ジョ術廻戦   作:春の綿雪

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百聞は一見に如かず?

 

 えー……アドレナリンの過剰分泌で最高に『ハイ!』ってヤツになった矢文です。

 

 昨日、私はドブネズミが承太郎さん達を相手に、決死の策で逃がし生き残った子ネズミのスタンド能力で肉体の主導権を奪われ決闘となり、流れでその子に『リンダリンダ』と命名、行き場のない感情に整理がつくまで承太郎さんにタイマンを仕掛けた。

 

 

 完全にどちらの原作とも関係のないイベントですね! もう滅茶苦茶だよ、これ!?

 

 

 私は家に帰るなり自室に直行。テキトーに固めた布団へむけてラッシュを叩きこみ、枕に顔を埋めて思い切り叫ぶ。

 

 いや、原作で描写が無かっただけで案外生き残りはいたのかもしれないけど、少なくとも彼女が4部のストーリー中に承太郎さん達に挑む原因になったのは憑りつくのにちょうどいい私の存在があったからだろう。

 

 そう彼女、『リンダリンダ』ドブネズミの子供、メス、女の子。

 枕から顔を上げれば、所在なさげに鼻をひくつかせて目の前に座り込んでいる。

 

「ごめんね、びっくりしたでしょ……。今、落ち着いたから」

 

「ヘーキ、大丈夫! あれだけのことがあって逆に戸惑わない方がおかしいもん。アタシだって矢文の立場だったらたぶんそうなるよ」

 

「なにこの子、物分かり良すぎ……?」

 

 多くの生物に憑りつきその生物の特徴を獲得している彼女はネズミの姿のままで、なかなか流暢に人語を操ってみせる。

 たぶんインコか文鳥あたりを模倣(コピー)しているのだろう。甲高い声と相まってどこかの夢の国出身のリーダーかその彼女みたいだ。

 

 

 手を伸ばして彼女の毛並みに触れる。

 『憑りついた生物を最終的に自分の魂の形(ドブネズミ)へ変えてしまう』性質を能力に備えているからか、野生の生き物だと言われても信じられないほど清潔で高級タオルのように柔らかい。

 しかしその毛の色は、青みがかった灰色の上に、茜色をのせた様な《夕闇色》だった。

 

 

 

 彼女の体毛は私に憑りつく前までは一般的な同種のドブネズミと変わらなかったそうなので、原因は明らかに私が行った『名づけ』だろう。

 

 あの時は無我夢中だったので、ここからは仮説だけれど、彼女に憑りつかれている間、私の魂と彼女の魂は一つの肉体の主導権を懸けた綱引きをしている状態だった。

 

 つまり、()()()()()()()()()のである。

 

 肉体の主導権を取り戻した私は、つながっている彼女の魂を自分の呪力を用いて再定義する縛りを行ったのだろう。

 さらに融合状態だった肉体を呪力と波紋とで()()()()()

 

 これにより、彼女は心身ともに過剰ともいえる呪力と波紋を受け変質、幼かった精神は同年代の女子を思わせるほどに成長し、遠回りな自殺を目論むような思考は薄れ、その肉体は世にも珍しい『()()()()()()()』となった。

 

 

 けど正直、見た目が売れ残ったカラーヒヨコみたいなのでスゴイ申し訳ない。

 

 

 

 承太郎さんは、呪術界に認知される前に彼女の存在を今後、SPW財団の預かりとして()()()()()()()()()()()()()()()()()スタンド使いの動物として仕事に困らない、それなりの立場になるように掛け合ってくれるつもりらしい。

 

 そして、その財団の迎えが来るまでの間、彼女を私の家で預かることになった。

 

 同性であることに加え、承太郎さんとの連戦により培われたであろう信頼関係を見込んでのことらしいが、家族になんて説明すればいいのか。

 

 過去に取り込んだ生物に変身できる能力を持つ以上、小鳥やらハムスターやらになってもらって誤魔化すことは十分可能だがそれでは彼女の気は休まらないだろう。

 

 幸い、彼女の能力を応用すれば私を経由することで食事、排せつを秘密裏に行うことができることはわかっている。

 

 ひとまず、今日の所は彼女の存在を家族に完全に隠して、良案ができてからに説明することにした。

 

 

 

 

 

 翌日、憑りついている間なら過剰な栄養や害になる栄養は私に任せることで()()()()()ならいくらでもできることに気づいた彼女が、お母さんの目を盗んで各種ジャムを一瓶ずつ平らげようとするのを波紋で止めなければならないハプニングがあったものの、無事日課の低級呪霊狩り登校をする時間に家を出ることができた。

 

「勘弁してよほんとさぁ、脂肪が全部私に来るんだからね? ヤだよ肥満児一直線」

 

「ゴメンって、けど無理難題じゃない? あんなおいしいもの初めてで加減して食べるの」

                             カリカリカリカリ……

「それはわかるけども」

カリカリカリカリ……

 傍から見ればひとり芝居をするような様子で、一体、また一体と呪霊に一撃を浴びせていく。

 

()()()()()()()

 

「おっけい!」

                         ドシュッ、ズババッ! 

直後に透過して現れた呪霊の首へアメリカンクラッカーをぶつけ合わせて潰してみせる。

 

 『リンダリンダ』も呪霊が認識できている。これは今朝、わかったこと。

 

 おそらく私が波紋だけでなく呪力を用いて彼女を分離した為に少なからず呪力を持たせてしまったからだろう。

 そのうち憑依中の肉体の経験で波紋すら練ることができるようになるかもしれない。

 とんでもない『スーパー小動物』だ。

 

 

 

「とりあえず、今日はこんなものかな」

 

「そっか……ところでさ」

 

「見ちゃだめ、そっと人に紛れて距離をとるの」

 

 

 通勤通学の人の群れにそっと混ざりつつ後方をコンパクトで覗く。

 

 

 スケッチブックにとんでもない速度で鉛筆を走らせながら、しかしこちらへの視線をほとんど離さない特徴的なヘアバンドをした男。

 

 ジョジョ作中でも屈指のぶっ飛んだ好奇心と探求心を持ち合わせ、執筆作品へのリアリティの追求のために、ヘーキで倫理を踏み越えに掛かるタイプの呪術師向きな(イカレた)ヤツ。

 

 

 ()()()()がそこにいた。

 

 

 







お気に入り登録1500人ありがとうございます。

第4部終了後のストーリーどこから見たいですか? 選ばれなかったのは閑話やら回想やらでたぶん細切れで書きます。

  • 呪術、高専(玉折前)から
  • ジョジョ、第5部から
  • 第4部と第5部の間のオリジナル
  • すっ飛ばして呪術原作1巻から
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