世界を救った暗殺者はダンまち世界に転移する 作:一般リターナー兵士
ハーメルン初投稿となります。
久しぶりにFF6やったら何か書きたくなったので勢いで書いた。
続きは書いたら投稿します。
「………………ここなら、誰にも見つからないだろう」
少しずつ音を立てて崩れていく瓦礫を横目に座り込む。
世界は救われた。
俺たちが救った。
これから先、救われた世界がどうなっていくのかは
「まあ、いいか」
疲れた。
本当に、疲れた。
これで、ようやく俺の役目も終わりだな。
「ビリー。俺も、ようやくそっちに行けそうだ」
「文句ならいくらでも聞いてやるから、酒でも用意してあたたかく迎えてくれよ」
ゆっくりと眼を閉じ最後の時を待つ。
「バウ!!バウバウ!!!」
と、聞きなれた犬の声が聞こえ閉じていた目を開く。
瓦礫だらけの走りにくいこの場所を速度を落とさぬままこちらに向かって走る黒い影が見えた。
「インターセプターか」
座り込んだ俺に駆け寄って来る相棒。
全く、あいつらに気づかれないように離れてこんな場所にいるというのに……本当に優秀な相棒だよお前は。
「俺に付き合う必要はないんだぞ?」
「バウッ!!」
離れる気は、ないのか。
そうか、お前は本当に忠犬だな。
思えばお前には何度も助けられたな。
こんな世界で
だからこそ、こんな俺の最後にお前を付き合わせるのは忍びない。
「頼みがある、インターセプター」
手袋を外し、武骨な手に嵌った指輪を外して紐を通してインターセプターの首にかける。
「バウ?」
「これまで放っていた俺が今更だとは思うんだがな、あの子に届けてくれないか?」
おいおい、そんな悲しそうな顔をするなインターセプター。
「すまない、インターセプター。こんな俺の代わりにあの子の成長を見守って欲しい」
何度もインターセプターの頭を撫でてやる。
「………バウ」
「行け!インターセプター!!」
こちらを何度も振り返りながら離れていく相棒の姿を見送る。
「本当に、俺にはもったいないくらいの相棒だよインターセプター」
今度こそ、目を閉じる。
「…………元気でな」
積み重なった瓦礫が崩れていく音が響くが、それも特に気にならない。
「思えば、長いようであっという間だったな」
この世界で生まれ、育ち。
ビリーと出会い、愛することの出来た女と出会い。
失って、思い出して、置いていった。
そこからは1人で、いやインターセプターと2人で生きてきた。
金さえ貰えれば何でもする暗殺者。
再び仲間、そう仲間と呼ぶことの出来る彼等に出会ってからはあっという間だった。
帝国が動き出したことは情報を集めるまでもなく、すぐに噂になっていった。
サウスフィガロでエドガー達を見かけたとき、原作が始まったことを知った。
マッシュとカイエンに出会い帝国陣地を突破して、魔列車を乗り越え。
サマサに行くことになった時はリルムやストラゴスに会うのが正直気まずかった。
魔大陸の時は置いて行かれないか不安だったが、あいつらは俺を信じて待っていてくれた。
崩壊した後の世界で力尽き倒れたときは、仲間達に助けられ。
その後はコロシアムで待つか悩んだが、己の力を磨く為にコロシアムに行き戦い続けた。
わざわざ俺を探し。迎えに来てくれた仲間達と世界を巡り、残りの仲間達と再会し。
そして、この瓦礫の塔へ来て……世界を救った。
「ティナ。平和な世界でならヒトとしての幸福も見つかるさ。諦めずに探し続けてみろ」
「ロック。今度こそ愛した女を幸せにしてやれよ。あと、さっさと元カノのことは振り切らないとセリスに捨てられるぞ」
「エドガー。女を口説くのはいいが王としての責務もしっかりな」
「マッシュ。身体を鍛えるばかりじゃなくて、エドガーを政務の面でも支えられるようにな」
「カイエン。若い連中を頼む。それと、お前も自分をいつか許してやってくれ」
「ガウ。ケモノとして育ったお前だが、ヒトとしての幸せをお前なら見つけられるさ」
「セリス。あの冒険家気取りがちゃんと元カノを振り切ったら、お前の応えを聞かせてやれよ」
「セッツァー。ファルコンでの空の旅、言葉にすることはなかったが楽しかったぞ」
「ストラゴス。俺が頼めた義理ではないが、リルムをこれからも頼む」
「モグ。俺のキャラではないので隠していたが、お前の存在は和んだし癒されたぞ。モルルとは仲良くな」
「ウーマロ。お前は何を考えてるのか正直よくわからなかったが、お前の力には何度も助けられた」
「ゴゴ。世界を救おうとした俺達をモノマネしただけだとお前は言いそうだが、世界を救えたのはお前がいたおかげだ」
「リルム。誰より、何より、幸せになってくれ。俺が願うのは、それだけだ」
ふと、身体が宙に浮いた。
塔が崩壊し、俺も落ちているんだろう。
インターセプターは仲間達の下に辿り着けただろうか?
まぁ、インターセプターなら大丈夫だろう。
あいつは優秀だしな。
インターセプターもこれまで俺に付き合って無茶をしてきたんだ。
これからは、リルムの所でゆっくりと過ごして欲しい。
あぁ、そういえば。
またリルムを置いて行く俺を、お前は怒るだろうか?
仕方のない人だと笑いそうな気もするが。
ビリーだけじゃなくて、お前とも話をしなきゃな。
久しぶりに会うんだ、語りたいことも沢山あるしな。
「あぁ…………俺はこの世界でシャドウとして上手くやれただろうか?」
「………ゼ……………ア…………だ………さい」
「どう…………ン……」
「……を………ポン………フ………こ……」
「…どい………ガ」
「…ぐに………を………ディア…………リア…………」
「わ………した………」
主人公→シャドウ(憑依)
ビリーに「介錯して」って言われた時に前世の記憶を思い出す。
「おま、俺がシャドウとかマジかー」ってなったが、原作とは違いビリーをしっかり介錯した。
その後は原作開始まで時々依頼を受けつつもフラフラと過ごす(娘がいることは覚えていたが、今更俺が会いに行く資格などないなとか考え会いには行かなかった)
原作開始した辺りで本気を出した。
具体的には、ゾドールのオークションで魔石を落札し、ツェンの町で魔石を盗賊から購入。
何か試行錯誤して魔石を装備、時間軸的にロック達より早く魔法を覚えた。
サマサの町からは基本原作通りに行動し、魔大陸で世界を崩壊させない為にケフカを本気で殺そうとしたが失敗する。
世界崩壊後も基本は原作通りだったが、合流後に片っ端から魔石を装備して覚えられる魔法は全部覚える。
(この暗殺者、魔法が本当に大好きだなぁ)とか仲間には思われてた。
「原作シャドウって、暗殺者とはいえ普段から黒の全身タイツに鎧ってダサくない?街中でもこの格好とか街の憲兵に通報されるだろ」とか思い、顔は晒さないが装備には気を使っていた。
世界を救い「おっしゃ原作やりきったぞー」って死のうとしたらまさかの異世界に転移した。