我が魔王は緑谷出久!?   作:夢野飛羽真

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いよいよ来ましたよ~体育祭の山場
出久VS轟君です!


第25話 トーナメント二回戦:轟焦凍オリジン

麗日を慰めた後、出久は次の試合のために廊下を移動していた。

だがその時、彼の前に体の一部から炎を発している大男が現れる。

 

「エンデヴァー!?」

 

「おお、居た居た。」

 

その男こそ現役No.2ヒーローであり、轟焦凍の父のエンデヴァーだ。

 

「エンデヴァー!何でこんなところに?」

 

「君の活躍見せてもらった。素晴らしい個性だ…様々な種類の鎧を纏って、強力な力で次々と敵を倒していく。将来的には…オールマイトに匹敵する力を持つことになるだろう…」

 

「何を…言いたいんですか…?僕はもう行かないと…」

 

彼がライバル視しているオールマイトの名前が出されたことで、出久は彼との師弟関係を指摘されるのではないかと思い、足早にその場から去ろうとする。

 

「ウチの焦凍にはオールマイトを超える義務がある。君との試合はそのテストベットになる…みっともない試合はするなよ…」

 

だが、彼の発言はまるで、出久をも焦凍がエンデヴァー自身の理想に近付く様に利用しようとしているとしか感じられない。

 

[クソ親父の個性なんてなくたって…いや、使わず1番になることで奴を完全否定するッ…!]

 

轟焦凍が父を否定する理由。それを出久はその肌身で感じてしまった。

 

「僕は…オールマイトじゃありません!」

 

「そんなものは当たり前…」

 

「当たり前のことですよね!轟君も…!あなたじゃない!」

 

緑谷とオールマイト、轟焦凍とエンデヴァーをそれぞれ重ねているエンデヴァー自身。

だが、周囲の者を利用して理想をかなえようとする彼の言動を出久は否定する。

そして、彼から離れていきスタジアムのフィールドに向かうのであった…

 

『お待たせしたなEvery body!二回戦第1試合はビッグなカードだ!!一回戦の圧勝で観客を文字通り凍り付かせた男!ヒーロー科!轟焦凍!!片や多彩な能力でどんな困難も突破してきた!ヒーロー科!緑谷出久!!』

 

これまでの競技全て一位通過で実力を示し続けた仮面ライダージオウ、緑谷出久と先程の試合含めて強力な個性を見せただけでなくエンデヴァーの息子ということで注目を浴びる轟焦凍の対戦となった。

 

「来たな…変身しないのか…?」

 

「轟君…するよ、君を救けるために!」

 

『ジオウⅡ!』

 

この戦いで出久が目指すもの。それは勝利だけでなく、エンデヴァーの呪縛に囚われてしまっている轟を救うことだ。その為にも最強の力で彼と向かい合う。

 

『ライダータイム!』

 

『仮面ライダー!ライダー!』

 

『ジオウ・ジオウ・ジオウ!Ⅱ!』

 

『スタート!』

 

出久が仮面ライダージオウⅡへの変身を終えると同時に、戦闘開始の合図が為される。

その開始と共に、轟は右足から冷気を解き放ち周囲の空気を凝結させる。迫り来る氷塊に備え、ジオウはジカンギレード・ジュウモードをその手に持って1つのライドウォッチを装填する。

 

『フォーゼ!スレスレシューティング!』

 

ロケットの様な形をしたブースターモジュール。その姿を模したエネルギー弾を銃から放ち、轟が放つ氷を撃ち砕いた。

 

『緑谷!轟の攻撃を破った!』

 

ジカンギレードによる必殺技が氷を撃ち砕き、その余波により巻き起こった強風が轟と観客に吹き付ける。後ろに氷の壁を作って場外に吹き飛ばされない様にする。

 

『ファイズ!スレスレシューティング!』

 

氷結を打ち砕かれても、再びジオウを凍らせてしまおうと右足からの氷結で氷の波を作り出してジオウを襲う。

それに対し、ファイズの力を秘めたエネルギー弾を放つことでジオウは氷をまたも打ち砕いた。

 

『また破った!』

 

『響鬼!ギリギリシューティング!』

 

『ダブル!ギリギリシューティング!』

 

