我が魔王は緑谷出久!?   作:夢野飛羽真

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後編です。

私事ですが昨日のブレイキングダウン最高でした。
面白いんで、皆さんも是非見てみてください。

そしてこの作品も面白いので是非楽しんでいって下さい!


第16話 魔王と救世主 後編

「ここは…?」

 

アナザークウガに取り込まれてしまった出久が目を覚ます。意識を取り戻した彼は、裸の状態で闇に包まれた空間の中に居た。

 

『ワンフォーオール!』

 

その彼の前には、緑色に発光して宙に浮くライドウォッチがあった。

それは、オールマイトから受け継いだ個性が秘められているワンフォーオールウォッチであった。

 

「このウォッチが僕を…」

 

出久は直感的に、その力が自分をティードの闇から守ってくれているのだと感じることができた。

ティードが爆豪との戦闘で本来のアナザークウガ・アルティメットフォームの力を使えなかったのも、このウォッチの力が作用しているからである。

 

「君が俊典の後継者か。」

 

その闇の中から1人の女性が浮かび上がってくる。

プロヒーローらしいコスチュームを着ており、露になっている腕はしっかり筋肉が付いているのが分かる。

 

「あなたはッ…」

 

「私は志村菜奈。俊典、いや、オールマイトって言った方が分かるかしら…?彼の師匠で先代のワンフォーオール継承者さ。」

 

「オールマイトの師匠!?」

 

その女性もかつて、オールマイトの様にワンフォーオールを継承してその力を正義のために振るっていた。過去の戦士が何故か出久の前に現れていることに、驚きを隠せていない。

 

「ああ、ところで君に1つ。聞きたいことがあるんだ…」

 

「な、なんですか…?」

 

「自分の命を失ってでも誰かを助けなくちゃいけないってなった時、自分の命と他人の命、どっちを優先する?」

 

志村からの問いかけに、考える間もなく出久は答えを出した。

 

「それは勿論、他の人の命です…」

 

「君ならそう答えると思ったよ。俊典も他の継承者達も皆そうだった……」

 

出久の答えを聴き、志村は俯きつつ自身の拳を見つめる。

 

「けど、それだけじゃダメなんだ…誰かが犠牲になり続ける連鎖はもう終わらせないといけない…」

 

「え…?」

 

「これを見てみればわかるよ……」

 

出久の前に映し出されたのは、アナザークウガと戦うウォズや爆豪達の姿であった。

 

[あの時我が魔王は君を救った!今度は君が彼を助ける番だ…]

 

[まだだ!まだ俺とタイマン張れんだろ!]

 

どれだけ攻撃を受けようと、どれだけボロボロになっても、出久を助けようとする彼らの姿…

 

「かっちゃん!ウォズ君!」

 

そんな彼らの姿を見て、出久は心配して止めようとするかのように声を漏らす。

自分のために傷ついていく仲間達の姿に、出久は狼狽してしまう。

 

「彼らも君と同じ、自分を犠牲にしてでも誰かを助けようとしている者よ。」

 

「皆も…僕と同じ…?」

 

ヒーローというのは、他人や大事な人の為なら自分の命を投げ打ってしまう人間だ。

その姿に感動する者も多いだろうが、近しい人間ほど心配という感情もより強く抱いてしまう。

 

「君が誰かのために身体を張れるように、彼らも誰かのために身体を張れる。ただ、君が彼らを心配したのと同じように、君が無茶をすれば彼らや…家族も心配する…」

 

志村菜奈やこれまでのワンフォーオール継承者もそうであった、身体を張って正義のために戦っていた。周囲の人間に心配を掛けさせ、中には巻き込まないために家族と縁を切ってまで戦いに挑んだ者もいた。

だが、未だに彼らが挑んだ巨悪は倒れていない…

 

「それでも君は…自分を犠牲にするという答えを選ぶのか…?」

 

「僕は…」

 

自分が心配される。そんなことを今まで考えたことが無かった。

幼少期から受けた無個性故の差別、それは彼の中にある自己肯定感という感情を摘み取るのに充分であった。何かの選択肢を与えられた時、出久は自分自身のことを勘定に入れていなかった。

 

[我が魔王ッ…!]

