我が魔王は緑谷出久!?   作:夢野飛羽真

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大学院の授業が始まったので更新ペースが落ちるかもです。


第82話 歴代継承者達のとある日

この日は土曜日と言うこともあり、授業は午前のみ

文化祭が近いということで、生徒達は午後の時間で文化祭準備を進めており、それはA組の面々も例外ではなかった。

そして、練習に励むA組の生徒達を見守る存在が居た。

 

「爆豪のドラムの腕前は中々良いのさ!」

 

「ああ、完璧に近いクオリティだ。」

 

それは、歴代継承者達であった。クラーケンモンスターに精神を宿す万縄とアカネタカアニマルに精神を宿す四ノ森はバンド隊の練習を見守っていた。

 

「常闇!もっと音粒だたせろって言っただろ鳥頭!そんなんで雄英の奴らの耳ぶっ壊せるんか?ああ!」

 

バンド隊の中でも特に熱が入っているのは爆豪で、口こそ悪いが、完璧なクオリティを追及している。

 

「粒だたせるとは…?」

 

「常闇、レッスン3のとこ。」

 

耳郎のアドバイスを受けると、早速"トコヤミ用"と書かれたノートを開いて読む。

 

「アレは確か…」

 

「出久が耳郎にアドバイスしてたノートなのさ!」

 

耳郎がバンドメンバー1人1人へのアドバイス用に作ったノート。

そこに出久がアドバイスをしたのは数日前の出来事だ。

 

「緑谷、アンタたまにノート、ピャーって書いてるけど、どんな感じで書いてるの?」

 

「耳郎さん!何か気になるヒーローでも!?」

 

出久がプロヒーローやクラスメイト達の情報をノートにまとめていることを知っている耳郎は、ある時出久にノートの書き方について聞きに行った。

 

「えっと、ノートのまとめ方って言うか、もうちょい要点を分かりやすくしたいんだよね。」

 

と、耳郎は現在自分が書いているノートを出久に見せた。

 

「メンバーへのアドバイス!?全部耳郎さんが?凄いや!嬉しいねーこれ。」

 

「そう言ってもらえるようにさ、無駄な趣味って言われると思ってたから…ちょっと張り切ったりしちゃって。」

 

始めは自分の音楽の趣味がヒーロー活動と直結せず、このような形でクラスメイト達の役に立つとは思っていなかったが、上鳴や口田に背中を押されて文化祭と言う場で発揮することになった。

音楽が皆を喜ばせることになり、耳郎は更に張り切っている様子であり、演奏を成功させるために他のベンドメンバーへのアドバイスにもさらに力を入れようとしていた。

そしてそれは、出久のアドバイスもあってさらに上手くいっていた。

 

「出久のまとめるノート、私も読んだが分かりやすかった。現在にはあのようなヒーロー達もいるのだな。」

 

「すっかり四ノ森さんもお気に入りなのさ!」

 

出久のノートはたまに四ノ森らも読んでおり、今現在どのようなヒーローが活躍しているかという情報を集めるのに活用していた。

 

「さて、演出隊の方も見に行くのさ!」

 

万縄らは続いて、ダイニングの方で会議をしている演出隊の方を観に行く。

 

「演出に私のエナジープラネットや忍術を使うのはどうだろう?」

 

「おお!そりゃ助かるぜ!」

 

演出隊は、演出内容を考えているが、シノビやギンガの力を使えるウォズが演出効果という面ではかなり活躍できそうである。

 

「お、四代目に五代目か。こっちはまあ、良い演出ができそうだ。」

 

「ふむ、ウォズも相当張り切っている様だな。」

 

先にその場にいたのは、ラビットウォッチャーに精神を宿す煙だった。

 

「こちらも次々と良いアイデアが出ているが、少し人手不足かも知れないな。」

 

「ウォズがフル回転するだろうし、問題はなさそうなのさ!さて、後は出久の様子でも見に行くのさ!」

 

次に彼らが向かったのは、寮の外でダンスの特訓をしている出久達のところであった。

 

「緑谷違う!もっとこうムキっと!ロックダンスのロックはL.O.C.Kのロックだよ!もっとこう、鍵をかけるように…ビシッと止まる!」

 

「「「ビシッ!」」」

 

ダンス隊では、芦戸による熱血特訓が行われていた。

 

「9代目、何ていうか…」

 

「ダンス下手だな。」

 

そこで、3人はバットウォッチガジェットに身を宿す志村と合流してその様子を見ていたが、出久のぎこちないダンスを見て本番までに治せるか少し心配になる。

 

「ん、誰か来たのさ!」

 

