先生からも早く研究成果を出せと言われたので、頑張らねば…
「プロヒーローの職場に出向き、その活動に協力する職場体験の本格版、ヒーローインターン。昨日職員会議で協議した結果、校長はじめ多くの先生が"やめとけ"という意見でした。」
「「「えええ~!?」」」
「あんな説明会までして!?」
授業時間を丸ごと使って、インターンを推奨するような授業をしておきながら、反対が多いということに生徒からは驚愕と非難の声が上がる。
「でも全寮制になった経緯から考えたら、そうなるか…」
No.1ヒーローであるオールマイトの引退と、その原因となったオーマショッカーの台頭。
それは治安の悪化を招いており、雄英の全寮制も表向きは生徒を守るためとなっている。
そういった情勢から考えれば、15歳の1年生を現場に連れていくのは危険とも言えるだろう。
「が、今の保護下方針では強いヒーローが育たないという意見もあり、方針として、インターンの受け入れ実績が多い事務所に限り1年生の実施を許可するという結論になりました。」
「なるほど、行けるヒーローが限られるという訳か…」
つまりはインターン先として選べるヒーローが限られるということになる。
ただでさえ職場体験の伝手を使えなくなってしまったウォズと出久達からすれば新たな問題となる。
「で、どうするんだい?八百万さん?」
その後の休憩時間、インターンの行先について話し合うべくウォズは八百万の席に向かう。
「実は私、候補の人を見つけておりまして、受け入れ実績の方がどうかはあまりわからないのですが、この後連絡してみようと思っていますわ。」
「なら、早速連絡してみるとしよう。」
八百万はややフライング気味だが、既にインターンを申し込もうと思っているヒーローの目星を付けており、そのヒーローがインターン受け入れ実績があれば相澤達も送り出してくれるはずだ。
「あの、ウォズ君。少しいいかな?」
「どうしたんだい?我が魔王。インターンの相談かな?」
「それもあるんだけど、ちょっと見せたいものがあって僕の部屋に来てもらってもいいかな?後かっちゃんも。」
「勿論、構わないが。」
「俺も問題ねえ。」
そんなウォズと爆豪に、放課後部屋に来て欲しいと伝える出久。
インターンに関する話だけでなく、もう一つ要件があるようで、ウォズと爆豪は彼の申し出を了承する。
「では、そろそろ授業なので席に戻るとしよう。」
「また何かありましたらお伝えいたしますわ。」
ここで授業が始まる前であることを告げる予冷が鳴り、ウォズ達は自分の席に戻って行くのであった。
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「さて、用事というのは何かな?」
我が魔王に部屋に来て欲しいと言われた私と爆豪君は、放課後に彼の部屋に向かっていた。
「まずはちょっと、見せたいものがあってね。じゃあ、こっち。」
我が魔王に誘われるがままに部屋の中に入っていき、机の前に来るとそこには見たことのないライドウォッチが3つ並んでいた。
それらはそれぞれ、ウィザードランドスタイル、ゴースト・ビリーザキッド魂、ビルド・ラビットラビットフォームが描かれている。
「我が魔王、これらのウォッチは?」
「実はこれ皆、ワンフォーオールの歴代継承者の皆さんなんだ?」
「「ええ?」」
夏休みの林間合宿の際、我が魔王は2人の歴代継承者の精神体が見えるようになり彼らとコミュニケーションを取れるようになった。
当時、私と爆豪君もジオウトリニティに共に変身した際に彼らと意識空間の中で対話をしたことがある。
「前にジオウトリニティの中で会った奴らがなんでこうなってんだ…?」
「これらのウォッチが歴代継承者というのはどういうことかい?」
「そのことなんだけど…」
爆豪君と私の問いかけに我が魔王が応えようとした時だった。
『ロボットの中に私達の意識を移したのさ!』
ゴースト・ビリーザキッド魂のウォッチから、以前意識空間の中で話した7代目継承者の志村菜奈の声がしたかと思えば、3つのウォッチがそれぞれ変形する。
黄色いウィザードウォッチはクラーケン型のロボットになり、茶色のゴーストウォッチはコウモリ型、赤色のビルドウォッチはウサギ型のロボットに姿を変えた。
『コイツの中で仮面ライダーの歴史を見てたらサポートするメカみたいなのを見つけたのさ。丁度、お前らが使ってるライドガジェットみたいな奴さ。』
黄色いクラーケン型のロボットの方から、聞き覚えのない男の声がする。
恐らく、我が魔王が仮免試験の際に習得した個性黒鞭の使い手である5代目継承者の万縄大悟郎だろう。
