我が魔王は緑谷出久!?   作:夢野飛羽真

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今回で神野編終了です!
少し短めです。


第59話 神野の夜明け

「中々やるねぇ…」

 

ジオウ達が神野で戦いを繰り広げている間、転送された森でオールフォーワンもディケイドに追い詰められていた。

 

「当然だ。」

 

ディケイドはハイパームテキエグゼイドにカメンライドしており、オールフォーワンが繰り出す数々の個性による攻撃を全て凌ぎきるどころか、パンチやキックを次々と浴びせてダメージを与えていた。

 

「だが、ここで負ける気はないよ!僕の物語はまだまだ終わらない!」

 

オールフォーワンは自身が他人から奪ってきた個性をいくつか発動し、右腕を巨大化させ、そこから鉄の骨の様なものを生やす。

 

「ここで君を叩き潰してしまえば良いだけだ!」

 

その腕を使って叩き潰すかのように振り下ろすが、その巨大な腕に向けてディケイド・ハイパームテキエグゼイドがパンチを撃てば、その腕の筋繊維が次々と断裂していき、ドリルの様に生える鉄の骨が次々と折れていく。

 

「…ッ!」

 

ハイパームテキによって今のディケイドの能力はかなり上昇しており、彼の放つパンチによってオールフォーワンの右腕は内出血して青紫色になっていた。

 

「オールフォーワン!」

 

このままオールフォーワンとしては、撤退をして死柄木らと合流しようと図ったが、そこに黒霧が現れる。

 

「死柄木弔がッ…!やられました!」

 

「なるほど…どうやら、ここで戦っている場合ではないみたいだね。」

 

死柄木弔の敗北という報を受け、これ以上戦うのは意味がないと思い、オールフォーワンはすぐに撤退することを選んだ。

 

「待て!」

 

そう簡単には逃がすまいと、ディケイドが駆けるが、オールフォーワンは黒い霧の中に消えていく。

 

「俺も、アイツらのとこに戻るか…」

 

オールフォーワンは黒霧の手によってこの場から去り、彼を逃してしまった士も一度出久達のいる場所に戻ることにした。

 

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「オールマイト!」

 

死柄木弔との戦いを終えた出久達は、力を失いトゥルーフォームの姿を晒してしまっているオールマイトの下に駆け寄った。

 

「緑谷少年…爆豪少年…それに、ウォズ少年まで…まさか君達が来るとは思わなかったよ…」

 

「ご、ごめんなさい…勝手に来てしまって…」

 

「いいや、良いんだ。君達が居なければ私達は…」

 

この場に仮面ライダーである出久達が居なければ、八百万の救出やアナザージオウⅡの討伐は果たせなかった。その事実をオールマイト始めこの場にいるプロヒーロー達は重々承知しており、誰もオールマイトの言葉を否定しない。この戦いへの勝利の賛辞と言う意味合いもあってか、この場にやって来た出久達のことを誰一人として責めない。

 

「空彦、俊典、久しぶりだね。」

 

「お、お師匠!?」

 

「その声は、志村か。」

 

そんなオールマイトと、グラントリノの傍に志村奈々の精神体が憑依した仮面ライダーゴーストが歩み寄る。

 

「何故、あなたが…」

 

「それはきっと、彼が今度説明してくれるはずさ。」

 

「ええ!?ぼ、僕ですか!?」

 

出久自身が歴代継承者と話せるようになったり、彼らがグランドジオウの力で召喚されたライダー達に憑依して戦えることなど驚くべきことは多い。

そういったことの説明は後々出久に任せることにし、志村自身は自身の親友や弟子との再会を喜ぶことにした。

 

「お師匠…私は…」

 

「うん、よく頑張ったよ!」

 

自らの師である志村からの言葉に、オールマイトは目を潤してしまう。

 

「俊典、今までよくやってくれたよ…昔お前が言ってた平和の象徴に、なれたんじゃないかな…?」

 

「はい!」

 

これまでのオールマイトの活躍を称えるように、志村ゴーストがオールマイトの頭の上に手を置く。

 

「それと出久。」

 

「は、はい!」

 

「これからは君が歴史を築くんだ。きっと今日、世間に示せたよ"君が来た!"ってね。」

 

「はい!全力で頑張ります!」

 

志村の言葉に、出久は力強く頷く。これからの時代を担う覚悟は、既に出久達の中で出来上がっていた。

 

「うん!その意気だ!俊典、それに空彦も彼のことしっかり育てるんだよ!」

 

「はい!お任せください!」

 

「ああ、任せろ。」

 

「良い顔だ。」

 

自身の言葉に頷くオールマイトとグラントリノの姿を見て、満足気に志村ゴーストは黄金の粒子となって姿を消す。煙ビルドも彼女に続くように、姿を消す。

 

「死柄木弔は確保した。他に何かするべきことはあるか?」

 

「まずは、5本の指で触れられないようにだけ注意しなければ…個性を使われないように拘束しないとね。」

 

一方その頃、ウォズはシンリンカムイと共に彼の個性で死柄木の捕縛を行っていた。

 

「後は何かしておくべきことはあるか?」

 

「アナザーウォッチの確保だ。彼が怪人になるのに使ったものだ。」

 

「時計型の物体か。確かそれは…」

 

地面に転がっているアナザージオウⅡウォッチの存在に心当たりがあったギャングオルカが、周囲を見渡す。

 

