我が魔王は緑谷出久!?   作:夢野飛羽真

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今回は出久サイドでございます!
もうすぐ壊れたパソコンも戻ってくるみたいでホッとしております。
どんどん面白い話を書いていこうと思うので応援よろしくお願いします!


第32話 グラントリノ

爆豪とウォズがディケイドの下で特訓をしている一方で、出久も自身の職場体験先に来ていた。

 

「雄英校から来ました~緑谷出久です。」

 

事務所のような場所に到着した出久は、恐る恐るその建物の扉を開ける。

 

「よろしくお願いし…」

 

建物の中に入って来た彼の目に、衝撃的な光景が映ってしまった。

そこには赤い液体の上で横たわる小柄な老人の姿がある。

 

「うわぁぁぁ!!死んでるぅぅぅ!!!」

 

その周りにはお皿も散らばっており、腸のようなものも来尖っている。まるでこの老人が襲撃されて死んでいる様に見えてしまう。

 

「生きとる!」

 

「あああぁぁぁぁ!生きてるぅぅぅ!……ホッ…」

 

しかしながらその老人は生きており、かなり元気そうだ。

その様子を見て驚くとともに、出久は安堵する。

 

「いや~切ってないソーセージにケチャップかけた奴運んでたら転けた。」

 

血に見えていたものはケチャップで、腸と誤認されていたものはソーセージであった。

なんとも紛らわしい。

 

「誰だ君は…?」

 

「雄英から来た!緑谷出久です!」

 

起き上がったその老人の問いかけに、出久は改めて自己紹介をする。

 

「なんて…?」

 

「緑谷出久です!」

 

「誰だ君は?」

 

耳が遠く、少しボケてしまった様子の老人を見て、もう彼はかなりの高齢なのだと出久は感じてしまった。

 

「飯が食いたい。」

 

「飯がッ…!?」

 

さらに老人は座り込んで食事を要求する。

 

「俊典ッ…!?」

 

「違います!」

 

完全に名前を間違えられてしまった出久は、一度スマホを取り出して部屋から去ろうとする。

 

「ああ…すみません。一度電話してきますね。」

 

一度部屋を出た出久が、グラントリノの様子をオールマイトに報告するために扉の前で電話をしようとした時だった。何かが開く音がして、咄嗟に出久が振り返る。

 

「何を勝手に!?」

 

すると、グラントリノが出久のコスチュームが入ったケースを開けてその中を見ている。

 

「使ってみなさいよ、ワンフォーオール。」

 

「…ッ!」

 

「どの程度扱えるのか知っときたい。」

 

グラントリノの表情が先程と違って引き締まっているように見える。

急に表情が変わり、まるでスイッチが入ったようなグラントリノの様子を見て、出久はジクウドライバーとジオウライドウォッチを取り出す。

 

「おっと、使って良いのはそのウォッチとワンフォーオールだけじゃぞ。受精卵小僧。まずは俺から一本、取ってみろ!」

 

すると、グラントリノは足からのジェット噴射を活かし、部屋の中を縦横無尽に跳躍して飛び回る。

バッタが跳ねるようなその動きを目で捉えるのは難しいが、さらに平成ライダーのウォッチと未来予測できるジオウⅡの力を使うことが禁じられてしまった。未だ大技用のワン・フォー・オールしか使ってはいけないと言われたが、使ってしまえばグラントリノが重傷を負うどころか周囲の建物が被害を被ってしまう。簡単には使えないだろう…

 

「やるしかない!」

 

『ジオウ!』

 

「変身!」

 

『ライダータイム!』

 

『仮面ライダー!ジオウ!』

 

だがまずはジオウに変身し、グラントリノの動きを目で追う。

 

「雄英体育祭を見たが、ワン・フォー・オールは必殺技要員に終わるようなもんじゃない。おぬしはワン・フォー・オールの真価を分かってない…」

 

「真価ッ…!?」

 

そう言いながら、後方から突撃してくるグラントリノに対処する。

素早い動きであらゆる方向に飛んで行くグラントリノに、ジオウは翻弄されてしまっている。

 

「実践形式でそれを引き出す!さあ、使ってこい!」

 

「ここで撃ったら…!」

 

ワン・フォー・オールライドウォッチをジカンギレ―ドに装填して使えば、グラントリノが飛び回る部屋ごと吹き飛ばせるだろうが、周囲への被害が甚大になってしまい、使用を躊躇する。

 

「ワン・フォー・オールの9人目の継承者がこんな湿った男とは、オールマイトはとんだド素人だな…」

 

「そんなことッ…!」

 

自身を翻弄するグラントリノだが、背後から迫る彼の動きを察知できたジオウは後ろ回し蹴りを放つ。

蹴りを腕で受け止めたグラントリノは一時的に引き下がる。

 

(どんな個性か分からないけど!捕まえないとッ…!)

