ジョ術廻戦   作:春の綿雪

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 転職やらで大幅に遅れ、大変お待たせいたしました。

 映画、楽しみですね。

 私は視聴後にはメロンパンを食べようと思ってます。


発芽

 

 生まれたことを後悔する程の何かを、矢文ちゃんが知っている可能性があるということ、そして僕らもこれからその秘密の一端を共有することになる。

 

 そんな状況に僕は緊張して思わず唾をのみこもうとしたけれど、いつの間にか口の中が砂漠に放りだされていたのかと思うくらいにカサカサに渇いてしまっていたことに気づかされただけで終わってしまった。

 

 

「よし、次のページだ……」

 

 露伴先生が本になった彼女の顔の縁へ人差し指をかけて……動かない。 おかしいぞ、普段の先生ならもったいつけたりなんかしないでサッサとめくって音読するくらいするのに……。

 

 

「……先生? あの、どうかしたんですか?」

 

「東方仗助、距離をとってすぐに回復の準備をしろ」

 

 表情が見えない。

 

 当然だ。 

 

 僕と仗助君は先生が彼女に何か余計なことを書き込んだりしないようにするために先生の手元が一番見える斜め後ろからのぞき込んでいたんだから。

 

 だけど、恐怖と、それを踏み越えるための覚悟を感じさせられる震えの混じったその声に、僕らはすぐに只事ではない『何か』が、すでに起こっていると理解させられた。

 

 

「『ヘブンズドアー』ッ!! 僕は【自分の両腕を肩から引きちぎる】っ!!」

 

 

 バグンッ!!

 

 肉がちぎれる音というよりは、大型船の錨をつないでいた鎖が突然重みに耐えかねて破断したような、重苦しく爆発したような音をさせて先生の両腕が肩からはじけ飛んで鮮血が辺りにハデに飛び散り、その勢いのまま後ろに向かって吹き飛ばされた。

 

「うおおおっ!? なにやってんだ漫画家あぁぁあ!! 『クレイジー・ダイヤモンド』!!」

 

 仗助君は驚きの声をあげながらもスグにスタンド能力を使って千切れた腕を『治す』。

 

「反応が0.5秒ほど遅いぞ東方仗助。 僕を失血死させる気か……!? だが、お前のトンマさが幸いしたな……おかげで()()をよく観察できるっ!!」

 

 仗助君の『治す』能力で引き寄せられていく先生の腕。

 

 だけどそれは矢文ちゃんの顔面から数10㎝の地点からガクリと動きを落とした。

 

「な、なんだっ、アレは!?」

 

「ミミズのような触手がなん10本もッ!! 矢文ちゃんの顔から露伴先生の腕に突き刺さって絡んでいる!! ……はっ!!」

 

 ズル……ズルッ、と蠢きながら触手はさらに絡みついていく。 このままじゃあ露伴先生の腕が戻らなくなってしまう。

 

 

 コオオオオオオ!!

 

 

 空気を振るわせる独特な呼吸音。 過去何度か矢文ちゃんと模擬戦をした時に聞いたものよりも、さらに力強い『波紋の呼吸』の音だ。

 

 その音は今までにないほどにぎらぎらとした目をさせたジョセフ・ジョースターさんと、承太郎さんのスタンドである『スタープラチナ』から響いている。

 

 

「『白金世界色の波紋疾走(プラチナワールド・オーバードライブ)』!!」

 

波紋疾走(オーバードライブ)!!」

 

 

 紫色の茨のスタンドが触手をまとめあげて動きを封じた瞬間、ローマの剣闘士を思わせる承太郎さんのスタンドがいつの間にか、腕に絡みついた触手を引き抜いていた。

 

 

 波紋を受けた影響か、触手は火のついた蚊取り線香のように端のほうからに赤く輝いて次第に灰になって消滅しはじめたが、うじゅるうじゅると気持ちの悪い音をたてながらのたうって、それぞれがトカゲの尻尾のよろしく千切れて矢文ちゃんの顔の中へ引っ込んでいく。

 

 その直後にぴったりと元に戻る先生の腕。 だが、さすがのスーパー漫画家であっても大量の血を失うという状況を過去に体験したことが無いようで、スケッチをしようにも力が入らずに床にへたり込んで荒い息を吐いている。

 

 

「い、いまのはいったい……?」

 

「『肉の芽』だ……。 過去に、承太郎やジョースターさんと因縁があった吸血鬼、DIOが僕を含めた多くのスタンド使いに植え付けて、自身を信奉する部下へと洗脳してみせた……恐ろしい呪物だよ」

 

「親父がつけられてたっていうのと……おんなじ奴か……」

 

 

 花京院さんが忌々しそうに語る。

 

