ジオウVSアナザージオウの対戦に注目です。
「スーツを着た子供、何者だ?」
「お前にやられたヒーローの弟だ!最高に立派な兄さんの弟だ!兄に代わり、お前を止めに来た!」
保須市のある路地裏で、ヒーロー殺しステインが変身したアナザージオウがコスチュームに身を包む飯田に刃を向けていた。飯田の方は、頭の中が重傷を負った兄の復讐に支配され、相手が怪人化していようともステインを倒すことしか見ていない。
「僕の名前を!生涯忘れるな!インゲニウム!お前を倒す、ヒーローの名だ!!」
「そうか…死ね。」
「誰があああぁぁぁ!!」
アナザージオウを蹴り倒そうと飯田は右足のエンジンを点火。
その噴射の勢いで回し蹴りを放つが、軽々と避けられてしまう。
「インゲニウム…兄弟か。奴は世間に伝聞させるため、生かした。」
アナザージオウの足にはステインが元から使っていたスパイクが生えており、その足で飯田の右肩を蹴る。スパイクが刺さり、飯田の肩からは血が流れてしまっている。さらにステインからは、彼の兄であるインゲニウムは自身の存在を知らしめるために襲ってわざと生かしたと伝えられてしまう。
「クッ…!」
その事実を受けながらも蹴り倒されて、地面に倒れ伏したところを踏みつけられてしまう。
飯田は兄のキャリアを奪った相手をその目で睨みつける。
「お前は、弱いな。」
アナザージオウの剣が飯田の左腕に突き立てられる。
「お前の兄も弱い。贋物だからだ。」
「黙れ悪党…」
痛みに耐えつつも、飯田はステインの言葉に反論する。
「脊髄損傷で下半身麻痺だそうだ…もうヒーロー活動は叶わないそうだ…!」
ステインから受けた傷により、彼の兄であるインゲニウムはヒーロー引退に追い込まれてしまった。
飯田自身の憧れである兄の引退は、飯田に暗い影を落としていた。
「兄さんは多くの人を助け!導いてきたッ…!立派なヒーローなんだッ…お前が潰していい理由なんて無いんだッ…!」
ステインにも思想はあるが、それはヒーロー達を再起不能にして誰かの夢を潰す理由にはならない。
「僕のヒーローだ!僕に夢を抱かせてくれた立派なヒーローだったんだ!」
飯田の中で兄に対する尊敬の念が強かったのに伴い、彼を潰したステインに対する憎悪もより強くなる。
「許さない!殺してやるッ…!」
「アイツをまず助けろよ…」
ステインへの憎悪で動く飯田に対し、ステインは先程まで自分が襲っていたヒーローのネイティブを指差す。彼もステインの攻撃を受けて動けなくなってしまっている。
「自らを省みず他を助け出せ。己の為に力を振るうな…目先の憎しみに囚われ、私欲を満たそうなど、最もヒーローから遠い行いだ。」
その憎悪故に、飯田は他人を助けることを忘れてしまっていた。
ヒーローとしてすべきことを忘れていた飯田の腕から剣を引き抜く。
「だから死ぬんだ。」
(体がッ…!動かない!)
アナザージオウの口のクラッシャーが開き、舌が出てくるとそれは飯田の血を舐める。
すると、ステインの個性である凝血により、血を舐められた飯田の身体は動けなくなる。
「じゃあな…正しい社会の供物…」
「黙れ…!何を言ったってお前は!兄を傷つけた犯罪者だッ…!」
アナザージオウが己の剣を飯田に突き立てようとしたその時だった…
「…ッ!」
「スマーッシュ!」
ワンフォーオールを全身に張り巡らせ、身体能力を強化したジオウがその場に駆け付け、目にもとまらぬ速さでアナザージオウに迫って、その顔面部を殴り飛ばす。
「み、緑谷…君…?」
「助けに来たよ!飯田君!」
飯田は自身の前に立つジオウの姿に、出久が来てくれたのだとすぐに察した。
「ヒーロー殺しステイン…だよな…?なんであんな姿に…」
倒れているプロヒーローと、飯田が狙って攻撃をしていたことから相手がヒーロー殺しステインだと考えるが、目の前にいるのはジオウ自身を禍々しくしたような姿の怪人である。
「ああ、アイツが兄さんをやった…男だ…!」
「ステインが僕のアナザーライダーに…」
以前に出久が戦ったのはクウガのアナザーライダーであったが、今目の前にいるのは彼が変身するジオウのアナザーライダーである。しかもその正体がかの有名なヒーロー殺しステインであると確定すると、その驚異的な相手を目の前に飯田に避難を促すことにした。
「飯田君、動ける?大通りにはプロもウォズ君たちも居るから、そこに逃げて!」
「体をッ…動かせないッ…!切りつけられてからだ…恐らく奴の個性!」
「ワイドショーの解説者が推測した通りだ!アナザーライダーなのは、予想外だけど…」
ステインの謎に包まれた個性と、アナザージオウの力にジオウは身構える。
(飯田君だけなら担いで逃げられるけど、もう一人いる。僕が戦うしかない!)
