我が魔王は緑谷出久!?   作:夢野飛羽真

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合宿が本格的に始まって参りました。
映像見てると、かなりきつそうだなと感じます。


第51話 林間合宿

「個性を伸ばす…?」

 

合宿2日目の早朝

未だに眠そうな様子のB組生徒達だが、朝日を浴びながらブラドキングに連れ出されて体操服を着て外に出ていた。

 

「A組はもうやってる!早く行くぞ!」

 

なお、B組が起きる1時間前にはA組は訓練を始めており、自分達も早く始めるぞとB組の担任であるブラドが進み出す。

 

「前期はA組が目立ってたが、後期は我々B組の番だ!良いか?A組ではなく我々だ!」

 

(先生…!不甲斐ない教え子ですまねえ!)

 

1学期はUSJや保須でヴィランとの戦闘を経験したのも、体育祭で結果を残したのもA組という形になり、多くのB組メンバーやブラド自身もA組に対抗意識を燃やしている。そんな中、結果を残しきれていないと感じる鉄哲達は申し訳ないという気持ちからか涙を流している。

 

「突然個性を伸ばすと言っても、20名20通りの個性があるし…何をどう伸ばすのか分かんないんですけど!」

 

「具体性が欲しいな。」

 

この場にいるB組生徒20名や、そこに加えてA組の21名の個性で似ているものはあれど、性質や特性は全く違う。全員で同じトレーニングをして各々の個性を伸ばすということは、不可能に近いだろう。

 

「筋繊維は酷使することにより壊れ、強く太くなる。個性も同じだ!使い続ければ強くなり、使わなければ衰える…即ち!やるべきことは1つ!限界突破!!」

 

ブラドに連れられたB組メンバーが目にしたのは、個性を酷使するための壮絶な訓練を受けるA組生徒達であった。

 

「うおおおおおお!!ああ!!」

 

まず目の前に入るのは、ドラム缶風呂の中にある熱湯に手を突っ込んだ後に、天に向けて大爆破を放つ爆豪の姿だ。熱湯で手を暖めることで汗腺を拡大させてから爆破を放ち、どんどん爆破の規模を大きくしていくという特訓だ。

 

「はぁ…はぁ…」

 

その横では、轟がドラム缶風呂の中に入って氷と炎を交互に放っている。

これは炎と氷それぞれの個性に体を慣らすことで、同時使用ができることを目指していく。

他にも上鳴や瀬呂、芦戸や青山などは自身の個性を出し続けていくことで、長時間の使用に耐えうる身体作りをしていたり、砂藤、八百万、峰田らは個性を連続で使い続けて効果時間の増幅などを狙っている。

また、自身の個性を使うのにより適した体作りをするため、体の一部を多く使う特訓をする者もいる。

 

「もっと来い!」

 

さらに、切島と尾白はそれぞれ、自身の硬化した腕と尻尾をぶつけ合っての強化をしていたり、気配を消す葉隠を障子が自身の個性で索敵することで、それぞれの長所を伸ばす特訓も行われている。

 

「なんだ…この地獄絵図…」

 

「許容上限のある発動型は、上限の底上げ。異形型、その他複合型は個性に由来する部位のさらなる鍛錬。」

 

目の前に広がる地獄のような光景に、B組生徒の1人である鱗は魂が抜けたかのように真っ白になってしまう。

 

「通常であれば、肉体の成長に合わせて行われるが…」

 

「まあ、時間が無いんでな。B組も早くしろ。」

 

相澤の指示で、B組の生徒達も特訓に加わる。

約40名の特訓をしっかりとサポートできているのは、合宿所の提供も行っているプッシーキャッツのお陰とも言える。

ラグドールのサーチで生徒各々の情報を把握し、ピクシーボブの土流で鍛錬のための場所を自由自在に形成。マンダレイは個性のテレパスで多人数にアドバイスや指示を的確に送り、増強型の個性の生徒は虎と共に筋力を上げる特訓だ。

彼ら4名の合宿への参加は、短期で多人数の生徒の持つ力を底上げするのに最適なことであった。

 

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「まだまだこんなものかい!」

 

さて、合宿2日目の午前中だが、私と我が魔王は殆どの時間を組み手をして過ごしていた。

 

「まだまだ!」

 

『ヘイ!アギト!デュアルタイムブレーク!』

 

『ニードルヘッジホッグ!』

 

