ジョ術廻戦   作:春の綿雪

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 あけましておめでとうございます。

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杜王町ぼうけんツアー①

 

 宮城県仙台市のベッドタウンである杜王町は観光地である。

 

 杜王グランドホテルにプライベートビーチがあることから、主要な観光スポットは海辺で、サマーシーズンに突入すれば国内外から海辺に向かって観光客がやってくる。

 

 逆に、それ以外を目的としてやってくる観光客はとても少ない。

 

 結論を言うと杜王町には海辺以外で観光に向いた名所はほぼないってコト。

 

「なんもない……だと?」

 

 第四部が始まったことで追加された新名所『アンジェロ岩』と『ボヨヨン岬』は私のように転生者かつジョジョのファンであるなら、聖地巡礼として楽しい観光ができるだろうが六歳の幼女である徐倫ちゃんにとって、それはどちらも『ただの岩』だ。

 

 いや、いくら観光の目玉が海辺に集中しているとはいえ、数年前から町中も再開発で景観を重視した工事を繰り返しているんだから見直せば少しくらいは子供向けの名所もあるはず……。

 

 私は杜王町の地図をもう一度確認した。

 

 『トラサルディー』の店主トニオさんは子供が相手であっても歓迎してくれるだろうけど、小さな子供のおこづかいで入るような料金設定がされた場所ではないし、承太郎さん達がデートで使いそうだからバッティングするかもしれないので外す。

 

 かわりにお昼は『サンジェルマン』でサンドイッチを買っていくか『カフェ・ドゥ・マゴ』で食べに行こう。

 

 『カメユーデパート』には子供向けのおもちゃ売り場があるけど、『たんけんにいこう』と言った手前立ち寄ることはあっても入り浸ることは無いだろう。

 それに階によっては大人向けの服や時計、宝石なんかも取り扱っているからここでも承太郎さん達と出くわす可能性がある。

 

 

 『岸辺露伴(ストーカー)の家』は論外。

 

 私は本にされると分かっていて訪ねるバカではないし、徐倫ちゃんはアメリカに居たので『ピンクダークの少年』は読んだことが無いため楽しめるかわからない。

 私が出会わせたくないし……そもそも彼、児童が嫌いだった気がする。

 

 『振り向いてはいけない小道』もナシ。

 

 もし徐倫ちゃんがアーノルドや鈴美さんを見ることができるなら仲良くなれるかもしれないけれど小道の特性は普通に危険だ。

 幽霊に好んで会いたがる子供はめずらしいし、話題に出してみて反応によってはコンビニの前に行ってみるくらいだろうか。

 

 『二つ杜トンネル』は呪術的に、有名な心霊スポットである時点で危険地帯のため除外。

 あの場所には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のを目撃しているから、遭遇すれば死を覚悟して徐倫ちゃんを守ることになってしまう。

 幼い彼女にトラウマを植え付けるだけだ。

 

 『鉄塔』は……交渉次第で記念撮影を手伝ってもらえるから行ってみようかな。けどそれは散策の最後にした方が良い思い出になるよね。

 

「そ・う・な・る・と」

 

 名所とは言えないが、杜王町は少し町中から離れるだけで田舎特有の自然を感じることができる。虫取りはもちろん、野良犬や野良猫、それ以外にもウサギやウズラのようなかわいらしい生き物にも遭遇できるだろう。

 

「リンダリンダが憑りついてくれればふれあい体験もさせてあげられるね」

 

『その子がいきなり尻尾を握りしめるような子じゃあないなら、やってもいいけど?』

 

「大丈夫、お転婆な子ではあるけどちゃんと優しい良い子だよ」

 

 必要な道具は私の術式を使ってその場で用意するか『カメユーデパート』で一緒に買い物に行けばいい。これなら承太郎さん達と遭遇した時ついでに行先を伝えられるから安心だよね。

 

 あとは、一目見るだけで『何かがはじまる』と思えるような衣装で徐倫ちゃんを迎えに行けばカンペキだっ。

 

 

 

 

 

  杜王グランドホテル 一階ロビー

 

 一人の少女……否、幼女はお小遣いと、町の地図に水筒をお気に入りのクマちゃんのリュックに詰め込んで、最近ウワキがばれていろんな人に怒られたおじいちゃん(ジョースターさん)と、いつの間にか拾われてきた赤ちゃんの三人で、今日遊ぶ約束をした矢文お姉ちゃんを待っていました。

 

「ええか? たとえお友達と一緒でも、知らない人にはついて行くんじゃあないぞ?」

 

「おじいちゃんたらシツコイよっ、それもうおかあさんと約束したもん!」

 

 彼女のお父さんは上機嫌なお母さんに連れられて一足先にデートに出発しています。

 徐倫ちゃんはもうすぐ7才ではありますが、今までどこかへ遊びに出かける時は必ず家族の誰かがそばにいました。

 

 海外の治安の関係もあって、この杜王町がはじめての外遊びデビューです。

 そのため、昨日の晩に困った時、悩んだ時、してはいけないことをお父さんお母さんと約束しました。

 

 そして、おじいちゃん(ジョースターさん)の確認も朝からこれで3回目です。

 

 いい加減面倒になった彼女はべーっと舌を出したあとソファーから飛び降りて、ロビーの窓辺に近づいて外を確認します。 すると、入口へ向かってくる女の子の姿を見つけました。

 

「あっ、お姉ちゃんが来たー!!」

 

 長い黒髪はなぜかアメリカンクラッカーでポニーにまとめられ、顕わになっているはずのうなじはすでに暖かい季節なのに、なぜか巻かれている長い臙脂色のマフラーで隠されています。

 

 そして、その頭には何とも言えない不気味さのマスカレイドマスクを被っていました。

 

 表情はドヤ顔ですが周囲の宿泊客は彼女を見るなり半歩離れて歩いていくあたり、この辺りの土地独自の服装ではなく彼女のファッションセンスのようです。

 

「先生っ……!?」

 

「?……どしたのおじいちゃん、あの人が矢文お姉ちゃんだよ。じゃあ行ってくるね」

 

 徐倫ちゃんは少し様子のおかしいおじいちゃん(ジョースターさん)に気づくことなく挨拶をして入り口に走っていきます。今日一日、彼女には素敵な思い出ができることでしょう。

 合流した二人の少女は楽し気に手をつないで歩いて行きました。

 

『……行きましたね。 驚いていたようですが、彼女に何か気がかりなことでもありましたか?』

 

「いや……少し昔のことを思い出しただけじゃ。 波紋を習得しているとは承太郎のヤツから聞いてはいたがのぅ。 今日一日、頼むぞ……花京院クン」

 

『ええ、任せてくださいジョースターさん』

 

 そろそろ二人が射程距離を越えるから、僕も移動しなければならない。

 サングラスを外し、ロビーのソファーからホテルの入り口へと向かった。

 

 

第4部終了後のストーリーどこから見たいですか? 選ばれなかったのは閑話やら回想やらでたぶん細切れで書きます。

  • 呪術、高専(玉折前)から
  • ジョジョ、第5部から
  • 第4部と第5部の間のオリジナル
  • すっ飛ばして呪術原作1巻から
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