彼が言っているのは響鬼のディスクアニマルやダブルのメモリガジェット、オーズのカンドロイドやフォーゼのフードロイドのことを言っているのだろう。
『彼がグランドジオウに変身している時や戦闘時以外もある程度活動できた方が良いと思い、そこで俺達はそれらのメカを参考に新たなライドガジェットを作り出してそこに精神体を乗り移らせたって感じだ。』
続いて赤いウサギ型のメカからは6代目継承者である煙の声が聞こえてくる。
「なるほど…ちなみに我が魔王。これらのライドガジェットはどうやって作ったんだい?」
「グランドジオウウォッチに継承者の皆さんの意識を移して、そこで設計してもらってできたんだ。」
「便利なウォッチだな…」
新たなライドガジェットを作ったことで、我が魔王に宿るワンフォーオールの歴代継承者の皆さんはグランドジオウの力で召喚したライダーに憑依するだけでなく、ライドガジェットにも憑依することで活動が可能となった。
『これで君達とも直接コミュニケーションが取れるようになったし、色々と便利になった。』
『彼に提供できる情報も増えるしな。』
彼らは偵察もこなすことが出来るため、我が魔王に齎せる情報が多くなる。
『このメカもそれぞれのお気にのライダーが使ってるメカを参考にしたのさ。』
彼らのライドガジェットの姿は、よく憑依している仮面ライダーのメカを参考にしているそうだ。
志村菜奈はゴーストの使うバットクロックを、万縄大悟郎はウィザードの使うプラモンスターであるイエロークラーケンを模した姿をしている。煙の場合は恐らく、ビルドラビットラビットフォームの変身時に登場する赤色の強化アーマーであるラビットラビットアーマーを模しているのだろう。
「一応、ガジェットの名前を言っておくと志村さんががバットウォッチガジェット、煙さんがラビットウォッチャー、万縄さんがクラーケンモンスター。」
『君達2人のこともサポートできたらと思っているよ。』
「ああ、よろしく頼むぜ。」
我々にまた頼もしい戦力が増えて、これからの活動の幅がより広くなりそうだ。
「ところで、インターンの方はどうなりそうなんだい?」
「僕とかっちゃんのインターン先なんだけど、ミリオ先輩が紹介してくれることになったよ。」
「おお、あのミリオ先輩が。」
先日クラスを訪れた雄英BIG3のミリオ先輩が、我が魔王と爆豪君をプロヒーローと繋いでくれるそうだ。
「それはどういう風の吹きまわしかな?」
「グラントリノが推薦してくれたヒーローなんだけど、最初はオールマイトに紹介してもらう予定だったんだけど断られちゃって…」
「理由は私情だとよ。」
先日我が魔王が言っていたオールマイトの元サイドキックの方か。
私情で無理ということは、今はあまり仲が良くないということかな?
「けど、ミリオ先輩のインターン先だったからミリオ先輩に紹介してもらえってことになって…」
「明後日に2人で会いに行くことになった。」
「ほう、中々に早いね。」
既にプロヒーローの下に訪れるのが決まっているあたり、段取りが早いみたいで安心した。
私達も頑張らねば…
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数日後、とあるプロヒーローに呼び出されてウォズと八百万はとある駅に来ていた。
「相澤先生曰く、普段は活動拠点を構えていないようだが最近は雄英の近辺で活動しているみたいでラッキーだったね。」
「ええ、インターンの受け入れ実績はあまりないようでしたが、先生方からの許可もいただけて何よりですわ!」
八百万が見つけて来たプロヒーローについて、2人が早速話したところ、相澤はすぐにそのヒーローの下にインターンで行くことを許可した。
「事務所もサイドキックも構えておらずこれまでのインターン実績は0、しかしながらヒーロービルボードチャート上半期TOP8の実力者。特別に先生方も認めざるを得ない実績だ。しかしながら、どこで彼女と繋がりを持っていたんだい?」
世間的には孤高というイメージで、今回雄英の教師陣がインターン先の条件としたものからは外れたヒーローではあるが、若手ではトップクラスの実力者であるため特別に許可が下りた。相澤達としてはウォズに早々にプロの現場を体験して欲しいがために話を合理的に進めようという意図もあるかもしれないが…
「実は一度、お父様の会社の方で格闘技の大会でその方のスポンサーをしたことがあったそうでして…」
「確か、プロデビュー前に地下格闘技の試合とYouTubeのアマチュアの格闘技の大会に出ていたと聞いたことがあるよ。その時かな?」
「ええ、その時ですわ!今も人気の1分1Rの格闘技大会に参加された時にお父様がスポンサーに付いて関係を築いていたとのことですわ。」
