第一試合
A組:蛙吹・口田・上鳴・切島・心操 VS B組:塩崎・宍田・鱗・円場
1試合目は序盤宍田の活躍もあり、切島と口田が確保されてA組が追い込まれる場面もあったが、残りの3人の連携によって相手を乱してA組が勝利を掴んだ。特に心操の個性の強力さを実感する試合となった。
心操は途中の自身の動きを反省しつつも、すぐに次に備えてシミュレーションを行う向上心も見せた。
また、他のチームもこの戦いに刺激を受けて作戦をさらに練っていく。
第二試合
A組:青山・八百万・葉隠・常闇 VS B組:小森・拳藤・黒色・吹出
そして、迎えたのは第2試合
両クラスのクラス委員が相まみえる一戦となった。
「八百万さあ」
「はい!拳藤さん!」
「文化祭のミスコン、なんで出なかったの?絶対出ると思ってた。」
「相澤先生がミスコンのこと、お伝えくださいませんでしたの…バンドの練習があったのでどのみち出なかったでしょうが、相澤先生が出る必要はないと判断されたのでしょう。」
八百万百と拳藤一佳、2人は職場体験でその美貌を買われて指名され、共にCMにも出演した仲でもある。
ミスコンは誰が出るかの話し合いが合理的でないと判断した相澤の判断で、クラスにはその通達が行われなかった。そのことについて2人で語り合う。
「ふーん、職場体験でCM出演しちゃってから、なんか私達、同列に見られちゃうんだよね。所謂箱推しみたいな?」
「箱推し?」
箱推しと言う言葉に、八百万は四角い箱を押している姿を想像する。
「箱推しって言うのはあの子もこの子も丸ごと好きってこと!文化祭でも同じ人が八百万ー!拳藤ー!って叫んでたでしょ?」
「ああー!そう言えば…」
葉隠の言葉を聞いて、八百万は箱推しという言葉の意味を理解する。
「イドラ…偶像崇拝…」
その箱推しの言葉を独特の厨二ワードセンスで語る常闇を見て、B組黒色は口角を上げる。
「なんていうかさあ、八百万の方が成績も個性も上なのに、一緒くたにされてるのが地味に嫌だったからさ、個人的にちゃんと戦ってみたかったんだよね。」
「誠心誠意、お受けいたしましょう!」
拳藤からの宣戦布告を、八百万が快く受け入れる。
「常闇…お前は俺と同類だ…」
「黒色支配、個性は黒に溶け込み、黒の中を自由に移動できるだったな。」
「クッヒヒ…俺とお前は宿命の存在…」
「貴様も深淵の理解者…」
「永久の黒い園…」
常闇と黒色の中二病が共鳴してしまった様子だ。
「わお!」
「彼ら、輝いてないね!」
その様子を見つつ、青山らも自分の位置に向かう。
(ウォズさんから教わったこと、しっかりと発揮して見せますわ!)
八百万はジクウドライバーを自身の腰に巻き付けながら移動する。
ウォズと共にインターンに向かい、仮面ライダーツクヨミの力に目覚めた八百万。
それ以降も、ウォズと共に特訓をこなし、新たな戦術を身に着けてきた。
『ツクヨミ!』
「いきますわ…変身!」
『ライダータイム!』
『仮面ライダーツクヨミ♪ツ・ク・ヨ・ミ!』
その戦術を発揮するためのオペレーションを練りつつ、変身をした八百万とチームメンバーが位置に付く。
「両チーム、準備完了…それでは…頑張れ!拳藤チーム!第2試合スタート!」
「偏向実況やめろー!」
「「「「やめろー!!」」」」
それを見て、ブラドが試合開始を告げるが、彼のB組寄りの発言に芦戸を始めとするメンバーが反対の声を上げる。
その声と共に、各メンバーが動き始める。
「八百万君との特訓の成果、しっかりと発揮でいるか楽しみだ。」
「うん!ところでウォズ君。最近ライドウォッチが結構増えてたのって…」
「そう、彼女のためだよ。結構頑張ったんだよ。」
文化祭以降、ウォズも新しい技術を得ていた。
それは、逢魔降臨暦から新しいライドウォッチを作り出すというものであった。
ジオウ、ゲイツ、そしてツクヨミの戦いの幅を広げるためと言うことで、本人がブランクライドウォッチに降臨暦から歴史を写し出すことを試み、無事に成功させたのであった。
「予定通り斥候をお願いしますわ!常闇さん!」
「承知!ダークシャドウ!」
「アイヨ!」
「相手を見つけ次第報告を!」
「任セロ!」
八百万の指示で、ダークシャドウが皆より先に進んでいき偵察を行う。
「ダークシャドウが相手を見つけた様だ。あの煙突の手前…」
「行きましょう!」
工場地帯を模した運動場γの複雑な構造物の間をすり抜けるようにして進み、ダークシャドウが遂に敵を見つけた。そして、既にダークシャドウは敵との戦闘を始めていく。
