「素晴らしい…我が魔王…」
出久と爆豪の戦いを画面越しに見ながら、恍惚とした表情で拍手をしていた。
「ウォズさん…涙をお拭きください…授業中ですよ。」
「すまないね…八百万君。お借りするよ…」
出久と爆豪が抱き合った瞬間、涙が零れ出てしまったウォズ。
その隣に居た八百万が彼を気遣い、ハンカチを創造して彼に手渡す。
「おい、ウォズ。なんか光ってるぞ…」
「なんだろうか?」
その時、ウォズのポケットの中で何かが光を放っているのに、気付いた上鳴が指摘する。
「ミライドウォッチか…」
光を放っていたのは、シノビ、クイズ、キカイの3人のライダーのミライドウォッチであった。
それらの上に光で新たなライドウォッチのビジョンが現れる。
(これは…ゲイツリバイブウォッチ…?)
間もなくして、光とそのウォッチの姿は消え、ウォズはミライドウォッチをポケットに仕舞う。
(なるほど、ゲイツの力を手にするのは君なのか…)
仮面ライダーゲイツの力を手にする者。その可能性を感じたウォズは静かに頷いた。
「ただいま、ウォズ君。」
その後爆豪は保健室に搬送され、出久達が戻ってきた。
「おかえり、我が魔王。無事に和解ができた様で何よりだ…」
「ありがとう…また後でかっちゃんと話してくるよ。」
「私も同行しよう。」
保健室に行った者を除いた全員が揃ったのを見て、オールマイトが出久達の戦いの総括を始める。
「まーつっても、今戦のベストは飯田少年だけどな!」
「勝った緑谷ちゃんかお茶子ちゃんじゃないの?」
「何故だろうな~分かる人。」
「はい!オールマイト先生!」
オールマイトの問いかけに対し、八百万が真っ先に手を挙げる。
「それは飯田さんが1番状況設定に順応していたからです。緑谷さんと爆豪さんは私怨丸出しの戦闘、尚且つ屋内での大規模攻撃は愚策。麗日さんは中盤の気の緩み、そして最後の攻撃が乱暴すぎたこと。ハリボテを本当の核兵器と扱っていたらあんな危険なことは出来ませんわ…相手への対策をこなし、核の争奪をきちんと想定していたからこそ…飯田さんは最後対応に送遅れた…」
八百万の考察を聞き、飯田はかなり嬉しそうな表情をしている。
(思ってたより言われた…)
(中々ズバズバ言うけど…嫌いではないな…)
自分が言おうとしていた以上のことを言われたオールマイトと八百万の考えに感心するウォズ。
出久ももう少しスマートなやり方があったと、彼女の意見に頷き反省している。
「まあ、飯田少年も固すぎる節があったが…正解だよ!」
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「かっちゃん居るかな…?」
放課後、私と我が魔王は保健室にいる爆豪君の下に見舞いに来ていた。
轟君とも話したかったが、早々に彼は帰ってしまったそうだ…
「ああ、居るぜ…」
我が魔王の声に、右頬にガーゼを付けた爆豪君が顔を出す。
「その、デ…出久…」
「デクで良いよ。僕はそのあだ名悪くないって思ってるし…そうじゃないとかっちゃんらしくないと思うんだ…」
「ありがと…」
かなり爆豪君も丸くなってしまった様だ。
それに少し表情も緩くなった気がする。
我が魔王は麗日君の言葉で"デク"というあだ名も気に入っているようだし…
「あと、う、うお…」
「ウォズで良い…」
「テメエのことも色々言って、悪かった…」
私のことを下僕と言ったりしてたことについて、頭を下げてくれた。
「頭を上げたまえ…我が魔王に謝り態度を改めるのなら、これ以上要求することはないさ。」
私ももう、彼をこれ以上恨むことはしない。
謝ってくれたわけだし、これ以上責める必要もないだろう…
「それより爆豪君。君に渡したいものがある…」
「なんだ…?」
私は爆豪君に一つのブランクライドウォッチを託す。
「君には本当のことを話さないといけないからね…我が魔王もよろしいかな…?」
「うん、ジオウのことでしょ?良いよ、話しても…」
彼を相手に嘘を付き、騙すとまた恨みを買ってしまいそうだし…事情は全て言った方が良いだろう。
一度保健室から出て、誰もいない場所でジオウの力に関する話を始める。