YouTubeで人気のとある企画により、そのプロヒーローとつながりが出来ていた八百万一族。
その伝手で今回のインターンに行くことが出来た。
「お!お前達が私んとこにインターンに来たいっていうガキ共は!」
そんな2人の所に、白いバニー服の様なボディースーツを着た筋骨隆々な褐色肌の女性が歩み寄ってくる。
「初めまして、ミルコさん。雄英から来たウォズと言います。」
「八百万百ですわ。よろしくお願いいたします!」
そのやってきた女性こそ、彼らがインターン先として選んだプロヒーローのミルコである。
彼女に対してウォズは軽く会釈をし、八百万は深々と頭を下げる。
「まあ、立ち話もアレだし、あっちのカフェ行くぞ。」
「「はい!」」
ミルコに連れられて2人はカフェに向かう。
そこで席に座って彼女と改めて対面し、机の上に2人はインターンの資料を出す。
「インターンの件だが、まずは私ん所でインターンをしたい理由を言え。」
「私がインターンに志望した理由は至極簡単。強くなるためさ。我が魔王に負けじとこれまで以上に経験を積みたい。そのためにあなたの下でインターンをしようと思った次第さ。」
「私は…雄英に入ってから負け続きでした…けど、そんな自分を変えたくてインターンに参加しようと思いました!」
八百万が強く握りしめる手を、優しく見つめるウォズ。
彼女は林間合宿でオーマショッカーに誘拐されてしまった件含め、悔しい思いをすることが多かった。
それ故にそんな自分を変えて強くなりたいというのが八百万の願いであった。
「ミルコさんは私とは正反対のヒーローで、私が持っていないものを多く持っていますわ。そういった部分も得てより強くなるために来ました!」
「2人共いい心がけだ!気に入った!だが、まだこの紙にハンコは押せない。」
2人が出した資料には、インターン先のヒーローが受け入れを容認するためのハンコを押す欄がある。
2人の想いは分かったようだが、ミルコは2人をインターン制として受け入れることを容認しない。
「それは何故かな?」
「私は元々サイドキックすら受け入れない主義だ!そんな私がインターン生である君達を受け入れるメリットがあるか?」
「私の場合新たな戦力も最近加わり、実力もさらについている。私が加わればより効率的にヴィランを倒すことが出来るだろうね。」
「私は…戦闘面ではまだまだですが、サポートの面では御2人を支えることが出来ますわ…」
「そっちのは良い感じだが、お前はあんま自信がないみたいだな…そんなんじゃまだまだだな。」
ミルコとしては、ウォズの方には魅力を感じている様だが八百万に対してはあまり関心がなさそうである。先にウォズの資料の方にハンコを押すが、八百万の方には押す気がなさそうだ。
「いいや、そんなことはないさ。」
「ウォズさん…」
「彼女は判断力と作戦立案能力に優れている。知能面でのサポートのみならず、個性の創造で様々なものを作り出せる。個性の力で後方支援も出来るだろうが、これからの成長次第では戦闘にも生かせる。あなたの下で経験を積めば3年後には良い戦力になり、実力で貢献できるだろうね。」
「そ、そこまで言われたら少し…恥ずかしいですわ…」
ウォズからの自身の知能面や個性に関する賛辞を言われると、恥ずかしさからか顔を赤らめてもじもじしている。
「なるほどな…んじゃあ、インターンでお前は実力だけじゃなくて自信を付けろ!そっちのウォズに弁護されっ放しじゃだめだが、ポテンシャルは気に入った!絶対的な強さと絶対的な自信を私のとこで身に付けろ!」
ウォズの言葉を聞き、八百万のことを育てる価値ありと判断したミルコはハンコを八百万の資料にも押す。
「ありがとうございます!」
「それじゃあ!来週から早速インターン開始だ!よろしく頼む!」
「ああ、よろしく頼むよ。」
こうして、ウォズと八百万はミルコの下でインターンをすることになったのだ。
新しいライドガジェット一覧
クラーケンモンスター
ウィザード・ランドスタイルウォッチから変形するライドガジェット
プラモンスターのイエロークラーケンをモデルとしており、飛行能力がある。
主に万縄大悟郎が憑依する。
バットウォッチガジェット
ゴースト・ビリーザキッド魂ウォッチから変形するライドガジェット
ゴーストガジェットのバットクロックをモデルとしており、変形すると飛行ができるうえに、銃弾を撃つことが出来る。
主に志村菜奈が憑依する。
ラビットウォッチャー
ビルド・ラビットラビットウォッチから変形するライドガジェット
ビルドラビットラビットフォームが身に纏う、ラビットラビットアーマーをモデルとしている。地上での活動が主で、跳躍力に優れている。
主に煙が憑依する。