 

[俺はッ…!小さい時からアイツをッ…!デクを虐げちまってた!勝手に見下して!勝手に…プライド折れて!そんな俺でもアイツは救けてくれた!だから俺が今度は救ける番だ!!]

 

だが今は、彼のことを認めてくれる者が多くいる。

それも出久がジオウだからではなく、彼の行動によって少しずつ惹かれていってる者達だ。

そんな彼らの姿に、出久の心は揺れ動いていた。

 

「質問を変えよう。もし、誰かの命を救うために自分の命を捨てなければならないとなった時、君ならどうする…?」

 

自分の命を捨てることも、誰かを見捨てることも、他の人を悲しませてしまう行為になる。

 

「僕は…選べません…どっちの命も、助けます!僕が居ることで救われる人がいるなら…僕は立ち続けます!けど、その道の中で誰も見捨てません!」

 

「その答えを待ってたよ。今の君にはこの力、使いこなせるだろうね。」

 

その時、出久の胸が光を放ちジオウライドウォッチに似た新たなライドウォッチを作り出した。

 

「それは君の誰かを助けるという選択肢。そしてこれは、君が生き続ける選択肢さ。」

 

志村からも黒と金の時計の様なものを渡される。

 

『ジオウⅡ!』

 

その2つのライドウォッチが組み合わさり、"ジオウⅡ"に変身するためのライドウォッチとなる。

 

「行って来い、友達が待ってるぞ!」

 

「はい!」

 

出久はその闇の中から消え、志村菜奈…いや、ワンフォーオールの歴代継承者達はその出久を見守るのであった。

 

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「まだ…倒し切れないか…」

 

「ああ、どれだけお前らが力を手にしようと!俺には勝てない!」

 

アナザークウガ・アルティメットフォームの防御力はかなり高く、ウォズとゲイツの必殺技を喰らっても、多少のダメージを体に残しながらも雄英生達に立ちはだかる。

 

「だったら…もっぺんやるだけだ!」

 

ウォズ達の方は肩で息をしてしまう程疲労とダメージが身体に蓄積しているが、まだ出久が解放されずに敵が立ち続けるのであれば、自分達戦い続けるつもりだ。

 

『ジオウⅡ!』

 

「ぐあぁぁッ…!」

 

その時不思議なことが起こった。

アナザークウガの身体が突如光始めて、その中からライドウォッチの起動音が鳴る。

 

『ライダータイム!』

 

その時、アナザークウガの胸部にある生態装甲が開いて穴が開き、その中から金と銀が混じった高級腕時計のような装甲を纏う戦士の姿が現れる。

 

『仮面ライダー!ライダー!』

 

「我が魔王…」

 

身体が爆発を起こしながら、アナザークウガは再びティードの姿に戻ってしまう。

その姿に、ウォズは"魔王"が返ってきたと確信した。

 

『ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』

 

「おせーよ、いつまで待たせんだよ…」

 

「ごめん、それにありがとう…皆…」

 

戻ってきた緑谷出久、改め仮面ライダージオウⅡ

自分を助けようと奮闘してくれたクラスメイト達に感謝して頭を下げる。

 

「気にするな…それより、やるべきことがあるだろう…?」

 

「そうだね…」

 

ウォズの言葉にジオウは強く頷く。自分を認めてくれる友の一人、彼のやりたいことを察すればその思いをすぐに汲み取る。

 

「王の凱旋である!祝え!全ライダーを凌駕し、時空を超え、過去と未来を知ろしめす時の王者!その名も仮面ライダージオウⅡ!新たな歴史の幕が開きし瞬間である!」

 

「いつまで茶番を続ける気だ!」

 

『クウガ…』

 

だが、出久を失ったティードにはまだ執念があるようで、アナザークウガウォッチを起動して足を引きずりながら立ち上がる。

 

「脳無!何を眠っている!とっとと起きろ!」

 

そして、起動したアナザーウォッチを地面に倒れ伏す脳無の肉体に埋め込み、彼と脳無の身体は禍々しい闇に包まれる。

 

「ウオオォォォォ!!!」

 

そしてその闇は再び、アナザークウガ・アルティメットフォームへと形を変える。

姿を変えた彼はすぐに、ライダー達に向けて口から破壊光線を放つ。

 

