世界を救った暗殺者はダンまち世界に転移する 作:一般リターナー兵士
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本編を書くことに集中していて、感想が中々返せなくなってきて申し訳ないです。
感想には全て目を通し力を貰っていますし、余裕が出来たら感想も再度返していこうと思ってはいますので……少々お待ちください。
今回は2話続けての投稿となっておりますので、前話をまだ読んでいないという方がいたらご注意をお願いします。
模擬戦を行うに辺りアストレアから借り受けた二振りの木製の短刀を使うことなく、体捌きだけでリオンの攻撃を避ける。
リオンの得物は木刀、長さと形状、それに振り方から剣ではなく刀として扱っている。
動きは速い、二つ名が『
武器である木刀だけでなく、時折体術も織り交ぜた連撃は非常に巧い。
これまでの研鑽や経験、積み上げてきた物は確かにリオンが都市の中でも実力者であると自負するに値するだろう。
だが……。
「遅い」
こちらからは一切攻撃や反撃はせず、服にすら触れさせずに攻撃を避け続ける。
模擬戦が始まった当初こそ涼しい顔をしていたが、いまは徐々に顔に焦りが出ている。
それでも剣筋はしっかりしているし、息も乱してはいないのは流石ではあるが。
「都市でも上位の実力者と言っていた割に、この程度か?」
俺は知っている。
リオンよりも速く、鋭く、まるで自身の身体の一部のように刀を振るい、研ぎ澄まされた『必殺剣』で敵を斬り捨ててきた
リオンよりも巧く、重く、ときにはその鍛え上げた肉体を豪快に使い、練り上げられた『必殺技』で敵を叩き砕いてきた
そんな、俺の
「くっ!」
俺の言葉に苛立ったのか、先程より少し鋭い一撃が来たが余裕を持って躱していく。
エルフであるリオンは魔法も使うはずだが、魔法を使う気がなく、このまま接近戦をしていくならリオンの体力が尽きるまで避け続けることは可能だ。
だが、それだけではこの模擬戦をする意味はない。
斬り払いを避けた際にリオンから少し距離を取り、
「ゴジョウノ、その装備している真剣を使って構わない。お前もこの模擬戦に参加しろ」
戦いの最中に視線を外され、お前だけでは不足だと突き付けられたリオンの表情に驚きと怒りが溢れていく。
「貴様は!!どこまで私の事を馬鹿にするつもりだっ!!」
「俺に武器すら使わせることが出来ない分際で何を叫ぶ。お前1人だけでは、俺の準備運動にもなっていないことすら理解できないのか?ローヴェルは一応は審判をしているはずだ。なら、ゴジョウノを参加させるしかないだろう」
リオンの怒りは当然だろうが、知ったことではない。
ゴジョウノはアストレアに視線を送り、アストレアはしばらく考えたあとに頷きを返した。
「本当に真剣を使ってよろしいので?」
構わんと無言で示してやる。
ローヴェルは何やら不満そうな顔をしているが、参加したかったのだろうか?
必要かどうかはさておき、審判をすると言ったのは自分なのだから諦めて欲しい。
「では、参ります」
「あぁ………来い」
先程と同じく、自分からは動かない。
「ふっ!!」「せやっ!!」
リオンが斬り込めばそれをカバーする形でゴジョウノが位置を変え、リオンの隙を潰すように攻めてくる。
それはゴジョウノが斬り込み、リオンがカバーする際にも同じだ。
流石は同じファミリアの仲間といった所か、連携も非常に巧い。
リオンも先程と比べると攻撃に力を入れている。攻撃した際の隙はゴジョウノが何とかしてくれると信頼しているのだろう。
何度か攻撃を避け続け2人の技量を計っていく。
武器の扱いや戦闘の技量はゴジョウノの方が上、リオンは攻撃に少し傾倒しているように感じられる。
このまま2人の攻撃を避け続けることは出来るだろうが、そろそろ反撃もしていこう。
ゴジョウノからの斬り払いを右手の短剣で受け流し、そのままリオンに左手の短剣で突きを放つ。
今まで俺が反撃をしなかったからか、咄嗟に避けようとはしたが俺からの反撃はないと油断していたリオンの肩を短剣がかすめていく。
「っ!?この馬鹿者が!!」
罵声を放ちながらもすぐにリオンをカバーするゴジョウノ。
それを見て追撃を辞めて一旦2人から離れ、短刀を構え………。
「す、すまない輝夜。助かった」
「今まで反撃されていなかった方がおかしいというのに、何を油断していたこの戯けが!!」
………会話が終わったのを見計らい、2人へ向け駆け出した。
「「っ!?」」
狙いはリオンではなくゴジョウノ。