ジオウ・ディケイドアーマーに変身した我が魔王がライドヘイセイバーから放ってくる黄金の斬撃に対し、フューチャーリングセイバーの姿に変身中の私はファイヤソード・レッカからハリネズミの針を模したエネルギーを放って相殺する。

 

『ストームイーグル!』

 

そこに私は間髪入れずに剣から炎を含んだ竜巻を放ち、我が魔王を吹き飛ばす。

 

「一度休憩にしようか。」

 

私が我が魔王から一本取ったところで、我々の特訓の内容について話そう。

実は私はこの合宿で2つのミッションを抱えている。

一つはオールマイトからの依頼なのだが、ワンフォーオールの中に眠る過去の継承者の個性の開放だ。

以前にオールマイトのお師匠の個性が我が魔王に発現したが、それよりも前の継承者の個性も発現する可能性がある。オールマイトからは6代目継承者の"煙"と言う男が持つ煙幕の個性と5代目継承者の"万縄大悟郎"と言う男の個性黒鞭に関する情報が提供され、合宿でどちらかを発現できるように彼から頼まれている。

 

「合宿はまだ数日ある。落ち着いていこう。」

 

「うん、無茶して体壊しちゃったら元も子もないもんね。」

 

今は焦るべき時ではないし、我が魔王が出せているワンフォーオールの出力自体は上がってきている。

 

「さて、今は夏だ。水分と塩分の補給を忘れてはいけないよ。」

 

「うん!」

 

1度我々は変身を解除し、水と塩分チャージを口に運ぶ。

 

(さて、問題はもう一つのミッションだ。)

 

この合宿での目的として、私自身の戦闘能力の強化もあるが、もう1つのミッションが難関だ。

それは、グランドジオウへの覚醒だ。全てのライドウォッチも揃えてあるし、我が魔王はジオウトリニティにまで到達できている。そろそろその力を得ても良い頃だろう…

この合宿中に、ワンフォーオールとの相乗効果でよりライダーの力を引き出し、グランドジオウを誕生させる。それが私の目標の1つだ。

 

「そういえば昨日の入浴後のことだけど、洸汰君の体調はどうだったのかな?」

 

「落下したショックで気を失ってたみたいだね。それと…マンダレイから聞いたよ…洸汰君の事情のこと…」

 

昨日の入浴時に転落してしまったあの少年だが、我が魔王とマンダレイがしっかりと介抱してくれたようだ。それに加え、我が魔王は洸汰君がヒーローを嫌う理由をマンダレイから聞いたようだ。

 

「洸汰君の両親、プロヒーローだったんだって…けど、ヴィランとの戦いで命を落としてしまったみたいで…」

 

「両親の死がトラウマに…?」

 

両親が亡くなってしまっているということが、今マンダレイの下に居てこの合宿所にもいることにつながってくる。両親を失ったから、今こうして親戚のマンダレイが親代わりになっているということか。

 

「それもだけど洸汰君の両親が死んだ時、命を賭けて戦ったことを世間が称えたのも引っかかってるのかも…」

 

「名誉の死、という扱いをされてはいたが、洸汰君自身からすれば悲しい出来事。世間の反応とは違い、悲しみを抱えることになっていただろうね。その違いというところも、彼がヒーローを嫌う理由につながっているのかもしれないね。」

 

世間が洸汰君の両親に投げかけた名誉の死という言葉、それは洸汰君の心を慰めるのには繋がらなかったのだろう…

 

「そう…かもね…どうすれば洸汰君、もっと笑ってくれるようになるかな…?」

 

自分達の近くにいる少年がずっと笑顔を見せてくれないことは、誰にとっても辛く悲しいことだ。

 

「だったら、君が彼にとってのヒーローになればいいさ。オールマイトの様なね…」

 

「そうだね…そのためにも、特訓!頑張ろう!」

 

「良い心構えだね。」

 

洸汰君の心を救えるようなヒーローになる。その目標のために再び我が魔王はファイティングポーズを構える。それに応えて休憩を終え、再び組手を再開するのであった。

 

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そして、特訓をしている間に夕方となり、夕飯の時間になったが…

 

「さあ、昨日言ったね!世話焼くのは今日だけって!」

 

「己で食う飯ぐらい己で作れー!」

 

「カレー!」

 

机の上に置かれているのはニンジンやジャガイモ、玉ねぎにお肉に米等と調理前の状態の材料しかなかった。プッシーキャッツからの指示と言うのは、夕飯は生徒達で自炊しろと言うものであり、訓練後の生徒達はかなりテンションが低い。

 

「全員全身ブッチブチ!だからって雑な猫まんまは作っちゃだめね!」

 

「確かに…災害時など避難先で消耗した人達の腹と心を満たすのも救助の一環…!流石雄英!無駄がない!」

 

疲れているからと雑な食事を作ってはいけないというラグドールの言葉を、飯田は教師陣にとって都合の良いように解釈する。どんな指示に対してもネガティブに考えないということは、良い心がけである。

 

「世界一美味いカレーを作ろう!皆!」

 

(飯田…便利!)

