我が魔王は緑谷出久!?   作:夢野飛羽真

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いよいよ入試です!
今回は遂にあの人が変身!?


第5話 挑め!雄英入試

季節は巡って冬。

この時季には、多くの者に人生の岐路が訪れる。そう、入試である…

現在、中学3年生の出久とウォズも遂に高校入試の日を迎えた。

 

「おはよう、我が魔王。体調は万全かな?」

 

「うん!昨日はしっかり寝て体の状態もバッチリだよ!」

 

2人が今日挑むのはヒーロー科最高峰である国立校、雄英高校の入学試験である。

自分達に目を掛けて、1年間鍛錬に付き合ってくれたオールマイトの出身校であり、お互いヒーローになると決めたその日からここを志望校としていた。

 

「どけ、デク」

 

「かっちゃん!?」

 

「俺の前に立つな!ぶっ殺すぞ…」

 

前を歩く2人に退く様に言い、そのまま前へ歩いていくのは彼らのクラスメイトである爆豪勝己だ。

 

「おはよう!頑張ろうね…」

 

「全く、最近は危害を加えてこないとは言え、口の悪さは変わらないな…」

 

ヘドロヴィランの一件以降、爆豪から出久の方に絡んだり嫌がらせをすることは無くなった。

だが、時折恨む様な目で睨みつけられていると出久は時折感じてしまっていた。

 

「はぁ…けど、緊張するなあ…」

 

「何を言っているのですか?緊張する必要なんてありません。私と出会ってからの3年間を思い出してみてください。」

 

雄英の校舎が近付いて来るごとに、出久の中の緊張感が増してきていた。

既に仮面ライダージオウの力を得ているというのに、何を恐れることがあるのだろうかとウォズは呆れ気味だ。

 

「恐れることはありません…堂々と胸を張ればいいのです。」

 

「そうだね、胸を張って一歩…」

 

ウォズの言葉に頷き、出久が歩き出したその時だった。

後ろから踏み出そうとした右足が、既に前にある左足に引っ掛かり、身体が前に倒れていく。

 

「大丈夫…?」

 

ウォズが咄嗟にその体を支えようとしたが、その必要はなかった。

突如出久の身体が、重力から解放されたかの様に浮いて、転んでしまうのを回避していた。

恐らくこれは、心配して声を掛けてくれた少女の個性によるものだろう。

 

「私の個性。ゴメンね、勝手に…転んじゃったら縁起悪いもんね。」

 

丸顔のその少女が自身の個性を解除し、出久が地面に降り立ってからも少女は明るい笑顔で出久に声をかける。

 

「はぁ~緊張するよね~」

 

「ひッ…!あッ…!ええと、ええと…」

 

「お互い頑張ろう!じゃあ!」

 

その少女の言葉に出久は緊張してか上手く返せず、お礼を言う間もなくその少女は先に会場へと入っていった。

 

「女子と喋っちゃったー!」

 

「何も喋れてなかったですよ。我が魔王…これまで女性との対人経験がないとはいえ、少しは慣れていただかねば…」

 

出久は母親や大人の女性と話すことはあっても、中学などでは同世代の女子と話す機会はあまり無かった。それ故にいざ女子と話すとなると緊張して何も喋れないのであった。

 

「このまま調子を崩さなければ良いのですがね…まずは筆記試験、張り切って参りましょう。」

 

「そうだね、ウォズ君。」

 

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「筆記はどうだったかな?我が魔王」

 

「何とか、9割以上は取れたかな…」

 

「流石です。」

 

さて、我々は午前の筆記試験を終えて、午後に行われる実技試験の説明を受けるために校内にあるホールに集められて各々の席に座っていた。

 

「今日は俺のライブにようこそー!!!エヴィバディセイ Hey!!!」

 

この試験の説明を行うのはプロヒーローでもあり雄英に勤めているプレゼントマイク氏だ。

残念ながら、彼のテンションと受験の雰囲気はミスマッチだったようで、誰もレスポンスを行っていない。

 

「こいつあシヴィー!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!Are you Ready!?Yeah!!」

 

「ボイスヒーロープレゼントマイクだ~スゴイ~ラジオ毎週聞いてるよ…」

 

「我が魔王、少し抑えて。」

 

一方、我が魔王だけは憧れのプロヒーローの存在に興奮し、目を輝かせて独り言を喋っている。

ヒーローを目の前にするといつもこうなってしまうのだが、雄英はプロヒーローが教師も担当している。ヒーローが当たり前にいる環境で我が魔王は平常心を保てるのか今から心配だ。

