ジョ術廻戦   作:春の綿雪

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 ……しれっと投稿すれば久しぶりでもだいじょぶやろ。






 ごめんなさい、おまたせしました。
 一応あと一話で今回の話は終わりになる予定です。



誇り高きリンダリンダ②

 『スタープラチナ』は空条承太郎が発現させた近距離パワー型のスタンドだ。

 素早く正確に動くうえに、とんでもなく力強い。

 欠点として挙げるなら2mと短い射程であるが、部分的にスタンド像を変形し刺突や鞭のように使って半端な距離は埋められてしまうほか、人外の膂力で放たれる投擲は精密な動作によって正確に着弾させて見せる。

 固有の能力も『速さを極めた結果、時を停める』まさにレベルを上げて物理で殴っていくストロングなもので、搦め手を除いたスタンドの戦闘能力において最強と言える能力だ。

 

 そんなスタンドの持ち主である空条承太郎自身の精神力、判断力も尋常ではなく体内に肉の芽が入ってきたり体の一部がドロドロにされたりするような危機的状況に立たされようとも、冷静に敵の能力や策略を見抜いて突破し自身のスタンドの土俵である直接戦闘に引きずり出す。

 

 彼を周囲の人間は憧れや敬意、あるいは畏怖の感情をもって『最強のスタンド使い』と呼ぶ。

 

 

 

 なぜ、そんな説明を今更しているのかって?

 それはね――

 

『オラオラオラッ!』

 

「ひでぶっ!」

 

 

 強い衝撃と一瞬の浮遊感、瞬きする間もなく地面をゴロゴロと転がっていく。

 ぶるぶる震える腕で身体を起こせば目の前に白いズボンが壁のように立っている。

 

「……まだやるかい?」

 

「ぐ、ぐぐぐぐっ」

 

 

 現在進行形でその空条承太郎に私がボコボコにされているからだよ!!

 

 

 

 

 

 発端は実に一時間ほど前に遡る。

 

 

 

 頂点にあった日差しが西に傾きはじめた田園地帯を歩いていく、()()()()()()()()()

 

 目的地……? いつの間に私は学校を出たんだっけ?

 私はたしか50メートル走の測定の後、校庭で行うほかの測定を終わらせて体育館に向かっていたはずなんだけど、今頃クラスの皆は私をさがしているのではないだろうか。

 

 

「あ、起きたァ? 付き合わせて悪いね、けどアタシが目的を果たすためにはあの子供よりアンタの方が都合良かったのよ」

 

 私の口が勝手に動く。聞き覚えのあるソプラノボイス、少し前まで秀一くんから発されていたものだ。

 

「アイツの体もなかなか良かったけど()()()()()()()()、それに競り合えたアンタなら何度か使()()()()ヘーキっぽいし? それに高い声に違和感を持たれないよう黙っている必要がないからすぅっっっっごく、ラ・ク♡ 最っ高」

 

 あなた、誰なの? 私の体で何する気!?

 

 私の混乱した意識に対して肉体は切り離されたように、いや実際それに近い状況なのだろう、見た目のみならず心拍すら一切反応を見せず歩き続ける。

 そして、意識的にセリフを浮かべると私の口が返事をした。

 

「だいじょーぶ、だいじょーぶ。ヤルことヤったらちゃんと返すから安心して……説明は、一回で済ませたいからサァ。アイツらが来るまでちょっと待っててヨ」

 

 ……あいつらって?

 

「さっき()()したから、すぐわかるよ」

 

 

 そう言った誰かは、それきり黙り込んでしまった。

 足取りに迷いはなく、農業用水路を沿ってしばらく歩き二つの丘に挟まれた農道の真ん中でピタリと立ち止まる。

 

 そこまで来て、私はようやく冷静に思考を巡らせ一つの可能性に思い当たった。

 私はこの場所を()()で知っている。つまり、私を操るこの誰かの正体は……!

 

 そして、すぐに背後から二人分の足音が聞こえてきた。乱雑な足取りからはどこか焦りを感じさせる。

 

 10メートルほどの距離で立ち止まった気配に対して、私の体はゆっくりと振り返った。

 

 

 

 

 

 

 その日、東方仗助はマジメに教員の板書をノートに書き写し授業を受けていた。

 近くの席では億泰がうつらうつらとまだ二限目だというのにふねを漕いでいる。

 窓の外に目を向けると青空に小さな雲がポツリと浮かんでいて、その形はつい先日承太郎の要請で遭遇し、狩ることになったドブネズミによく似ていた。

 

 

 (生き物、スタンドをドロドロに溶かす針を飛ばすスタンド使いのネズミたち。

音石の遊び半分の実験に巻き込まれた哀れな被害者ってヤツだ、承太郎さんは最初できるなら捕獲って言っていたけど仲間のネズミすらも殺すほど狂暴になっちまっていたら……殺すしかなかったよなァ~)

 

 スタンドのヴィジョンや能力には本体の精神を写し取る鏡のような側面がある。

 ネズミたちはほぼ同じスタンドを持っていた。つまり精神もとても近いものだったのだろう。

 ただ、ひとつところにそんな凶暴性をもった個体が二匹も普通いるものだろうか? 