 

退避したグラントリノはまたすぐに、出久の周りを跳ね回って翻弄する。

迫るグラントリノに向けて片手で掴みかかろうとしたが、回避されてその仮面を殴られる。

 

「硬いなあ…意識がチグハグだ。だからこうなる…!」

 

「絶対、捕まえたと思ったのに…」

 

「それだよ。本選の氷の小僧やもう一人のライダーとの戦いでのワン・フォー・オールの利用法…オールマイトへの憧れや躊躇からそうなってしまう。ワン・フォー・オールを使って、ワシやこの部屋、それに自分自身が壊れることへの躊躇が足枷となっておる…」

 

「躊躇ッ…!?」

 

出久は今までの戦いで3つの戦いでワン・フォー・オールライドウォッチを使った。

だが、それぞれトドメの一撃などの大技で、そのウォッチを使っていた。

それ故に、出久の中では広い空間で、尚且つ強力なパワーで押し切りたい時に力を使うようにしていた。

 

「ワンフォーオールを特別に考え過ぎだな!」

 

体育祭の映像を見てか、グラントリノもそんな出久の考え方を読み取っていた。

 

「特別に考えすぎ…?それってどういうことですか!?」

 

「答えは自分で考えろ。俺は飯を買ってくる。掃除ヨロシク!」

 

そう言って一度グラントリノは部屋を出てどこかに行ってしまう。

それを変身解除しながら出久は見送るしかなかった。

 

「ワン・フォー・オールの真価…それに僕の気持ちが足枷って…」

 

出久は掃除をしながら、グラントリノの言葉について考えさせられることになってしまった…

 

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その夜…

 

「Z!Z!」

 

(寝てるんだよな…!?)

 

独特な寝息を立てながら寝ているグラントリノに驚きつつ、出久はグラントリノに言われたことに関して考え直す。

 

(ワン・フォー・オールを特別扱いしすぎてるって…)

 

自分はワン・フォー・オールを特別に扱い過ぎており、真価を引き出せていないと言われてしまい、そのことについてよく考えている。

 

「電話だ…」

 

その時、出久のファイズフォンXが振動しながら着信音を鳴らしているのに気付いて、それを開いて電話の主に応える。

 

『もしもし、我が魔王。まずは職場体験1日目。お疲れ様…』

 

「お疲れ、ウォズ君。」

 

寝ているグラントリノのことを気遣い、寝室のある2階から降りて1階で通話を続ける。

 

『さて、今日の報告をしようと思って、電話をさせてもらったんだけど今大丈夫かな?』

 

「大丈夫。グラントリノさんが寝てる部屋とは別の部屋に移動したし…」

 

ウォズも出久が歩いているのを電話越しで気付き、今電話して大丈夫だったか問いかける。

 

『今日は爆豪君が新しい力を手にしたよ。また一段と強くなっているね…』

 

「そうなんだ!見れるのが楽しみだね…」

 

爆豪が新形態を得たと聞き、出久はその姿を早く見てみたいと目を輝かせながらウォズの話を聞く。

 

「僕の方はワン・フォー・オールに関して色々と見てもらったけど、どう使えばいいかまだ分かんなくて。」

 

『なるほど、ワン・フォー・オールウォッチのことか…』

 

その後は、出久が今日グラントリノと話して得たことをウォズに言う。

 

「うん、ワン・フォー・オールウォッチのことを特別に考えすぎって言われて…」

 

『確かに、これまで必殺技を使う時に主に使っていたからね。』

 

「うん、けどそんな使い方じゃダメだって言われて…しっかりとワンフォーオールの真価を引き出せって…」

 

『そうか、確かにここまで使えるようになったわけだし、さらにワンフォーオールを使ってもいい頃合かもしれないね。』

 

ウォズは以前、ジオウとワンフォーオールの力が干渉しあうのを恐れ、力を一時的にウォッチに収めておくことを提案した。そこからは、アナザークウガのような大型敵や体育祭での大技のぶつかり合いのみで使っていた。だが、その時の様子から、ジオウとワンフォーオールの力がぶつかり合うどころか相乗効果を起こせているとウォズは感じ、さらに力を引き出しても問題ないと判断した。

 

『こういう時は誰かを参考にして、考えてみると良いだろう。君が平成ライダーの戦いを見た上でアーマータイムを使っているみたいに…』

 

「参考か…オールマイトはどうだろう?」

 

『オールマイトは確か、マッスルフォームの時は常にワンフォーオールを使っているみたいだね…まるで私たちが変身したりフォームチェンジするみたいに…』

 

「変身…?」

 