 

「入試要項にもある通り!リスナーにはこの後!10分間の模擬市街地演習を行ってもらうぜ!!」

 

模擬市街地での演習内容を箇条書きに纏めるとこの様になる。

・エリア内には仮想敵というロボットがかなりいる。

・彼らは1P,2P,3Pの3種類がおり、彼らを行動不能にすればそのポイントが自分の物になる。

・この入試では合計のポイント数を評価する。

とのことだ、おや?プリントには仮想敵が4種類書かれているようだが…

 

「質問よろしいでしょうか!」

 

「OK」

 

プリントの件を首を傾げて考えていたところ、メガネを掛けた真面目しそうな少年が挙手をして声を上げた。

 

「プリントには4種のヴィランが書かれています!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!我々受験者は規範となるヒーローの指導を求めこの場に座しているのです!」

 

どうやら、我々が疑問に感じているところを質問してくれたそうだが、真面目過ぎるのだろうか?言葉がかなり堅苦しい。少々言いすぎだ…

 

「ついでにそこの縮れ毛の君!先程からボソボソと…気が散る!物見遊山のつもりなら即刻!ここから去りたまえ!!」

 

おっと、何故か我が魔王に飛び火してきたな…これは許せん…

 

「我が魔王に向かって無礼だぞ!」

 

「魔王!?君は何を言いているんだ?」

 

私は彼に対して即反論することにした。

 

「確かに我が魔王の独り言で少々迷惑をかけてしまったかも知れないが、それだけで数年にも及ぶ努力を否定するのはいただけないな…少なくとも私含めここに居る者達は何年も勉強や特訓をしてきた筈だ。ここに来た者を物見遊山と決めつけて否定する権利など誰にもない。増してや我が魔王に対して…その非礼、即刻詫びて欲しいものだね…」

 

「すまなかった…」

 

「こちらこそ、ごめんなさい…」

 

自分が失礼なことをしてしまったと、メガネの少年が詫びを入れて我が魔王も独り言で邪魔してしまったと謝り、この場は何とか収まった。

 

「OKOK,ちょっくら言い過ぎたとこはあったがナイスなお便りサンキューだ。4種目の敵は0P、云わばお邪魔虫。各会場に1体!所狭しと暴れまわっているお邪魔虫よ!倒せないことはないが、倒しても意味はない。リスナーにはうまく避けることをお勧めするぜ。」

 

さて、例のプリントにいる4体目の仮想敵だが彼を撃破しても意味はないそうだ。

ただし、我々の邪魔はしてくるそうだ…

多分私や我が魔王、後となりにいる爆豪君の様に強い力を持つ者ならば撃破してしまった方が早い気もするな。

 

「俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校の校訓をプレゼントしよう…かの英雄、ナポレオンは言った…真の英雄とは!人生の不幸を乗り越えてゆく者と!さらに向こうへ…Plus Ultra!」

 

ということで説明を終えて、我々は指定された会場に向かう。

私と我が魔王は受験番号こそ近かったが、会場は別であった。

恐らく同じ学校の者同士で協力するのを防ごうということだろう。

 

「では、健闘を祈っております。我が魔王」

 

「うん、ウォズ君も頑張ってね!」

 

「勿論です。」

 

ということで私も演習場に向かうバスに乗って、指定された場所に向かうのであった…

 

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入試の演習場には既に多くの受験生が集まっており、ウォズもその中にいた。

 

(我が魔王の覇道をお支えするだけでなく、私自身の憧れに近付くため…この入試、本気で行かせてもらおう…)

 

『ウォズ!』

 

他の受験者よりも演習場に近付きつつ、ビヨンドライバーを腰に巻きながらウォズミライドウォッチを起動する。

 

『アクション!』

 

ドライバーを開けて、起動したウォッチを取り付けて開けば、彼の背後にウェアラブル型の時計を模したエフェクトが現れる。その光景に周囲の受験生からの注目も集まる。

 

「変身」

 

『投影!フューチャータイム!』

 

ライドウォッチを装填していたスロットを起こす様にして閉じれば、ミライドウォッチに描かれた戦士の姿がベルト内部に投影され、ウォズの身体が緑色の光に包まれる。

 

『スゴイ!ジダイ!ミライ!仮面ライダーウォズ!ウォズ!』

 