「我が魔王の力、それは厳密に言えば個性ではなく"仮面ライダー"の力だ。私のもね…」
「仮面ライダー…?」
元はと言えば、ジオウの力はオーマジオウから緑谷出久に託されたものだ。
なんなら、常盤ソウゴのものとも言えるだろう…
「ああ、こことはまた違う世界のヒーローだ。我が魔王にはその仮面ライダーの魔王である仮面ライダージオウの力が託された。つまり厳密には、個性ではない。」
「そう、だからこれは僕自身の力ってわけじゃなくて…平成ライダー達から受け継いだものなんだ…」
このことを聞き、また彼が恨んでくるかもしれない恐れこそあったが、これ以上騙すことも彼には悪いだろう…
保健室に行く前に我が魔王からそう私に相談してきたので、私はその提案に対して首を縦に振った。
「ゴメンね…その…」
「何言ってんだ?力の本質がなんだろうと、テメエが得た力なら…今はテメエのモンだろ?」
以外にも、彼はこの事実をすんなりと受け入れてくれた。
「ありがとう…」
「理解が早くて助かるよ。」
「ああ、それとさっき渡してきたこれはなんだ?デクの力と関係あるのか?」
爆豪君が先程私に託されたブランクライドウォッチを取り出す。
「これはブランクライドウォッチさ。私は君にもライダーの力が宿ると予想していてね…」
「「かっちゃんが!?/俺が!?」」
先程の予兆は明らかに、新たな仮面ライダーの存在を示唆している。
そして、そのライダーは恐らく…
「その時になれば、きっと使うことができるだろう…」
「ああ、しっかり受け取っておくぜ…」
さらに上を目指す爆豪君は、その力を受け入れる道を選んだ。
「もし我が魔王が窮地に立たされた時は、君がその力で救ってくれ。」
「ああ、俺が今までしてきたこと…色々と返さねえといけねえからな…」
覚悟を決めて拳を握りしめる爆豪君の拳を我が魔王の手が包み込む。
「僕がヒーローの王になる時、その傍にはかっちゃんが居て欲しいと思ってるよ。だからこれからは、正面から競い合おう!」
「ああ!」
嘗ては我が魔王のことを虐げていたが、今の爆豪君は我が魔王にとって救世主となるかも知れない。
その時にはまた、祝わねばならないな…
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緑谷出久が覇道を歩む中、1人の闇の王もまた動き出そうとしていた…
「脳無の調整は完璧かな…?」
培養液に満たされたタンクが幾つも並んでいる研究室。
その中央に他の人間よりも身長が高く、漆黒の髑髏を模した金属製のマスクを着けた黒スーツの男が立っている。
「"対平和の象徴"個体含めて調整は完了じゃ。」
仮面の男の問いかけに、小太りで禿げ頭の男が返答する。
彼が指差した培養タンクの中には、筋骨隆々で頭部には脳ミソが丸出しの怪人が眠っている。
「首領。俺の方も準備は出来たぜ…」
さらに1人の男が、ライドウォッチの様なものを持ってその部屋に入ってくる。だが、そのウォッチは出久達が使っているものと違い少し禍々しいという印象がある。
「ティード、君と脳無達の力があれば平和の象徴…オールマイトも倒せるだろうね…」
「当然だ…この世界で俺は再び王になる!」
かなり気合が入っている様子のティードの言葉に仮面の男も静かに頷く。
「良いだろう…弔に君と脳無達を預ける。平和の象徴を堕とすんだ…!」
「ああ…任せろ!」
仮面の男からの指名を受けたその男は、再び研究室から出ていく。
「しかし良いのか?あの若造、自分が王になろうとしているが…」
「言わせておけばいいさ…どうせ僕は更なる力を手に入れるんだから。彼が僕のことを超えることはできないよ…」
「流石じゃな…だが、その力をしっかりと調整しなければな…」
「ああ、問題ないよ…」
その男は、自身の胸の中からティードが持っていたものに似ている時計の様なものを取り出し、そのボタンを押し込む。
『ジオウ…』
これはもう、ゲイツ枠確定です。
そして敵サイドも動き始めました…
次回からマスゴミ&USJ編です!
どうなるかは…お楽しみに!