ジョ術廻戦   作:春の綿雪

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 お待たせしました。



ノック、ノック

 

 

「パパ……アタシね。 きょうね、すごく楽しかったの」

 

「……そうか」

 

「だから……お姉ちゃんとリリ……を、おこったりしない……で?」

 

「ああ……」

 

「へへ……よかっ……たぁ。 ま、た……いっしょに……」

 

 

 続く言葉を話す前に意識を失った徐倫ちゃんを、空条夫人にまかせて廊下に出る。

 スピードワゴン財団の影響力によるものか、病院の中は静まり返っていた。

 

 

 すぐ先を歩く承太郎さんの背中が大きく、遠い。

 

 

 凖一級らしき呪霊を祓った後、駅前に向かってすぐに仗助さんジョースターさんと合流することができた私たちは、徐倫ちゃんの治療を二人に任せると、追撃を警戒する花京院さんに承太郎さんを探すように言われて二手に別れました。

 

 リリが徐倫ちゃんから離れられない状況であっても、私がいれば盾のひとつにでもなれたかもしれないのに。

 

 仗助さん達の目撃情報を頼りにデパートの屋上へ行くと承太郎さんは、気絶した空条夫人を抱えたまま灰となりはじめたゾンビを調べているところでした。

 

 高い能力の代わりに射程距離が短い彼に任されて索敵を行いつつデパートを出ると、あたりは人だかりと悲鳴交じりのざわめきに埋め尽くされている状態で、その隙間を縫うように血の匂いが鼻に染みこんで……。

 

 

 かきわけてたどり着いた中心には、叫び声をあげる仗助さんとうつろな目で動かなくなった花京院さんが血だまりに沈んでいました。

 

 

 

「承太郎さん!! 徐倫ちゃんは!?」

 

「……発熱もあり、意識もとぎれとぎれではあるが、命に別状はないようだ」

 

「っ……よかった~~!!」

 

「東方仗助、安心している場合じゃあないぜ。 今回の襲撃の犯人は結局とり逃がしたんだろう? こうしている間にまた仕掛けてくるかもしれないだろう」

 

 

 談話室の扉を開くと、仗助さんが椅子を蹴倒す勢いで駆け寄ってくる。

 そして、承太郎さんから徐倫ちゃんの容態を聞いたところで、大きく息を吐いた。

 

 だが、露伴先生の指摘どおり一連の襲撃の犯人は三人のスタンド使いを相手取ってなお逃げおおせている。

 

 

「うるせえ! ようやく()()()()()()()()()わかったんスよ!? 一時はホント生きた心地がしなかったんスから」

 

 

「……心配をかけてしまったね。 実際、仗助くんがいなければ僕はあのまま死んでいてもおかしくなかった。 親友に護衛を任されておいてこんな結果になった自分が、情けないよ」

 

 かみつく仗助さんを宥めながら、車いすに座った花京院さんが私の前にやってくる。

 

 仗助さんの『クレイジー・ダイヤモンド』の能力で治せるのは欠損や変質であり、貫かれた腹部を治すことはできても、体内に収まった血液は液体であるが故に流れ出ても治す対象ではないことが敗因であったそうです。

 

 失血死寸前となった花京院さんでしたが、救急車の中で徐倫ちゃんへの輸血を優先させ、自らは殆ど生理食塩水しか使っていなかったのにたった数時間で意識を取り戻し、青白い顔をしているものの明日には病院から退院できる状態まですっかり回復していました。

 

「矢文ちゃん」

 

「っ……」

 

「僕はこの通り、大丈夫だ。 徐倫ちゃんも今は眠っているが必ず元気になる……だから、どうかもう泣かないでくれ」

 

 ゴシゴシと腕で顔を拭いても、視界が涙で滲んでいく。

 

 私が泣いてどうするんだ。

 今つらいのは、承太郎さんや花京院さん、何より徐倫ちゃんの方なのに。

 

 

 今日の事件の知らせを受けて、以前私と共にホテルへ呼び出された仗助さん含むスタンド使いと、後日間接的に呪術について知識を得た岸辺露伴が病院へ集まっている。

 

 今私がしなくちゃいけないのは、石仮面を使った何者かと戦って感じた違和感から、推測できた相手の能力を説明することだ。

 

 波紋で涙腺に干渉して涙をおさえて覚悟して顔をあげた、その瞬間。

 

 

 【ピンクダークの少年】が頬をなでた。

 

 

 

 

 

 

 ガオン!!

 

「漫画家てめえっ!! なにしてやがる!!」

 

 パラリと顔面に亀裂ができる音がして体勢が崩れた彼女を抱え込もうとしたが、空気、否、空間が揺らいで目の前から姿がかき消える。

 

 直後に拳が迫ることで生まれる風切り音が聞こえたが、東方仗助、君が完全にプッツンきていないことは、前回やりあっている僕だからこそ理解(わか)っている。

 

『ヘブンズ・ドアー』

 

 ぱらり

 

『クレイジー・ダイヤモンド』の拳がバラけることで僕の身体はわずかによろめくにとどまった。

 

「そっちこそ、説明する前に殴りかかるとは品性を疑うぜ東方仗助」

 

 ジョースターさん、承太郎さん、花京院さんはそれぞれ思うことはあるようだが静観している。

 

 億泰のヤツは本になった的場矢文のページを見ないように顔を押さえて迎撃の準備を整え、康一君は動揺しながらも僕の主張を聞いてから最終的な判断をするつもりらしい。

 

「僕がスタンド能力(ヘブンズ・ドアー)を使ったのは、そうした方が情報の共有が手っ取り早いというのもあるが……」

 

 ちらりと見ただけで、その辺の子供を本にした時と比べれば、明らかに大量のページが詰まっている。

 

「はっきり言わせてもらうがね、この娘は怪しすぎるっ!」

 

 康一君を本にした時に読んだ彼女についての情報を思い出す。

 

「花京院さん……彼女がつくった『石仮面』が呪霊を倒すカギとなったそうだが、そもそも彼女はその石仮面をいったいどこで、外見だけでなく仕組みすら理解するまで記憶したんだ?」

 

 彼女の術式は構築物の組成を把握していなければならず、不十分な場合当然不格好なものが出来あがる。

 だが、記憶の中で彼女が不格好な構築となったのは康一君の授業用の運動靴を構築した時だけだ。

 

「一年前に呪術の才能が開花して、数か月で術式を把握し、肉体を鍛え上げて、呪霊の生態から発生原因を特定する……? リアリティがなさすぎるぞっ!!」

 

「仮にそれが可能だとして、どうしてそんなことができた? まるでそうなるための道筋をあらかじめ知っていたかのようだとは思わないかい?」

 

「虹村億泰、東方仗助、結局彼女はどうして君たちの家族の墓に花を供えていたか、答えを聞いたのか?」

 

「彼女が今回の襲撃犯と無関係だったとしても、僕たちが彼女を心から信用するために、この疑いは晴らしておくべきだと僕は思う」

 

 億泰の腕の中で眠る彼女に視線が集まる。

 

 全ての答えはページの中だ。

 

 

 

 

第4部終了後のストーリーどこから見たいですか? 選ばれなかったのは閑話やら回想やらでたぶん細切れで書きます。

  • 呪術、高専(玉折前)から
  • ジョジョ、第5部から
  • 第4部と第5部の間のオリジナル
  • すっ飛ばして呪術原作1巻から
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