 

(もしかして、あの『矢』を受けると倫理観だとか、もともとホントは備わっていた何かがうすれちまうのかもしんねーな。間田も音石も元はその辺の学生だったワケだしよ~)

 

 未だ多くの謎を残す『矢』について考察を巡らせていると、パシリと頭をはたかれた。

 

「ノートの手が止まってるぞ仗助、早く書かねーとチョーク消しちまうからな」

 

「あっ、すんません!」

 

 見れば黒板はすっかり文字で埋まり、次の書き込みを入れる為か仗助が手を止めたあたりまで半端に消されている。

 急いで書き写しにかかり、授業に集中する。と同時に生活指導の教師が廊下から顔を出した。

 

 

「東方仗助、お前の親戚から電話だ。職員室で電話待たせてあるから速足で行ってこい」

 

 

 浮かんでいた雲は、すっかり形を崩していた。

 

 

 

 

 

「ネズミに生き残りがいるかもしれない、だと?」

 

『はい、先日承太郎さん達が討伐したスタンド使いのネズミが殺して固めたと思われるネズミたちの死体を解剖したところ……中心に妙な()()が発見されまして、中から何かが出ていった形跡こそなかったのですが、内側で何かが食事をしていたような跡が残っていたのです』

 

 

 杜王グランドホテルの一室で、SPW財団の調査員からあがったその報告は、承太郎と仗助の眉間に深いしわをつくらせるのに十分なものだった。

 

「よくよく考えればたった二匹のネズミが10日程度で農家の家畜と10数キロとあるその餌を食いつくすと考えづらい……殺されたネズミどもも含めて『群れ』だったのか」

 

「……俺たちが狩りにきたことに気づいた時点で、その()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってわけスか」

 

 青ざめた表情の仗助に承太郎は頷いた。

 あの煮凝りのようになったネズミの立方体は、二人の意識をネズミのスタンド使いに集中させ、中に隠した存在を隠し通すための決死の作戦だったのだ。

 

 承太郎の額に、一筋の汗が流れる。

 

 

 トゥ~るるるるるっん! トゥ~るるるるるっん!

 

 

 緊迫した空気を引き裂くように、備え付きの電話が鳴りだした。

 ネズミの生き残りが判明したこのタイミングでの電話、承太郎は感じ取った悪い予感に従って電話をスピーカーに切り替え受話器を取る。

 

 

「……もしもし」

 

『……コんにちは、承太郎サン?』

 

「なんだ、矢文ちゃんっスか~ビビらせないでくださいよ~」

 

「いや……コイツは矢文じゃあないようだぜ」

 

 

 聞き覚えのある声に仗助が安堵するが、承太郎には違和感があった。彼女と電話で話したのは数えるほどでしかないが、こんな()()をこめた声で話しかけられたことは一度もなかった。

 

 

『……正解だよ、アタシは矢文なんて名前じゃあない。仗助ってやつもそこに居るね? 声でわかるよ。手間が省けてちょうどいいや、お前たちの言う『矢文ちゃん』は今アタシと一緒にいるよ』

 

「なっ、矢文ちゃんをどうしたテメェ!」

 

『ハンッ、凄んだって無駄だよ……私の愛する家族を殺した場所へ今すぐ来い、決闘だ!』

 

 

 ぶつり、と通話が切れた。

 

 

「『家族を殺した』って……承太郎さん! 今のヤツ、まさか」

 

「……この町に来てから俺と仗助で殺した生き物は、『ドブネズミ』だけだ」

 

 電話でタクシーを手配してルームキーを手に取り、二人は速足でロビーへ向かった。

 

第4部終了後のストーリーどこから見たいですか? 選ばれなかったのは閑話やら回想やらでたぶん細切れで書きます。

  • 呪術、高専(玉折前)から
  • ジョジョ、第5部から
  • 第4部と第5部の間のオリジナル
  • すっ飛ばして呪術原作1巻から
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