我が魔王は緑谷出久!?   作:夢野飛羽真

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いよいよ職場体験編も佳境に入ってきました。
出久もワン・フォー・オールの力を徐々に使いこなしていきますよ~


第33話 保須事件の始まり

「おはよう、そして…どうした?」

 

職場体験2日目の朝、目を覚ましたグラントリノ目に入ったのは目の下にクマができて十分に睡眠が取れていなさそうな状態の出久であった。しかも、左手首には時計のようなものが付いている。

 

「昨日…ちょっと自主トレしてたら夢中になっちゃって…」

 

昨日、ワンフォーオールの力とジオウの力を融合させ、自身に継承させることに成功した出久。

しかし、その後に力を試そうと夜の街をパルクールの様に駆け回っていたらいつの間にか睡眠時間が2時間しか確保できなくなってしまっていた。

 

「グラントリノさんに言われたことを咀嚼したり、友達にアドバイス貰ってなんとか使いこなせるようになりました…」

 

「なるほど、その腕の時計は…?」

 

「これは、僕がワンフォーオールを継承した証です。」

 

ワン・フォー・オールライドウォッチは出久の中に取り込まれ、その力は出久に継承された。

その証であるかのように、左手首には緑色の腕時計が付いている。これは、ワン・フォー・オールによって具現化した緑色のガントレット、その名もマイトガントレットが格納されている。

 

「継承した…ということは使えるようになってきたということじゃな?」

 

「そうですね…ここまで本格的に使ったのは初めてですけど…」

 

「初めてのチャレンジの成果はどうじゃった?」

 

「はい!オールマイトみたいな出力はまだまだ出せていませんが、全身にエネルギーを張り巡らせて身体能力の強化は出来ました。」

 

「初めてでそこまでできたか…上出来じゃな!」

 

ジオウが出久仕様になったことで、体の一部や全身にワンフォーオールのエネルギーを流すことができるようになった。オールマイトのようなかなり強力な力は出せていないが、彼の5%程度の出力を出せる。それにより変身時のスペックや身体能力を底上げすることが可能になった。

そのことを聞いてグラントリノは出久に、サムズアップをして見せる。

 

「おぬしもオールマイトの様に初期から上手く扱える様じゃな…土台がしっかりと出来上がっておる。オールマイトも身体だけは出来上がっていた。」

 

「オールマイトの学生時代!どんな感じだったんですか!?」

 

グラントリノがオールマイトの学生時代のことを話すと、出久はそれに興味を示すように目を輝かせる。

 

「ん?ああ、ひたすら実践訓練よ!」

 

(それであんなに恐れてたのか…)

 

実戦で恐らくオールマイトがボコボコにされてしまったのだろうと思い、彼が恐れていた理由を何となく理解する。

 

「生半可な扱いはできなかった。亡き盟友に託された男だったからな…」

 

(志村さん…)

 

グラントリノの言葉を聞き、出久は過去に二度自分と回析した志村菜奈のことを思い浮かべる。

 

「さあ、使えるってことなら話は早い!朝飯食って早速実践じゃ!」

 

「はい!」

 

グラントリノとしては早く出久の戦いを見てみたかったが、彼はほぼ徹夜明け状態なのでお互い栄養補給をしてから組み手をすることにした…

 

朝食後

 

「それじゃあ、早速始めるとしよう。昨日とルールは同じ、俺から一本取ってみろ!」

 

「よろしくお願いします!」

 

鯛焼きで腹を満たした後、家具類を避けてから2人は向き合う。

 

『ジオウ!』

 

「変身!」

 

『仮面ライダー!ジオウ!』

 

出久がジオウの鎧を身に纏うのと同時に、左手首の腕時計、マイトウォッチが光となり出久の両腕を包み込む。それはマイトガントレットとなり、それを見てグラントリノはジオウの変化を理解する。

 

「ワンフォーオール…フルカウル!」

 

ジオウが両椀をX字を描く様にクロスさせると、彼の全身にワンフォーオールのエネルギーを張り巡らせる。

 

「さあ、かかってこい若造!」

 

「はい!」

 