 

言ったことをポジティブに捉え、生徒達を鼓舞する飯田に対し、彼のお陰で指示が通りやすいと内心喜ぶ相澤であった。

 

「轟~こっちにも火頂戴!」

 

かまどの火を燃やすのは、主に轟が担当している。

個性で火をつけることが出来るので、災害時に飯を作ったり、人を暖めることが出来る。

 

「皆さん!人の手を煩わせてばかりでは、火の起こし方も学べませんわよ!」

 

(ええ…)

 

轟にばかり頼っているクラスメイト達を注意する八百万だが、ちゃっかり彼女もチャッカマンを創造し、文明の利器を活かして火を付けている。

 

「いや、良いよ。」

 

「うわー!ありがとう!」

 

だが、轟は皆の役に立てているのが嬉しいのか、積極的に火を付けに行っている。

 

「燃やし尽くせ~!」

 

「尽くしたらアカンよ。」

 

こうして共同で1つものもを作るのが初めてだからか、轟は嬉しそうに笑って他のかまどに火を付けに行く。

 

「私も負けてはいられないね。」

 

「だな!」

 

一方、ウォズと爆豪は彼らを横目に玉ねぎを切っていた。

ウォズは玉ねぎをくし切りに、爆豪はみじん切りにそれぞれ切っていく。

ちなみに、みじん切りの玉ねぎはルーに溶かして旨味を増させるために用意されている。

 

「あの~2人共いっぱい玉ねぎ切ってくれててありがたいんだけど、なんで変身してるの?」

 

だが、そんな2人は出久が指摘しているように、それぞれ仮面ライダーゲイツとウォズに変身中だ。

 

「決まっているだろう?」

 

「「ゴーグルの代わりだ。」」

 

玉ねぎを切る際の目への刺激を嫌がったウォズは爆豪に提案し、2人共変身して眼を守っている。

ライダーのまさかの使い方に、出久はやや困惑している。

 

「そういうことなら、B組のも頼んでいい?」

 

「任せたまえ。」

 

「切り尽くしたるわ!」

 

すっかりノリノリな爆豪とウォズは、拳藤に頼まれてB組の分の玉ねぎも切っていくのであった。

 

「「「いただきまーす!!」」」

 

紆余曲折を経て完成したカレーだが、訓練と料理で空腹の生徒達の口に勢いよく運ばれていく。

 

「店とかで出したら微妙かも知れねえけど!この状況も相まってうめー!」

 

「野暮だな!」

 

玉ねぎのみじん切りを入れたおかげで多少美味くはなっているが、お店で作られるものと比べるのは野暮なレベルだ。だがそれでも、空腹の雄英生のスプーンはかなり速いスピードで進んでいく。

 

「ヤオモモガッツくねー!」

 

元気の良い男子たちに負けないレベルで、八百万もカレーを食べ進めており、蘆戸がそのことに気付く。

 

「ええ、私の個性は脂質を様々な原子に変換して創造するので、沢山食べるほど沢山出せるのです。」

 

「うんこみてえ…」

 

「「謝れ!」」

 

「スイマセンッ…!」

 

八百万の個性の性質を、カレーを食べてる最中にも関わらず大便と揶揄してしまった瀬呂。

落ち込んだ八百万はその場にうずくまり、瀬呂には耳郎のパンチとウォズのキックが突き刺さる。

 

「……」

 

そんな中、皆が食事をとっている場所から少し離れた崖の上で、洸汰が腹の虫を鳴らしながら佇んでいた。

 

「お腹、空いたよね?これ食べなよ、カレー。」

 

「テメー!何故ここが!」

 

洸汰しか知らない秘密の場所に、出久がカレーを持って現れる。

 

「ゴメン、足跡を追って…ご飯食べないのかなって?」

 