だが、ワンフォーオールは本来は個性、使用者の体の一部だ。クラスメイト達は身体の関節を曲げるのと同じような感覚で個性を使っている。それは、時間制限があるとはいえ、先代ワンフォーオール継承者のオールマイトも同じだ。"特別"なものではなく、他の体の部位同様"当たり前"のように使っている。

その感覚をウォズや出久に当てはめるなら、変身したり、アーマータイムやフューチャーリングを使うことだ。

 

「そうかッ…!コレの使い方が分かったかも!ウォズ君ごめんね!電話切るよ!」

 

『どうやら答えは出たようだね。おやすみ、我が魔王。』

 

ウォズの言葉を聞いて、出久はワンフォーオールライドウォッチの活用方法を思いついたようで、咄嗟に電話を切る。そのことをウォズも容認し、出久はジクウドライバーを腰に巻いてみる。

 

『ジオウ!』

 

『ワンフォーオール!』

 

2つのライドウォッチを起動し、ジクウドライバーのそれぞれのスロットに装填していく。

オールマイトがマッスルフォームに変身したり、爆豪が爆破を使うのと同じように。

自分達が普段変身やアーマータイムを使う時のように…

 

「変身!」

 

『ライダータイム!仮面ライダー!ジオウ!』

 

『ワンフォーオール!!』

 

出久がジオウへの変身を完了させたその時、ジクウドライバーに装填されたワンフォーオールライドウォッチから放たれる光にジオウが包まれていく。

 

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「やあ、久しぶりだね。」

 

「志村菜奈さん!?」

 

光に包まれたかと思えば、ジオウは暗闇の中にいた。

そして、目の前にはアナザークウガの中で会った志村菜奈の姿があった。

 

「今はグラントリノの所に来てるみたいだね。」

 

「ま、まあ、そうです…」

 

「アイツは私の友人でね、ちょっと変わった奴だけどしっかり鍛えてもらうんだよ。」

 

「はい!」

 

志村からの激励に応えると、志村はジオウのファイズフォンXに触れ、とあるウォッチを取り出す。

 

「君は以前、私と話して命の選択という話をしてこのウォッチを手に入れたね。」

 

そう言いつつ、志村がファイズフォンXから取り出したジオウⅡライドウォッチを見せる。

嘗て出久はアナザークウガの中で、彼女に与えられた"自分の命"と"他人の命"という選択肢から両方を選んだことでジオウⅡウォッチを手にした。

 

「そして今、ジオウの力をワン・フォー・オールの力のという2つの選択肢の両方を選ぼうとしている。その覚悟も、できているみたいだね…?」

 

「はい!僕がヒーローの王になって多くを救うのに、この力も必要な筈です。」

 

ジオウの手は自然とワン・フォー・オールウォッチに触れている。

 

「ヒーローの王、良い覚悟だね。私達はずっと君の戦いを見てきたよ。全力でぶつかって爆豪君や轟君の心を救った。これからも君なら救えるはずだ。誰かを導く新たな平和の象徴"ヒーローの王"に相応しい!」

 

「ありがとうございます!」

 

オールマイトの師匠である彼女からの誉め言葉に、出久は感激する。

爆豪との屋内戦闘訓練やUSJ、それに轟の凍てつく心を溶かした体育祭での戦い。

それを見て、少なくとも志村は出久のことを新たな継承者に相応しいと認めていた。

 

「俊典や、他の継承者を代表して改めて言わせてもらうよ。ワン・フォー・オール9代目継承者は君だ。緑谷出久…私達もジオウの新しい力となり、君の覇道、見届けさせてもらうよ。」

 

その時出久の周囲が明るくなり、再びグラントリノの事務所の中に立っていた。

 

「これって…」

 

ふとジオウが自分の両手を見てみると、ワンフォーオールによるものと思われる変化が見られた。

爆豪が変身するゲイツは、両手のウォッチホルダーが消えた代わりに手榴弾型の籠手が付いている。これは彼の個性故に現れた変化だ。それと同様に、両椀のウォッチホルダーがあった所には緑色のガントレットのようなものが付いている。手甲と腕時計やグローブが合体したような形になっており、左腕側にはベルトに付けていたはずのワン・フォー・オールライドウォッチがはめ込まれている。

 

「早速使ってみよう!」

 

ワン・フォー・オールが自分の一部になり、ジオウの新たな力として具現化したのを見て、出久は兎に角使ってみようと思い夜の街に繰り出して自主トレに励むのであった…




仮面ライダージオウ(出久ver)
ワン・フォー・オールをオールマイトや志村菜奈から継承した姿。
両椀のウォッチホルダーが無くなり、その代わりに両手などが緑色のガントレットに包まれている。
能力は次回発動予定…
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