我が魔王は緑谷出久!?   作:夢野飛羽真

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皆様お久しぶりです。
色々と迷走したり病んだりして9カ月も空けてしまい申し訳ございません。
強くなって戻ってきました。
この作品を復活させようと思うので今後ともよろしくお願いいたします。


文化祭編
第79話 サプライズ


季節も10月を迎え、夏の厚さも去っていき半袖のシャツを着る者も少なくなった頃。

死穢八斎會との戦いの果てに、多くの怪我人が出てサーの引退などもありインターンは一時的に休止となり出久達は補講をこなしながらの学生生活に戻りつつあった。

 

「アマリ美シイ問イデハナイガコノ定積分ヲ計算セヨ。正解ノ分カル者ハ挙手ヲ」

 

(エクトプラズム先生…たまに趣味走るよな…)

 

「ウェ、分からね~」

 

エクトプラズムの数学の授業での一幕。

彼がたまに授業で出してくる問題は、授業で習う域を超えるほどに難しく、上鳴も苦戦してしまっている。

 

(学力一位の八百万が止まるか…これは闇の問いだ。)

 

常闇がふと八百万の方を見るが、彼女も苦戦して手を止めてしまっている。

 

「緑谷」

 

「14分の107!」

 

全員が苦戦し手を止める中、出久がペンを走らせて挙手し、導き出した解を答える。

 

「不正解、八百万」

 

「28分の107ですわ。」

 

「正解、デハ次ノページヘ」

 

だが、出久の出した答えは正解ではなく、その後に八百万が答えたものが正解であった。

 

「惜しかったな…計算ミス?」

 

だが、出久の回答もかなり惜しいものではあり、不正解してしまった出久を後ろの席の峰田が気遣う。

 

(惜しかったな、我が魔王…八百万君も流石だ。しかしながら我が魔王、インターン以降気を張りすぎではないだろうか?)

 

出久はインターンを終え、実際の現場での戦いを経験すると共に苦い思いをすることもあった。

そこから戻ってきてからは更に上を目指そうと気合を入れていたが、少し無茶をしてしまっているという状態でもあった。

 

「デク君猛々しいね…」

 

「勉強に力を入れるのは良いことだ。」

 

「ああ、頑張って頭を使った後はランチラッシュの昼食でも食べて力を蓄えよう。」

 

そして昼休み、麗日、飯田、ウォズの3人が出久を食堂での昼食に誘おうとしていた。

 

「うん!腹ぺコぉー」

 

「じゃあ、チーズあげる!」

 

出久も彼らに応えて共に食堂に行こうとした時であった。

突然彼の口に青山がチーズを入れてきたのだ。

 

「ビックリしたー!!チーズ?」

 

驚いて大きく口を開けて立ち上がった出久の口に、そのままチーズが入っていきそれを噛みしめながら驚いた様子で青山の方を見る。

 

「ボンデベックチーズ!まろやかで、食べやすいんだ!」

 

「いや、いいよ!まだ口の中入ってるし!」

 

青山が差し出すチーズを、出久はまだ先程食べたものが残っているため食べないとの意を示す。

 

「ならば私がいただこう。うん…美味しいね。」

 

そして、出久が受け取らなかったチーズをウォズが自身の指でつまみそのまま口に運んでいく。

その味を噛みしめている間に今度は飯田が青山に言葉を投げかける。

 

「青山君も一緒に学食どうだい?君はいつも1人で食べているだろう?」

 

「ノンノン!ここの食堂は僕の口には合わない!」

 

青山が普段誰かと食堂などでクラスメイトらと食事を共にしない理由。

それは食堂のご飯が舌に合わず独自の食事をしているためであった。

今日の彼の昼食はローストビーフでワイングラスに入れたぶどうジュースを飲みつつ自身の席で食事を楽しんでいる。

 

「好みは千差万別だ。また後程!」

 

飯田らは彼が1人で食事をすることを尊重し、食堂に向かうのであった。

 

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「どうしたんだい?我が魔王、今日はあまり眠れていない様子だね。」

 

「うん、ちょっとね…」

 

さて、青山君からチーズをいただいた翌日。

我が魔王が少し寝不足な様子だったので声をかけてみたところだ。

今朝も遅刻ギリギリだったし、集中力を欠いているように見えた。

インターンで色々なことがありストレスもあるのかもしれない。ここは私が取り除かねば…

 

「何かあったのなら私に話して欲しい。あまり眠れていない理由でもあるのかい?」

 

「それが…実は昨日の夜に…」

 

我が魔王が口を開き、昨夜あまり眠れなかった理由を話し始める。

 

「青山君がベランダから僕のことを見ていたんだ…」

 

「うむ…ストーカーか…?」

 

どうやら今回我が魔王に起きたトラブルと言うのは、寮の隣人である青山君との間で起こったらしい。

真夜中に彼が我が魔王の部屋を覗き込んでいたのだという…

 

「分からないけどその後、ベランダに出てみたんだ…そしたらそこにチーズが並べられていて…」

 

「ほう、チーズが…?」

 

「それで、チーズで文字が書かれていたんだ…"サプライズ"って…」

 

「青山君、彼は一体何を考えているんだろうね…」

 

