我が魔王は緑谷出久!?   作:夢野飛羽真

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死穢八斎會編、中々難産でした…


死穢八斎會編
第72話 出久のインターン


インターン生含むプロヒーローと警察にいる指定ヴィラン団体死穢八斎會への討ち入りから少し時は遡る。

嘗てのオールマイトのサイドキックでもあるサーナイトアイにインターン生として受け入れてもらった出久と爆豪は、インターン初日を迎えていた。

 

「本日はパトロール兼監視。私とバブルガールと爆豪、ミリオと緑谷の二手に分かれて行う。」

 

「監視…」

 

「ナイトアイ事務所は、今秘密の調査中なんだよ。」

 

サーの口から出た監視という言葉に疑問を感じた出久に、サーのサイドキックであるバブルガールが解説をする。

 

「死穢八斎會という小さな指定ヴィラン団体だ。ここの若頭、所謂ナンバー2である治崎という男が妙な動きをし始めた。」

 

「妙な動き?」

 

ペストマスクを付けた若い男の写真を示しながら、その男が見せる動きについて語り始める。

 

「指定ヴィラン団体、警察の監視下にあり大人しいという印象を受けるだろうが、この治崎は似た様な者達を集め出しているそうだ。」

 

「最近はオーマショッカーとも接触を図ったって情報があるわ。顛末は不明だけど。」

 

「オーマショッカー!?」

 

バブルガールの口から出たオーマショッカーという言葉に、出久は思わず反応してしまう。

自分との因縁がある相手が、ここでもまた出てくることで彼らの影響力の大きさを痛感することになってしまう。

 

「ただ奴が悪事を企んでいるという証拠がつかめない。そのために八斎會は黒に近いグレー…ヴィラン扱いができない。我がナイトアイ事務所が狙うのは奴の尻尾。くれぐれも、向こうに気取られぬように…」

 

「「「イエス!サー!」」」

 

「おう!」

 

そして、サーの指示で死穢八斎會の監視を兼ねたパトロールを開始するのであった。

 

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「あ!ヒーロー!」

 

「雄英体育祭で優勝してた子だ!」

 

「き、緊張する…」

 

街中でパトロールを開始した出久達。

出久は雄英体育祭で優勝したこともあり、一般人からの知名度もそこそこある。

ジオウ変身時の姿を覚えている人はかなり多いが、変身前の彼の姿を覚えている人間も結構いたりする。

 

「パトロールぐらい職場体験でもやってるよね?」

 

「やってたんですけど…やっぱり緊張するというか…なんか前よりも視線向けられてるというか…」

 

出久の知名度があることのきっかけは雄英体育祭だけでない。

夏の神野での事件でのグランドジオウの活躍がより人気に拍車をかけている。神野の件をきっかけに、体育祭を見返した人や初めて見た人も多く、職場体験時以上に注目を集めている。

 

「変わってるね。けど大丈夫。今回ホシを監視するのはサー達で俺達はパトロール。色々と教えるよ。ついておいでよ!」

 

(けど、なんでオールマイトは教えてくれなかったんだろう。2人の関係性のことを…)

 

今回のパトロールにリラックスして臨むように伝えるミリオを横目に、出久は自分達が彼の事務所を訪れた時のことを思い出す。そこで感じたのはオールマイトとサーの間で確執があることで、出久達がインターン生として認められるまでの間に一苦労あった。

 

「さて、コスチュームを纏って街に出れば俺達はヒーローだ!油断はするなよジオウ!」

 

「はい!ルミリオン!」

 

これからの時間は本格的にヒーローとして動いていく。

出久とミリオもお互いのことをヒーロー名で呼び合っている。

 

「…!?」

 

パトロールを続けようと出久達が歩き出した時、何か鈍い衝撃が出久の身体に伝わる。

どうやら1人の白い髪の少女が裏路地から出てきて、彼にぶつかってしまった様だ。

 

「ごめんね、大丈夫?痛かったよね?」

 

出久にぶつかって倒れてしまった少女に視線を合わせるように出久はしゃがみ、声をかける。

その少女は頭から小さい角が生えており、手足には包帯が巻かれている。そして、靴は履いていなくて服も質素だ。そんな少女を安心させるために手を伸ばす出久に少女は怯えている。

 

「立てない?大丈夫?」

 

少女を立たせてやろうと手を伸ばす出久。

 

(震えてる…?)

 

出久の手と少女の身体が触れ合った時、出久は彼女の身体が震えていることに気が付く。

 

「ダメじゃないか…ヒーローに迷惑かけちゃ…」

 

その時、裏路地から彼女の保護者と思われる男がやってくる。

 

(嘘だろ…!)