『ウィザード!ギリギリシューティング!』

 

その後何度も氷結による攻勢を試みる轟。

しかし、その度にジカンギレードによる必殺技でジオウが打ち砕いていく。

轟の凍結は確かに強力で、スタジアムに巨大な氷山を作ってしまう程ではある。

しかし、その手札一辺倒な轟に対し、ジオウは幾つものライドウォッチを使って対処していく。

その戦いに観客の多くが出久の方が有利であると感じてくるが、それはフィールド上にいる轟とて例外ではない。

 

「…ッ!」

 

自身の背後に氷を作って飛ばされないようにする轟の戦法は、戦いを膠着するところまで持っていっていた。

自分の攻撃は防がれてしまうが、ジオウの攻撃によって自分が負けてしまう程でもない。

拮抗した状態から自分優位にするために、先程瀬呂に使ったような大氷結でジカンギレードによる必殺技をも呑み込んでジオウを凍らせようとする。

 

「大きいのが来るッ…!」

 

『ワンフォーオール!ギリギリシューティング!』

 

ジオウⅡには未来を予測する能力がある。

それにより、轟が先程の試合で見せた大氷結を放つと分かれば、最強の力を持つライドウォッチをジカンギレードジュウモードに装填。

 

「うああッ…!」

 

その銃口から膨大な量の虹色のエネルギー弾を解き放つが、その反動でジオウは後ろに転倒してしまう。

 

『何ちゅー威力だァ!!』

 

ジオウの狙い通りワンフォーオールによるエネルギーは轟の氷結を打ち砕いてみせた。

 

「さっきより、随分高威力だな…」

 

咄嗟に轟は、自身の背後に氷を生成して吹き飛ばされない様に踏み止まった。

 

「なんだよ…守って逃げるだけか?」

 

轟の度重なる攻勢に流石のジオウも防戦一方だ。

だが、出久自身は体力の消耗もそこまでなく受けてしまったダメージと言えばワンフォーオールライドウォッチを使った際の反動ぐらいだろう。それに対して…

 

(震え…そういうことか!)

 

轟の身体は自身の冷気によって追い込まれつつあった。吐く息は白く、身体には霜が幾つも付いてしまっている。

 

「まだ来るのかッ…!」

 

『サイキョーギレード!』

 

それでも氷結で攻撃を仕掛けてくる轟に対し、ジオウは戦法をジカンギレードとサイキョーギレードの二刀流に切り替える。

 

『ライダー斬り!』

 

その刀身にピンク色の光を纏わせ、迫り来る氷を切って砕いてみせる。

 

「震えてるよ…轟君!」

 

2本の剣を構えて轟に歩み寄っていくジオウⅡ。その口から轟の身体が限界に近付いていることを告げられる。

 

「個性だって身体機能の1つだ!君だって、冷気に耐えれる限度があるだろ?」

 

個性もあくまで人間の体の機能の一部だ。

考えると脳は限界を迎えるし、動き続ければ筋肉が限界を迎える。

それと同じように個性の使用による限界というものもある。爆豪の爆破の場合、大規模な爆破をサポートアイテムやライダーへの変身無しで繰り出せば汗腺がダメージを負う。切島の場合硬化しても、受け切れない程のダメージを負ってしまえば倒れてしまう。飯田に至っては騎馬戦の終盤に無理やり限界を突破したことで、最後は動けなくなっていた。轟の場合氷結を使えば使う程冷気によって体温を奪われてしまう。

 

「けどそれって、左側の炎を使えば解決できるんじゃないかな?」

 

エンデヴァーが求めた焦凍の個性、半冷半燃の炎を使えば冷気を吹き飛ばし、奪われた体温を取り戻すことができる。逆に炎による体温の上昇を氷結でカバーすることもできる。この個性をバランスよく使うことで、お互いの弱点を克服し合って攻撃を撃ち続けられる。

 

「皆…!本気でやってる!勝って目標に近付くために!」

 

爆豪とウォズは出久に挑みトップヒーローになるため、麗日はヒーローになって家族に楽をさせられるほど稼ぐため、心操は憧れに近付くために普通科からヒーロー科に上がるために本気で戦っている。

 

「一番になるために!半分の力で勝つ!それじゃまだ、僕に傷1つ付けられていないよ…」

 

