攻撃を受ける直前になってようやく気配を知覚できる敵を相手に、私と花京院さんは迷わず逃走を選んだ。
「はあ、ふう、
「はいッ! 術式かスタンドの力かは知りませんけどッ! そこお!!」
迎撃を行いながら情報を共有する。
スタンド使いの花京院さんにも、術師である私にも肉眼でとらえらることができないゾンビと呪霊。
一定距離に近づくと臭気と息遣いを感じ取れるうえにマフラーの探知が機能するため、動物ゾンビは対処できるようになってきた。
だが、問題は通常の生命と異なり基本は臭いも呼吸もない呪霊は探知が難しい状況であるということ。
蠅頭なら羽音くらいしているだろって? それがなんでか全然気づけないんだよッ!
じゃっこ、じゃっこ、ギシギシ、びゅうびゅう、ざりざりと自転車とその影響で発生する音ばかりが耳に残り続ける。
「まるで康一さんの『エコーズact1』みたい……! けど、これは体に残った音がなっているわけじゃあない、私も、呪霊もゾンビもッ! 今この自転車から出ている音に
「……デパートで自転車は無数にあった。 目を引いたこれが安値で、子供をのせるためのカスタムがされていたから選んだが、その時からスデに僕はエサに食らいついてしまっていたというワケか、ぐうッ!!」
花京院さんの腕に浅く傷がはしる。 呪力と波紋をのせたシャボンを周囲に振りまいてはいるが呪霊相手には障害物程度で威力不足、潜り抜けた個体が攻撃を仕掛けてくる。
「『エメラルド・スプラッシュ』!!」
落下防止のために巻きつけられた『ハイエロファント・グリーン』に呪力を流すことで彼の反撃が呪霊に突き刺さり射線にいた複数の呪霊がザフッ、と音を立てて消滅していく。
状況はひどく悪い。
何とか対処しているゾンビの攻撃は、あっちは透明化しているから弱点の日光が効かないくせに、こっちはゾンビ化した直後に太陽に焼き殺される即死攻撃仕様。
透明化した呪霊の攻撃は日頃の討伐の成果か、蠅頭ばかりで致命とはならないがそれでもじわじわとこちらの体力を奪っていく。
そして。
「これだけ漕いでいるのに、
この現象。 呪術廻戦の原作でも酷似する描写があった。
迷宮状のものと異なり、一定距離になると空間が引き延ばされ実質元の位置に戻るタイプ。
その都度領域が操作されていることを考えると、移動系・空間系の術式を持った奴で
つまり。
①空間を操作する術式の領域の主を祓わなけば逃げられない。
②動物ゾンビを作った吸血鬼もしくはゾンビがいる。
③光学迷彩のような術式もしくはスタンド能力をゾンビと呪霊に付与する敵がいる。
④特定のモノに意識の集中を引きつける術式もしくはスタンド能力の敵がいる。
⑤④の効果のせいで呪霊とゾンビが自転車に寄ってくるけど降りたら囲まれる。
完全に複数のコンボをきめられているねっ!! チックショウメッ!!
①②③④が同一の存在ならどう考えても特級。 仮にそれぞれ別の存在だとしても準一級以上の存在が徒党を組んで攻撃をしてきている時点で厄介極まりない。
「だが、つけいる隙はあるっ、矢文くん、よく聞いてくれっ」
「!……はいっ」
その呪霊はエサの動きが止まるのを待っていた。
鱗の一枚一枚に、食らったエサの死に顔を映して模様を彩るそのマムシの如き呪霊はとぐろを巻き、聞きなれない鳴き声を上げながら走り続けるそいつが自分の縄張りの雑魚どもの相手で動かなくなった瞬間にまとめて一息に呑み込んでやるタイミングを待っていた。
それなりに待たされたがついにその時が来たらしい。
段々と速度が下がり、ついには大型用水路の薄暗い橋の下へ入っていく。
次々に死体の群れと弱い呪霊がその中に入り一塊となる。
アイツらは相当にうまいのだろう、高まっていく塊の呪力にたまらず術式を使い足元から飛び上がり、橋を砕き貫いてすべてを口に入れてやった。
首を左右に振り塊を腹に収めたところで、足元からこちらを見あげる視線を受け確認する。
呑みこんだはずの三匹のエサがいた。
10分前
『……君が石仮面と何らかの係りがあるということは、承太郎ももう察している』
『!?』
『……今日一日君の人となりを観察していて、君が、あの恐ろしい道具を使って悪事をはたらいているとは、とても思えない』
『……』
『『構築術式』だったね。 推測だが、君はあの仮面の力を知らず一度生み出したことがあるんだろう。 そして、その力の真相を承太郎達と出会ってからはじめて知った』
『それを責めているわけじゃあない。 むしろこの状況では石仮面を生み出せるということが重要だ』
『呪霊は呪力のこもった物質を取り込み自分の力を高める習性がある。 そこを利用してこの空間の主を誘き出すんだ』
姿を現した領域の主が怒りの咆哮をあげる。
本命の獲物が生きていることが不満なのだろう。 大きく口を開きこちらを呑みこまんとするが、その動きがギシリと止まる。
「呪霊たちを一塊にまとめた『ハイエロファント・グリーン』は、すでにお前の体内に侵入している。 動くことはできまい」
「そして、あなたが私たちだと誤認した呪力の原因が、あなたを倒す武器となる」
ガシャッ、ガシャガシャガシャッ!!
獣ゾンビたちの血液が染みこんだのだろう。 花が次々に開くように骨針が飛び出す音が響き、ビクビクと体が跳ねる。
「呪具ごしならばダメージが通ることはすでに知っている。 たっぷりと喰らうがいい」
私がシャボンコイルを撃ちだすと同時に花京院さんがとどめの一撃を繰り出した。
「『エメラルド・スプラッシュ!!』」
「そうかい、あの娘はゾンビの群れごと凖1級の呪霊を祓ってみせたんだね」
「いやいや、あの程度ならいくらでも代えがきくからね、問題ないよ。 『矢』のほうの検証も十分だ。 ……それに、目的の空条博士を遠ざけることには失敗したが、今後彼は
「報酬は指定の口座に振り込んだよ。 おつかれ、そのまま撤収してくれ」
「しかし、波紋か……ふふ、楽しいね。 あの時使った覚えはないんだが、血筋の影響かな?」
戦闘描写むずかし~~
感想、評価、ここすきいつもありがとうございます。
定期的に見返して執筆のモチベーションになっています。
第4部終了後のストーリーどこから見たいですか? 選ばれなかったのは閑話やら回想やらでたぶん細切れで書きます。
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呪術、高専(玉折前)から
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ジョジョ、第5部から
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第4部と第5部の間のオリジナル
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すっ飛ばして呪術原作1巻から