 お父さんの変異や、お兄さんの形兆が『弓と矢』で凶行を繰り返す原因となったモノの名前を聞いて、億泰君の顔に暗い影が落ちた。

 

 

「け、けど……DIOっていうワルい奴はもう承太郎さん達が倒したんですよね? そしたら、とっくに暴走して矢文ちゃんの身体も変化しているんじゃ……?」

 

「おいおいコエーこと言うんじゃあねえよ康一っ!!」

 

「つーかよぉ、矢文は波紋を使っているのにどうして『肉の芽』は消えないんだよ。 吸血鬼と弱点は一緒なんじゃあねえのか?」

 

 

 机の上の矢文ちゃんは『ヘブンズ・ドアー』によって本になったままピクリとも動く様子を見せず、開いたままの顔のページもそのままだ。

 

 海外の悪魔憑き系のホラー映画みたいに、突然体がガタガタ跳ね上がって痙攣しだしたりするんじゃあないかと思うと怖くてとても近づけない。

 

 

「いや、『肉の芽』は、確かに元々はDIOが自身の肉体から生み出したものではあるが、その過程で完全に吸血鬼とは別のナニカとなっているんだ。 使用者が違うなら当然そいつが死なない限り暴走も起きないんだろう」

 

「吸血鬼の肉体とは別物となっている時点で、ある程度の日光や波紋の対策はされないはずがない……ましてや、人の脳の中で思考に働きかける力を持つものじゃ。 本人の思考を操って、脳へ向かう波紋を弱めるように細工するなど造作もないじゃろう」

 

「そんな……じゃあ矢文ちゃんは、操られて徐倫ちゃんに『矢』を……?」

 

 もしも彼女が思考を操られていたのだとしたら、それはいったい何時からでどこまでが犯人の思惑なんだろうか。

 

 露伴先生が指摘したように僕らと出会ったことも、何もかもが彼女の意思に関係なく()()()()()()に誘導されたものだったのだとしたら、それはあまりにもさみしいことだし、何より矢文ちゃんが可哀そうだ。

 

 

「確かに彼女の何でも作れる能力ならば、『弓と矢』をその場で作って突き刺すこともできなくはないね。 だが、本にされた彼女を『肉の芽』は守るような動きをみせているのはなぜだ……?」

 

「そうだな……使用者の正体を知られるリスクを冒すくらいならば()()しにかかっていてもおかしくないはず。 ……彼女を殺せない理由があるのか?」

 

 

『まさにその通りだよ。 ジョジョ、花京院、この『肉の芽』の操作者はこの娘を殺せないのさ!』

 

「「っ!?」」

 

 

 全員の視線が一点に集中する。

 矢文ちゃんの喉から、まったく違う()()()()が発せられているっ!!。

 

 

「……馴れ馴れしい奴だな。 で、顔も見せないお前はどこのどいつだ? 操作者でないなら何故こうして話しかけている」

 

『すまない、君たちのことは一方的に尊敬していてね。 質問に答えると『肉の芽』を使用者に譲渡したのは、私なんだ。 多少の()()()を施すのは悪役のたしなみって奴だろう?』

 

「ってことはテメエが吸血鬼ってことかコラぁ! さっさと矢文から『肉の芽』を外しやがれ!!」

 

『ふふふ、残念だが私は『肉の芽』を創った吸血鬼ではないし、ましてや勝手に君らに出会って負けに行くスタンド使いなんかでもないよ。 よって……外せないね』

 

 猛る億泰君に対してあっさりとした返答を返す声。

 

 こいつ……なんだか『悪いことなんてしていません』ってカンジでおだやかにしゃべっているけれど、本当は『毒を塗ったエサに生き物が集まるのを見てニヤニヤ笑って見守るのが趣味です』って言われても納得できる悪意がひしひしと伝わってくるぞ……!!

 

『ちなみに彼女の嫌疑を晴らしておくが、彼女は『弓と矢』を君の娘に使ってはいないし東方仗助達と出会ったのも()()()()()()は偶然で、本人の意思と行動だよ。 まったく……スタンド使いでもないのによくこんなに知り合えるものだ』

 

 

 





 ホントは今回で区切りたかったけど次回に続きます。 お楽しみに。






 ところで今年は地獄先生ぬ~べ~がリメイクされるそうですね。

 お客様の中に、『転校生、その名は五条悟!!』を書いてくださる方はいらっしゃいませんか!?

 クソガキ五条が鵺野先生を困らせながら成長する概念、見たくない?

第4部終了後のストーリーどこから見たいですか? 選ばれなかったのは閑話やら回想やらでたぶん細切れで書きます。

  • 呪術、高専(玉折前)から
  • ジョジョ、第5部から
  • 第4部と第5部の間のオリジナル
  • すっ飛ばして呪術原作1巻から
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