飯田とネイティブの2人がこの場にいるが、2人ともステインの個性により体が動かせない。
それ故にここは応戦する道を選び、ジカンギレードを構える。
「緑谷君ッ…!手を!出すな!君は関係ないだろ!」
復讐心から、この場を一人で収めようとしてしまっている飯田。
「何、言ってんだよ!」
「仲間が助けに来た。いいセリフじゃないか…だが、俺はこいつを殺す義務がある。ぶつかり合えば当然、弱い方が淘汰されるわけだが…さあ、どうする?」
時計の長針と短針を模した2本の剣をジオウに向け、アナザージオウが問いかける。
『サーチホーク!』
『スイカアームズ!コダマ!』
出久は2人を守りながら戦うことに不安があり、確実に2人を待つために増援を呼ぶことにした。そのために、2体のライドガジェットを起動して町の方に放った。
「辞めろ!逃げろ!君には関係ないんだから!」
流石の出久にとってもリスキーな戦いだ。飯田はこんなところで出久にやられてほしくないために彼にこの場から離れるように言う。
「そんなこと言ったら…ヒーローは何もできないじゃないか!余計なお世話だろうと、誰かを笑顔で助けるッ!それがヒーローで、仮面ライダーだ!」
ワンフォーオールを体に流し込み、脚力を強化した出久がアナザージオウに向けて走って距離を詰めていく。
「見切った。」
長針の方の剣をアナザージオウが突き出し、それをジオウは屈んで回避する。そのまま懐に潜り込んでジカンギレードを振るおうとするジオウだが、その動きはアナザージオウが持つ未来予知能力によってお見通しであった。自身の腹部に迫るジオウの背中に上から時計の短針を模した剣を振り下ろす。
「ああっ…!」
「緑谷君ッ…!」
ジオウは背中から火花を散らし、バランスを崩しながらも咄嗟に前転してステインとの距離を置く。
「血は出なかったか…装甲は固いようだな…まあいい、動ける状態でも仕留めれるッ…!」
「血…そうか!」
飯田やジオウがステインと戦うのを見るしかできない男がいた。
彼はプロヒーローのネイティブ。飯田が駆け付けた時には既に、ステインによって動けなくなっていた男だ。
「そこの君!奴は血を舐めた相手の体を動けないようにすることができるんだ!剣に気をつけろ!」
彼はステインの言葉や、自分と飯田が体を動かせない現状からステインの個性を推察して警告を送る。
「剣!?だったら当たらないように…」
剣で切られて出血するようなことがあれば、自分も身動きを取れなくなる可能性がある。
そう気付いた出久は敵の攻撃を見切る必要があると思い、その予測が可能なジオウⅡに変身を試みるが…
「フォームチェンジか?その隙は与えない。」
ジオウⅡへと姿を変えようとしているのも予測し、ステインは2本の剣を振るってジオウに迫る。
「…ッ!」
出久も何とかワンフォーオールによって身体能力を強化し、地面を蹴ってその推進力で距離を取る。
『ジオウⅡ!』
出久がグラントリノから習った強化された脚力で地面を蹴っての跳躍は、相手との距離を置くには丁度良かった。
ジオウⅡウォッチを取り出して起動し、2つに分ける時間を稼げた。
アナザージオウとの間に距離も出来てこのままジクウドライバーを操作できればジオウⅡへの強化変身ができると思ったその時だった。
「隙だらけだ。」
アナザージオウは自分が持っていたナイフを取り出し、それをジオウの右手目がけて投げる。
「しまった!」
ジオウの手自体はマイトガントレットによって守られ、傷一つ負わなかったが、ジオウⅡライドウォッチの片割れが弾かれて手から離れてしまった。
「このまま仕留めるッ!」
ジオウの意識は己の手から離れたウォッチと、目の前の敵の間で揺らぐ。
その隙を突くようにアナザージオウが彼に向けて剣を振るおうと腕を振り上げた。
「避けろ!緑谷!」
突如どこからか炎が放たれ、ステインは攻撃を仕掛ける前にそれを跳躍して避けることになった。
ジオウもそれを屈んで避けつつウォッチを回収する。
「次から次に…今日はよく邪魔が入る!」
ジオウとアナザージオウが炎の放たれた方を見ると、そこには自身の左半身の一部から火を出している轟の姿があった。
「こいつが教えてくれて何とか駆け付けれた。」
「轟君までッ…!」
出久の援軍に駆け付けたと語る轟の右肩には、先程ジオウが放ったライドガジェットのタカウォッチライドが止まっており、彼の誘導で轟がこの場に来ることができたと分かる。
「ただ事じゃねえから応援呼べってことだろ?安心しろ、数分すりゃプロも来る!」