グラントリノは個性を使い、両脚からのジェット噴射で室内を縦横無尽に跳ね回る。

それも、昨日の訓練時以上のスピードで跳ね回っていて通常なら目で追うのがやっとだ…

 

(目で終えるスピードじゃない…けど、攻撃を仕掛けてくるのは…)

 

「後ろだ!」

 

グラントリノが背後から攻撃を仕掛けてしようとしてくることを察知すると、ジオウはそれをジャンプして避ける。

身体能力が向上しているジオウは、一跳びで天井まで飛んで回避する。

 

(今のを避けたか…)

 

グラントリノの攻勢を回避してから、自分の下方向にいる彼に向けてジオウは天井を蹴って突撃しながらパンチを繰り出す。

 

「中々やるのう…」

 

「今のを避けた!?」

 

ジオウのカウンター攻撃を、グラントリノは別方向に足のジェット噴射を噴射して回避する。

 

(しまった!)

 

グラントリノは壁を蹴ってはジェット噴射で飛び、また別の壁に着地。

さらにそこを蹴って跳ね回っていくのを繰り返し、ジオウを翻弄する。

 

「だったら僕も…!」

 

ジオウはこのまま屋内の中心部で待ち構えていたら、360°どの方向からでも奇襲を受けてしまうと察知して地面を蹴り跳ねていく。

天井や壁を蹴り、その推進力でグラントリノと同様に跳ね回る。

 

「俺の戦術を真似るか…」

 

「はい!これで決めます!」

 

飛び回る両者が交錯し、互いのキックがぶつかり合う。

 

「そこまで!」

 

蹴りがぶつかり合ったことで2人とも着地し、グラントリノは組手終了を告げる。

 

「流石は体育祭優勝の男と言った所か…よし、ワンフォーオールの使い方をもっと伝授するとしよう。インターバルを挟んでまたやるぞ!」

 

「はい!」

 

出久の職場体験2日目はグラントリノとの組み手の繰り返しであった。

只管実践訓練を行い、グラントリノが志村菜奈から見せられた戦い方や、オールマイトに教えた戦い方を出久に伝授していった。

 

その翌日

 

「さて、今から外に行くとしよう。」

 

「外、ですか…?」

 

「ああ、このまま俺と同じ戦法でやっても癖がつく。コスチュームに着替えろ。フェーズ2だ!」

 

訓練をある程度こなした後、グラントリノは出久に次の段階に行くと言いコスチュームを着て外に出るように指示をする。それに従い出久はコスチュームに身を包んで建物から出る。

 

「つーわけで、いざヴィラン退治だ。」

 

「いきなりですか!?」

 

「俺とばっか戦ってたら、全く違うタイプとの戦いで躓く。元の力が強い分、これ以上やっても頭打ちだ。次は様々な状況やタイプと経験を積むフェーズだ。今まで使ってたライドウォッチも活用してみろ。」

 

出久の中で、ワンフォーオールを使った戦いの基礎はほとんど出来上がっていた。

そのことが分かるとグラントリノは応用編として、実際のヴィランとの戦闘をこなしてもらうことにした。

 

「そもそも職場体験じゃ。ヴィラン退治をするのは当たり前じゃろ。」

 

「仰ることはごもっともですけど、こういきなり言われると心の準備が…」

 

来襲したヴィランを迎撃したことはあっても、自ら探して倒しに行くのは初めてで出久は少し緊張している。

 

「ヴィランとの戦闘は既に経験してるんじゃろ?デカい山には近づかんさ。」

 

そう言ってグラントリノはタクシーを呼び止め、出久と共に乗り込む。

 

「ここいらは過疎化が進んでいる。犯罪率が低い、都市部にヒーロー事務所が多いのは犯罪が多いからだ。人口密度が高けりゃそれだけトラブルも増える。渋谷や新宿は小さなトラブルが日常茶飯事…」

 

「渋谷に新宿って…まさか東京に行くんですか!?まさかそんな…」

 

出久にとって初めての東京でもあり、胸の鼓動はさらに早くなっていく。

 

「甲府から一気に新幹線で行く。スピードも速くて中々壮快だぞ!」

 

(そのルートだと保須市を横切る。飯田君、大丈夫かな…後で連絡してみよう…)

