1位だね」
「・・・・・・・」
千秋との開戦前に突如自分も含むよう乱入してきた凪斗であったが、千秋の言葉通りの結果を出していた。
「ゴメンね、赤司クン。突然混じった上に空気も読めなくて」
「・・・気にするな。所詮ゲームだ」
「でも赤司君。10回連続ドべだよね。しかも未婚のまま」
「・・・む・・・」
運が全てと思っていたが中々この人生ゲームとやらは奥が深いようだ。スタートラインは平等でもその後の歩みで勝者と敗者の明暗がここまでハッキリするとは・・。正に社会の縮図といったところか。
「僕のゴミのような才能でもこんな形で役に立つんだねぇ。あはは」
「度を過ぎた卑下をするな。お前の言うゴミのような才能で僕は敗戦を続けているんだぞ」
「ご、ゴメンよ・・赤司クン」
情けない。あまりに子供じみた真似をしてしまった。運という不確定要素にここまでしてやられるとは思わなんだ。本人こそ否定しているが、幸運というものが具現化されるのだとしたらそれは脅威と言わざるを得ない。この凪斗という男もどことなく得体が知れない。なによりもこの男の底が『視えない』。とても仄暗い何かが僕の『眼』を通さなかった。
こうして各々が休日の時間を楽しんでいた中、『それ』は何の前触れもなくやってきた。
「あ~、あ~!マイクテス、マイクテス!オマエラ聞こえてるかなぁ~?」
「・・・・!?」
突如、海岸に設置されていたスピーカーから聞こえたのははウサミと変わらないほどの珍妙な声の持ち主であった。その声に驚く者もいたが、またウサミがよからぬ計画でも立てているのだろうと再び振り返ったが、声の持ち主はお構いなしに言葉を続ける。
「楽しい楽しい修学旅行はオシマイだよぉ。至急ジャバウォック公園へ集合してくださ~い!」
大音量のスピーカーで耳障りな声でまくし立てるとは不快極まりない。さすがに看過できず物申そうとウサミに目を向けると、そこにはわなわなと体を震わせるウサミの姿があった。
「う、うそでちゅ・・!なんであいつがここに・・!こうしてはいられないでちゅ!」
そう言うとウサミはいずこかへと走り去って行った。恐らく先程の声の主が指定したジャバウォック公園へ向かったのだろう。しかしあのウサミがあれ程まで慌てている様子を視る限り、声の主はイレギュラーな存在ということだろうか?
僕はクラスメイトらに声をかけ、ジャバウォック公園へ行くよう促した。静観しても良かったのだが、声の主は等間隔で耳障りな声をスピーカーで発信していた為、このままでは埒が明かなかったからだ。
・・・・・・・・・・・・・・・
ジャバウォック公園はジャバウォック島の中心部に位置しており、この島のシンボルというべきスポットである。観光客の間ではもっとも人気のあるスポットであるが辺りに広がる海一帯を見渡せる景観以外にこれといった施設などはない。あえてあげるとするならば公園中央部にある動物を象った石像だろうか。
僕らが公園に辿り着いた時にはウサミもそこにいた。なにやら周囲を警戒するように見回している。
「ど、どこでちゅか!?姿を見せなちゃい!!」
声質から判断は難しいが珍しく怒気が感じられる口調で叫ぶウサミ。その言葉に呼応するかのように公園中央の石像の影から『ソイツ』は姿を現した。
「あーっはっはっは!オマエラ、ごきげんよう!そして、おひさしぶりです!」
それは体の半分が白黒に分けられた何とも醜悪なロボットであった。
「なんだあれは?ウサミ、お前の関係しているヤツか?」
「・・・・・ッ!!」
僕の問いに応えず白黒のロボットを睨み続けるウサミ。この反応を見る限り、やはり友好的な間柄でないことが分かる。ロボットとぬいぐるみに親交があるかどうかなど微塵も関心はないが。
「なんであんたがここにいるんでちゅか!?」
「オイオイ、つれない事を言うなよ、オマエのお兄ちゃんだよ、ボクは?」
そうこうするうちに二体は口論を開始する。やれやれ、このような下らない茶番を見せつけるために僕らを呼び寄せたと言うのか?呆れた顔で皆がその場を後にしようとすると白黒のロボットが言い放つ。
「オマエラ、マンネリ化した修学旅行は飽き飽きだろ?ボクがとーっても刺激的な修学旅行にしてやるよぉ!そう・・素敵な素敵な『コロシアイ修学旅行』にね~!」
「・・・・・!?」
・・・僕の耳が確かならコイツは確かに『コロシアイ』と言った。『殺し合い』と。その言葉の意味を理解するのに1秒とかからなかった。恐らく他のクラスメートも同様だろう。しかしその言葉の意味の本質を理解した者はこの場に何名いただろうか?その場に凍りついた面々をよそにソイツは自身の名を『モノクマ』と名乗ると、『コロシアイ修学旅行』のルールを淡々と説明していく。その言葉も恐らく皆の耳には入っていないだろう。
「・・・以上が『コロシアイ修学旅行』のルールです!1回しか言わないから忘れたってヤツは隣の人にでも聞いてくださーい!」
「・・ふ、ふざけるなでちゅ!生徒たちでコロシアイなんてそんなのあちしが許さないでちゅ!」
