ジョ術廻戦   作:春の綿雪

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今回はほぼ説明回、次回からジョジョ4部原作に突入します。

呪術原作に入るのはかなり先になります。





術式順転『戦闘姿勢』

 

 

 お、落ち着け私、術式の確認は後でいい。

 まずは一刻も早く、この『石仮面』を隠さないとダメだ!

 

 

 『石仮面』は古代に繁栄していた地底に闇の一族から生まれた天才、カーズが発明した道具だ。

 血液に反応して骨針が飛び出し、装着者の脳を活性化させ進化を促す効果を持つ。

 闇の一族の場合は流法を獲得し、人間なら凶悪な吸血鬼に変貌する。

 過去にはこの仮面が原因となって、町や文明が一晩で壊滅することもあったという。

 

 ジョジョ本編、実に半分の物語に関わっている厄ネタアイテム。

 呪術的に言えば特級呪物のようなもの。

 

 

 

 慌てて床に転がった仮面を拾い上げ、服の下に隠す。

 材質が石だからか普通に重たい! 小学生の細腕では持ち運ぶにも辛いものがあるよ!?

 

 今日は休日ではなく登校日、あと三十分もすれば私は学校に行かなくちゃならない。

 

 原作ではスピードワゴンさんがかなり大きなハンマーで叩き割っていた。

 丈夫さは何千年も形を保っているくらいだし折紙付きだ。破壊するには時間が足りない。

 

 ひとまず私は、両親の視界に入らないように二階にある自分の部屋に戻り、『石仮面』を勉強机の引き出しに隠す。

 『DEATH NOTE』の主人公よろしく『石仮面』を引き出しの底を二重底にして置いたからたとえ違和感に気づいても簡単には取り出せないだろう。

 

 

 

 

 

「行ってきます!」

 

 朝食を食べ終えて、すぐに学校へ駆け出した。

 閑静な住宅街から、駅に近づくにつれて通行人が増えていく。

 商店街にさしかかると、のんびりとペットを散歩させる老人やバスを待つ学生、時計をこまめに確認しながら足早に駆けていくサラリーマン等、実に様々な人で賑わっている。

 

 この雑踏の中に殺人鬼が紛れているかもしれないなんて、誰一人として想像していないだろう。

 

 ぶうんぶうんと数匹の蠅頭が視界の隅を掠めていった。

 ……こいつらも時間と呪力があればそのうち成長して人に被害を出すんだよね。

 本当は倒していきたいけど、引き出しの細工を作るのに時間をかけたせいでもう遅刻気味、後回しだ。

 

 

 できるだけ蠅頭の視界に入らないように、周りの人とすれ違いながら視線を切るようにして歩いていく。

 

 人が密集しているからか、それともこの町に殺人鬼がいて定期的に行方不明者が出ている影響か、はたまた五条悟が生まれていることによる反動なのか、この商店街の中だけでもすでに呪霊を五匹以上見かけている。

 

 呪霊が認識できるようになってから、今日が初めて外に出た形になるけれど、かなり多いんじゃないだろうか。

 ちょっとわき道にそれて探すだけで四級の呪霊位なら普通に遭遇しそうな雰囲気がある。

 しばらくの間はできるだけ寄り道はしないで登下校をするようにしよう。

 

 

 

 

 

「ただいまー!」

 

 学校でつつがなく授業を受けて過ごし、クラスメイトの遊びの誘いをすっぱり断って家路について帰宅。

 両親は共働きで、母親は近所のコンビニのアルバイトだけれど、少なくとも17時30分までは家にいない。

 今の時刻は16時になったばかり。十分に時間はある。

 

 引き出しが朝から誰にも触られていないのを、底に張り付けたキャラクターシールが破られていないかで確認する。

 ……どうやら誰にも開けられていないようだ。

 

 

 『石仮面』をリュックサックに入れて、家の外に出る。

 【遊びに行ってきます!】って書き置きをポストに入れて出発。

 

 目的地は人気のない場所、この辺りなら……河川敷の橋の下!