 

グラントリノから自分達が通るルートを聞くと、ふとその途中の街にいるはずの飯田のことが気になってしまう。そこは丁度ヒーロー殺しステインが居るという場所だ。

 

その頃、東京の保須では…

 

「保須市って意外と栄えてるんだな。」

 

夕焼けに照らされる街を、建物の屋上から眺めているヒーロー殺しステインの後ろに、黒霧のワープゲートを潜って死柄木弔が現れる。

死柄木と黒霧、両者ともに腕を負傷しているようで、そこに巻かれた包帯には少し血が滲んでいる。

これは先程、別の場でステインと交渉した際に付けられた傷である。

 

「で、アンタは何をする?」

 

以前オーマショッカーの首領である男は、この保須に訪れてヒーロー殺しステインに自身の力を分け与えた。そして、死柄木達は改めて彼にオーマショッカー入りの誘いをしようとしていた。だがその交渉は決裂してしまい、アナザージオウの力を奪い返そうとした死柄木達は返り討ちに遭ってしまっていた。

そして、今現在アナザージオウの力を保有するステインに目的を問いかける。

 

「この街を正す。それにはまだ、犠牲が要る。」

 

既にステインは5人以上のヒーローをこの街で狩ってきたが、彼の思想を知らしめるにはその数では不足気味なようだ。

 

「先日仰っていたやるべきことという奴ですか?」

 

「お前は話が分かる奴だな…」

 

「いちいち、角立てるな…オイ。」

 

黒霧の問いかけに、彼を褒めつつ死柄木はまるで"話が分からない人間"であると言っているようなステインの言葉に死柄木はイライラして傷跡を撫でている。

 

「ヒーローとは!偉業を成した者にのみ許される称号!多すぎるんだよ!英雄気取りの"拝金主義者"が!この世が自ら過ちに気付くまで、俺は何度でも現れ続ける!」

 

『ジオウ…』

 

報酬目当てに活動するヒーロー達を滅ぼす。

その目的を達成するがため、ステインはアナザージオウに姿を変えて街に繰り出していくのであった。

 

「あれだけ偉そうに語っておいて、やることは草の根運動かよ。健気で泣けちゃうね~」

 

そんな彼を見送りつつ、地道にヒーローを襲っていくステインの行動を死柄木は嘲笑う。

 

「そう馬鹿には出来ませんよ。事実、ステインが現れた街は犯罪率が低下しています。ある評論家がヒーロー達の意識向上につながっていると発言し、バッシングを受けたこともあります。それに彼の悪意にはあのお方も注目されている。恐らくあの方の計画に必要なのやもしれませんね…」

 

一方の黒霧は、ステインのことを冷静に分析している。

 

「それは素晴らしい!ヒーローが頑張って食い扶持減らすのか~ヒーロー殺しはヒーローブリーダーでもあるんだな~!回りくどい。」

 

だがしかし、死柄木が求めるヒーロー社会の崩壊とステインの思想は全く異なる物であった。

 

「やっぱ、合わないんだよ。根本的に…ムカつくしな。黒霧、脳無出せ。」

 

死柄木の指示と共に、黒霧は自身のワープゲートから3体の脳無を呼び出す。

 

「俺に刃突き立てて、タダで済むかって話だ…ぶっ殺したいならぶっ殺せばいいって話。アンタの面子と境地、潰してやるぜ…大先輩。」

 

ヒーロー殺しステインのいる街でオーマショッカーが暴れれば、ステインと彼らの繋がりを噂する者が出てくるだろう。そうなれば、思想が全く違うステインからすれば迷惑な話である。

それを分かったうえで、死柄木は脳無とショッカー戦闘員達を街に放ったのであった…

 

 




仮面ライダージオウ(出久ver)
ワン・フォー・オールをオールマイトや志村菜奈から継承した姿。
両椀のウォッチホルダーが無くなり、その代わりに両手などが緑色のガントレット(マイトガントレット)に包まれている。
これにより、出力は制御されるが身体の一部や全身にエネルギーを張り巡らせて、身体能力を強化することができる。

お知らせ
大学院入試が近いので今週は休載にします。
恐らくこれも今月最後の後身です。
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