モノクマの言葉に最初に激高したのはウサミであった。手に持ったステッキで立ち向かったウサミであったが、次の瞬間モノクマの合図にて周囲の石像が巨大な動物型のロボットへと変形し、ウサミの前へと立ちはだかった。その光景はさながらハリウッド映画に登場する1シーンのようである。
「オマエラ、よく見ときなよ?ボクに逆らうとどういうことになるかをね」
そのモノクマの合図で大型ロボットの一体が銃器らしきものをウサミに向けた瞬間、凄まじい轟音と共に放たれた弾丸はウサミの体をズタズタに引き裂き、その音が止む頃にはウサミの立っていた場所には黒ずんだ綿のみが残されていた。
「き・・・きゃあああぁぁぁぁぁっ!!?」
女生徒たちの悲鳴が響き渡る。と同時にそれまで硬直していた他の者もようやく戸惑いを表情に出した。怒りを露わにする者もいたが、今しがた起きた圧倒的な力を前に何もできずにいる。
「オマエラ、静粛に~!静かにしないと、誰かコイツみたいになっちゃうよ~?」
高笑いを浮かべながらモノクマは黒炭と化したウサミの残骸を拾い上げる。その仕草に益々女生徒達は怯え、半ばパニック状態になっている。・・・まずいな、このままでは本当に誰かが犠牲になる。ならば・・・
「・・・・・・」
「ん?おやおや、威勢のいい生徒がいましたよ、赤司クン」
一歩前を出すと、モノクマの注意が僕に向く。それに呼応するかのように巨大なロボット達はその銃口を一斉に僕に向けた。・・・かつては刺すような重圧を試合中に感じたことはあったが、まさかこれほどまでの重火器を現実に向けられることになるとはな。思わず顔に笑みが浮かぶ。
「あれあれ?気でも触れちゃったのかな?こんな状況で笑ってられるなんてさ?」
「・・・満足か?」
「ほえ?」
「圧倒的な力を持って相手を恫喝する・・。さぞや満足だろうな。だがいいのか?ここで僕を殺せば先程お前が言っていた『コロシアイ修学旅行』の参加者が主催者側によって葬られることになる。それはアンフェアじゃないのか?」
コイツは何を言っているんだろうか?僕の言葉に皆の声なき声が聞こえてくるようだった。僕自身も自分で何を口にしているのか不思議に思った。まるで自分ではないもう一人の『誰か』が口を開いたような・・
「・・いいねぇ、ノリノリだねぇ赤司クン。ボクは大好きだよ!そーゆーの!・・でもね」
「希望ヶ峰学園の学園長であるこのボクに生意気な態度はいただけないなぁ!」
モノクマの言葉と共に大型ロボットの構える重火器が回転音を上げる。
「に、逃げてください!赤司さぁぁん!」
「ヤベえよ!このままじゃあいつ・・!!」
・・・希望ヶ峰学園の学園長か。どうせ虚言であろうが、丁度いい・・『目的』の一つを果たすとしようか。
「希望ヶ峰の学園長だろうがなんだろうが、僕に対しての狼藉・・」
「実に頭が高いぞ」
『
「ぶぎゃぁぁ!!」
「グォォォォ・・・!!!」
「で、出た!赤司のアレが!」
「な、なんという魔眼の使い手か!」
僕の足元にはアンクルブレイクを起こし、前のめりに転倒しているモノクマと大型ロボットの姿があった。その光景に少しは溜飲が下がった僕は、そのままモノクマに語りかける。
「いいか、この島のルールはお前ではない。僕だ。僕が絶対だ。僕に逆らう者はロボットだろうと、学園長だろうと・・」
「神でも殺すぞ?」
「う、うぷぷ!いいよぉ・・!やっぱりキミはいいよ・・!思った通りだよ・・」
顔を地面につけたまま不敵に笑うモノクマ。この期に及んでまだ何かを企んでいると言うのか?
「特別にキミだけは『元に戻してあげるよ』」
「・・何だと?」
元に戻すだと?コイツは何を言っている?モノクマの言葉に疑問を浮かべた次の瞬間、強烈な頭痛が僕を襲った。
「うぐっ・・!!あぁ・・!!ぐぁぁあぁああ!!」
「あ、赤司!?どうしたの!?」
「お、おんどれぇ!赤司に何をしたんじゃぁぁ!?」
すさまじい激痛だ・・!とても耐えられるものではない・・!両手で頭を押さえ地面を転げまわる。実に情けない姿を晒してしまうがそのことを憂う余裕もない。とにかくこの痛みに抗う術が見つからなかった。
「あぐっ・・!!うぐぁぁ・・!!」
「み、蜜柑ちゃん、どうにかならないのぉぉ!?」
「わ、私にも何が何だかぁぁ・・!?」
激しい頭痛の中で瞬間的に様々な光景が脳裏に浮かんでくる。これはいつの頃だ?帝光中学の時?・・これは洛山に入学した時のことか・・?そしてこれは・・ウインターカップの時・・?
「赤司、テメェェェ!!!」
これは・・大輝?
「見損なったのだよ・・!赤司・・!」
真太郎・・?何を言っている・・?
「許さねぇッスよ!!赤司っちぃ!!」
涼太・・?何があった・・?
「さすがに引いたわ、赤ちん・・!」
どういうことだ・・?敦・・?
「赤・・司・・・く・・」
テツヤ・・・・・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お帰りなさい、赤司クン!うぷぷ!あーっはっはっは!」
その声を最後に僕の意識は途切れた。
~To be continued~
プロローグ終了です。そして『ツンデレ赤司』も終了です。