我が魔王は緑谷出久!?   作:夢野飛羽真

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さあ、文化祭はどんどん続きますよ~


第81話 文化祭準備

「ねえ、ジェントル。本当に活動休止で良いの?」

 

「ああ、構わないよ。これからの大いなる計画を動かすには準備期間が必要だからね。しばらく身を潜め、時が来ればまた戻る。それはそれで盛り上がるじゃないか!」

 

義賊としてネット上に犯罪動画を上げていた、ジェントル・クリミナルとその相方ラブラバ。

パソコンと向き合うジェントルと、紅茶を飲んでいるラブラバが言葉を交わしている。

 

「それでは、相羽君。早速だがオーマショッカーのコンピューターにハッキングを…」

 

「ええ!やってみるわ、ジェントル!少し時間はかかるかも知れないけど任せて!」

 

彼らの狙い、それは近頃世間を騒がせているオーマショッカーにあった。

今はその情報を探るために、コンピュータの天才相羽愛美、即ちラブラバがパソコンを用いてハッキングを行う。

とは言え、日本中にあるコンピュータから彼らが使っているものを探るところから始める必要がある。

 

(オーマショッカー、それにヒーロー殺しステイン!彼らが出てからジェントルは日の目を浴びることが無くなってしまったわ!私がジェントルをサポートして!ジェントルを輝かせる!)

 

ジェントル・クリミナル

彼はある時から動画投稿サイトに自身の行う犯罪動画を投稿するようになった。

彼の場合は無作為に犯罪行為を行っているのではなく、不正などの疑惑で世間を騒がせた企業などを相手に犯罪行為を行ってきていた。

そんな彼の動画を見つけてラブラバも彼の相棒となったが、彼の動画に対する注目度は以前に比べてさらに下降線を辿っていた。

 

「2人共、作戦は順調かな?」

 

そん彼らに訪れた転機、それはこの男海東大樹との出会いであった。

彼と出会い大きな仕事を受けたことで、彼らはその仕事に向けて動き出していた。

もしこの仕事が為せれば、彼らが手にしたい栄光も掴めるかもしれない。

 

「ああ、順調だ。本来ならば撮りたかった動画があったが、それももう必要ない。オーマショッカーに一太刀浴びせる!それで得られるものこそ、私の求めるもの!極上の紅茶もじっくり淹れればより旨味が増す。まずはじっくり敵を調べるとしよう。」

 

ゆっくりと準備をして、確実に成功させる。

そのためにジェントルは企画していたものをやめて、海東の仕事をしていた。

だが、それが花開くのはもう少し先の話ではある…

 

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インターンの補講が終盤を迎えると同時に、各クラスが文化祭に向けて動き出してきた頃。

爆豪が補講の教室に向かって来ていた時だった。

 

「なあ、聞いた?ヒーロー科A組ライブやるんだって、俺達のために…」

 

(普通科…)

 

リーゼントと突き出した顎が特徴的な体格の良い普通科男子生徒の声が彼の耳に届いていた。

 

「私達の為って、何それ?自意識過剰なんじゃないの?」

 

「ホントいい気なものだよ…1回ヴィランに襲われてるのに、ノコノコ合宿なんか行ってまた襲われて、しかも怪我人まで出して…振り回してる張本人なのによくもまあ…」

 

隣にいる女子生徒との会話の内容と言うのは、A組に対する愚痴であった。

A組、もといヒーロー科がこれまで何度もヴィランと遭遇し、怪我人を出してしまっていたことで雄英の全寮制が始まった。それは他の科にも影響が出ており、普通科や経営科の生徒も実家を離れて寮生活をすることになっている。

ヒーロー科とは違う普通の高校生である彼らとしては、家を離れることに不満を感じる者も多い。

そんな彼らへの奉仕をヒーロー科の生徒がすると言っても、彼らは納得できていなかった。

 

(他の奴らのための出しモンか…)

 

体育祭がヒーロー科が主役の行事であれば、文化祭は他学科が主役の行事である。

そのためA組の面々は、他学科の生徒に楽しんでもらえるようにとライブを提案していたが、今はそれに対して良い反応をされていない。爆豪はその会話を聞いてから、一度補講に向かい、最後の補講を終えてから寮での話し合いの場に参加するのであった。

 

「文化祭はちょうど一ヶ月後!補講組も戻ってきたところだし、今日色々決めてしまいたい!」

 

この日の補講でインターン組の補講は全て終わり、全員が文化祭に向けて動くことができる様になった。

文化祭までの時間もないため、この日に役割や演目を全て決めてしまおうということになった。

 

「まずは楽曲を決めないとね!何にする?」

 

最初に葉隠が議題に出したのは演奏する楽曲であった。

 

「俺、そういうの疎いから皆の意見に従うよ!」

 

「俺もだ!」

 

「僕も…皆の意見にお任せします。」

 

とは言え、尾白や障子、出久を始めとする面々は流行りの曲などに疎いためこの話し合いでは皆の意見に任せることにしていた。

 

「おもてなしなんだから!なるべく皆が知ってる曲をやれば良いんじゃね?」

 

「やっぱ乗れる奴っしょ!」

 

「踊れる奴!」

 

クラスでも盛り上げ担当の上鳴、瀬呂、芦戸らが意見を出していく。

 

「皆の意見をある程度総合すると、楽曲は四つ打ち系だよね。ニューレイブ系のクラブロック。ダンスミュージックだと本当はEDM系で回したいけど、皆は楽器やる気だよね?」