今度は轟の右半身から冷気が放たれるが、それも跳躍してアナザージオウは回避して足元を凍らせられるという事態は避けた。しかし、その氷は小さな山となり、そこを滑ってネイティブと飯田が一か所に固まる。バラバラの位置にいた2人を一か所に集めたことで出久達の集中力が散漫することを避ける。
「いくよ。轟君!」
『ライダータイム!』
そして出久もその間にジクウドライバーにジオウライドウォッチⅡを装填して、ベルトを1回転させる。
『仮面ライダー!ライダー!』
『ジオウ!ジオウ!ジオウ!Ⅱ!』
未来予測能力と、ヒーロー殺しとしてプロヒーローやヴィランとの戦闘経験を活かして出久に攻撃やその回避を許さなかったステインことアナザージオウ。だが、炎と氷を自在に操る轟が彼から隙を作ったことにより、出久はジオウⅡへの変身に成功した。
「緑谷に似た姿をしてるが、こいつらは殺させねえぞ。」
「僕のアナザーライダー、なら、僕が止める!」
出久も轟もUSJで本物のヴィランや怪人と戦ったとは言えど、外に出ればこの場面はプロヒーローに任せるのが得策だ。しかし、相手はジオウのアナザーライダーでもある。以前のアナザークウガとの戦闘時やその後にアナザーライダーはそのライダーの力を持つ者や強力な能力を持つ者でないと倒せないとウォズに教えられていた。目の前にいるのがジオウのアナザーライダーであるなら倒せるのはジオウだけ…逃げる隙も与えてくれない。それ故に出久は戦う道を選ぶことにした。
「止めれるものなら…止めてみろ!」
ジオウと轟に挟まれてしまったアナザージオウだが、生身の轟の方を狙うことにした。
彼と飯田やネイティブらに向けて駆け出していき、それを防ぐように轟が巨大な氷の壁を作り出す。
「自分より素早い相手を前に視界を塞ぐとは愚策だな…」
「いいや、僕がいる!」
ジカンギレードとサイキョーギレードの二刀流でアナザージオウに背後から迫り、そのまま振り下ろす。
「2本の剣の扱い方がダメだ!」
ジオウが振るう2本の剣はほとんど同じ軌道を描く様に、並行して振るわれる。
その2本の刃を、アナザージオウは長い剣一本で防ぐ。
「来るッ…!」
ここでジオウⅡは未来予測を活かし、次にアナザージオウが繰り出す攻撃を予測。
時計の短針を模した剣でジオウを突こうとするのを察知すると、咄嗟にその剣を横方向から蹴って弾き飛ばす。
その蹴りの勢いで体を回転させ、その回転に合わせるように2本の剣を振るってアナザージオウを切りつける。
(俺の動きを読まれた!)
(僕の動きを読んでるッ…!)
ジオウの攻撃をアナザージオウは再び未来予測で見切り、長針を模した剣で防ぐ。
ジオウⅡもアナザージオウも未来を予測する能力を持ち、それぞれの次の攻撃を予想しながら攻撃と防御をしていく。
「なら、これはどうする?」
アナザージオウは自身の剣を振るい、轟が作った氷の壁を剣で切ってから一気に轟らに距離を詰めていく。
「させない!」
アナザージオウが友人達に迫ると、ジオウはワンフォーオールにより身体能力を強化する。
その状態で地面を蹴り、その勢いで加速。一気に轟らの前に滑り込んでアナザージオウの前に立つ。
「轟君は血を見せないように気を付けて!血を舐められたら動きを止められる!」
「分かった!」
轟が炎を放って、アナザージオウを自分たちから離そうとする。
「攻撃が大振りだとよく言われないか?」
だが、その炎を避けてから2本のナイフを投げようとするアナザージオウ。
「危ない!」
轟に向けて投げられた刃が轟に刺さってしまう未来をジオウⅡは予測。
ワンフォーオールの力で素早く動いて轟の前に立つと、サイキョーギレードでナイフを切り落とす。
「何故…二人とも…何故だ!やめてくれよッ…兄さんの名を継いだんだ…僕がやらなきゃ!そいつは僕が!」
アナザージオウの剣を轟が氷で防いだり、逆に彼を拘束しようと放った氷をアナザージオウが剣で切ったりと一進一退の攻防が繰り広げられる。未来予測をうまく使うアナザージオウに、ジオウも轟も決定打となる攻撃を仕掛けられない。
「継いだのか?おかしいな…俺が見たことあるインゲニウムはそんな顔じゃ無かったな。」
轟は半冷半燃を活かしてアナザージオウを遠ざけつつ、自分たちを制止しようとする飯田に応える。
「お前ん家も裏でいろいろあるんだな…」
家族というものに縛られているのは轟も飯田も同じであった。
形や感情は違えど、轟は恨み辛みで動いていた。それは今の飯田も同じである。
それ故に轟は今の飯田がどれほど視野が狭まっているのかよくわかっていた。
「スマーッシュ!」
ジオウと轟はそれぞれの攻勢でアナザージオウを飯田達から離れさせようとしていく。
(2人とも…)
ステインによって体の動きを止められてしまった飯田は、体を張って戦う2人を見ることしかできなかった…
後編に続きます!