 

 ホームレスさんもいないことを確認して、『石仮面』を出す。

 

 私は今日一日学校でただ授業を受けていたわけではない。

 朝の出来事でわかっている範囲で自身の術式に当たりを付けたのだ。

 

 おそらく、私の術式は『構築術式』

 呪力を物質に変換する術式だ。

 

「はああああ!」

 

 両手に呪力を集める。

 そしてイメージする! 硬く、太く、黒々とした先端の…………金槌を!

 

 コトリッ

 

 体からずるりと呪力が抜けていく感覚と共に手の平に現れる工作用の金槌。

 つかみ損ねて地面に転がるが、正直それどころではない。

 

 尋常ではない疲労感が体を襲う。

 『呪術廻戦』の原作で真衣ちゃんが辛そうにそうにしていた理由を身をもって体験したよ。

 この術式は、相当に効率が良くない。

 だが、そうなるとおかしい。

 

「朝は何ともなかったのに……」

 

 そう、『石仮面』を無意識に作ってしまった今朝。私は体力の消費を何も感じなかった。

 サイズ感的にも材質的にも普通なら朝の方が疲労困憊になっているべきだろう。

 というか、ちっちゃな金槌でこうなるなら、朝考えたスピードワゴンさんが使ってたハンマー作ったりなんかしたら私、干からびちゃうよ!?

 

「駄目だ、そんなことぉー!」

 

 

 ズぎゃぁん! ばがぁん!

 

 

「へぇえ?」

 

 ジョジョ立ち? 座り?(1部スピードワゴン)をした直後、先ほど頭に思い描いていたウォーハンマーが中空に出現する。 

 そしてその真下にあった『石仮面』を叩き割りながら地面にめり込んだ。

 

 

「……まさか」

 

 

 ジョジョ立ち(2部ジョセフ、ワムウ戦でのポーズ)

 

 

 カツゥ~ン!

 

 

 ジョジョ立ち(ポルナレフのキメポーズ)

 

 ガラ~ンッ!

 

 

 ジョジョ立ち(康一のポーズ)

 

 カシャッ!

 

 

 ジョジョ立ち(ギャングダンスのポーズ)

 

 ガッシャーン!!

 

 

 四連続でジョジョ立ちのポーズをきめる。

 

 一回目でアメリカンクラッカーが、その次には金属が先に取り付けられた謎の棒、さらに昆虫のようなロケットペンダントが現れ、最後は河原にアツアツの肉団子鍋がぶちまけられた。

 

 そして今、大量に呪力を消費した後だからこそ、それぞれの呪力の消費を感じ取った。

 

 四回のポーズで構築したものの比較によってわかったことは……

 

 ①ジョジョ立ちをしていれば構築に必要な呪力が大幅にカットされる。

 

 ②ジョジョ原作に登場した物質ならばおそらく、()()()()()()、その登場した部やキャラクターやシーンを無視して()()()()()()()()

 

 ③ジョジョに関係のない物質でも、ジョジョ立ちなら呪力はある程度カットされる。

 

 ということだ。

 

 

「完全にネタ術式じゃんかあ!?」

 

 鍋の煮汁が蒸発しイイ匂いをあたりに漂わせる中、私は崩れ落ちる。

 正直、ジョジョ原作で呪霊相手に日本で役立つものはほぼ、ない。

 2部で銃火器も登場していたが、効いたとしてもほとんどが大型で()()()()()()()()()

 

 

 

 

 ……落ち込んでいても術式は変わらない。

 切り替えていこう。

 

 よくよく考えれば、やたら目立つポーズをとる必要性があるだけで、その性能は破格の術式だ。

 新たにジョジョ立ち(ジョセフのポーズ)をきめて金属製のマスクを構築する。

 これは第2部でジョセフが波紋の呼吸の強化訓練の為に装備した同一の物で、波紋以外の呼吸ができないように作られている。

 鍵が付いていて簡単には外れない仕様だが、ベルトをしなければ問題はない。

 

 これで波紋を身に着けて、さらに呪力も掛け合わせることができれば、小学生の身体能力をカバーして呪霊と相対できるようになるはず!

 

「目指すは町を人知れず守る不思議少女! 待ってろ原作! 私は必要以上には関わらない!」

 

 

 

 

 翌日、学校のHRで河原に巨大ハンマーを持った不審者が鍋を食べた形跡があったという不審者情報が伝えられ、私は冷や汗が止まらなかった。

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