どうやら、青山君の奇行に驚き、夜遅いこともあって恐怖していたこともあって寝不足になってしまっていたらしい。

青山君の奇行の原因は分からないが、いずれにせよ何らかの危害を加えてくるつもりならば早めに動く必要がある。とはいえ彼は学友、わざわざ皆の前でこの件を話して彼のことを貶めるのは私も我が魔王も好ましいとは思っていない。

 

「一先ず、どこかで彼と話すことができればこの一件について聞いてみるのが良いだろう。」

 

「そう…だね…うん、後で直接話してみるよ。」

 

青山君はクラス内でもエキセントリックな人物だ。

その行為が善意故か悪意故なのかも分からない。だが、ヒーロー科にいる人間だ。話は通じると信じたい…

ここは我が魔王が直接話を聞くことにし、一度私は様子を見ることにしよう。

 

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「それでは、今日も必殺技の向上に努めていきましょう。」

 

この日の午後は、セメントスによるヒーロー基礎学の授業だ。

体育館γもといTDLでの訓練である。

 

「最低2つの必殺技、出来ていない人は開発を、出来てる人は更なる発展を!」

 

その内容と言うのは、仮免試験前から進めている必殺技に関するものであり、各々が早速訓練を始める。

切島は自身の硬さをさらに高めていくために、砂藤や爆豪に頼んで自身に攻撃を加えてもらっている。

 

「ねえ。」

 

そんな時だった、青山が岩場に肘をつき、出久に声をかけた。

 

「見て。新技、ネビルビュッフェレーザー!」

 

「おう…」

 

青山の肩から小出しにされるレーザーを出久は呆然としながら見ている。

 

「もう一つ…クッ!ウウッ…!!」

 

次に青山は、腰のベルトから細長いレーザーを岩に向けて放ち、腰をくねらせる。

 

「ふう…」

 

そして、それが終わると岩にはレーザーによって掘られた文字が現れる。

だが、それを書き終えると共に彼は腹を抑えて蹲る。

 

「クウッ…!これやると、すぐにお腹痛くなるんだよね…!」

 

「なんで今やったの!?」

 

腹痛になることが分かっているのに、その技を披露したことに出久からは思わず疑問の声が上がる。

 

「セメントス先生!青山君調子が悪そうなので、ちょっと休んでも良いですか?」

 

「はいよ!」

 

出久は青山を救護する許可をセメントスに貰い、皆がいるところから外れて2人だけになる。

彼を介助しながら一先ずトイレに連れて行こうとしつつ、2人だけになったこの状況を使って出久は先日の件を聞き出すことにした。

 

「あの、最近って言うかベランダのアレ…"サプライズ"って何?」

 

「僕ね、入試の会場が君と一緒だったんだ。その時から気にかけてて、最初はベルトを使うのが似てるなって思って…」

 

「似てるって…?」

 

入試の会場では出久が試験に集中していたため知り得なかったこと、それは会場に青山もいたということであった。

 

「僕、常にサポートアイテムのベルトを巻いているんだ。幼いころからね、じゃないと時々ネビルレーザーが漏れちゃうのさ。先天的なものでね…僕、身体と個性が合っていないんだ。お医者様にそう言われた…けど、入試の会場で僕みたいにベルトを巻いてる君の活躍を見て憧れた!僕のベルトとは全く違うものかも知れないけど、輝いてるって思ったんだ!」

 

出久と青山の共通点であるベルト。性質は全く違うものではあるが、その共通点から青山は出久のことを注目するようになっていた。

 

「けど、インターン以降の君は前にも増して焦っているようにも見える…」

 

「青山君…」

 

次々と先代継承者たちの個性が目覚め、インターンで巨悪とぶつかったことでさらに強くなろうと焦りが出始めていた。そんな事態に同じくインターンに行った者達もさらに強くなろうと前を向いていたこともあり中々指摘することが無かった。だが、青山はそうして見ていたから、出久のことを気にかけていた。

 

「サプライズは嬉しいだろ…?サプライズは僕も嬉しいさ!僕が嬉しいと思うことをしたのさ!どうだい?チーズ美味しかったかい!?」

 

「アレ、食べる勇気ないよ…」

 

「辛いことと向き合ってるだけじゃ、きっと煌けないのさ!」

 

(ビックリしたけど、僕を励ますためにやってくれたんだ…)

 

青山は焦る出久を気遣って行動に移していたが、少し価値観のズレがあり奇行の様になってしまっていた。

だが、彼の意図が分かった出久は安心した様子を見せている。それに、少し肩の荷も下りて表情が柔らかくなる。

 

「ありがとう、サプライズ大成功だよ。青山君!」

 

「…」

 

感謝の言葉を笑顔で投げかける出久に対し、青山は真顔で遠くの方を見ている。

 

「青山君…?」

 

「出ちゃった…」

 

その後、青山のパンツが洗濯機のにおいスッキリコースで洗濯されたのは言うまでもないだろう。

 

「フィナンシェあげる!」

 

「ありがとう。」

 

「いただくとしよう。」

 

こうして出久と青山が仲良くなり、ウォズは彼が提供するフィナンシェやチーズをよく食べるようになったのだった。




今回はリハビリがてら青山回を書きました。
次回は文化祭!お楽しみに!
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