「いいよ、要らねえよ!言っただろ、ツルむ気はねえって…俺の秘密基地から出てけ!」

 

自身のテリトリーに勝手に入ってきた出久を追い出そうとする洸汰。

 

「秘密基地か…」

 

「フン!個性を伸ばすとか張り切っちゃってさ!気味悪い!そんなにひけらかしたいのかよ!力…」

 

洸汰の言葉にどう返すべきか悩んだ出久であったが、再び言葉を紡いでいく。

 

「違うよ…僕は確かに強い人、オールマイトに憧れてたけど…ヒーローを目指しているのは、自分の力をひけらかしたいからじゃないんだ。」

 

「だったら、何なんだよ!」

 

「"誰かを救いたい"、それが僕がヒーローになりたい理由だよ。最初はオールマイトへの憧れだったけど、今はその気持ちに変わってる。」

 

オールマイトに憧れ、ウォズから仮面ライダーの歴史を教えられ、これまでの戦いを経ていくうちに"ヒーローの王"となって多くを救いたいという夢ができた。

そのためにも、出久は今日も合宿に励んでいる。

 

「…」

 

「ほら、カレー食べなよ。お腹、空いてるでしょ?」

 

洸汰は個性を持ってヒーローやヴィランなどと言い、殺し合いをする彼らを憎んでいた。

だが、力を振り回すことではなく、誰かを救うために強くなろうとする出久の言葉を聞き、その心が揺らぎ返す言葉が出なかった。その時、不覚にも腹の虫が鳴ってしまい、出久からカレーを勧められる。

 

「食ってやるからあっち行ってろ!」

 

「う、うん…」

 

一先ず、洸汰の腹を満たすことはできたということで、出久は彼の言う通りこの場から引き下がることにした。

 

「ったく!なんだよ、アイツ…」

 

そんな出久の方を見て、洸汰は大人しくカレーを食べ始めるのであった。

 

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「ん~ていうかこれ嫌、かぁいくないです。」

 

「裏のデザイナーが設計したんでしょ?見た目はともかく、理にはかなってるでしょ。」

 

一方、別の場所から合宿地の森を見つめる者が何人もいた。

マスクと付けて学生服を着た男女がおり、男の方はマスタード、女の方はトガヒミコと言う名前である。

 

「そんなこと聞いてないです!可愛くないです!」

 

「はあ~い、おまた~」

 

「シゴト…シゴト…」

 

自身のコスチュームに不満を唱える彼女の下に、角材の様な四角い棒状の鉄を持ったオカマのマグネや、刑務所の拘束服に身を包んだムーンフィッシュと言う男がやってくる。

 

「これで6人。」

 

「どうでも良いから早くやらせろぉ…!ワクワクが止まんねえよ!」

 

体の各部に火傷跡や継ぎ接ぎのある男の荼毘がこの場にいる人数を数え、フードを被りマスクを付けた男が早く戦いたいとばかりに拳の骨の音を鳴らす。

 

「黙ってろ、イカレ野郎共。まだだ、決行は隊長含めて10人全員揃ってからだ。チンピラを寄せ集めただけで経験は浅い。オーマショッカーの野望を叶えるなら、もう少し時を待ち、統率を取ってやらなければいけない…」

 

荼毘も自身の中に野望を秘めているが、その達成には自身が属するオーマショッカーが大きくなることが1番の近道と考えており、そのためにもしっかりと今回の計画も成功させようと考えている。

 

「その通りだ。お前は物分かりがよくて助かるよ…荼毘。」

 

すると彼らの横に黒い靄が現れ、その中から死柄木弔が現れる。

 

「先生は言った。新たな仮面ライダーが生まれようとしている。俺達はその女を捕えて先生の下に連れていき、その力を奪う…」

 

『ジオウⅡ…』

 

死柄木はその手にアナザージオウⅡウォッチを握りながら、その計画をメンバーに話していく。

ウォズがI・アイランドで見た新たなライダーの予兆。それを感じ取ったオーマショッカーのボスがそのウォッチを死柄木に託し、その新たなライダーの因子を摘み取りに来たのだ。

 

「決行は明日。さあ、暴れようか…」




次回はとうとう来てしまいました…合宿の襲撃パート
因みになんですが、ステインが保須でウォズと出久に言い返されてしまったことで、スピナーがオーマショッカー(ヴィラン連合)に入るルートがなくなりました。
その代わり死柄木が襲撃に参加します…
そしてそのターゲットは…
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