「あれか!」

 

そして、シンリンカムイがアナザーウォッチを見つけてそちらに向かっていく。

 

「悪いけどそれは、君達には渡さないよ。」

 

だが、その周囲に黒い靄の様なものが漂い、その中からオールフォーワンが現れる。

 

「オールフォーワン!?」

 

その姿にオールマイト達も驚きつつ、ファイティングポーズを構える。

 

「今回は君たちの勝ちだ。だが、いつか僕自身が最低最悪の魔王となり、この世を支配する!その時を楽しみに待つんだね。」

 

オールフォーワンは、ディケイドとの戦闘で負ったダメージもあり、ヒーロー達の前に長居する選択肢を選ばなかった。怪我をしていない左手の方で地面に落ちているアナザージオウⅡウォッチを回収すると、すぐに黒霧の中に消えていく。

 

「待て!」

 

すぐに出久が追おうとするが、既にオールフォーワンは黒霧のワープによってこの場から去る。

 

「逃げられたか…」

 

「だが、敵の幹部1名は捕縛できた。それだけでも十分な成果だ。」

 

「ああ、戦いはこれからも続くだろうけどね…」

 

オールフォーワンはアナザーウォッチの回収だけを行ったことで、一瞬での撤退をすることが出来た。だが、それはつまり死柄木のことを見捨てたということだ。ヒーロー側にはグランドジオウがいるのに対し、自分は腕を負傷している。"二兎を追う者は一兎をも得ず"と言うことわざ通りの展開になりかねない状況だった。

これからもヒーローとオーマショッカーの戦いは続くことになるが、死柄木弔の確保にこぎつけれたのは1つの勝利とも言えるだろう…

 

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「八百万君!」

 

「ヤオモモ!」

 

戦いの決着が着いた頃、ウォズに助け出されて警察に保護してもらっていた八百万の下に、飯田、切島、轟の3人が駆け付ける。

 

「飯田さん!?それに切島さんに轟さんまで…何故ここに?」

 

「おめーを救けに来たんだ!」

 

「つっても、俺らはほぼ待機して終わっちまったが。」

 

出久達と共に神野にやって来た切島達であったが、彼らはディケイドこと門矢士からの戦闘許可が出ず、遠くから戦いを見守るしかできなかった。とは言え、プロヒーローでも仮面ライダーでもない3人が参戦していても、かなり厳しい戦いになっただろう。

 

「そうだったんですね…けど、ウォズさん達が来てくれて…私…」

 

八百万としてはクラスメイトが来たことに対する驚きよりも、こうして敵から解放してくれた感謝の気持ちが大きく、目を潤わせる。

 

「それより、ヴィランになんか変なことはされなかったかい?」

 

ここで飯田はふと、彼女の身に何かされていないか心配になって問いかける。

 

「緑谷さん達が使っている時計のようなものを体に押し付けられたりしたぐらいで特には…?」

 

「本当にそれだけか?」

 

「ええ、その時計のようなものも変化はありませんでしたわ…」

 

八百万の中に芽生えつつあった仮面ライダーの力を奪おうと画策したオーマショッカーであったが、彼女の話から察するにウォッチを使ってその力を奪おうとしたが上手くはいかなかったようだ。

そこから、八百万自身とGPSを神野に残していたのは、彼女の存在に興味がなくなったのか、オールマイトらを誘き寄せる罠に転用しようとしたのか、その意図はオーマショッカーのみぞ知ることだ。

 

「警視庁の塚内だ。君が八百万君だね?」

 

「ええ、そうですが…」

 

「無事で何よりだよ。今から一度病院に行ってもらって、そこで手当てや検査を受けてもらうことになる。しばらくはそこで保護させてもらう形になるよ。親御さんにも連絡させてもらったよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

誘拐されてから救出されたものの、この後も大変な出来事は幾つか付き纏う。

メディアからの注目も受けるし、何よりオーマショッカーに捕らえられていた期間の心身のケアも必要だ。それ故に警察は病院で彼女を保護して回復させることにし、その処置に八百万は頭を下げて感謝の意を伝える。

 

「君達も、新学期でまた彼女と会えるだろうから、待っててあげてね。」

 

「ウッス!」

 

今回の事件の後処理で雄英も多くの手続きをすることになり、夏休み期間はそれで殆ど潰れてしまう。

クラスメイト達が再会を果たせるのは、恐らく2学期を迎えた時だろう。

雄英高校林間合宿でのオーマショッカーによる襲撃と八百万百の誘拐事件、そして神野での八百万救出作戦。

その結果として、オーマショッカーから誘拐された八百万を救出でき、幹部であるアナザージオウⅡこと死柄木弔の身柄を拘束することが出来た。

しかしながら、ヒーロー側も多くの損害が生まれてしまった。

プッシーキャッツは重傷者を2名出して活動休止、ベストジーニストもオールフォーワンによって深手を負い活動休止。そして、オールマイトは最後の力を振り絞ったことで、引退を余儀なくされていた。

だが、今宵世間は知ることとなった。台頭する新たな世代と、その中心で輝くヒーローの王の存在を…




次回から仮免取得編ですが、その前に少し休憩を挟みます!
今後の展開をどうするかとか改めてプロットやヒロアカ本編を見直す時間にしたいと思います。
次回まで期間は空きますが応援よろしくお願いします!
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