ブルーアーカイブ/LORD OF SPEED 作:ケツデカ・ルーズベルト大統領
「全ては、私のミスでした」
「私の選択、そしてそれによって招かれた全ての状況」
──意識が朦朧としていた。
最初はひよりの声だと思っていたが、すぐに俺の知り合いの誰でもない声だと気付く。誰だ、この声は……?
ぼんやりとだが視界が明ける。
目の前にいる、おそらくこの声の主であろう少女は、左胸から血を流して座って居た。この量の血を流しているということはおそらく銃創かそこらだろう、早く手当をと思ったが体が動いてくれない。まるで、夢の中にいるような感覚だった。
「結局、この結果に辿り着いて初めてあなたの方が正しかった事を悟るだなんて…」
何かを後悔しているような、そんな声色で彼女は俺に語り掛ける。
「今更図々しいですが、お願いします。先生」
俺が、先生?
俺はガキの頃からずっと親父の背中に憧れて、親父の事を見返してやろうと思って、警察官になるべく努力を重ねてやって来た。途中、ZECTに入って世界を救うために戦ったことはあれど、俺は誰かにとっての「先生」になったことなど、一度も無いはずだ。
「責任を負う者について話した事がありましたね。あの時の私には分かりませんでしたが……今なら理解できます」
そんな大層な話を、俺は偉そうにこの女の子にしたのかとたまげて笑いそうになる。まだ30にもなってない若造なのに、随分と偉そうな”先生”だったらしい、俺は。
「大人としての責任と義務。そして、その延長線上にあった、あなたの選択。それが意味する心構えも」
何も出来ないから黙って話を聞くしかない俺は、ふと、彼女の話す”
「ですから、先生──いえ、”仮面ライダーガタック”」
ガタックという言葉に、俺は体がビクリと動いたような錯覚を覚えた。どうやらこの子は、俺がガタックだと知っている立場らしかった。
「私が信じられる大人である、あなたになら、この捻れて歪んだ終着点とは、また別の結果を……。そこへ繋がる選択肢は、きっと見つかるはずです」
それから一呼吸置いて、彼女は笑って俺に言った。
「”俺は俺にしかなれない”と言っていましたよね──どうか、先生は変わらずに居てください」
彼女の笑顔が遠ざかっていく。
違う、遠ざかっているのは彼女じゃなくて俺の意識の方だ。ごちゃごちゃしてて何も分からないが、今目覚めてしまったらもう二度と、彼女とは会えないような感じがして、俺は必死に抗う。
──待ってくれ!君は、君は誰なんだ!!
どんどん闇が彼女の周りを蝕んでいき、俺の叫びもだんだん小さく掻き消されて行き……
「おはようございます、先生」
俺は、目覚めた。