「ダークシャドウ、かなり遠くまで行かせられるようになってない?君もインターンでレベルアップしてるのかい?」
「どうかな?離れた分、ダークシャドウの持続時間が短い。」
「あ、戻って来た。」
青山は常闇の成長具合に関心しつつ、戻って来るダークシャドウのことを見つける。
「うわッ…!ああっ…!」
「皆散れ!」
とその時であった。
苦しんだ様子のダークシャドウが突如皆に襲い掛かる。
「何々!?どういうこと!?」
「フミカゲッ…ヤラレタ…」
苦しみながらダークシャドウが暴れて皆を襲おうとしたその時であった。
「無力化しますわ!」
何故ダークシャドウが寝返ったのか、操られたのか?それとも暴走してしまったのかわからないが、ここで八百万は自身のグローブにエネルギーを収束させて光を放つことで、ダークシャドウを抑えようと試みる。
本来であれば光刃を生成する器官であるが、それを八百万は応用して強力な光を放つために利用した。
「光れるのは青山だけじゃないのかよッ!」
光によって小さくなるダークシャドウの中から、全身真っ黒の男子が現れる。
それは先程常闇と言葉を交わしたB組の黒色であった。
出てきた彼を捕らえようと、八百万は掌にネットを生成して投げていく。
1つは外れて、もう1つは黒色を捕らえるも、すぐに彼は影の中に消えていく。
「消えちゃった…」
「影に溶け込みましたわ、あれが黒色さんの…青山さん!光を!」
「ネビルビュッフェレーザー!」
黒色の個性に青山が驚く中、再び仮面ライダーツクヨミの力を使い、周囲を照らす。
さらに青山も周囲にレーザーを放つことで、周囲の影がさらに減ってしまう。
(思ったより早く封じられたが想定通りだ!こっちにはプランBがある…)
黒色単独での奇襲策は、B組にとって初めて見る仮面ライダーツクヨミの力によって容易く防がれてしまった。
だが、光を放てる青山もいることからその作戦が防がれてしまうことは想定内で、彼らは次なる策に移ろうとしていた。
「なんですの!?これ!」
「これじゃ体のラインが丸わかりだよ!」
影に隠れて逃げていく黒色を八百万達が追おうとした時であった。
彼女らの身体の至る所にキノコが生え始める。
B組女子の小森の個性により、皆の身体と彼女らの周囲がキノコに覆われていく。
「全然減らないんだけど!」
「これが、小森の個性かッ…!」
青山と常闇は身体の至る所から生えるキノコに困り、自身の身体から振り払おうとするが、それ以上にキノコが生えてきてしまう。
「ならば、これでいきますわ!」
『ファム!』
ここで八百万は、ウォズが作った新しいライドウォッチを取り出しジクウドライバーに取り付ける。
『アーマータイム!』
『アドベント!』
『ファム!』
そして、仮面ライダーツクヨミの身体に、白鳥の女性戦士仮面ライダーファムの鎧が装着されていく。
「行きますわ!」
彼女の一声と共に、契約モンスターであるブランウィングが現れて翼を羽ばたかせて風を起こすと、キノコが一気に吹き飛ぶ。さらにその胞子も吹き飛ばされて、工場地帯のパイプに付着してそこからキノコを生やす。
「ガガガッ!ドンッ!ズバババーン!!」
すると今度はB組が布陣していた方向から巨大な岩のようなものが現れて工場地帯を突き破ってぶつかって来る。
岩と言ってもその形は"ガガガッ!ドンッ!ズバババーン!!"という音を象った形をしている。
これはB組の吹出の個性によって出てきたものであり、それは八百万と他の3人を分断した。
「常闇さん!青山さん!葉隠さん!」
「ヤオモモ、どうやら仮面ライダーになって強くなったみたいだけど、挑ませてもらうよ!」
「拳藤さん…ええ、受けて立ちますわ!」
そして八百万の前に拳藤が現れる。
個性で自身の拳を大きくした状態で彼女に向けて一気に駆け出し、その拳を振るう。
「考える時間は与えない!」
両拳を大きくし、パンチの連打を八百万に向けて撃っていく。
八百万も盾を3枚創造し、構えることで拳の連打を防ごうと試みる。
「根比べなら負けないよ!体内で物質を作る八百万の方が消耗が激しいに決まってる!」
これまでの八百万であれば、大物を作るのに時間もかかってしまう上、作戦を咄嗟に考えるというところも苦手であった。何より、創造によるカロリー消費で体力を大幅に消耗してしまうこともある。
このまま持久戦に持ち込み、根性で勝とうと拳藤が盾をパンチで打ち破った時であった。
(丸太!?)