 

その男はペストマスクを付け、白い手袋をしていた。

彼こそ先程サーが説明していた死穢八斎會の治崎という男である。

 

「ウチの娘がすみませんね…ヒーロー。遊び盛りで怪我が多いんですよ。困ったものです。」

 

優しい口調で如何にも少女の父親という雰囲気だが、彼はサーが追っている男ということもあり出久は警戒心を露にしてしまっている。

 

「またフードとマスク外れちゃってるぜ。サイズ調整ミスってるんじゃないか?」

 

出久の表情に対して治崎が逆に警戒してしまう可能性を恐れ、ミリオが出久のコスチュームのフードを彼の頭部にかぶせる。

 

「こっちこそすみません、ぶつかっちゃって。その素敵なマスクは八斎會の方ですよね?ここらじゃ有名です。」

 

「ええ、マスクは気になさらず。汚れに敏感でして…」

 

ミリオが気さくに会話を続け、治崎の視線を自分の方に向けさせる。

 

「お2人とも初めて見るヒーローだ。」

 

「そうです!新人なんでまだ緊張しちゃって!さ!立てよ相棒!まだ見ぬ未来に向かおうぜ!」

 

さらにミリオは軽いノリの言葉を発することで、警戒心が無いかのように振る舞う。

 

「どこの事務所所属なんです?」

 

「学生ですよ!所属だなんておこがましいほどのひよっこでして。職場体験で色々回らせてもらってるんです。」

 

サーの事務所の所属ということがバレてしまえば、彼の捜査に支障をきたすと思い、事務所名を出すことも極力避けている。

 

「では我々、昼間までにこの区画を回らないといけなくて。それじゃあ!」

 

警戒されない間に、早くこの場から去ろうとするミリオ。

 

「はい!」

 

出久も彼に続く様にこの場から去ろうと立ち上がって、少女を離そうとした時だった。

 

「い、行かないで…」

 

涙目で少女は出久のコスチュームを掴み、出久に助けを求めている。

 

「あ、あの…娘さん…怯えてますけど…」

 

先程感じた少女の体の震えや、出久から離れたがらない様子。

そこから、出久は彼女が治崎に何かされているのではと疑い、その疑問を口に出す。

 

「 りつけた後なので…」

 

「行こう!」

 

「いや、でも…」

 

余計な勘繰りで警戒させてはいけないと、ミリオが場を去ろうと出久に言うが、少女が出久のことを掴んで離さない。

 

「遊び盛りって感じのこの包帯じゃないですよね?」

 

さらに腕に巻かれた包帯のことに触れ出す。

 

「よく転ぶんですよ。」

 

「こんな小さい子が声も出さずに震えて怯えるって、普通じゃないと思うんですけど。」

 

治崎がこの少女に暴行などの虐待行為をしているのではないかと、出久は疑いその疑問を投げかける。

 

「人の家庭に自分の普通を押し付けないでくださいよ。」

 

「性格は様々だからね!」

 

これ以上の詮索は、更なる警戒を生んでしまうとミリオはこの場から離れようと治崎に同意するフリをする。

 

「この子に、何してるんですか?」

 

1人のヒーローとして、出久は怯える少女を助けようと試みる。

 

「ふう、全くヒーローは色んな事に敏感ですね。分かりました。人目に着くし、こちらに来てもらえますか?」

 

治崎はそう言って出久とミリオを連れて裏路地に入っていく。

怯えている少女を見捨てるのもヒーローとして不自然だと感じたミリオも出久と共に彼に付いて行く。

 

「実は…最近壊理について悩んでまして、何を言っても反抗ばかりで…」

 

(虐待!?)

 

「子育て…ですか?大変ですね。」

 

子育ての大変さを語る治崎の言動に、その苦労故にこの男が自身の腕の中にいる壊理という名の少女を虐待しているのかと出久は疑うの目で見つめる。

 

「難解ですよ、子供は。自分が何者にでもなれると本気で思ってる…!」

 

「…!?」

 

白い手袋を少しずらしながら治崎が壊理の方を睨みつけると、彼女は出久から離れて治崎の下に駆け出す。

 

「なんだ、もう駄々は済んだのか?」

 

「え…あの…エリちゃん…?」

 

治崎の言葉に静かに頷く彼女の行動に、出久は疑問を感じている。

 

「いつもこうなんです。すみません、悩みまで聞いてもらって…ご迷惑をおかけしました。では、お仕事頑張って…」

 

「待って…」

 

路地裏の奥へと去っていく治崎を呼び止めようとする出久を、ミリオが止める。

 

