世界を救った暗殺者はダンまち世界に転移する   作:一般リターナー兵士

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今回は繋ぎ回。つらつらと書いた。

アミッドさんに何か変な属性が増えた気がする。

でも、銀髪美少女に迫られるの……いいよね。




009 契約 (きょうがく)

どうして、こうなった?

 

「聞いていますか、シャドウさん?」

 

俺の目の前には低い声を出すアミッドがいる。

 

「詳しく、説明して下さい」

 

瞳からハイライトが消え、いつも割と無表情だが……その表情すらなくなったアミッドが、いる。

 

「いま私は、冷静さを欠こうとしています」

 

一瞬ネタか?と思ったが、顔と雰囲気がマジだ。

 

「私は、シャドウさんから、そのような事を、聞いた覚えは、一切ありません」

 

お前もう冷静じゃないだろ。まだ短い付き合いだが、そんな喋り方をするの初めて見たぞ。

 

助けを求めるようにアストレアと輝夜を見るが、アストレアは頭痛がすると言わんばかりに頭を抑えているし、輝夜は珍しい光景を見たと言わんばかりにニヤニヤしている。

 

助けてくれる気は、なさそうだ。

 

「さぁ、シャドウさん。説明をお願いします」

 

本当に……どうしてこうなった。

 

 

 

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 

 

そもそも何故アミッドが、あのように取り乱したのか?

 

ことの始まりは1時間ほど前。俺の入院している病室にアミッド、輝夜、アストレアの3人が来た所に遡る。

 

アストレアは昨日話した通り俺を雇うに辺り条件の確認に、輝夜はアストレアの護衛。アミッドも何やら俺に頼みたいことがあるとのことで2人(1人と1柱)と一緒に来たらしい。

 

挨拶を交わし、さっそく話し合いを始める。

 

その際に輝夜からは、ゴジョウノではなく輝夜と呼んで欲しいと言われたので了承した。ゴジョウノと呼ばれるのは好きではないらしい。

 

アストレアからは、かなり俺を高く評価されていると感じさせる条件を提示された。

 

拠点となる建物(闇派閥(イヴィルス)から徴発した建物らしい)の提供、活動資金の提供、必要な武具を制作する鍛冶職人の斡旋もあった。

 

ちなみに、ここの治癒院の入院費用もアストレアから出して貰えることになった。

 

アストレアとの連絡の取り方は、手紙などを使わず基本的には輝夜を介して連絡を取り合うことにした。

 

輝夜が週1回くらいの頻度で俺に提供される建物に来て、進捗状況の確認やアストレアからの依頼を伝達したりすることになるらしい。

 

俺が闇派閥(イヴィルス)を調査する場合、黒もしくは限りなく黒に近い灰色な手段を使うことが予想されるし、そんな人間との繋がりを示す証拠を残すのは正義を掲げる彼女達の主神であるアストレアにとってもリスクになるので、連絡手段について文句はない。

 

わざわざリスクを抱え込む必要もないし、そちらの方がいざという時に俺もアストレアも動きやすい。

 

アミッドの空いた時間に教えて貰ってはいるが、この世界の文字をまだ覚えきれていないので手紙でない方が正直ありがたいのもある。

 

連絡要員が輝夜になったのは……残念ながら消去法である。

 

輝夜以外の候補がローヴェルかリオンの時点で、輝夜以外の選択肢などなかったのだが。

 

いずれはアストレア・ファミリアに所属しているライラという小人族(パルゥム)の娘も連絡要員に加えたいと言われたが、とりあえずは輝夜だけでしばらく運用して様子をみていくことにした。

 

そんな感じでアストレアとは無事に契約を結び、次はアミッドからの話を聞くことになった。

 

アミッドは、アストレアと同じくファミリアではなく自分個人と契約をして欲しいと言い出した。

 

契約の内容としては、アストレアとの契約に反しない程度で構わないので自分にも闇派閥(イヴィルス)の情報を回すことと、俺に戦闘の訓練をして欲しいらしい。

 

対価はポーションなどの治療薬の提供と、俺が病気や怪我をした場合にアミッドが専属で治療を行うこと。

 

俺としては別に構わないとは思った。

 

アミッドに渡す闇派閥(イヴィルス)の情報は輝夜と相談し調整すればいい。訓練も空いた時間に行えばいいだろう。

 

ポーション類はどのみち購入する予定であったから、アミッドから提供されるなら資金を他に回せる。

 

それに、俺も人間なので病気や怪我と無縁という訳ではない。俺の事情はかなり特殊だし、俺の事情を知っているアミッドが専属となって治療をしてくれるならかなりありがたい。

 

しかし、何故アミッドがそんなことを言い出したのか?

 

アミッドが所属するディアンケヒト・ファミリアは怪我や病気などの治療を行い、ポーションなどの治療薬を製造・販売している医療系のファミリアだ。

 

闇派閥(イヴィルス)の情報は、あれば助かるだろうが別に俺から手に入れる必要などない。前線に出ない治癒士(ヒーラー)であるアミッドが戦闘技術を学ぶ必要もそれほどない。

 

基本的に前線に出ない治癒士(ヒーラー)が戦わなくてはならない状況になっている時点で戦略的には負けだ。それは前線が既に崩壊していることを意味するのだから。

 

俺の疑問に対してアミッドの返答は簡潔であった。

 

「私は、治癒士(ヒーラー)として、1人でも多くの人を救いたいのです」

 

闇派閥(イヴィルス)が毒を使うなら解毒薬を、呪いを使うなら解呪薬を準備する。

 

