麗日さんの奮闘をどうぞご覧あれ!
『鉄哲と切島が回復している間に次のカードいくぜ!』
鉄哲と切島の戦いは決着が着かず2名とも倒れてしまった。
2人が回復次第、何らかの手段で決着をつけることになった。
その間に次の試合を行うことになり、それぞれがフィールド上に現れる。
(これも面白いカードになったな。)
『第一回戦最終試合!進化した仮面ライダー!素の顔はちょっと強面系?ヒーロー科!爆豪勝己!VS!俺こっち応援したい~ヒーロー科!麗日お茶子!』
そのカードは出久の友人2名による試合となった。
ここまでライダー勢が2連勝しており、世間的にはそうでない者にも勝って欲しいという機運が高まりつつあった。最終試合の爆豪には、そんなちょっとした負けて欲しいという願望が向けられていた。
「爆豪君…先に変身して良いよ…」
「ああ…?お前浮かす奴だろ、退くなら今退けよ。痛えじゃ済まねえぞ…」
仮面ライダーに変身してしまってからの戦いで良い。麗日のその発言は自分をかなり不利にしてしまうものであった。
爆豪自身、元々手を抜く気はなかったがそれ以上に力を出していいと言われてしまい、少し驚いてしまっている。変身してのスタートとそうでない場合で戦略も大きく変わるし、変身前の隙を突くことができなくなった麗日はむしろ不利だろう。
『ゲイツ!』
「退かねえなら…いくぞ…!」
それでも発言を撤回しない麗日の覚悟を受け入れ、爆豪はゲイツライドウォッチを起動する。
「変身!」
『ライダータイム!』
『仮面ライダーゲイツ!』
改めて仮面ライダーゲイツに変身した爆豪と、ファイティングポーズをとる麗日が向かい合う。
『第8試合!スタート!』
そして、プレゼントマイクの合図と共に麗日が姿勢を屈めた状態でゲイツに向けて駆け出す。
「退くなんて選択肢無いから!」
「じゃあ、俺も…逃げねえェ…!」
一歩も退く気が無い麗日に対し、爆豪が選んだのは迎撃。
右手を振るい爆破を加減することなく放つ。
『容赦ないな!爆豪!』
「アカン!分かってても対応できない!」
その攻撃を避け切れずに喰らってしまった麗日は、煙に包まれながらも後ろに吹き飛ばされる。
「そこかッ!」
だがその煙は爆豪自身にも悪影響を及ぼす。
麗日の姿を見失ってしまい、背後から迫る彼女に気付くのが遅れた。
何とか気付いて爆破を放ちながら抑え込もうとするが…
『おお!』
そこにあったのは、麗日の体操服の上着であった。
囮に引っ掛かったゲイツの背後から、タンクトップ姿の麗日が襲い掛かる。
『上着を浮かせて這わせたのか!よう咄嗟にできたな!』
(ここで浮かせちゃえば!)
彼に触れて宙に浮かし、そのまま倒してしまおうとしていた麗日。
だが、咄嗟に反応できたゲイツがまたも腕を振るいながら爆破を放ち、それを受けてしまった麗日の身体が地面を転がる。
『ディケイド!』
『アーマータイム!』
間髪入れずゲイツは、さらに自身を強化する。
『カメンライド!』
『ディケイド!ディケイド!ディケイドー!』
仮面ライダーゲイツ・ディケイドアーマーに姿を変えた爆豪を、再び浮かせに行こうと麗日が駆けていく。
「おせえ!」
『オーズ!』
だが、その麗日に向けて再び爆破を放ちつつ、更なるウォッチをディケイドアーマーのスロットに装填する。
『ファイナルフォームタイム!』
『オ・オ・オ・オーズ!』
仮面ライダーオーズ・タジャドルコンボの力をその身に宿した爆豪は、ヒット&アウェイで攻勢を仕掛けてくる麗日を容赦なく爆撃していく。
諦めずに何度も駆けていく麗日に、手を抜くことなく…悪く言えば容赦なく爆破していく。
『麗日…休むことなく突撃を続けるが…これは…』
現状のゲイツ最強形態で麗日を叩き潰さんと攻撃する爆豪だが、その試合は容赦なく一方的なものになっていた。
「おい、止めなくていいのか?」
「大分クソだぞ!」
「見てらんねえ…」
女子相手に一切手を抜かない爆豪に、客席の者達は試合を止めるようにとクレームを言い出す。
「おい!それでもヒーロー志望かよ!そんだけ実力差あるなら早く場外にでも放り出せよ!」
試合時間が長くなるということは、麗日が爆破を受けて体に溜まるダメージが増えてしまう。
業を煮やした1人のプロヒーローが、早く終わらせてしまえよと主張し始める。
「女の子いたぶって遊んでんじゃねえ!」
「ブー!ブー!」
未だに戦いの決着を付けず、麗日に爆破を浴びせていくゲイツの姿に会場からはブーイングが沸き起こる。
『一部からブーイングだ!しかし、正直俺もそう思う…』
『今遊んでるって言ったやつプロか!何年目だ?』
ブーイングに賛同するプレゼントマイクからマイクを奪い、相澤が言い出しっぺのプロヒーローに物申す。
『素面で言ってんならもう見る意味ねえから帰れ!帰って、転職サイトでも見てろ!爆豪はここまで上がってきた相手の力を見てるから警戒してんだろ!本気で勝とうとしてるからこそ、手加減も油断もできねえんだろうが!』
(まだだ!まだコイツ!立ってやがる!)