「なんで…」

 

「追わないよ。気付かなかったかい?殺意を見せつけてあの子を釣り寄せた。深追いすると余計に捕まえきれなくなる。」

 

唐突に離れてしまった壊理に疑問を抱くも、ミリオはそれが治崎が自分達に殺意を向けたことによるものであり、ここが引き際であったと出久を止める。

出久は悔しさを感じつつ、ミリオと共にサーの所に向かうのであった。

 

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「俊典!やっと見つけた!」

 

「その声はお師匠!?」

 

それから数日後の夕方、ジョギングをしているオールマイトの下にバットウォッチガジェットの中に入った志村がやって来る。

 

「何故機械の中に…」

 

「ジオウの力でライドガジェットの身体を手に入れたのさ。それより、話がある。」

 

「話とは…?」

 

「サーナイトアイのことだ。お前のサイドキックだったんだろ?」

 

「ああ、私は元々サイドキックを持たない主義でしたが、私のファンであった彼に根負けして組むことになった。」

 

サーのことについて聞かれると、オールマイトは彼との関係性を話始める。

 

「なるほどな、それじゃあ彼がワンフォーオールの秘密や後継者の件を知っていてもおかしくないと言うことか。」

 

「何故そのことを…」

 

「彼が出久に言っていたんだ。"元はミリオを後継者にする予定だった"ってね。出久は出久なりにそのことを隠されていてモヤモヤしているよ。」

 

オールマイトが言ってこなかったことを、サーの口から言われてしまったと志村から聞き、オールマイトは動揺しつつもこれ以上隠すわけにはいかないと口を開く。

 

「彼は、私が緑谷少年と出会う前に後継者候補の1人として名前が出ていた。」

 

「そういう事情は私にも分かるさ。けど、何故彼に言わなかったんだい?」

 

他の後継者がいたこと自体は出久も納得はできるだろうが、そのことをオールマイトから話されていなかったことで彼の心にモヤモヤが生まれてしまっていた。

さらには少女壊理の件で落ち込んでいる出久を見兼ねて、その件について志村はオールマイトと話すことにした。

 

「言う必要が無いと思ったからだ…それに、私と彼の関係も拗れていました…」

 

「コンビ解散の経緯か?」

 

その理由というのは、オールマイトとサーの関係が拗れたことにあった。

 

「きっかけは6年前、私とオールフォーワンの戦いを終えた後だった。彼との戦いで私はヒーロー活動存続の危機に瀕してしまった。」

 

「それで後継者探しを…」

 

「ええ、彼は私をここで引退させてからの後継者探しを提案した。だが、私は後継者を探す間も象徴を絶やしてはならないと戦い続ける道を選んだ。」

 

現役続行の道を選んだオールマイトに対して、サーは彼に引退するように必死に言い続けた。

 

「俊典は実際、活動時間が短くなりつつも活動し続けたんだろ?出久へのワンフォーオールの継承も無事にできた。俊典はやり遂げることができたわけだし、なんでサーはその未来を信じられなかったんだ?」

 

「彼は見てしまったんですよ…それよりも先にある私の未来を…」

 

「俊典の未来…?」

 

「ええ、"私がヴィランとの戦いの中で凄惨な死を迎える"という未来を…」

 

サーの個性、未来予知。彼が見た人物の未来を見ることができると言うもので、その未来はほぼ確実なものである。

 

「私の未来を見てしまった彼は、どうしても私に身を退いて欲しかったようだが、その未来を聞いても私は折れなかった。このすれ違いで私達は離別することとなった…」

 

2人の決別のきっかけとなったオールマイトの未来。

それを聞いてしまった志村は言葉を失うが、すぐに言葉を巡らせる。

 

「けど、出久ならこう言うと思うな。"そんな未来僕が変えます!"って…」

 

「私も、そう思います。」

 

「それに、私もその想いは一緒さ。私も俊典、お前を死なせる気はない。そんな未来、捻じ曲げるよ!」

 

オールマイトを死なせたくないという思いは、弟子の出久やコンビを組んでいるサーだけでなく、師である志村も同じ気持ちだ。

 

「お師匠…!」

 

「この世界は私達と出久に任せてくれ!」

 

オールマイトの中のワンフォーオールの灯火は消え、彼はNo.1ヒーローの座を降りた。

時代は徐々に出久達やミリオに移り変わっていき、オールマイトがヴィランに殺されることなく平和に過ごすというサーが望む未来がやって来るかも知れない。その未来を作り上げていくため、志村も出久を支える決意をしたのであった。




歴代継承者さん達もさらに活躍を増やしていくかもしれないですね。
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