その光は銀と黄緑色の鎧となり所々に腕時計のバンドの様な意匠が取り付けられる。後ろの時計から現れた"ライダー"の文字が複眼となってその顔に装着され、新たな仮面ライダーの変身が完了する。

 

「祝え!過去と未来を読み解き、正しき歴史を記す預言者!その名も仮面ライダーウォズ!新たなる歴史の1ページである。」

 

「なんであいつ、自分で祝ってるんだ…?」

 

その変身にウォズ自身が祝辞を述べれば、近くにいた金髪に黒い稲妻の様なメッシュが入ったチャラそうな少年がツッコミを入れる。

 

「はい、スタート!」

 

その時、突然プレゼントマイクによって試験開始が宣告された。

 

「どーした!?実戦にカウントダウンなんざねえんだよ!走れ走れ!賽は投げられてんぞ!ほら、既に何人かスタートしてるぜ!」

 

カウントダウンから戦いが始まるのなんて、格闘技では当たり前だが、ヒーロー達の戦いではありえない話だ。多くの受験生が反応できずスタートを切れていない中、ウォズは既に演習場内に向かって走っていた。

 

『ジカンデスピア!ヤリスギ!』

 

ジカンデスピアを手に持ち、槍状にすれば早速目に入った仮想敵の首を突き、その機能を停止させる。

 

「俺達も行かねえとッ…!」

 

先程の金髪の少年を含めて、他の受験生達も演習場内に流れ込んでくるがその間にもウォズは、自分に集まってきた仮想敵達を次々と槍の刃先で切り裂いていく。

 

『カマシスギ!』

 

「君達の命、10秒で刈り取ってしんぜよう。」

 

更にやって来る3体の仮想敵に対して、ウォズはジカンデスピアをカマモードに変形させ、まずは先頭の敵に振るえば、その胴を切り裂き上半身と下半身を真っ二つにする。

2体目がウォズに殴りかかろうとすれば、今度はその腕をジカンデスピアを用いて切り裂き、胸部を蹴って突き飛ばす。吹き飛ばされて壁にめり込んだ仮想敵も機能を停止させてしまう。そして、最後の一体が自身に迫れば、カマを敵の股下に突き出してから、一気に上げることで、その身を一刀両断。

 

「さて、この辺の敵は他の者に譲ってやるとしよう…」

 

演習場の入り口付近のエリアには、既に多くの受験生がおり、やって来た仮想敵も彼らによって次々と撃破されている。

その様子を見てか、誰もいないエリアの敵を狙った方が競合が少なくポイントを稼げると判断したウォズは新たなミライドウォッチを取り出す。

 

『シノビ!』

 

『投影!フューチャータイム!』

 

『誰じゃ?俺じゃ?忍者!』

 

『フューチャーリングシノビ!シノビ!』

 

ビヨンドライバーのミライドウォッチをウォズからシノビに付け替えたことで、仮面ライダーシノビの力を持つ仮面ライダーウォズ・フューチャーリングシノビに姿を変える。

 

「それじゃあ、サラバーイ」

 

この場に居る者達に別れを告げると、ウォズは忍者の様に高速でこの場から去り移動していく。

演習場内を駆け回りつつ、何体かの仮想敵を見つけ次第切りつけながら、多くの仮想敵が集まるエリアに到着した。

 

「ここが穴場か…」

 

他の受験生がいないエリアで、ウォズは大量の仮想敵を見つけて、カマモードになったジカンデスピアを構える。

 

「いざ、勝負!」

 

目にも止まらぬ速さで敵に近付き、鎌を振るい次々と敵を切っていく。

仮想敵達は自身がウォズを補足する前に、身体を切られて機能を停止し、彼の姿を捉えて攻撃を仕掛ける者も高速で動く彼に躱されてから体の各部を切られてシャットダウンしていく。

 

「この数なら、一網打尽にしてしまった方が良いだろう…」

 

運が良いのか悪いのか、彼が降り立った場所には受験生こそ少ないが多くの仮想敵がおり、ウォズは10体以上の仮想敵に囲まれてしまっている。

 

『クイズ!』

 

『投影!フューチャータイム!』

 

『ファッション!パッション!クエスチョン!』

 

『フューチャーリングクイズ!』

 

今度は仮面ライダークイズの力を模した仮面ライダーウォズ・フューチャーリングクイズに姿を変えると…

 

「問題。我が魔王の誕生日は7月15日である。〇か×か?」

 

仮想敵達に対してクイズの問題を出す。と言っても内容は出久の個人情報だが…

 