爆豪が手を抜けないのも無理はない。
麗日はこれまでの攻勢を受けても尚、立ち続けている。
そんなしぶとい相手に対して手を抜けば、いつ自分が狩られてもおかしくはない。
相澤の言う通り、確実に勝つために手加減も油断もしていないのだ…
(そろそろかな…)
「ありがとう爆豪君…油断してくれなくて…」
「爆豪の距離ならともかく、客席に居ながら気付かずブーイングしてたプロは恥ずかしいね。」
麗日が爆豪の全力を引き出し、攻撃を受け続けた理由をB組物間は気付いていた。
「低姿勢での突進で爆豪の打点を下に集中させ続け、武器を蓄えてた…そして、絶え間ない突進と爆破で視野を狭め悟らせなかった…」
ゲイツの放った爆破が地面を抉り、その瓦礫は麗日の個性によって宙を浮いていた。
「解除!」
そして、麗日が浮かしていた瓦礫がゲイツに向けて雨の様に降り注ぐ。
『流星群!?』
『気づけよ…』
(こんだけの量の瓦礫!迎撃にしろ回避にしろ必ず隙ができる!今のうちに距離を詰める!勝つ!勝って私もデク君みたいに!)
その間に一気に駆け抜け距離を詰める麗日。
このまま彼に触れて宙に浮かし、場外に押し出してしまおうとする。
だがしかし、その幻想は一瞬にして打ち砕かれた。
「ああっ…!」
ゲイツが降ってくる瓦礫に対処しようと放った爆破は、ディケイドアーマーによる強化も上乗せされて彼女の想定を超える大規模なものとなった。
「やっぱ、油断できねえ奴だったな…」
「一撃って…」
その爆風で彼女の身体が吹き飛ばされ、地面を転がる。
『爆豪!会心の一発で麗日の策を正面突破!』
(危ねえな…)
(私のできる最大限…全く通じんかった!それでも…)
策を破られてしまった麗日だが、まだ負けないという気持ちで再び立ち上がる。
いいや、気持ちだけで立っていると言っても過言では無い。
「いいぜ、こっからが本番だ!麗日!」
(デク君なら…デク君ならあきらめたりなんか!)
自身に向かってくるゲイツを、迎撃しようとした麗日だが体の力が抜け、倒れこんでしまう。
捨て身の策で溜まったダメージによって、彼女の身体は限界を迎えていた。
『麗日ダウン!』
(からだがッ…言うこときかんッ…!私はッ…まだ…!)
