ジョ術廻戦   作:春の綿雪

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想像以上に反響があって驚いております。

今回は2話か3話ほどに分けてお送りすることになりそうです。


お祓いをしよう①

 

 

 空条親子を見かけてから、すでに二週間が過ぎようとしている。

 週末、私は朝早くにバスに乗り杜王町の西にある国見峠霊園に足を運んでいた。

 

 『東方家乃墓』『虹村家乃墓』と彫られた墓石にそれぞれ花を供え、手を合わせて静かに祈る。

 私は……彼らの『死』を知っていたのに、救けに行かなかった。

 

 原作の存在を知っているからイレギュラーをおこさないため? 実力足らずなうえに、スタンドが見えない自分が行ったところで、どうにかする力を持ち合わせていなかったから? 徐倫ちゃんが呪霊に襲われていないか確認するため?

 理由を挙げるならこんなところだが、結局重要なのは()()()()()()()()()()()()ということ。

 

「……ごめんなさい」

 

 小さく呟いて真新しい墓石を見つめる。

 これも結局のところ、自分の心を整理するための、ただの自己満足だ。

 時間にして5分ほどだろうか、火のついた線香がほとんど灰になったあたりで私は立ち上がる。

 

 この物語(第4部)に私が出る幕はない。せめて、力のない一人の町民として静かに見届けよう。

 小さく息をついたところで、後ろに人の気配がする。管理人さんだろうか、けど人数が多いような?

 

 

「……おめえ、なにしてんだあ?」

 

 

 ……なんで不良コンビ(億泰と仗助)がここにいるの!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 億泰と仗助が霊園を訪れた経緯は、時を1日前に遡る。

 

 

 学校から帰宅し、風呂でリフレッシュを終えた仗助はのんびりと居間でくつろいでいた。

 

「……」

 

 ここ2週間に起きた出来事、顔も知らない父親の親戚の来訪から始まり、スタンドの存在、祖父の死、殺人鬼、そして虹村兄弟から兄形兆の命と『弓と矢』を奪った謎のスタンド使い。

 目まぐるしい出来事の連続であった。

 

 祖父の想いを継いで『この町を守る』と腹をくくったが、今後どのような脅威が待ち受けるのか……

 

「じいちゃん……おれ」

 

 

 ピンポ~ン、ピンポンピンポンピンポ~ン!!

 

 

「はーい! 仗助、今手が離せないから代わりに出てちょうだい!」

 

「…………ナイーブな気持ちにもなれねえや」

 

 ソファから立ち上がり玄関へ向かう、時間はすでに20時近く宅急便とも思えない。

 下手なセールスだったらぶっ飛ばしてやろうと思いながら扉を開ければ、そこにいたのは半ベソをかいた億泰の姿だった。

 

「億泰!? どうした!? 何があった!?」

「じょ、仗助ええぇ~! たのむぅ、今晩泊めてくれえぇ~!」

 

 転がり込んできた億泰、よく見ればあとから億泰の親父もやってきていた。

 

「ぷぎゅう……」

「親父さんまで…… ほんとに何があったんスか?」

「あら、虹村君じゃあないの、大丈夫?」

 

 

 仗助は母と二人がかりで億泰を落ち着かせる。

 

 

「ほら、億泰、何があったか話してくれよ。 力になってやれるかどうかもわからねえじゃねえの」

 

 30分は宥め、温かいはちみつ入りミルクを飲ませたところで、ようやく億泰は家でおきた奇妙な出来事を話しだした。

 

「家のなかによお、なんかがいる気がすんだよ~」

「……そりゃあ、ネズミかなんかじゃあねえのか? あんなにぼろい家だ入り放題だろ」

「ネズミはもともとよく見るんだよ。今日いたのはどう考えても人くらい大きいかんじなんだ!」

 

 自宅での出来事思い出したのか億泰は、身震いして話を続ける。

 

「それなのに、部屋を見て回っても影も形もねえ! なっ、なんだか気味が悪くてよお」

「やめろよ億泰、まるでお前ん家に幽霊がいるみてえじゃねえの!」

 

 夏の怪奇現象番組を見るだけで寝不足になる仗助は、億泰の恐怖体験を聞いて思わず否定に入る。

 しかし、ここで仗助の母、朋子が一つの仮説を告げる。

 

「もしかして、虹村君のお兄さんが心配して見に来ているんじゃあない? そんで家の中あちこち歩きまわってんのよ!」

「そんなら……オレ、兄貴のこと安心させてえなあ~」

「それか、全然関係ない悪霊かなんかだったりしてね~?」

 

 

 上げて落とす発言にすっかり元気をなくした虹村親子は結局、夕食を共にし、そのまま泊まり込むことになった。

 

 

 翌日、怖がらせたお詫びとして朋子からバス代を多めに持たされて、二人は虹村父を仗助宅に残し、霊園に向かうことになった。

 

 

 

 

「そこは家の墓なんだけどよ~、兄貴の知り合いかあ?」

「いや、あの形兆にこんな小さな子の知り合いがいたら変だろ」

「けどなあ、兄貴は意外と迷子とか見つけたらちゃんと親を探してやってたりしたしよお」

「マジっスか!?」

 

 目の前でコントのような会話を繰り広げる二人に、私は返事ができずにいた。

 なぜなら、億泰君の方にべっとりと残穢(ざんえ)が付いているのが見えてしまったから。

 しかも、それにつられてか、二人して蠅頭が肩に張り付いている。

 

「な、なあ仗助、俺の顔になんかついてるか? あのチビ厳しい目でずっと見てるんだがよ」

「い~や、なんもついてねえぜ億泰、しいて言うなら俺たち二人そろって強面だから怖がらせちまったのかもしんねえ」

 

「……いえ、肩にお化けが付いているので」

 

 ギョッとした表情をして、慌てて自分の肩を確認する二人。

 当然見えていないので、すぐにこちらに向き直り、怒り出す。

 

「なんもいねえじゃねえか! 冗談も大概にしねえとぶっとばすど、こらあ~!」

「あなた達に見えないだけで、私には見えてるんです! そこ、しゃがんでください!」

 

 有無を言わせずしゃがませて、二人の肩に張り付いた蠅頭を握りつぶす。

 

 ばっちゅん!

 

「「うおおぁあ!?」」

 

 どうやら、至近距離で祓った結果か、音だけは聞こえたようで同時に大声を出して派手に尻もちをついて転がった。

 

「私、独学でお化け退治をしています。そいつらつけてきた場所に心当たりがあるなら教えてください。あとでそこもキレイにしておきますから」

 

 杜王町のどこでそんな事態になったのかわからないけれど、今日にでも対処すればまだ私でもなんとかなるだろう。

 私の言葉に二人は顔を見合わせ、そして言いにくそうな顔をしたあと、代表して仗助君がその場所を告げた。

 

「あの……こいつの家なんスけど、できれば今日中にどうにかなります?」

 

 ……なんて?

 

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