彼女の方がリオンよりも技量が高いが、だからこそリオンではなくゴジョウノを狙う。
短刀で斬りつけゴジョウノの刀で受けさせ鍔迫り合いのような形に持っていく。
「輝夜!!」
そして、リオンがカバーに入ろうとしたのを見てから力を抜き短刀で刀を逸らしていく。
「なにっ!?」
鍔迫り合いの形からいきなり力を抜かれ、バランスを崩し、たたらを踏みそうになるゴジョウノ。
それを横目にリオンの位置を把握し、立ち位置をすぐさま調整して回し蹴りを放つ。
俺の蹴りはゴジョウノの腹部に命中し、そのままゴジョウノの身体はリオンの方へ飛ばされる。
「なっ!?」
飛んできたゴジョウノを咄嗟に受け止めることとなったリオン。
追撃するいい機会だっただろうが、する気はなかったので距離を取る。
受け止めたゴジョウノを下ろし、こちらを睨んでくるリオン。
ゴジョウノは絶好の機会だというのに何故追撃をしなかったのか不思議そうだな。
「2人になっても大して変わらんか……どうするアストレア、まだ続けるか?」
2人から視線を外さぬままアストレアに問いかける。
「まだ、私達は負けた訳ではない!!」
俺の言葉にリオンは即吠えたが、ゴジョウノは冷静にこちらを見ている。
「いえ、貴方の実力は十分わかったわ。ありがとう、シャドウ」
「リュー、輝夜。2人もお疲れ様。怪我はないかしら?」
すぐさま2人に駆け寄り怪我の確認をするアストレア、そういう所は神らしく慈愛に満ちていると思わなくもない。
「3人ともお疲れ様!うん、シャドウって本当に強かったのね!!」
そして俺に近寄ってくる、自称審判役。
「一応は世界を救った身だ。これぐらいのことが出来なくては説得力もない」
「でも本当ならもっと早くに圧倒出来たのに、2人を怪我させないように2人に合わせて実力を調整してたでしょ?本当にすごいわよ!!」
…………お前、本当に勘が鋭すぎないか?
「私も戦いたかったわ!審判するなんて言わなきゃよかったかしら?」
そもそも、審判らしいことを何1つしてないだろうお前は。
思わずジト目でローヴェルを見てしまう。
「何かしら?はっ、もしかしてこの超絶美少女アリーゼちゃんに見惚れちゃったとか!?」
「そんな訳あるはずないだろう」
本当に、ローヴェルはよくわからん。
俺の横できゃいきゃいと騒ぐローヴェルを無視してアストレア達3人に顔を向けると、ちょうどアストレアと目が合った。
「満足したかアストレア?」
「ええ、恩恵を持っていない貴方に2人が手も足も出ないとは予想してなかったけど」
他言出来ないことが増えたとため息をつくアストレア。
「正式に貴方を雇うわ。連絡方法や報酬などは、また話しましょう」
「わかった。あと数日で退院になるが、それまでに来てくれると助かる」
今日も未だに異世界人の身体構造について聞いてくるアミッドに無理を言って抜け出して来たのだ。
少々鬱陶しいが、彼女は医療技術の発展のきっかけとして聞きたいと言ってくるので何か無下に出来ない。
俺の事を何故か心配してくれているようだしな。
「そうね……なら、また明日にでも訪ねさせてもらうわ」
「ああ。アミッドにもアストレアが訪問することは伝えておこう」
こうして、俺は無事にアストレアに雇われることが決まった。
病室に戻ったあと、リオンとゴジョウノと模擬戦をしてきたとアミッドに伝えたら何故か説教が始まった。
俺は怪我一つしなかったし、2人にも怪我一つさせなかったというのに…………解せん。
戦闘描写を書くのは本当に苦手…精進せねば。
問…リューさんが使ってる木刀って、まさか?
解…わたしはいつもやりすぎてしまう。
問…なんで恩恵貰ってないのにこんだけ戦えるの?
解…そのうち明かす予定の設定だけど、実はこの世界に転移した際に色々あったから。
問…この暗殺者、何でこんなに対人戦強いの?
解…仲間とちょいちょい模擬戦してたから。暗殺だけじゃなくて真っ向からの対人戦も出来るようになった。仲間達からは鍛錬好きだな(暗殺者なのに戦闘狂の気が無い?)とか思われてた。
問…アストレア様は主人公が恩恵なしでも戦えること知ってたの?
解…神の勘。ここまで強いとは予想してなかった。
問…なんでアミッドに説教されたの?
解…「ちょっとアストレアと都市を見てくる」と言われ、退院後の住居探しかな?とか思って外出の許可を出したのに、それがLv.4を2人も相手に模擬戦するとは何事だってキレた。
※作者のやる気が絶好調になりますので
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