「祝福を邪魔するとは…ここで潰してくれよう…」

 

「俺らの手、煩わせやがって…とっととくたばらせたるわ!」

 

「うん、3人共いこう!」

 

身体にダメージが溜まっている切島と轟は一時的に身を引き、ウォズ、ゲイツ、ジオウⅡの3ライダーがアナザークウガと対峙する。

 

『ジカンギレード!』

 

『サイキョーギレード!』

 

次々と繰り出されるアナザークウガの4本の腕を、ジオウはジカンギレードと新たに手にしたサイキョーギレードの二刀流で防ぎつつ関節部に刃を突き立てて着実にダメージを与える。

 

「さあ、次はこれを使うと良いだろう…」

 

「ああ…」

 

『フォーゼ!』

 

ゲイツがウォズから受け取ったフォーゼライドウォッチを、ベルトに取り付けられたディケイドライドウォッチのスロットに装填する。

 

『ファイナルフォームタイム!』

 

『フォ・フォ・フォ・フォーゼ!』

 

フォーゼ・エレキステイツのスーツを纏い、右手には電撃武器"ビリーザロッド"を装備した仮面ライダーゲイツ・ディケイドアーマーフォーゼフォームに姿を変える。

 

「ハアッ!」

 

ビリーザロッドから撃たれた電磁ネットが、アナザークウガの巨体を上から覆って身動きを封じる。

 

『投影!フューチャータイム!』

 

『プログライズ!』

 

『フューチャーリングゼロワン!ゼロワン!』

 

仮面ライダーウォズ・フューチャーリングゼロワンがこの場に再臨し、彼が召喚した5種類の生物のライダモデル達が一気にアナザークウガに群がっていく。

上手く体を動かせないのに、各方向からライダモデル達の爪や顎による攻撃を受けてダメージを与えられていく。

 

「さあ、我が魔王…今こそ決める時です!」

 

「うん!」

 

『サイキョージカンギレード!』

 

ジオウは自身が持つ2本の剣を合体させ、サイキョージカンギレードにするとその剣を2度振るい、放たれた斬撃でアナザークウガの腕を2本切り落とす。

 

『ジオウサイキョウ!』

 

そして、トドメを刺そうとサイキョージカンギレードに付いたジオウの仮面状のパーツであるギレードギャリバーを動かして、"ジオウサイキョウ"の文字を仮面の眼の部分に表示させる。

 

『サイキョーフィニッシュタイム!』

 

『キング!ギリギリスラーッシュ!!』

 

ピンクで"ジオウサイキョウ"と書かれた金色のエネルギー刃が剣から伸び、その巨大な黄金の斬撃をアナザークウガ・アルティメットフォームに向けて降り降ろす。

 

「ぐあぁぁ!!」

 

その一撃で敵を一刀両断し、アナザークウガを倒した筈だった…

 

「こ、この力はッ!」

 

だが、爆炎に包まれるアナザークウガの身体は回復していっており、先程切り落とされた腕も再生されてしまっている。

 

「なんで回復してんだ!?」

 

「恐らく、先程吸収した怪人の力だね。あれは超再生の力を持っている。恐らくその力がアナザークウガに宿ってしまった様だ…」

 

ティードがアナザークウガ・アルティメットフォームに姿を変えた際に吸収した怪人、脳無。

この怪人は"ショック吸収"と"超再生"の2つの個性を持っており対オールマイト用に作られていた。

それらの個性がアナザークウガの新たな能力(ちから)となり、キングギリギリスラッシュを受けてしまったその肉体を復活させてしまったのだ。 

 

「何度も起きやがって…鬱陶しい!」

 

「私に良い考えがある。我が魔王、ジオウⅡの力を使ってみたまえ…」

 

「こうかな…?」

 

すると、頭部にある時計の針を模した"プレセデンスブレード"に取り付けられている、長針センサー"バリオンプレセデンス"が回転し、ウォッチのD'9サイドが発光する。

その時ジオウⅡに変身する出久は、これから起こりうる未来というものを観測する。

 

「この方法なら…いける!」

 

その中から、出久はアナザークウガを倒せる未来を見つけ出して、そこで自身が行うべき行動を実行に移していく。

 

