少々別のプロジェクトを進めており更新が遅くなりました。
もしかするとこれが年内最後の戦いになるかもです。
「こっちだ!治崎を移送だ!」
ヒーローとヴィランとの戦闘が終わると、次は警察や医者が主役となる。
倒されたヴィランの移送や、手当てのための病院への搬送。使用された武器の回収やヒーローの手当てなどを行うという大きな仕事が残っている。
「こちら時計型の遺留品を確認。証拠として署まで移送します。」
警官の1人が回収したのは、アナザージオウ・トリニティのアナザーウォッチだ。
元は3つのアナザーウォッチであったが、治崎の個性により1つの強力なアナザーウォッチに変化していた。
アナザージオウ・トリニティに変身した治崎の体内にあったものだが、彼が倒されたことで外に排出されていたようだ。
それらを一足先に警察署まで運ぶべく、複数の警官がパトカーに乗り込み現場から去る。
「さあ、早く所に戻ろう。」
「そうですね。」
パトカーを運転する警官と、助手席に座る後輩の警官。
彼らが輸送するのはアナザーライダーを生み出す危険物のためか、早く警察署に運んでしまってそこで安全に保管してしまいたいところだ。
「んん?あれは…?」
アナザージオウ・トリニティウォッチを乗せたパトカーが車道を走っていくが、その道中運転手を務める警官がブレーキを踏む。
「危ないぞ!」
その理由は、パトカーの前に1つの人影があり、それにぶつかってしまわないようにするためであった。
警官はパトカーを止めて窓を開け、注意をしようとするが…
「って…お前は!分倍河原!」
その人影の姿を警官は見覚えがあった。それもオーマショッカーの人物リストの中で…
トゥワイスという名で知られるヴィランがパトカーの前に立っており、運転手の警官は銃を引き抜いて対応しようとする。
「っ…!」
だが、その警官の命は一瞬にして刈り取られた。
隣にいる後輩警官の持つ拳銃によって頭を撃ち抜かれてしまい、鈍い音を立てながら重力に従う様に頭をハンドルに打ち付ける。
「トガちゃんナイス!」
「ふふ、アナザーウォッチの確保完了です…」
最初からパトカーに乗っていたのは後輩の警官ではなかった。
それはオーマショッカーのトガが化けた姿であった。
「こっちは回収完了だ!とっとと帰らせろ!いや、まだゆっくりするぜ!」
トゥワイスはスマホである男にアナザーウォッチを回収できたと報告すると、トガと共にこの場から早々に去るのであった。そしてその頃…
「さてと、彼の個性は中々使えるからねえ…いただくとしようか。」
別の道では警察が捕えたヴィランを乗せた護送車が走っているが、歩道橋の上から黒い鉄のマスクを付けた男がその車を狙っている。
「まずは、黒槍…これでいこうかな。」
その男、オールフォーワンは自身が持つ個性の一つによって黒い鉄の槍を複数個空中に生成したかと思えば、槍の雨が護送車の運転席目掛けて降り注ぐ。
「ダメじゃないか、人の個性を消そうとしているのに、自分が力に頼るだなんてね…」
止まってしまった護送車の扉を破壊し、オールフォーワンが中に居る治崎に話しかける。
「殺しに来たのか…?」
「いいや、君にもっとも相応しい結末を与えようと思ってね。」
四肢を拘束されて個性を発動できず、抵抗も出来ない治崎の首元にオールフォーワンの手が触れる。
「君の病気を僕が治してあげるよ。」
「や、やめろ!」
個性を持つ人々のことを病人と言いながらも、治崎は個性を振るって地位を高め、個性消失弾まで作り出した。だが、彼の個性はオールフォーワンによって奪われてしまった。それを表すように、オールフォーワンが自身の付けている黒いマスクに触れると、それが一度分解されて、刀の形に再生成される。
「さてと、君にあることを教えてあげよう。オーマショッカー内で話し合ったんだけど、君達が苦労して作った個性消失弾はもう不要だ。」
オールフォーワンは護送車内にあった個性消失弾のケースを地面に落とすと、黒い刀を突き立てる。
「消したくなるような個性は全部僕が貰っちゃうからね。もう消す必要なんてないんだよ。すべてはもう僕の物…個性をこの世から失くすなんてもう、終わった考えだよ。残念だったね~」
自身の考え、そして苦労の末に作り上げられた品がいとも簡単に否定されて破壊されてしまった。
その行動に言葉すら発することができなくなった治崎は、去っていくオールフォーワンの背中を睨みつけることしかできないのであった…