丸太の様なものが八百万の胸部、と言うより彼女が変身する仮面ライダーツクヨミのアーマーから飛び出してきて、突き出る丸太を回避しようと拳藤は後方に下って距離を置く。
八百万は創造したものを普段は、身体の肌が露出している部位から出していたが、仮面ライダーに変身したことで創造物を全身のアーマーから出せるようになった。
「いきますわ!」
『朱鬼!』
『アーマータイム!』
『(弦の音)』
『朱鬼!』
丸太をとっさの判断で出したことで、八百万は身体に装着するアーマーを付け替える時間を得れた。
赤い鬼の鎧をその身に纏うと、手に持つハープ型の弦楽器を演奏する。
(前よりも対策が早くなってる…!?)
だが、八百万の1番の成長は仮面ライダーツクヨミの力を得たことよりも、咄嗟の判断、戦いの流れの中での判断力が良くなったことである。元々、予め作戦を立案し、遂行に移す力に優れていたが、その一方で想定外の事態への対処には課題があった。だがそこを、ウォズと共にミルコの下へ行ったインターンでしっかりと克服してみせたのだった。丸太の生成から、朱鬼アーマーへの変身、そして武器である音撃弦・キタラの演奏による波動の放出で拳藤を怯ませるという作戦を一瞬で立案して遂行したのであった。
「大砲!?」
ハープを奏で続けて波動を放つことで、拳藤が怯んで動けなくなっている間に、八百万は大砲を想像する。ツクヨミの中にあるエネルギーを制御することで自分の創造の際の材料の補填として使うことができ、体力の消耗を抑えつつ、迅速に大物を作れるようになった。そしてその大砲の砲身に拳藤が身構える。
「大きい物も、すぐに作れるようになりましたわ!」
(ハッタリでしょ…まさか、吹出の壁を壊す気!?もしそうなら、インパクトの瞬間に拳を巨大化させて…!)
先程のハープの力があれば、ある程度拳藤を封じることはできる。
それ故にわざわざ大砲を出す必要もないし、実際に彼女に向けて撃ってしまえば命を奪ってしまう可能性もある。
そのことから、拳藤はそれが八百万と他の3人を分断する吹出のオノマトペの壁を壊すためなのだと察して動く。
「ビックリさせてしまってごめんなさい!」
だが、その砲身が向いていたのはその壁よりも上の方向であった。大砲から放たれた袋が壁を越えて向こうにいる残ったA組メンバーの下に飛んでいく。
(破壊の為じゃない!?何かを打ち上げた!?)
「今ですわ!」
そして、八百万の身体の至る所から飛び出たロープが、大砲の動きに気を取られた拳藤に絡みつくのであった。
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(この音は…吹出じゃない。壁の向こう側か?)
一方、分断されてしまっていた常闇、青山、葉隠らは吹出と小森の個性に苦しめられていた。
彼らの身体は既にキノコによって覆われてしまい、今も体の各部位からキノコが生えてきてしまい対処に困っていた。
そんな時であった、吹出が作った壁の向こうから爆発音が聞こえ、常闇がそれに反応する。
(あれは…八百万か!)
「ダークシャドウ!」
「アイヨ!」
それは先程、八百万が作った大砲の音であり、そこから発射されたものが壁を越えて落ちてくる。
インターンを通して、常に浮遊しているダークシャドウに自身を抱えてもらうことで飛行するという新技、黒の堕天使を会得した常闇は、葉隠と青山を持ち上げながら飛行して八百万が作ったものが入っている袋をキャッチする。
「これは…!」
そう、その袋には"YAOYOROZU'S LUCKY BAG"と書かれており、彼女からのお助けアイテムが入っていると察した常闇はその中身を開けるのであった。
「小森…」
「何?聞こえない!」
一方こちらはB組陣営。
影から出てきた黒色が小森に声をかけるが、ボソボソと喋っているためか声が小さい。
彼は女子と喋る時、大抵緊張でこのようになってしまう。
「そろそろA組のメンバー確保しにいこうか?」
「そうね、丁度キノコで影もいっぱいできてるし、よろキノコ!向こうはこっちの場所が分かっていないから、このまま皆でキノコ攻めノコ!」
複雑な工場地帯の中に潜伏しているためか、A組は中々B組のメンバーを見つけることができない。
それに今はキノコ攻めに苦戦しているはず。そうなるとこの隙に黒色の個性で奇襲してしまおうと彼らは考えていた。
「な、なあ、小森…」
「ノコ…?」
「A組、この場所分かってないか…?」
攻勢に出ようとしたその時であった。
黒色がこちらに近付いて来る影に気付いていた。
(サーモグラフゴーグル…こちらを伺う様が分かりやすく見える。深淵を除く時…深淵もまたこちらを覗いている!)