「かっちゃん!ライドヘイセイバー貸して!」

 

「お、おう、これか…?」

 

ゲイツはディケイドアーマーの専用武器であるライドヘイセイバーを手渡し、ジオウは受け取ったその剣にあるライドウォッチを装填する。

 

『ワンフォーオール!』

 

「そのウォッチは…!?」

 

その使用されたライドウォッチはオールマイトから受け取った個性"ワンフォーオール"の力が秘められたものであった…

 

「今なら…使える!」

 

そのウォッチはこれまで、起動することすらできなかった。

だが過去の継承者に認められ、そのウォッチはライドオンスターターを押されてその個性の名を発した。

 

「何をごちゃごちゃと!」

 

「邪魔はさせないよ…」

 

そんなジオウらを妨害しようと迫り来る、アナザークウガ・アルティメットフォーム。

だが彼に向けてライダモデル達が次々と喰らいついていき、その侵攻を止める。それを援護するようにゲイツもビリーザロッドから電光弾を撃ってダメージを与えていく。

 

『フィニッシュタイム!』

 

2人が隙を作ってくれた間に、ライドヘイセイバーとワンフォーオールライドウォッチによる必殺攻撃の準備を行う。剣に付いた時計の針を三度回転させ…

 

『ヘイ!仮面ライダーズ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘヘヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!ヘイ!セイ!』

 

待機音と共にその刀身はワンフォーオールの虹色の光を纏い、20人の平成仮面ライダー達の力を秘めたカード型エネルギーが取り込まれていく。その影響で光はさらに大きくなり、巨大な刃となる。

 

『ワンフォーオール!』

 

出久がその剣を振り下ろすと、巨大な虹色の光を放つエネルギー刃が放たれてアナザークウガに迫っていく。

 

「な、何ィ!?」

 

ライダモデル達がアナザークウガを拘束し、迫るエネルギー刃が確実に当たるように援護する。

その刃は敵に近付くにつれて大きさが増していき、アナザークウガの身がその光に切られるのではなく呑み込まれてしまう。

 

「まだだ!まだ終わらない!」

 

光に呑み込まれたアナザークウガは、その内部のエネルギーをその身に受けてダメージを受けていくが脳無から吸収した個性で体を回復させていく。

 

「グアッ…!な、何故だ!」

 

だが、ライドヘイセイバーから放たれたエネルギーの量は圧倒的であった。

再生していくアナザークウガの4本の腕や生態装甲が次々と破壊され、再生が追い付かなくなったアナザークウガは受けるダメージに耐えきれず爆発四散。

 

「素晴らしいです。我が魔王…」

 

地面にティード、脳無、そしてアナザークウガウォッチが転がる。

 

「こんな…ところで…」

 

ティードがアナザークウガウォッチに手を伸ばすが、そのウォッチも火花を散らして砕け散ってしまう。

 

「私が来た!」

 

その時丁度、救援として呼ばれていたオールマイトがUSJに現れた。

 

「もう終わりましたよ。オールマイト…」

 

「なんだって!?」

 

「一先ず、警察も呼んでおいて下さい。彼らをさっさと豚箱に押し込みましょう。」

 

ライダー達は各々変身を解除し、ウォズはマフラーでティードを縛って拘束しておく。

 

「つーか、さっきのデクの技。何だったんだ…」

 

「そ、それは!その…」

 

爆豪は先程出久が使ったライドウォッチのことが気になり、出久に問いかけるが手に入れた経緯も経緯なので狼狽してしまう。

 

「そこも含めて、また話し合わなければならないな…君がライダーになったことも含めて。」

 

「そうだね…ちゃんと話し合わないといけないことは多いし…」

 

爆豪が仮面ライダーになったこと、ワンフォーオールライドウォッチの存在。

そこも含めて雄英の人々と話さなければならないと感じる出久とウォズ。

だが今は、クラスメイト達の無事を喜びながら、一先ずは家路に付いて家族に自分の無事を報告することを優先するのであった…

 




今回はジオウⅡ初変身とワンフォーオールライドウォッチ初使用でした!
次回からは体育祭編
楽しく書いていきますよ~
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