『マオウ…?ナニヲイッテイルンダ?』

 

『ナゼ、クイズヲダスンダ?』

 

人の言葉をしゃべれる様にプログラムされた仮想敵達は言葉を発しつつも、問いに答えることなくウォズに襲い掛かる。

 

「残念。全員時間切れだ…」

 

すると、仮面ライダークイズの能力により、クイズに無回答だった仮想敵達の身体に大量の電気が流れ、内部の回路が焼かれてしまう。

 

「ちなみに正解は〇だ。流石仮面ライダークイズの力だ…」

 

自分が出したクイズに不正解だった者や無回答の者に電撃で攻撃する仮面ライダークイズの力に感心しつつ、ウォズが他の仮想敵を倒そうとしたその時だった。

 

「おや?あれは…」

 

「に、逃げろー!」

 

「デケエのが来るぞ!」

 

これまでの仮想敵とは一線を画する、巨大な体を持つ仮想敵が現れ、受験生達に迫っていた。

 

「例の0Pか…」

 

逃げる受験生達とは逆方向に走り、ウォズは巨大な仮想敵に向かっていく。

 

「おい!大丈夫かよ!」

 

「足が…」

 

ウォズがその場に着いた頃、先程の金髪の少年が倒れていた別の受験生の方を担ぎその場から逃がそうとしていた。もう1人の受験生は恐らく足を挫いてしまったのだろうか…上手く歩けないようだ。

 

「危ない!」

 

だが、その2人の背後から巨大敵の拳が迫っていた。

 

『キカイ!』

 

『投影!フューチャータイム!』

 

『デカイ!ハカイ!ゴーカイ!』

 

『フューチャーリングキカイ!』

 

咄嗟にウォズはキカイミライドウォッチを使って、仮面ライダーウォズ・フューチャーリングキカイに姿を変えれば、飛び上がって彼らに迫る敵の拳に自身の拳を打ちこむ。

 

「ええっ!?」

 

ウォズのフューチャーリングの中でも特に高火力なキカイのパンチにより、巨大敵の手を形成する鉄板がへこんでしまう。だがそれだけでなく、ウォズの放ったパンチの衝撃で肘と肩の関節部を形成する金属パーツが悲鳴を上げた。肘関節は押し潰れ、肩関節は千切れて脱臼したかのように外れてしまい、巨大な右腕が使い物になる無くなってしまった。

 

「今のうちに逃げたまえ!」

 

「ああ、サンキューな!」

 

負傷者を金髪の少年に任せて、ウォズは仮想敵に向き合う。

 

「さてと、私の力を試すための犠牲となっていただこうか…」

 

『ヤリスギ!』

 

右手にジカンデスピア・ヤリモードを持ったウォズが敵に向けて駆けていく。

 

(まずはキャタピラを…)

 

仮想敵の脚変わりとなっている戦車の様なキャタピラの前で、背中からロボットアームを伸ばせば、左側のキャタピラに突き立てて動きを止めさせると、ジカンデスピアのタッチパネルを操作する。

 

『フィニッシュタイム!』

 

『爆裂DEランス!』

 

すると槍の刃先から赤い光が放たれ、仮想敵の右側のキャタピラ部を一気に切り裂いた。

 

「これで動けなくなったな…」

 

巨大敵の進撃を止めたウォズは一度引き下がりながら、ビヨンドドライバーを一度開いてから再び閉じる。

 

『フィニッシュタイム!』

 

すると、背中から伸びたロボットアームの先に倒された仮想敵のパーツが集まり、巨大な機械の腕になると…

 

『フルメタルブレイク!』

 

ウォズのパンチを撃つ動作に合わせて、その腕が巨大敵の胸部にパンチを放つ。

 

「これで終わりだ…」

 

その拳は巨大敵の胸を貫き、敵の身体は炎と煙を各部位から出しながら崩れていく。

 

「私はこれで問題ないだろうな…さて、あとは我が魔王の結果を待つだけだ。」

 

倒れていく仮想敵を背に、ウォズは満足気に出口に向けて歩いていく。

それと共に試験終了のアナウンスが流れる。

彼の中では倒した敵のポイントはある程度計算されており、既に合格圏内という確信を持ちながら去っていく。

彼が気になっているのは出久の試験の様子だ…

彼もしっかり仮想敵を倒して合格できるのか、そのことを気にかけながら他の受験生よりも一足先に演習場から校舎に戻るのだった…




出久の試験の様子は次回のお楽しみに!
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