倒れながらもあきらめずに地面を這う彼女だが、その視界はぼやけていく。
(私だって、ヒーローに…とうちゃん…かあちゃん…)
「麗日さん戦闘不能!爆豪君!二回戦進出!」
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「ジオウの方はしっかりライダーの力を扱えてるが…ゲイツは全然だな。」
激闘が繰り広げられた第一回戦。爆豪の戦いによってスタジアムの地面は大きく抉られ、セメントスによる緊急修復が行われていた。
そんな中、とある席から試合を見つめる"マゼンタカラーで2眼のトイカメラを持った男"が仮面ライダー達の戦いを振り返っていた。
「さっきの試合も、折角の俺の力を活かしきっていないな。障害物競走は飛ぶだけ飛んで、騎馬戦は呼び出せるだけ出しただけ…さっきの試合も上手くライダーの力を使えば即片付けれたな。」
どうやら彼は爆豪の戦い方が気に入らないようだ。
確かに出久の変身するジオウは、障害物競走で多くのライダーのウォッチをその場に合わせて有効活用し、騎馬戦ではジオウⅡの未来予知能力を活かしてウォズ達と完璧な布陣を組んだ。さらに先程の一回戦ではライドガジェットまで有効活用していた。
それに対して爆豪の変身するゲイツは障害物競走はフォーゼアーマーだけ、騎馬戦ではディケイドアーマー・ゴーストフォームだけの力しか使っていない。何ならさっきの麗日戦はほぼ彼自身の個性で戦ったと言える。
「仮面ライダーゲイツの力、そんなものじゃないだろ…」
彼自身、仮面ライダーゲイツの潜在能力をよく分かっているようだった。
「指名するなら、完璧な方より指導が必要な奴の方だな…」
雄英高校では体育祭の後、職場体験が控えている。
この体育祭でアピールできた者はこの場に来たプロヒーローから指名され、自身を指名してくれたプロヒーローの下に行くことになる。
恐らくプロヒーローである彼は、自身による指導が必要と判断して爆豪を指名しようと考えていた。
「もう1人は…ジオウかウォズだな…」
指名できる枠は2つ。もう1枠を誰にしようかとその男は思案していた。
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「お疲れさま、爆豪君。」
「おう、これで互いに一回戦突破だな。」
試合を終え、廊下を歩く爆豪にウォズが話しかける。
互いに一回戦を突破したことをねぎらうが、それは2人の戦いが近付いているということだ…
「麗日君は強かったかい?」
「ああ、油断できねえ奴だった…」
無傷で勝ったとは言え、爆豪からすれば一瞬たりとも気を抜くことができない相手であった。
少しでも隙を見せれば体に触れられ、宙に浮かされてしまっていただろう。
ライダーの力で重力に縛られながら飛ぶ方法は分かっていても、そうでないときはコントロールを失ってしまう恐れがあった。
いくらライダーの力を得てたとしても、触れられて個性を使われれば負けてしまっていただろう。
「飯田君から聞いたよ。彼女は我が魔王に"決勝で会おう"と誓ったらしい。彼女の覚悟も相当なものだっただろうね…」
「ああ、それは俺にも伝わった。で、アイツを倒したから改めて言わせろ…決勝でデクと戦うのは俺だ!テメエも準決で潰す!」
「そのセリフ、私からもそのままお返ししよう。我が魔王と戦うのは私だ!」
「いいぜ、勝つのは俺だけどな…!」
爆豪とウォズはこのまま勝ち上れば準決勝で戦うことになる。
そして勝てば待っているのは出久だ…彼との対戦を熱望する2人は、この場で互いに競い合うことを誓い、この場から去っていく。その一方で出久は麗日のいる控室にやって来ていた。
「いやー負けてしまった。」
「あ、あれ…?」
控室に居た麗日は意外にも笑顔で出久のことを出迎えた。
「最後いけると思って調子乗っちゃったよ!クッソー!」
「麗日さん…怪我は大丈夫…?」
「うん、リカバリーされた。体力削らんようにギリギリの治療だから擦り傷は残ってるけど…」
と言ってガーゼが張られた自身の頬を指さす。
「いや~やっぱ強いな~爆豪君は!完膚なかったよ!もっと強くならんと!」
「麗日さん…無理しなくていいんだよ。」
「デク君…?」
出久には、彼女の今の笑顔が取り繕って作ったものにしか見えなかった。
普段彼らの前で見せるものとは、全く違う様に見えていた。
「やっぱ、デク君は何でもお見通しだね…」
ポタポタと机の上に彼女の涙が落ちていく。
「泣きたい時は、泣いても良いんだよ…無理に取り繕ったってしんどいだけだよ。」
「デク君…!」
敗けたのに無理して悔しさを隠しても、さらに心が苦しくなるだけだ。
そう説いた出久に抱き着き、麗日は彼の腕の中で涙を流すのであった。
泣きじゃくる麗日の頭を、出久は彼女が落ち着く様に優しく撫でるのであった…
遂にあの男がこの世界に来てしまいましたね…
次回は出久VS轟!
一番熱いのが来ますよ!