ヒーローの王を目指すジオウ。彼は2本の剣を構え、その刃を轟に向ける。

 

「全力でかかって来い!」

 

「緑谷…何のつもりだ…?全力?クソ親父に金でも握らされたか!ムカつくッ…!」

 

轟に炎を使わせようとする出久。それはエンデヴァーに頼まれたからではなく、彼が呪縛から解き放たれて自分と共にトップヒーローを目指し時に仲間として、時にライバルとして切磋琢磨するためだ。

彼の凍てつく心を解かそうとする出久を理解できず、轟がジオウに向かっていくが…

 

(動きが鈍いッ…!)

 

だが、身体が霜に覆われて体温が下がってきていた轟の動きは鈍くなっていた。

使えば使う程消耗してしまうことが、ジオウや客席のクラスメイトにも見抜かれてしまっていた。

 

(コイツッ…!)

 

上から腕を振るおうとする轟だが、ジオウによるカウンターに対応し切れなかった。

姿勢を低くして懐に潜り込まれ、腹に彼のパンチを喰らってしまう。

 

『モロだ!生々しいの入った!』

 

殴り飛ばされた轟の身が地面を転がるが、場外にまでは飛ばされない。

 

(なんでッ…!)

 

またも氷を出す轟だが…

 

(威力が弱まっている!)

 

ジカンギレードを使う必要もなく、ジオウが放たれた氷を簡単に避ける。

その後も轟の攻撃を避けつつ近距離に攻めていくジオウ。

彼を相手に轟は何発も氷結を放ち、ジオウを退けていく。

 

「クソッ…!しぶといな…」

 

「だって僕は、皆の期待に応えたいんだ…!皆の期待に笑顔で応えられるカッコイイ"ヒーローの王様"になりたいんだッ…!」

 

ウォズやオールマイト、それに母から期待され、そこから雄英に入り応援してくれる人や仲間が増えていた。そんな皆の想いに応えて、自分の夢である"ヒーローの王"となるためにも出久は一切手を抜かない。

 

「僕だけじゃない!皆に夢があって、皆全力でやってるんだ!」

 

そして、自分と同じようにヒーローに対する夢を持ち、身体を張って全力で戦った人たちを何人も見てきた。ボロボロになっても戦った麗日や勝ち抜くために一切手を抜かなかった爆豪。彼らの姿を見ていたからこそ、轟の行動には少し憤りを感じていた。

 

「君の境遇も…君の決心も…僕に計り知れるモノじゃない!けど、好きな物にまっすぐに突き進まず、全力を出さないなんて正直ふざけるなって今思ってる!」

 

「俺はコイツを…」

 

彼の夢に対する歩み方や、体育祭に挑む姿勢。

それは周りのヒーローやクラスメイトを愚弄してしまうようなものと言っても良いだろう。

そんなこと、彼自身も薄々分かっているしこのままだと負けると分かり切っていた。

だがそれでも、過去に父が自分にしてきた所業。それによって精神を壊してしまった母。

父の影響で余り話せなかった兄や姉。エンデヴァーにより暗い側面が多くなった彼の過去が、轟焦凍の心を縛り付けてしまっていた。左側の炎を憎き父と重ねてしまい、拒絶してしまっている。

 

「親父の力を…」

 

「君のッ…力じゃないか!」

 

かつてとあるテレビ番組でオールマイトはこう言った。

 

[個性というものは親から子へと受け継がれていきます。しかし、本当に大事なのはその繫がりではない…自分の血肉。"自分である"と認識すること。そういうこともあって私は言うのさ。"私が来た"ってね…]

 

轟の様に個性が親から遺伝するケースが多い。だが、受け継いだとしてもその個性は所持者自身の身体の一部だ。

 

(ずっと忘れていた…いつの間にか…忘れてしまった…)

 

[血に囚われることなんかない。なりたい自分になって良いんだよ…]

 

轟は思い出した。かつて母が投げかけてくれた言葉を…

 

[だったら、自分に正直に…もっとまっすぐにヒーロー目指せばいいんじゃないかな?]

