ジョ術廻戦   作:春の綿雪

25 / 35
自主練とおさそい

 

 

 修業という名をした実質タダ働きをなんとか終わらせて家に戻った私とリンダリンダは、ぐってりと湯船に身体を浮かべる。

 

 もう、今日はホントひどい目にあった……。得るものは確かにあったけど、その分大切なものも失っているような気もする……。

 

『矢文、アイツらもうしばらく来ない? 来ないよね?』

 

 どうだろ、どっちも神出鬼没だから突然物陰から出てきてもおかしくない人なんだよね。

 

 

 

 あの後、腹ごなしも兼ねて甚爾さんに覚えたばかりの新技とリンダリンダとの連携を駆使して模擬戦を挑んだけれど、シャボンコイルはあっさりと避けられた。

 

 新技が避けられたのは納得できるんだ。彼の身体能力は生身で近距離パワー型のスタンドと余裕で殴り合えるだけのスペックがあると思う。

 

 けど、その次にスタンド能力に呪力と波紋すらも組み込んだ怪力で組み付いたのに、薄皮を破って傷をつけられただけで、たった数秒の拮抗した後に引き剝がされてしまったのは絶対おかしいと思うんだ。

 

 いくら私が子供で体格差の影響で不利であったとしても、組み合わせたパワーならもう少しくらい勝負になると思ったのに。

 

 それからは日が暮れるまで私がギリギリ視認できる速度の攻撃で転がされ続けて、服の色が全体的に地面の色と同じになったころにようやく解放された。

 

 

 当然お母さんに叱られたし、言い訳を考えるのが大変だった。

 

 

 

 目を瞑り、深く、深く息を吸ってゆっくりと吐き出す。

 

 波紋の呼吸は生命力を高めることで痛みを和らげ傷を癒す力を持つ、伝導率の高い水中、風呂の中でそれを行うことでその効果は薄まりじわじわと痛みが体に広がる。

 

 同時に呪力を身体に巡らせ、ゆっくりとその出力を上げていく。

 

 

 呪いを受け続けた物体にはやがてそのものに呪力が宿る。

 それは、たとえ()()()()()()()()()()

 

 

 なぜ原作で年齢が70にもなる老人が身体の衰えを感じさせない戦闘能力を発揮できていたのか?

 長年の呪力の行使が肉体そのものに呪力を宿らせ、老化を防げずとも強度を底上げしていたからだ。

 

 なぜ呪術の知識が一切ない少年がたかだか数年の修業で長く修練を積んだ最強の呪力量を上回っているのか?

 呪霊となった恋人(高濃度の呪力の塊)に憑りつかれ続けていたからだ。

 

 この推測が間違いではないのなら呪力の出力は生まれつきの才能でも、呪力量は長い鍛錬と過酷な儀式をこなすことでゆっくりとでも底上げを図ることができるはず。

 

 

「ッ!」

 

 

 器の許容量を超えた呪力を流せば器を傷つける。

 

 全身に巡らせた呪力が現状出力できる最大量になったところで、体表を覆っている無駄な呪力を体内に詰め込もうとした瞬間、ぷつりと音を立ててあちこちの皮膚が裂け出血してしまった。

 

 呪力で肉体に負荷をかけて呪力の容量を底上げし、負傷を回復するために湯船で弱まった波紋を強く維持することで肺活量をも底上げできる。

 

 一石二鳥のトレーニングだが、呪力量を誤れば波紋の回復量でカバーができなくなるギリギリの修行だ。

 

「壊れないギリギリを狙いながら続けていこう」

 

『……ほどほどにしないとお母さんが覗きに来るよ?』

 

 リンダリンダに言われて目をひらいて見れば、もうすっかりと湯船が赤く染まってしまっている。

 

「あと……5分だけやったらあがる」

 

 

 

 

 凄惨な事件現場と化した浴室をしっかりと洗い流した後、湯上りに瓶コーラを構築して一緒に楽しんでいると電話のベルが鳴りだした。

 

「私が出るねー!」

 

 料理中のお母さんの代わりに受話器を取る。

 セールスか、それとも学校の連絡網か、しかし耳に入ってきた声は幼い女の子の声だった。

 

 

『もしもし! こんばんは、じょりーんです! しふみお姉ちゃんのおうちであってますか?』

 

「徐倫ちゃん!? うん、私の家だよ、こんばんは。 今日はどうしたの?」

 

 

 電話番号は承太郎さんから聞き出したのだろうか? 元気のいい声が響く。

 

 

『……あのね、わたし達ホテルに戻ってきたんだけど。 ……あしたお母さんがお父さんをデートにつれて行っちゃいたいみたいなの。 おじーちゃんは赤ちゃん見てないとだし、「わたしはお姉ちゃんとあそんでる」って言ったら二人ともあんしんかなって思って……』

 

 だんだん内緒話をするように声量を落として話す徐倫ちゃんはどうやら両親の仲を取り持ちたいらしく、ただ留守番するだけではデートを満喫させられないと判断し後押しのために私を頼ったようだ。

 

 空条夫妻、気遣われてますよーー!!

 

「じゃあ、明日は一緒に杜王町を探検しよっか」

 

『たんけん!? 行く!!』

 

「10時にホテルのロビーに待ち合わせで良い?」

 

『うん! おねえちゃんありがとっ! だいs「……なにをしているんだ? 徐倫」な、なんでもない! 電話ゴッコしてただけ!』

 

 

 私の返事に嬉しくなって声が大きくなってしまっていたからか、承太郎さんに気付かれたらしい。

 

 誤魔化すためか、直後に電話が切れてしまった。

 

 きっと承太郎さんへのお誘いをお母さんがするまで私のことは秘密にしていたかったのだろう。 健気すぎる……。

 

 

 よし! こうなったら徐倫ちゃんにも思い切り杜王町を楽しんでもらおう。

 

 幸いこの町は七不思議ができるくらいには名所の多い土地、遊び場に困ることはきっとない。

 私はさっそく地図帳と電話帳を広げて明日のプランを練りはじめた。

 

 

 

第4部終了後のストーリーどこから見たいですか? 選ばれなかったのは閑話やら回想やらでたぶん細切れで書きます。

  • 呪術、高専(玉折前)から
  • ジョジョ、第5部から
  • 第4部と第5部の間のオリジナル
  • すっ飛ばして呪術原作1巻から
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。