 

耳郎からの専門用語の押収に皆が目を点にしているが、要約をするとダンスもするが電子系の音楽ではなく楽器を使ったバンドロックをすると言うことだ。因みに四つ打ちとは主にダンス・ミュージックにおいてバスドラムにより等間隔に打ち鳴らされるリズムのことであり、一時期四つ打ち系のロック楽曲が流行った時期もあった。

 

「ベースとか、ドラムやってた人いる?」

 

「…」

 

さらに言えば、楽器をやっていた人間も少なく誰も名乗り上げない。

 

「だよね…まずはバンドの腰ってドラムなんだけどさ…ウチ、ギターがメインでドラムはまだ練習中なのね。初心者も教えながら自分も練習だと1ヶ月でやるのは正直キツイ。」

 

(そもそも、何個も楽器を扱えるのが初心者の私からすれば凄いのだがね…)

 

既に数種類の楽器を扱っている耳郎にウォズは関心しているが、彼自身も楽器などに関することはあまりよく分かっていない。

皆もほぼこういう状況であるため、耳郎への負担を減らしつつもある程度のクオリティを出さなければいけない。

 

「あ!そういえば、かっちゃん昔音楽教室通ってたよね?」

 

「え?以外!」

 

「爆豪!ちょっとドラム叩いてみろよ!」

 

その時、出久はあることを思い出していた。

それは小学生の時、爆豪が母親に音楽教室に通わされていたということであった。

幼馴染である彼だからこそ知っている情報であった。

 

「誰がやるかよ…」

 

「かなり難しいらしいぞ~」

 

普通科の会話を聞いていて期限を損ね乗り気でなかった爆豪だが、瀬呂に煽られるとドラムの前に座り、見事軽めの演奏をしてみせる。

 

「あ!?」

 

「か、完璧…!」

 

「すげえ…」

 

「才能マンキタコレ!」

 

「爆豪ドラム決定だな!」

 

少し通っただけであったが、完璧なレベルで演奏した爆豪に賞賛の声が浴びせられる。

流れはこのまま彼にドラムを任せようというものになりつつあったが…

 

「そんなくだらねえことやんねえよ…」

 

「かっちゃん…?」

 

普段よりも機嫌が悪い。

さらに言えば、出久と和解する前のような状態の爆豪を出久も気に掛ける。

 

「爆豪お願い!アンタがやってくれたら良いものになる!」

 

「なるはずねえだろ!!アレだろ…?他の科のストレス発散みてえなお題目なんだろ?ストレスの原因がそんなもんやって、自己満以外のなんだっていうんだ?ムカつく奴から素直に受け取るはずがねえだろうが!!」

 

普通科から自分達に向けられたヘイトを、自分達がする"おもてなし"で解消できる。

その考えは爆豪からすれば甘い考えであり、実際普通科の面子もさらに不満を溜めているのが現状であった。

 

「ちょっと!そんな言い方…」

 

「そういうのがなれ合いだ!っつってんだよ!」

 

「確かに、爆豪君の言うことも一理ある。果たして、彼ら普通科がなれ合いを求めているかと言われると微妙なところではあるね…」

 

爆豪の言葉に、ウォズも言いたいことは分かると頷く。

 

「確かに、配慮が足りなかったか…」

 

「ムカつくだろうが…俺らも好きでヴィランに転がされてるんじゃねえ!」

 

ヴィランがしてきた行動でヒーロー科にヘイトが向けられ、それを彼らが配慮するという構図に爆豪は不満を持っていた。

 

「なんでこっちが顔色伺わなきゃなんねえ…!テメーらご機嫌取りのつもりならやめちまえ!殴るんだよ!なれ合いじゃなく殴り合い!やるならガチで!雄英全員!音で殺るぞ!!」

 

「「「バクゴー!!」」」

 

「理屈は分からないんだけど、やってくれるんだね!」

 

「中々良い気概だね。」

 

「何言い出すかって一瞬ヒヤッとしたぜ…」

 

おもてなしの、配慮をしたご機嫌取りの演奏ではない。

他クラスと殴り合うぐらいのガチの演奏をするという方針で爆豪も参加が決定した。

ウォズも彼の意に感心し、切島はその隣でホットため息をつく。

 

「やったね!耳郎ちゃん!」

 

「うん!ウチ、頑張るよ!」

 

爆豪がドラムをすることが決まり、耳郎は嬉しく思いつつもさらに気合を入れる。

そしてその後、八百万がキーボード、上鳴と常闇がギター、耳郎がベース兼ボーカルと言うことでバンド隊が結成された。それに加えてウォズ、青山、切島、口田、瀬呂、轟が演出班、出久を始めとした残りの生徒達がダンスチームという風に役割を分け与えられた。

役目が与えられ、文化祭までの残り期間各々が当日に向けて動き出していくのであった。

 

「さあ、着いた!大丈夫!良い人ばっかりなんだから!」

 

そんな練習の日々の中のとある土曜日、とある人物が雄英高校を訪れていた。

 

「ようこそ!雄英高校へ!」

 

それは、見学にやって来た壊理と付き添いのミリオであった。

これから、壊理達による文化祭準備中の学内行脚が行われるのであった。

 




ジェントル達は本編とはまた違う形で出久達に絡むことになります。
文化祭編は割と短めになるかもです。
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