世界を救った暗殺者はダンまち世界に転移する 作:一般リターナー兵士
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皆様に本当に感謝しかないですわ。。。
仕事に負けなかったので、何とか更新。
意識を取り戻して数日が経ち、アミッドから退院の許可が出た。
退院の許可が出たとはいえ、俺はこの世界の金など持ってはいないのでこれまでの入院費用が払えない。
さてどうしたものかと思っていたら、アストレアから今後の事を話したいと言ってきたので、この数日ですっかり見慣れた病室でアストレアが来るのを待っていた。
「ついこの間まで世界を救って死ぬことばかりを考えていたのに、人生とはよくわからん物だ」
軽く振り返るだけでも、俺の人生は意味不明だった。
子供の頃、初めてやったRPGは『Final Fantasy VI』であった。
親に連れられていった中古のゲームソフトを扱う個人ショップ。
その店で無造作に積まれていた中古ソフトの中から偶然俺が引き抜いたのが『Final Fantasy VI』で、親に買って貰いウキウキしながら家に帰って早速プレイした。
家で留守番していた弟は「兄ちゃんだけにゲームソフト買うなんてズルい!」とか騒いでいたが無視した。
初プレイは衝撃だった。
重苦しい雰囲気の中から現れるタイトル、子供だった自分にはまだ理解出来なかったが、何か大変なことがあったんだろうなと思わせるプロローグ。
殻に攻撃しては反撃をくらい全滅し、爆裂拳がわからぬと全滅させ、蛸にジジイだけが蹴り殺され全滅する。
何度も全滅をさせながら物語を進めたが、戦闘だけでなくギミックの進め方がわからない事も多かった。
野生児に肉を与えず何度も殴り倒し、獣ヶ原をひたすら歩き回った。
ゾゾの住人の嘘に騙され、ジェイソンにはなることは出来ず。
私の声は届いていませんと、台本に気付かずオペラは何度も失敗させた。
魔大陸ではシャドウを置き去りにし、シドにはまずい魚を食わせセリスは崖から飛び降りた。
セッツァーとダリルの回想から海面を突き破り現れるファルコン号、新しいフィールドBGMにテンションがガン上がった。
そのテンションのまま飛び回ってたらデスゲイズに全滅させられ、すぐに萎えた。
仲間を求めて、デスゲイズに遭遇しないよう祈りながら世界中を飛び回った。
覚え方がよく分からなかった青魔法士のジジイを見つけたが無視され。
犬は見つけたが飼い主はいなかったし、モルルからのお守りは落としたままだった。
首長恐竜のアルテマで全滅し、かつての仲間は全員見つけられず、レベルの足りないまま瓦礫の塔に向かい、行き詰まった。
そこで、挑戦することを辞めてしまった。
赤やら緑に青が追加されたモンスターにボールを投げつけるゲームのが楽しくなってたり、デジタルなモンスターは学校から帰るとよく墓になっていたが何故か何度も育てた。
そうして、何年か経ったある日。
偶然友人の家で攻略本を見つけ、それを借りることが出来たので俺は最初からやり直すことにした。
友人はご丁寧に裏技まで教えてくれたので、攻略本と裏技で前回と違いサクサク物語を進めた。
敵からの物理攻撃か魔法攻撃のどちらかを1ダメージにして、ボスのほとんどはバニシュ→デスで葬った。
おどりや青魔法の種類を増やし、野生児はひたすら飛び込ませた。
魔大陸ではシャドウを待ち、シドにはうまい魚をひたすら食わせ、崩壊した後の世界ではさっくりデスゲイズをバニデスして仲間を探した。
世界中をファルコン号で飛び回り仲間を見つけ、武器と防具を揃え、魔石を集めた。
存在すら知らなかったウーマロとゴゴを仲間に加えた。
砂漠を歩き回り、口が赤いデカいミミズモドキにデジョンを叩き込み、サボテンダーを殴って魔法を全て覚えさせ、恐竜どもを絶滅させる勢いで狩まくりレベルを上げた。
そして、育て上げたパーティーで瓦礫の塔に突入し……ついに、エンディングを迎えることが出来た。