常闇が付けているサーモグラフゴーグル、これは八百万が創造したものであり、先程のラッキーバッグに入っていたものであった。そのゴーグルをつけることで入り組んだ地形内でも相手の位置を把握することができ、黒の堕天使で工場の構造物を掻い潜りながら飛び、常闇は見つけた2人に向けてまっすぐに飛んでいくのであった。
「おいおい!常闇が小森の方にまっすぐギューンだぜ!」
「君の方にもね!」
「ビク!」
その様子を見ていた吹出の近くからも声がする。
そう、葉隠の声である。しかし彼女の姿を吹出は視認することができなかった。
「B組にはキノコが生えないのがおかしいと思ってたけど、滅菌処理してたんだね!」
「一体どこに!?」
A組のメンバー達はある違和感に気付いていた。
それは接敵したB組にはキノコが生えていないという点であった。
そのことから、八百万は彼らが滅菌処理をしていることを見抜き、ラッキーバッグに滅菌スプレーを仕込んでいたのであった。それを使ったことで葉隠の身体からキノコが生えず、完全に透明な状態であるため、吹出は彼女の姿を視認することができなかった。
(ヤオモモとウォズ君に教わった必殺!)
「
八百万とウォズはインターン以降戦いの幅を広げるために、様々な技を学んでいた。
その過程で他のA組メンバーも技術を教えてもらう機会があり、葉隠も透明である自身の身を活かすための技を学んでいた。背後から吹出に飛びつくと足を腹部に絡めて固め、右腕を彼の首に回して左手を添えて押し込むことでそのまま首を締め上げる。柔道を始めとする格闘技の技であり、締め上げられた吹出はあっという間に気を失ってしまう。
「確保ー!」
透明な葉隠と柔術技というのは、相手を1人で制圧するのに良い組み合わせであり、数カ月ほどれんしゅうしてきた結果吹出の確保という結果に繋がったのであった。
そして、常闇も他の2人の確保に向けて動いていた。
(場所さえ分かればこちらの間合い…)
「こっちに向かって来てるぞ!」
サーモグラフで黒色と小森の位置を特定した常闇は、ダークシャドウとの連携技である黒の堕天使によって飛びつつ、彼らに近付いていく。
(逃れ潜むことさえ許されぬ…疾風怒涛!)
「ホークス曰く速さは力に勝る!
そして、その身にダークシャドウを纏わせて黒色と小森の腹部をその腕で叩く。
「ノコー!!」
「小森!」
その一撃を受けて気絶する小森と、咄嗟にその場から退却する黒色。
ダークシャドウがすぐに気絶した小森を確保する。
(まずい…小森たちを助けないと…!)
影の中に入り、すぐにその場から距離を置きつつ、確保された小森を常闇からどう救出しようかと思案する。
「ネビルビュッフェレーザー!」
だがそこには、青山の姿もあり、彼が放つ光で影が少なくなり、咄嗟に黒色が出てきてしまう。
(吹出は!?拳藤はどこだ!合流しないと!)
他の者達と合流し、体制を立て直そうと考える黒色であったが、既に遅かった。
彼以外の3人は既に確保され、牢獄の中に入れられており、黒色がそのことを知った時にはこの試合の制限時間が終わったのであった。
「やりましたわ!」
「流石、クリエティだ。見事なオペレーションだった。」
「ウォズ君と一緒に教えてくれた技も有効活用できたよ!」
「サーモグラフ、僕らも活用できて輝いてたよ!」
一方、戦いを勝利で終えたA組陣営では、サポートアイテムの創造と拳藤の確保に貢献した八百万にチームメイト達から賞賛の声がかけられる。
「とんでもありませんわ、これも全てウォズさんのお陰ですわ…」
仮面ライダーの力を得たことだけでなく、ウォズと共に行ったインターンを通して自身の戦い方や思考も返ることができた。インターンに帯同することを許してくれた彼のことを想い、胸に手を当てて頬を赤らめながら皆はクラスメイトの下に戻っていくのであった。
結構、ざっくりした感じの対抗戦になっています。
ツクヨミ八百万、書いてて思ったんですけどかなり強いです。
後々、新しいアーマータイムに関して纏めたものを投稿しようと思ってます。
また次回もお楽しみに!