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警察とプロヒーローによる死穢八斎會への強制捜査は不完全燃焼と言える結果に終わった。
八斎會若頭である治崎始め多くの幹部を逮捕することこそできたものの、護送車とパトカーが襲撃されるという事件があった。証拠品が幾つか失われてしまい、護送車で運ばれていた治崎の個性が失われてしまう結果となった。それに加えてヒーロー側の損失も大きかった。
「引退!?それってどういうことなんですか?」
セントラル病院のとある病室。そこにはサーがベッドに寝転んでおり、その周囲には彼の事務所のサイドキックであるバブルガールとセンチピーダーに加えて、インターン組の出久、爆豪、ミリオらが集まっていた。そこでサーから告げられたのは、彼自身がヒーロー活動を引退するというものであった。
「そのままの意味だ。この戦いで私は腕を失った。このままでは前線に行っても誰かの足を引っ張るだけだ。」
治崎との戦いの中で、サーは自身の左腕を失う重傷を負ってしまっていた。
そのことが、彼に引退を決断させてしまっていた。
「それに、私の未来予知はもう正確ではない。あの戦いの中で私の予知が外れてしまった。」
「それってどういう…」
「私位はあの戦いの中で見たんだ。緑谷、君が死んでしまう未来を…」
「僕が死ぬ!?」
サーが見てしまったという未来に、この場に居る者達に動揺が走る。
「ああ、私は君があの戦いの中で凄惨な死を迎える未来を見た…だが!君はその未来を捻じ曲げて治崎に勝った!」
「それ、アンタの予知が外れたって言うより、出久が未来捻じ曲げるだけの力持ってるだけだろ…」
サーの個性に欠陥があったと言うより、出久の持つ力が凄すぎるだけなのではと爆豪が首を傾げる。
「どちらなのかは、私にはわからない。ただ、1つの絶対が揺らいだのであればもう引き際ということだ。」
それは、自身の個性における絶対が覆ってしまったからなのか、それとも緑谷出久という新世代の存在に、自身が引退すべき時と考えたのかは分からない。ただ、すでに彼は裏方に回りサイドキックの2人をメインに事務所を作っていくことを決意していた。
「本当に引退するんですか…?」
「ああ、私も他にやることは多い。裏方で色々と働くことにした。」
出久の問いかけにも、彼はそう答える。
既に彼の決意が固いことを周囲の者達は察した。
「インターンも一度打ち切りだ。お前達ならまた新しいインターン先を見つけれるだろう。しっかり励んでくれ…」
「サー!その、短い間でしたけどありがとうございました!」
「ウッス…」
流石に若手中心の事務所に転換していく自分達の事務所でインターンをするのは出久達にとってもあまり利が無いことであると感じ、サーはインターンの打ち切りを告げた。これまでインターンで色々と教わったことと、励ましの言葉に出久は感謝の気持ちを伝える。
「それとミリオ、お前は今後どうするつもりだ?」
「俺は…しばらく休学します。」
そして、話はミリオの件に移る。個性消失弾を撃たれてしまった彼は、個性因子が身体から消えてしまい、個性を使えない体になってしまっていた。
「けど、しばらく学校には残ります。壊理ちゃんの面倒を見ようと思って…」
「そうだ!壊理ちゃんはあの後どうなったんですか!?」
出久達仮面ライダーが治崎の変身するアナザージオウ・トリニティを倒した直後、壊理は気絶してしまいすぐに病院に搬送された。それ以降出久は未だ彼女と顔を合わすことはできていなかった。
「うん、すぐに目は覚めたよ。けど、まだ元気にはなってないみたい。」
彼女は治崎から解放されてもなお、明るい表情はまだ見せていなかった。
「そういえば彼女、両親が…」
「ええ、八斎會の証言によると、彼女の個性は巻き戻し。触れた生物を中心に、対象を過去の構造へと修復する個性で怪我の修復だけでなく生物としての時間そのものを戻してしまうことができる個性です。」
「人間を猿にもできるってことか…」
ミリオが警察の者から聞いた彼女の情報をサー達に報告する。
「彼女は八斎會の組長の孫娘でした。ただ、組長の娘である彼女の母と組長自身は絶縁状態だったみたいですが…それである日、壊理ちゃんの個性が発現した時に事故で父親を消滅させてしまったみたいです…それから母親にも捨てられて組長に拾われたとのことです。」
壊理がこれまで歩んできた人生に、一同は言葉を失う。父を自身のせいで失ってしまい、母に捨てられ、拾われた先で弾丸の材料にされてしまう。そんな残酷な彼女の人生に、出久達はショックを受ける。