とその時、万縄が新たな訪問者の存在に気付く。

 

「あ、通形先輩!」

 

それと同時に出久もその訪問者、ミリオがやって来たことに気付いて声をかける。

 

「「「壊理ちゃん!!」」」

 

そんなミリオが連れてきた壊理の存在に気が付くと、出久、麗日、蛙吹が駆け寄って来る。

 

「桃がなってるよ!」

 

「彼は何をしているんだ…」

 

その横で尻を突き出すギャグをしているミリオにツッコミを入れるのは、四ノ森だけであった。

 

「壊理ちゃん!」

 

「デクさん…」

 

「何々!?先輩の子供!?」

 

ミリオの横にいる壊理を見て、インターンに参加していない尾白ら事情を知らない生徒達は彼女がミリオの隠し子なのではないかと驚きを見せている。

 

「素敵なおべべね!」

 

「可愛い~!」

 

一方、インターンに参加していた麗日と蛙吹は初めて見る壊理の私服姿に夢中だ。

 

「校長から許可が下りた。」

 

そしてそこに、相澤がやって来る。

彼の口から説明されたのは、校長から壊理が文化祭に来る許可を貰えた一方で、彼女がこれまで社会から切り離されて生活してきた故に突然人の多いところに来てしまえば精神的疲労を生んでしまったり、個性を暴走させてしまう可能性があるということで、一度学校に見学に来て慣れさせた方が良いと助言された。そのため、今日は土曜日と言うことで彼女に来てもらい、ミリオと共に学校中を回ることで雄英高校の空間に慣れてもらうことにした。

 

「ふむ、珍しいお客さんが来てるかと思いきや壊理ちゃんだったか…久しぶりだね。」

 

「あ、お面の人…」

 

「お面の人?ああ、トリニティの時のものか。」

 

賑やかな出久達の声が聞こえたのか寮内からやって来たウォズが壊理に声をかける。

出久がジオウトリニティに変身した際に八斎會との戦いの場に現れたため、ウォズはお面の人と認識されている。

 

「改めて紹介しておこう。私は我が魔王を導く預言者ウォズだ。以後お見知りおきを」

 

「我が魔王…?デクさんが魔王?」

 

壊理は今までの出久のイメージからは連想できない魔王と言う言葉に首を傾げている。

 

「そうだよ、我が魔王はいずれ最高の王、"ヒーローの王"になる。君も楽しみにしていると良い。」

 

「ちょっとウォズ君!恥ずかしいよ…」

 

ウォズの言葉に出久は照れてしまい、顔を両手で覆う。

 

「ヒーローの王、良い夢だな。」

 

「そうなのさ!」

 

志村達も改めて、出久のヒーローの王になるという夢に関心している。

 

「さて、今から壊理ちゃんと校内を回るんだけど緑谷君もどう?」

 

「はい!」

 

「そういうことならしばらく休憩!ティータイム!」

 

ミリオと出久は壊理と共に学校を回ることにして、それを考慮して芦戸もこれからしばらく休憩時間とすることにした。

 

「私達も付いて行こうかな。この学園内でトラブルにでも巻き込まれたら心配だからね。」

 

「ヘイヘイ七代目!流石に心配しすぎじゃないか?ここは雄英、悪い奴はいないんじゃないか?と言っても、暇だから行くんだけどね。」

 

志村も少し心配だから付いて行きたいと言い、煙もそれに追従する様だ。

 

「心配は要らない。何かがあれば私の個性ですぐに察知できる。」

 

と、四ノ森は語る。

彼の個性、危機察知は敵意を持った者や危機を察知するものである。

出久らに近付く怪しい者が居れば、すぐに四ノ森が察知する。

一先ず、出久とミリオに加えて歴代継承者4名が共に行くという、壊理をしっかり警備するような状態で学園内を回ることになった。

 

「お、早速誰か来たな。」

 

今日は休日ではあるが、全寮制になったこともあり学校に来やすくなった彼らは校内で準備を進めている。

それ故に、出久やミリオ達に話しかけてくるものもいる。

 

「お!通形じゃん!」 

 

「え!子供!?休学ってまさか…」 

 

久々に学校にやって来たミリオに驚いているのは経営科の3年生達である。

子供を引き連れているミリオの姿に、まさか彼に隠し子がいたのではないかと勘違いしてしまっている。

 

「フ…」

 

「いやなんか言えよガチっぽいな!」

 

それに対し、笑みを見せるだけのミリオにさらに経営科の生徒が焦ってしまう。

 

「彼らは特に害がなさそうだな。」

 

「問題ないのさ!」

 

