P3U 〜ペルソナ3×ウマ娘プリティーダービー〜 作:音佳霰里
『原作沿い』
>どっちだよ。
「―――もし、1日が24時間じゃないと言ったら、君は信じるかい?」
〜4月5日 午後12時前・地下鉄車内〜
『まもなく、巌戸台〜、巌戸台〜』
車内のスピーカーから流れるアナウンスが、私の目的地を告げる。
『この電車は○○行きの最終電車となっております、お降り忘れの無いようにお願いいたします』
絶対に降りなければ……。私は手荷物を持って、席を立った。
〜4月5日 午後12時前・巌戸台駅 改札口〜
……かなり遅くなってしまった。時計を見れば、もうすぐ日が変わりそうな時間だ。
夜も遅く、辺りの人もまばらな時間帯だとはいえ、走るのは控えておこう。私も一応ウマ娘だとはいえ、わざわざ人様に迷惑をかけてまで走りたい、なんて程欲望が強いわけじゃない。
―――と。
「―――……」
ポツポツと星の見えた濃紺の夜空は、緑色に。明日には満月になりそうな月は、そのサイズを大きく。そして何より、
「ここでも起きるんだ……」
毎晩午後12時を回ると起きる現象。名前は知らない。日によってその時間はまちまちだったけれど、たったひとつ分かることは、私以外の人、そしてウマ娘は、例外なく棺桶の中に入れられていて、この時間中に起きた出来事を一切感知できないということ。
何時からだったかは忘れたけれど、私はこの現象を知覚できるようになった。
とはいえ、それももう慣れたもの。特にモンスターとかそう言うものが出てきた訳でもなかったし、何の為にあるのかは全く分からない、この時間。
いい加減に向かわないと怒られそうなので、しっかりと荷物を抱えて、走る準備をする。
思いっきり走っても怒られないというのは、ウマ娘にとってとてもありがたいことなのだ。
―――これから向かうのは、日本中のエリートウマ娘達が集まる、日本競バの最高峰、『日本ウマ娘トレーニングセンター学園』。その分寮だ―――。
〜4月6日 謎の時間・トレセン学園 巌戸台分寮〜
……やっと着いた。この時間の間は、機械類なんかは全部ダメになってしまうのでよく分からないが、駅からもかなり距離があったっぽいし、もしも私がウマ娘じゃなかったら、明日以降の学校生活を投げ出していたんじゃなかろうか。
でも、来る途中には商店街とかもあったし、立地自体はなかなかにいいのかもしれない……。
しかし、と私は空を見上げる。空の色は先程と変わらず緑のままで、月もその体を大きくして、こちらを見つめている。
「
普段ならばわりとサッと過ぎるんだけど。
まぁそういう日もあるんでしょう。きっと。
それで、寮の外観。古めの洋風ホテル。以上!
もう遅いし、さっさと入ろう!
「―――やぁ、君が来るのを待っていたよ」
扉をあけ、建物の中に入ると直ぐに、フロントの方から声がかかった。マジでホテルじゃんここ。
声がした方を見ると、そこには何故か白黒の縞模様の服(ちょっと囚人服みたいだ。最近のやつは違うらしいが)を着た、黒髪翠眼の男の子がいた。
「とりあえず、この契約書にサインをしてくれる?」
「……なんで? てか誰?」
そう言うと彼は、全てを見透かしたような笑みで答える。
「僕が誰かは言えない。今はまだ、ね。でも安心して。契約って言っても、そんなに厳しいものじゃない。『自分のした事に対して責任を持つ』。それだけだよ、簡単でしょ?」
それくらいなら、まあ、普通の事だし……と思い、私は彼の差し出した契約書に名前を書いた。
「……うん、OK。これで契約は完了だ。君はこれから、大きな困難を経験するだろう。でも、挫けずに最後までそれをやり遂げて欲しい。―――それじゃ、頑張ってね」
そう言うと、男の子は闇へと溶けるようにして消えていった。
それを待っていたかのように、後ろから鋭く声が掛かった。
「―――誰だっ!?」
振り向くと、そこには黒髪ショートカットで、つり目のウマ娘が……。
「え、エアグルーヴ、さん……!?」
