ジョ術廻戦   作:春の綿雪

28 / 35
杜王町ぼうけんツアー③

 

 

「……徐倫ちゃん、そのリュックの中ぜったい他の人に見せちゃあダメだよ?」

 

「うん……入れすぎだよね、コレ」

 

 殺人鬼のおススメにより、会計にて諭吉さん数人が要求されるアクシデントが発生したものの、徐倫ちゃんのお財布へぱっつぱつに詰められた複数の札束で無事に支払いを済ませることができました。

 

 

 私の財布は死んだ。 自分の買い物の代金を幼女のお小遣いにたかるようなお姉ちゃんになりたくなかったからだ。

 

 

 不動産を転がして大富豪になる前から、ジョセフ・ジョースターさんは石油王となったスピードワゴンに孫同然に可愛がられて生きてきたためか、金銭感覚が一般人とだいぶずれてしまっているらしい。

 幸い徐倫ちゃんはまだ毒されてはいないようで、リュックサックを守るように抱きしめている。

 

 

「お昼ご飯食べたら残りは返しに行こうか」

 

「……うん」

 

 

 

 

 

 『カフェ・ドゥ・マゴ』はデパートと杜王町駅のちょうど間くらいの場所にある喫茶店だ。

 

本当ならもっと駅に近い『れんが亭』の方でもよかったのだけれど、徐倫ちゃんが『たんけん』に集中できるようにデパートから一番近いこの店でお昼ご飯にすることにした。

 

 

どうして30分だけなのよォオオオ~~~~ッ!!

 

 

 ……スゴイ聞き覚えのある叫びが聞こえた気がする。

 

 そっか、今日が『シンデレラ』のエステ回かぁ。けど、仗助さん達に鈴美さんの所に呼び出された覚えはないから時系列はアニメの方が近いのかもしれない。

 

 店内に入ったところで、急ブレーキに怒号が聞こえてきたが小学生にできることなど無い。

 

 カフェオレにチョコレートパフェ、サンドイッチを2人分注文して席に着くと、店員のお兄さんが申し訳なさそうに声をかけてきた。

 

 

「お客様、申し訳ありません。よろしければ相席をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

 

 昼に近いからか、それとも追突事故の後処理待ちか、周りの席はあっという間に埋まってしまったようで残っていたのは私たちのテーブルだけらしい。

 

 

「わたしはだいじょーぶよ。 それだけこのカフェのお料理がおいしいってことでしょ?」

 

「なにこの子、すっごいポジティブ……」

 

「ありがとうございますっ、それではお連れ致しますね」

 

 

 数秒後、先ほどの店員に連れられてやってきたのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 どう見ても花京院典明です。 どういうことでしょう(錯乱)

 

 

 

 なんでえ!? どうして生きてるの? この世界の第3部ではいったい何が起きたっていうのよ!?

 

 確か夜蛾さんも参戦したというのは聞いているけど、それだけでそんな大きな変化が生まれてしまうの!?

 

 

「ああーっ!? 花京院のおじさんだー!!」

 

「はは……久しぶりだね、徐倫ちゃん。 承太郎は元気かい?」

 

「とっても元気よ! おとといはビーチでヒトデ集めしたの!」

 

 

 私の混乱をよそに徐倫ちゃんとおじさんの会話が弾む。

 

 そっかー、すでに面識があるんだー。 この調子だとほかのメンバーも生きてて会ったことあるとか言いそうだな―。

 

 

「矢文お姉ちゃん! この人ね、お父さんのお友達の()()()()おじさんっ。 テレビゲームがすっごいじょうずなの!」

 

「ご紹介にあずかりました花京院ノリマキです。 どうぞよろしく」

 

「ぶふっ、ゴホッゴホ!!」

 

 

 子供でも明らかにわかる言い間違いを大真面目に名乗りだし、落ち着くために口につけたカフェオレで思い切りむせる。

 

 は…波紋が……練れない……。

 

 

「すまないっ、冗談が過ぎたね。 大丈夫かい?」

 

「いえ……大丈夫ですノリマキさん」

 

「ふふ、訂正するよ、花京院典明だ。 ノリマキでもかまわないがね」

 

 

 慌てて背中をさすってくれる彼に冗談を返すと、優しく笑って名乗りなおしてくれた。

 

 承太郎さんといい本当に20代後半だろうか、笑顔がまぶしすぎる。

 

 

 

 

 

 

 

「……実は、ジョースターさんに頼まれて2人を見守っていたんだ」

 

「やっぱりっ! おじいちゃんはすぐそーいうことするー!!」

 

「徐倫ちゃんのことが大好きだからしちゃうんだよ、きっと」

 

 

 花京院さんからの告白に頬を膨らませてパフェをつつく徐倫ちゃんを宥める。

 

 実際ジョースターの一族は愛情深い。 危険に対して過剰に遠ざけるか、真綿で包むように隠すか、対抗できるまで鍛え上げる。

 

 徐倫ちゃんはそんな気質をすでに感覚的に理解しているのだろう。

 

 

「やっぱりこれ食べたらホテルに戻らないとダメだね。 用事もできちゃったし」

 

「……何かあったのかい?」

 

 

 浮かない表情の私たちに花京院さんが眉を顰めたので、徐倫ちゃんのリュックの中身をそっと見せると、今度は眉間に皴が寄った。

 

 

「……まったくあの人は、これじゃあ探検どころじゃあないだろう」

 

「ですよねえ……」

 

「大丈夫、幸い()()は僕の地元でね。 銀行の口座を持っているからそこに一旦預けてしまおう。 なに、キチンと後日返すよ」

 

「ホント!? おじさんありがとー!!」

 

 

 降ってわいた解決策に、徐倫ちゃんははしゃいで花京院さんへ思い切り飛びついて、彼の胸部から鈍い音が鳴った。

 

 冷や汗が出ているしかなり痛そう……だけど表情は笑顔で固定されてる。

 

 ほんとにありがとうございます。

 

 

 

 

 なお、相席のお礼か私たちのパフェのチェリーが2つにサービスされていたため、徐倫ちゃんの強い強い要望で花京院さんへ贈呈され()()()()()を見ることができました。

 

 すごく……なめらかでした。

 

 

 

 






 いつも感想ありがとうございます。

 すべて目を通していますが気の利いた返信ができないのでご容赦ください。

第4部終了後のストーリーどこから見たいですか? 選ばれなかったのは閑話やら回想やらでたぶん細切れで書きます。

  • 呪術、高専(玉折前)から
  • ジョジョ、第5部から
  • 第4部と第5部の間のオリジナル
  • すっ飛ばして呪術原作1巻から
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。