人見知りのごった煮   作:人見知り

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fgoのイベントでネロの最後を見て書きたくなってので
(byネロ系未所持マスター)

極力寄せたつもりだけど、違ったらifという事で割り切って下さい。


Fate/
薔薇の皇帝、落陽を迎えず


 

 

ローマの都から離れたとある寂れた街道、そこを進む一台の馬車があった。

その御者は、1人で街道の外れを進む者を見つけた。

 

御者は何かあったのかと思い、馬車を止めて声を掛けた。

「そこの御仁!この先に進むのなら、共に行きませんか?!」

 

その者はそれを聞き、逡巡しているようだった。

御者はその様子から、相当な事情があるのだろうと思い、

馬車から降りて近づき、手を差し伸べた。

 

 

御者はその時初めて相手の顔を見た。

思わず手を戻しかけるが、その表情を見て思い止まる。

 

優しく微笑みながら、彼女の手を掴む。優しく、されどしっかりと。

まるで迷子の手を引くかように。

 


 

 

「何を考えおる」

 

少女は御者に尋ねる。

 

「今は夕食のことですね。

焼いた鳥の肉があるのですが、それで構いませんか?」

御者はのんびりと答えた。

 

「そんな事ではない!余を庇えばどうなるか…、想像がつかぬはずはなかろう…」

少女の表情には悲しみと恐怖、そして、ほんの少しの期待が宿っていた。

 

「そうですね……。ほんの少し前まで、私は都で商いをしていました。」

 

「話を聞いておるのか!」

唐突に身の上話を始める御者に、少女は声を荒げるも御者に宥められる。

 

「私の店もかの大火に晒されましたが、寸でのところで消し止められました。

お陰で店の者も品物も無事で済みました。

 

皇帝陛下のお陰です。とても感謝しています。

皇帝陛下にお会いできたら、こう言いたいです。

『私達を愛してくれて、ありがとうございます』」

 

 

それを聞いた少女は涙を流した。

 


 

 

 

「ぐすっ それで何処に行くのだ? 買い付けか?」

 

泣き止んだ少女に問われると、御者は気まずそうな顔をした。

 

「あ〜あの、その、ですね……

取引先が何件か潰れてしまいまして……店を畳みまして……

 

当てのない旅です。」

 

「潰れた…? まさか余のせいか…?」

少女は、先程とは別の理由で涙ぐみ始めた。

 

「いやっ!そのっ!あのっ!そうだ!

ここで会ったのも何かのご縁! 護衛をお願いできますか?!」

 

「ごえい?」

 

「はい!何せ只の元商人ですので、身を守る術がありません。

是非とも、共に来ていただきたいです」

 

「そうか…そうか!

余に任せよ!」

 

少女は嬉しそうに笑い、引き受けた。

 

 


 

少女と御者は長い旅の末、そこにあった小さな町に住むことにした。

 

そこでも御者は商いを始め、商人となった。

少女はその多才さで、店を助け続けた。

 

 

 

 

2人の関係が変わったのは、少女が少女とは呼べなくなった頃だ。

 


 

商人がまた一つ商談をまとめ、寝室に向かうと彼女が居た。

 

彼女は暗い表情をしていた。

商人は何かあったのかと訊くと、彼女に押し倒された。

 

「……町の者が話しているのを聞いた。

余は…其方が軽んじられるのが耐えられん。

故に、今日から其方は余の物だ。構わぬな。」


 

 

翌日から2人は夫婦となり、暮らすうちに子を成し、父と母となった。

 

息子達が大きくなったある日、母親の体調が急変した。*1

 

空が赤くなり始めた頃、彼女は夫に看取られながら、息を引き取ったとされている。

 

*1
幼少期に盛られた毒によるものという説や、頭痛に耐えきれず服毒したとの説もある

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