一先ず彼らは特に壊理にとって悪い存在ではないことを、煙達が確認すると、引き続き彼らの様子を見守る。

経営科の生徒達は講演会のフライヤーをミリオ達に渡し、次にミリオ達は外に出る。

 

「しかしながら、にぎやかだね。」

 

多くの生徒達が中庭で自身の出し物の構造物などを作っている様子に、志村も関心している様子だ。

 

「来たッ…!」

 

とその時であった。

四ノ森が壊理達に何か敵意が来ていることを察知し、警戒心を高める。

 

「うおッ…!?」

 

「すんませ~ん、お!A組の緑谷じゃねえか!」

 

四ノ森が危機を察知したその瞬間、B組の鉄哲が持つ竜の頭の様なものが出久の眼前に現れ、出久と壊理が驚いてしまう。

 

「あれあれあれ~?こんなところで油売ってるなんて余裕ですか~?」

 

「壊理ちゃん、平気?」

 

鉄哲と共にいた物間が、相変わらずA組いびりをしているが、それを気にせず出久が壊理に声をかける。

 

「四代目、アンタが察知した敵意ってもしかして…」

 

「ああ、あの男だ。」

 

「おやおや無視かい?良いのかい?A組はライブ的なことをするんだってね!良いのかな?今回!はっきり言って君達より僕らB組の方が凄いんだが!」

 

四ノ森が察知した敵意とは、こちらの物間であった。

彼は幼い少女の目の前であることも気にせず、相変わらずのA組いびりをしている。

 

「ロミオをジュリエットとアズカバンの囚人!王の帰還!僕らの完全オリジナル脚本!超スペクタクルファンタジー演劇!」

 

「何か、混ざりすぎじゃない?」

 

「オリジナリティを感じないのさ!」

 

B組の演劇の内容に志村と万縄も思わずツッコミを入れる。

 

「とりあえず、アイツ遠ざけないと!壊理ちゃんに悪影響だ!」

 

「そうなのさ!皆行くのさ!」

 

「う、うん!」

 

一先ず、物間を壊理から遠ざけようと、ライドガジェット達が物間に飛びつく。

 

「なんだッ!?これ!うわッ…!離れろ!」

 

突然ライドガジェット達が自分に向かってきて物間は驚き、思わず逃げ出す。

さらに彼をこの場から引き剥がそうと4人は更に物間に追撃をかける。

 

「ちょ!?志村さん達!?あっ…行っちゃったね…」

 

「いきなり雄英の負の面を見せてゴメンね。」

 

出久達はその様子をただ見るしかなく、ミリオはいきなり物間と遭遇させてしまった事を謝る。

その後出久達はミスコンの控室やサポート科のラボを回っていく。

そして物間とライドガジェット達の追いかけっこがしばらく続き、彼らが出久達の近くに戻ってきたときには、出久達は食堂で休憩をしていた。

 

「慣れっていうか、どうだった?」

 

「よく、分からない…」

 

学内を回ったが、壊理も初めてこういう場に来たこともありあまり実感は湧いていなかった。

それ故に、仕方ないという表情を出久とミリオは浮かべる。

 

「けど、沢山色んな人が頑張ってるから、どんな風になるのかなって…」

 

「んー!」

 

だが、文化祭当日に向けて前向きな気持ちになっていることが分かると、2人は嬉しそうに顔を合わせる。

 

「人はそれをワクワクさんと呼ぶのさ。」

 

「根津校長!ミッドナイト先生!」

 

そんな壊理達に、近くで食事をしていた根津とミッドナイトが声をかける。

 

(((チーズ食べてる…!)))

 

根津は食堂のメニューではなく、大き目のチーズを食べており、出久と志村達は目を丸くして驚いている。

 

「有意義だったようだね。文化祭、私もワクワクするのさ!多くの生徒が最高の催しになるように、励み楽しみ、楽しませようとしている!」

 

「警察からも色々と言われましたからね。」

 

「ちょっと香山君。じゃあ、君達存分に楽しんでくれたまえ!」

 

と言って根津は席を立ち歩き始める。

この文化祭を行うにあたり、昨今の情勢も踏まえて警察から自粛する様に言われていたが、警察と交渉し無事に今年の開催に漕ぎつけることができた。

警備を強化しての開催となり、厳しい条件こそあるが、学生たちが楽しめるように計らってくれていた旨をミッドナイトが出久達に告げる。

 

「デクさん達は何をするの?」

 

そこから次は、出久達の出し物へと話が移る。

 

「僕達はダンスと音楽!踊るんだよ!壊理ちゃんに楽しんでもらえるように頑張るから、必ず見に来てね!」

 