 

[愚直に突き進めばいいさ。多くの悪に打ち勝ち、多くを救うことができるヒーローを…]

 

そして、自分に声を掛けてくれた出久とウォズの言葉を…

"自分が憧れるヒーローになるために、まっすぐ全力で戦う。"

エンデヴァーに囚われることなく、自分のなりたいものを目指す。そう決意した轟は左腕から熱き炎を解き放つ。

 

「敵に塩を送るなんて、どっちがふざけてんだ…俺だって、ヒーローに!」

 

左から解き放たれた炎は轟の右半身を覆う霜を解かした。

決意を新たにした彼の姿に、ジオウは仮面の中で笑顔を浮かべた。

 

「焦凍オオオォォォ!!やっと…」

 

「祝え!!!」

 

遂に轟が"自分から受け継いだ"炎を使ったことに、エンデヴァーが喜びの声を上げて声援を投げかけようとしたその時。ウォズの声がエンデヴァーの雄叫びを打ち消した。

 

「自らの身体に宿る炎と氷の力を操り、トップヒーローを目指す若き戦士。その名は轟焦凍!彼の覚醒と、その心を解かした我が魔王の活躍…そしてその聖戦をとくと楽しむがいい!!」

 

轟の炎とウォズの祝福に客席から拍手が沸き起こる。

 

「お、おい、俺の激励…」

 

『エンデヴァーの激励が邪魔されたー!ウォズの祝福は目立つな~』

 

『良いんだ。今はアイツの言う通り、2人の戦いを見届けよう。』

 

相澤の言葉と共に観客たちはフィールド上にいる、仮面ライダージオウⅡの緑谷出久と半冷半燃の轟焦凍に視線を集める。

 

「スゴッ…」

 

「何笑ってんだよ…とっとと決める、どうなっても知らねえぞ…」

 

左腕からは炎を出し、右足からは大量の氷を出し、ジオウ目掛けて氷の波が襲ってくる。

 

『ジオウサイキョーギレード!』

 

『ワンフォーオール!』

 

その氷の波を跳躍して避けつつ、ジカンギレードとサイキョーギレードを合体させる。

2本の刀身を合わせた後に、サイキョーギレードにあるジオウの仮面を模したギレードギャリバーをジカンギレードのライドウォッチ装填部に入れなければいけないが、付け替えずにそのスロットにはワンフォーオールライドウォッチを装填する。

 

「ありがとな…」

 

周囲の氷を一気に解かすほどの熱を纏い、轟は最大火力の炎を解き放つ。

 

『キング!ワンフォーオール!ギリギリスラッシュ!!』

 

轟の炎と、ワンフォーオールと2本の剣の力が交じり合った光がスタジアム中央でぶつかり合い、その衝撃波と凍らされてから膨張した空気が強風を巻き起こして観客や主審のミッドナイトに吹き付ける。その衝撃はスタジアム外にも伝わっており、外で警備をするプロヒーロー達もスタジアムの方に注目している。

 

『何…今の…?お前のクラス何なの…?』

 

『散々冷やされた空気が瞬間的に熱され、膨張したんだ。』

 

『それでこの爆風って…どんだけ高熱だよ…ったく、何にも見えねえ。て勝負はどうなってんだ!?』

 

実況席のプレゼントマイクは転倒しつつも、状況を伝えようと椅子に座り直す。

スタジアム上空まで登っていた煙が徐々に晴れ、主審のミッドナイトはプレゼントマイクの問いかけに応えるために状況を確認する。

 

「と、轟君…場外…」

 

彼女がその目で見たのは、左側の体操服が焼け落ちて自身の上半身を晒している轟が場外に倒れている光景であった。

 

「緑谷君!三回戦進出!」

 

煙が晴れるとそこには、振り下ろしたジオウサイキョーギレードを地面に突き立ててフィールド上に立っているジオウⅡの姿があり、観客は彼の姿を確認すると勝利を称えるように歓声を上げるのであった。

 

 




キング・ワンフォーオール・ギリギリスラッシュ
ジオウサイキョーギレードとワンフォーオールによるオリジナル必殺技。
ジオウの仮面を模したギレードギャリバーを使用せず、ワンフォーオールライドウォッチをはめ込むことで使用できる必殺技。
ワンフォーオールライドウォッチも必殺技専用として出番が増えてくるかもです。
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