「! 私の名前を……。それにこの時間に『象徴化』していない……。おい貴様、手に持った物を床に置いて、両手を上に―――「―――待て、エアグルーヴ!」っ!」
GIバ、それもあの『女帝』がどうしてここに……と戸惑っていると、彼女の後ろからもう1人、ウマ娘が出てくる。
「―――彼女は今日入寮予定だった娘だ。忘れていたのか」
「シっ、シンボリルドルフ!?」
今度はそれを上回るネームバリューだった。どうなってんだここのホテルは。☆1に……やっぱ☆5にするわ。
「そ、そうでしたか……。済まなかったな、取り乱してしまった」
「い、いえ……。それより、お2人は何故ここに……?」
いくら私がそんなにレースが好きじゃないウマ娘だとはいえ、流石に『女帝』や『皇帝』位は知っている。
それくらい格の高い2人を前に、声も若干震えている。
「ふふっ、そんなに固くならなくてもいいさ」
答えてくれたのはシンボリルドルフさん。
「知っているようだが、一応自己紹介をしておくよ。私がシンボリルドルフ、そしてこっちが―――「―――エアグルーヴだ」。それともう1人この寮に居るんだが、今はちょっと席を外していてね。戻り次第、挨拶をさせるさ」
「は、はい……。よろしくお願いします……」
なんなんだよこのホテル(2回目)。GIバ×2の住むとかもう……、もう……! (語彙力)
……と、言うか。
「えっと……やっぱり、私もここに滞在するんですか?」
「あぁ。その事なんだが、ここはあくまで仮宿さ。本来なら君はトレセン学園の敷地内にある寮に入る予定だったんだが、なにぶん急だったものでね。まだ部屋の用意が出来ていないんだ。古い施設にはなるが、それで我慢してくれると嬉しい」
シンボリルドルフさん曰く、どうやら私は寮の手配が終わるまでの間、この分寮に滞在させて貰えるようだ。
「―――良いんですか、会長?」
「あぁ、仕方ないさ。今の私たちには彼女が必要だ。彼女がいれば、大幅な戦力アップに繋がるだろう……」
何やら小声で話し合う2人。その内容はよく分からないが、深刻な表情から見るに、何やらすごい真剣な話らしい。
手持ち無沙汰に視線をさ迷わせていると、エアグルーヴさんの制服の腰辺りにある、鈍く銀色に光る物に目がいった……。これって……。
「あの、エアグルーヴさんは何故銃をお持ちなんですか……?」
そもそもそういうのって銃刀法がどうこうじゃないのか。
そんな不安が顔に出ていたようで、シンボリルドルフさんが笑いかけながら、説明をしてくれる。
「あぁ、これかい? あくまでも護身用さ。『影人間』だなんだって、最近何かと物騒だろう? それに、これは弾が出ないようになっているんだ。見かけだけでもそれっぽくしておけば、多少は不審者だって怯むはずだからね」
そんな事を話していると、消えていた電気が付いた。どうやらあの時間が終わったようだ。
「そうだ。エアグルーヴ、彼女を部屋に案内してあげてくれ。いい加減度の疲れも出てきた頃だろう」
「分かりました。―――着いてこい」
それだけ言うと、エアグルーヴさんはさっさと2階に上がっていってしまった。私はシンボリルドルフさんにおやすみなさい、と挨拶だけして、彼女の後を追いかけた。
「2階の1番奥、ここが貴様の部屋だ。覚えやすくて良いだろう?」
それだけ告げると、エアグルーヴさんは部屋から出ていこうとする。
が、扉の前に立って一言。
「先程の事だが。誰にも言わないでくれるか?」
言わないでくれ、なんて言う理由は分からないが、お2人は偽物とはいえ銃を持っていて、私はよく分からないオカルト的な時間を感知できる、なんて事を言っても、主に信頼度の差で、意味不明なこととして処理されるのがオチだ。
互いにメリットも何も無いので、私はそれに頷く。
それを見届けた彼女は、「頼むぞ」と言って部屋から出ていった。
それから直ぐに、軽くシャワーを浴びて着替え、寝る事にした。
―――ここから、私の激動の1年間が始まる―――。
○コンセンタラフー会長→カイチョー
○ゆかりっち→ベロちゃん(マヂたわけ)
>原作どおりとはいえ全然喋んないなこの副会長…。