壊理に自分達の出し物もきっと楽しいものになると言い、壊理に見に来るように誘う。

 

「すみません、そろそろ休憩終わるので行ってきます。」

 

「ああ!言っとくけど、俺も楽しみにしてるからね!」

 

「デクさん…もう行っちゃうの…?」

 

練習に戻るため、この場から去ろうとする出久を壊理が寂しそうに見つめる。

 

「ゴメンね。練習があるんだ…」

 

「当日!緑谷君が終わったらまた3人で回ろう!」

 

寂しそうにしている壊理に、ミリオが文化祭当日も3人で回ろうと提案する。

 

「デクさん、ルミリオンさん、私もワクワクさんだよ…」

 

「ふふ、そう言ってもらえて嬉しいよ!それじゃあ、頑張って来るね!」

 

壊理に喜んでもらえるように頑張ろうと、改めて気合を入れる出久。

彼は皆の下に戻り、練習に励むのだった。そして一週間ほど経った頃。

 

「緑谷、ダンス隊…クビです!」

 

教室で出久は芦戸からダンス隊からのクビを告げられてしまい、出久は絶望の表情を浮かべる。

 

「クビって言うか厳密には、演出隊からの引き抜きです!人手が足らんのだと!」

 

「何故僕に…壊理ちゃんに踊るって言っちゃったよ…」

 

「フロア全体に青山が行き渡るようにしたいんだけど。」

 

(青山君が行き渡るって何!?)

 

芦戸曰く、途中でレーザーを放つ青山をダンサーからミラーボールにして上から吊り下げながら移動させるという演出をしたいのだが、大きな舞台装置を用意するわけにはいかず、パワータイプの者が吊り下げながら移動するという手法をとることにした。

 

「すまないね。私はそのタイミングでウォズ・ギンガファイナリーにフォームチェンジしてエナジープラネットで演出をしなくてはいけなくてね。我が魔王の出番が削られてしまうが、了承してくれるとありがたい。」

 

「つまり、出番は削られるけど壊理ちゃんには踊ってるとこを見せれるってことだね。そういうことなら壊理ちゃんに嘘ついたことにならないし、より良いものにするためなら!」

 

「ありがとう!我が魔王!」

 

出久の出番は削られることになったが、文化祭のパフォーマンスは更にブラッシュアップされていく。

そしてあっという間に文化祭前日の夜を迎えたのであった。

 

「ウェーイ!眠れねー!」

 

「興奮MAX!」

 

「静かに、寝てる人もいるから。」

 

上鳴と峰田はテンションが上がっていて眠れない様子であったが、芦戸が静かにするように注意する。

既に八百万や爆豪を始めとするクラスメイトの半数は眠っている時間で、騒げば彼らの眠りを妨げてしまう可能性がある。

 

「皆、盛り上がってくれるだろうかッ…!」

 

「そう言うのはもう考えない方が良いよ。恥ずかしがったり、おっかなびっくりやったりやるのが1番良くない…舞台に上がったらもう、後は楽しむ!」

 

明日のことを考えて少し不安になる飯田を、耳郎が隣に座って励ます。

 

「お前メッチャ照れっ照れだったじゃねえか!!」

 

「アレはまた違う話でしょ!」

 

なお、耳郎もバンドをすることが決定した際、最初は断ろうとしていたが上鳴と口田に背中を押されてバンドをやる決意を固めた。その時のことを上鳴に弄られて、耳郎は頬を赤らめる。

 

「我が魔王、青山君、明日の準備は大丈夫そうかな?」

 

「うん!ウォズ君が予備のロープも準備してくれてたし大丈夫だよ。練習で使ってたロープほつれちゃってたけど、本番では予備のロープもあるし大丈夫そうだよ。」

 

「ロープのほつれは僕と緑谷君の絆の証だね!けど、本番は安全な方を使うよ!」

 

青山を吊り下げるための道具の最終チェックをしていた出久達であったが、練習で使っていたロープはかなりほつれてしまっていた。だが、ウォズが予備を用意していたので、本番には新品のロープで臨めることとなった。

 

「さあて、そろそろガチで寝なきゃ。」

 

「うん。」

 

「そんじゃ!また明日やると思うけど、夜更かし組!一足お先に!大成功させるぞ!」

 

「「「おー!!」」」

 

切島の掛け声とともに、皆が各々の部屋で眠りにつき、明日遂に本番を迎えるのであった。




今回は文化祭前のお話を独自の視点で描いてみました。

さて、ジェントル達との戦いは今回カットとなりましたが、彼らには文化祭編以降になりますがどデカイ見せ場を用意しているのでお楽しみに!
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