「だからこそ、俺が何とかしたいんです!俺が彼女の心も救いたい!」
その静寂を切り裂くように、ミリオが声を上げる。
「戦うことができなくても、俺は女の子1人の笑顔を守りたい!だから、学校に残って先生達と彼女の面倒を見ようと思います!」
「ミリオ先輩…」
出久の中で、1つの迷いがあった。それは個性を失ってしまったミリオにワンフォーオールを渡してしまおうかと言うものである。勿論、志村達に反対されたためその考えは胸にしまっていたが、ミリオの言葉を聞いて自身の考えが杞憂であったと感じた。
「コントロールが難しい個性の使い方は俺もよく分かっています。だから、俺に任せてください!」
「良い心がけだ、ミリオ…」
ミリオは自分が透過という制御が難しい個性をモノにした経験から、壊理にも個性の使い方を教えると意気込んでいる。そんな彼を見て自然とサーの表情も柔らかくなっているのであった。
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「全く、広島への移動でどれだけのお金と時間がかかると思ってるのかな…」
さて、ジオウトリニティの力で強制的に広島から呼び出された私は再び広島に戻るため空港で飛行機のチェックインを済ませているところだ。インターン中に呼び出されたことには驚いたよ。
(しかしながら、中々の事件ではあった…)
とは言え、私が呼び出されるのも無理はない案件だったかもしれない。敵はアナザージオウ・トリニティというアナザージオウの道の進化形態とその力で呼び出されたアナザージオウ軍団。私とアナザージオウ軍団の相性が良かったからか、我が魔王も戦いやすかっただろうね。ウォズギンガファイナリー、無数の敵を一網打尽にするのにはもってこいだね。
『広島行きの便に乗られるお客様は5番ターミナルまでお越しください。』
「おっと、そろそろ飛行機が来るみたいだね。」
今回の飛行機代はサー・ナイトアイの事務所の方から出してもらえたが、こういう呼び出し方は止めて欲しいものだ。しかしながら、アナザージオウ・トリニティか…厄介な敵だ…
アナザージオウが私の知らない進化を遂げてしまった。それにそのウォッチがどこかへ消えてしまった…
また新たな進化を遂げたアナザージオウが出てくるかもしれない。常に警戒しないとね…
「さて、行くとしよう。」
こうして私は飛行機に乗り、広島に戻るのであった。
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「さて、今日の動画は何をしようか…」
一方その頃、街中でも1つの事件が起きようとしていた。
ジェントル・クリミナル、自身の犯罪動画をネットに投稿している男だ。
「食品偽造ネタはどうかしら?ジェントル。」
「良い案だ。それにしようかなラブラバ。」
彼の隣にいるのは彼の相方でもあるラブラバという女性であった。
彼女がその犯罪動画の撮影と編集を担っている。
「見つけたよ。ジェントルにラブラバ…」
「なんだい?私のファンかな?」
裏路地を歩く2人の後ろから声をかけてくる男がおり、2人がそちらの方を向くと同時にその顔に額から冷汗が滴り落ちる。何故なら、その声をかけた男が自分達にシアン色の銃を構えていたからだ。
「ヒーローか!?私達の確保が目的かな?」
「いいや、違うね。」
その男に警戒するジェントルとラブラバ。だがその男はフランクに言葉を続ける。
「僕は君達に協力をしてもらおうと思ってね。」
「協力!?なんの協力をしろというの?」
「ちょっとしたお宝を手に入れたくてね。君達にも手伝ってもらおうと思ってね。」
その男がジェントルらに提案したのは、自身がとある物を手に入れる協力をして欲しいと言うものであった。
「協力をしても良い。だが君は何者なんだ?」
自身の名を歴史に残すことが目標の1つであるジェントルは、その男の話に興味を示しつつも、何者か分からない彼に正体を問いかける。
「僕かい?僕は怪盗で、通りすがりの仮面ライダーさ…」
これにてインターン編は終了になります。
結構とんでもない展開になりそうです。
ここで宣伝です。現在仮面ライダーディクリードという作品を執筆中です。こちらも是非読んでいただけたら嬉しいです。
https://syosetu.org/novel/332283/
それでは皆様よいお年を~