攻略本込みとはいえ、過去の自分が諦めた物を乗り越えたあの時の感動は忘れられない。
それからも数年おきに最初からエンディングまでプレイしたり、絶対に自分でやろうとは思わないが最少歩数、最少戦闘回数の動画を漁る程度には思い入れのある作品となった。
社会人になってからもそれは変わらず、その時期に話題になったアニメを流しながらケフカをしばいた。
そして、俺は死んだ。
死因は包丁で刺されたことによる失血死。俺を刺したのは何度か家に来た事もある弟の昔の彼女だった。
『間違えた間違えた間違えた。この人はあの人じゃない、あの人じゃないのに刺してしまった。私は悪くない、私は悪くなんかない。あの人によく似ているお義兄さんが悪いんだ……』
これが、死ぬ間際に聞いた言葉。
「弟と俺は全然似てねぇよボケぇ!刺す前に確認しろや!!思い込みが激し過ぎて警察沙汰引き起こしまくったせいで弟と別れることになったんやろお前は!!!!」と叫びたかったが、喉から溢れてくる血のせいで叫ぶことは出来ず、そのまま死んだ。
死んだはず、だった。
「血だらけのビリーを前にして、俺は前世と呼ぶべき記憶を思い出した」
殺してくれと嘆願するビリーを前に、泡のように浮かび上がる前世の記憶と混ざり合っていくクライドの記憶。
クライドの記憶にある地名や出来事と重なっていく前世の知識。
弟の元カノに刺され、死んだはずの俺が何度もプレイしてきた『Final Fantasy VI』の知識がこの状況が何なのか、未来の俺がどうなるのかを押し付けて来た。
死を懇願する親友にして相棒が、狂いそうになるほど溢れる前世の記憶や知識が、逃げ出す事を許さなかった。
「そして、俺は…………
気が付けば、泣きながらビリーを抱きしめ……命を奪った。
ビリーは、原作とは違い恨み言など漏らさず、俺に感謝の言葉すら述べて、死んだ。
その後、ゲームの物語が始まるまで……そして、始まった後もシャドウである為に生きた。
生きて、生きて、失敗して、失敗して、世界を救うことだけは成功した。
「それで、死のうとした結果がこれか」
死んだ後はゲームの世界で、死ねなかった後はアニメだかラノベの世界とは、何の因果なのか。
神、バベル、オラリオ、ファミリア。
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』
たしか、そんなタイトルだったはずだ。
『Final Fantasy VI』をプレイしながらアニメを流していただけで、内容はあまり覚えていない。
ロリで巨乳な青い紐の神と、初恋拗らせた天然女たらしの兎みたいな少年が出て来るということ。あとは多少の設定くらいだ。
原作知識があればとは思わなくもないが……それで何度も失敗しているんだ、むしろない方がいいのかもな。
どっちにせよ、友と家族に生きろと言われたんだ。
「なら、今度は俺は足掻くよ………仲間達にも顔向け出来ないからな」
顔を上げる。
「……………来たか」
扉がノックされアストレアとリオンだったか?マスクで顔を隠した金髪エルフが入って来た。
アストレアは相変わらず柔和な雰囲気を漂わせ、リオンは何やら眉間に皺を寄せた厳しい表情をしている。
「待たせたかしら?」
「いや、大丈夫だアストレア」
リオンの眉間の皺が深くなったが……まぁ、どうでもいいか。
話し合いがしたいと言って来たのはアストレアだし、俺もアストレアに用がある。
リオンを気にしても、話がややこしくなるだけだ。
「単刀直入に言おう、アストレア」
さて、何と返して来るだろうな。
「俺を雇う気はあるか?」
モグタン将軍を初めて知ったときは衝撃的でしたわ。
最少歩数……飛空艇バグ……終了間際に再走確定……うっ、頭が。
FF6のあのRTA配信動画を見たあと、しばらくドアタイマーの「がこっ」が頭から離れなくなったのは私だけでしょうか。
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