俺からの情報で必要になるであろう薬を事前に知ることが出来れば、それに備えて材料を揃えられる。

 

それだけで、多くの人が救えるようになる。

 

だから、闇派閥(イヴィルス)の情報が欲しい。

 

戦闘技術を学びたい理由も、過去にディアンケヒト・ファミリアは闇派閥(イヴィルス)の襲撃を受けたことがあったから。

 

大抗争以降、闇派閥(イヴィルス)の活動は徐々に下火になっているが、完全になくなった訳ではない。

 

「再びディアンケヒト・ファミリアが襲撃された場合。私が戦うことが出来れば、他のファミリアが応援に来てくれるまで時間を稼げますから」

 

………なんとも、切ない覚悟であると思った。

 

何だろうか、この世界の人間は少し覚悟が決まり過ぎていないだろうか?

 

アミッドもまだ子供と呼んでもいい年齢だろうに、他者の為に自分を犠牲に出来るのか。

 

この世界も大人も子供も関係なく、生きるということに必死にならなければならない世界だったか。

 

FF6の世界もそうだったが、前世の世界とはこういう部分が大きく違う。

 

アストレアにも念の為に確認を取り、アミッドとも契約を結んだ。

 

そして…………俺は、やらかした。

 

言い訳をさせてもらえるなら、無事にアストレアとアミッドと契約を結べ俺は安堵していた。

 

俺はこの世界ではどうあがいても異物だ。

 

異世界から来て、恩恵もないのにLv.4を2人同時に相手にしても圧倒出来る戦闘力。

 

さらに彼女達には話していないが、前世の記憶を持っている。

 

アストレアが理解ある神だっただけで、他の神であったなら相当面倒なことになっていっただろう。

 

故に、問題なくこれからのことが決まり気が緩んでいた。

 

アミッドの覚悟を聞いて、少しだけ感傷的になっていたのもある。

 

契約の話が終わり、先程までと異なり、軽い雰囲気の中で輝夜も加わり4人で雑談をしていた。

 

そこで俺は軽い調子で言ってしまった。

 

「アミッド。戦い方を教えるのはいいが、魔法については何を教えればいい?」

 

「まぁ、運用方法ぐらいしか指導出来ないとは思うが……ん?」

 

俺の言葉に、空気が凍っていた。

 

何だ?どうしたんだ??

 

魔法などエルフであれば基本使えると聞いたし、アミッドも使えると聞いているが、何かまずいことを言ったかと首を傾げる。

 

「………シャドウ。貴方、もしかして魔法が使えるの?」

 

「あぁ。人前で使用はしていないが、この世界でも使えることは何度か確認している……どうかしたのか?」

 

何でそんな大事なことを今まで言わなかったんだこの男は……と、頭を抱え出すアストレア。

 

あれだけ強かったのに、さらに魔法も使えるのか……と、遠い目をする輝夜。

 

そして、突然俺の両肩をガシッと掴んできたアミッド。

 

「…………シャドウさん。どういうことですか?」

 

あの、アミッドさん。

 

「どういう、ことですか?」

 

なんか、雰囲気がすげぇ怖いです。

 

 

 

■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■

 

 

 

「申し訳ありません。少々、取り乱しました」

 

「いや、構わない」

 

数分ほどアミッドを宥めると彼女は落ち着きを取り戻した。

 

先程の醜態が恥ずかしかったのか、パッと見ではわからぬ程度に頬を赤くはしているが、まあ落ち着いたならそれでいい。

 

ちなみに、アミッドを宥めるのにアストレアも輝夜も協力してくれなかった。

 

「俺が説明してなかったことが原因だ。気にする必要はない」

 

あんなに食いついて来るとは思ってなかったんだ、すまないアミッド。

 

「………それで、シャドウはどんな魔法が使えるの?」

 

まだ頭を抑えているアストレアが聞いてきたので素直に答える。

 

「分類としては回復魔法、攻撃魔法、補助魔法になるが」

 

全部で幾つになるんだ?メルトンも少ない時間の中気合で覚えたからな……おのれジハード。

 

瓦礫の塔にまで八竜を配置するな。

 

あと、何かトイレに強そうなドラゴンがいたとか仲間達が微妙な顔してたんだぞ。

 

「それらを………そうだな、全部合わせると50程度になるのか?」

 

俺の言葉に崩れ落ちるアストレア。

 

アストレア!?

 

ご、ごじゅうってどういうことなの………か細い声が聞こえて来た。

 

え?そんなに驚愕することなのか??

 

「…………シャドウさん」

 

おや?

 

「詳しく、説明して下さい」

 

あの、アミッドさん。

 

「いま私は、冷静さを欠こうとしています」

 

お前、やっぱりネタを知っててやってないか?

 

崩れ落ちたアストレアを介抱する輝夜。

 

再びハイライトが消えた瞳で俺に詰め寄ってくるアミッド。

 

なんだこの空間は……。

 

どうして、どうしてこうなった。

 

 

 

 

 




アミッドさん強化フラグをたてる。



問…輝夜さん通い妻と勘違いされない?
解…周囲にはバレないようにするから平気、へっちゃら。

問…主人公なんかクソボケかましてない?
解…ここもファンタジーな世界だし、魔法くらい使えても普通に珍しくないやろ?とか思ってる。

問…どうやってメルトン覚えたの?
解…ジハード受け取って即マジで本気だした。仲間達は(この暗殺者本当に魔法好きだなぁって)温かい目で見ていた。


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