ジョ術廻戦   作:春の綿雪

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 多くのお気に入り登録ありがとうございます。
 
 ちょっとデータを飛ばして無量空処してました。
 これからも、日付を開けつつ更新していきます。


 今回は分量が多めで、次回から独自設定がちょっとずつ仕事しはじめるかと思います。


チンピラとヤクザ

 

 

 

「おお、矢文! おはようさん」

 

「おはよッス、矢文ちゃん」

 

「あっ、おひゃようございましゅ……」

 

「寝不足かあ~? だめだぜぇ、子供はよ、はやく寝ねえと」

 

「えへへ……気をつけます」

 

 私が呪霊にわからせられそうになった翌日、登校中に億泰さん、仗助さんからさっそく声をかけられた。

 どうやらタイミングが合えば彼らの通学路と私の通学路は被っているルートが結構あるらしい。

 バッタリと出くわして心の準備ができていなかったせいで変な返事を返してしまった。恥ずかしい……寝不足を疑われたけれど、おかげでヘンに緊張する必要なくなってよかったかも。

 

「お、康一と……誰だあれ」

 

「なんか楽しそうだな、行ってみようぜえ」

 

「た、楽しそうですかね……」

 

 しばらく歩いていると、何やら見知らぬ男性に肩を組まれた青年が苦しそうに胸を押さえているのが見えた。

 そうか、今日は康一さんが強請られてスタンドを成長させる日なのか。

 ということは、もう一人の男は確か、小林……玉、介さんだっけかな?

 確かかなり口のうまい人だったはず、下手に近づくと私に話を振ってきて話がよりこじれるかもしれないので少し離れて事の次第を見届けるとしよう。

 

 

 

 

 5分後、仗助さんはほぼ原作通りの展開で小林玉助を追い払った。

 しかし、結局お金は破られて持っていかれてしまったらしい。康一さんはガックリと落ち込んでしまった。

 

「グレートに災難だったな、康一」

 

「本当にまいったよ……今日の体育どうしようかなぁ」

 

「俺らは先週に靴は買わされたから貸してもいいけどよお、サイズはどうしようもねえしなあ」

 

 億泰さんが試しにカバンから運動靴を取り出して康一さんの足の横に並べる。

 スゴイ、二回り以上はサイズに差がある。これでは授業に出ることはできてもとてもまともに動けないだろう。

 

「あの、お聞きしたいことがあるんです……足のサイズはおいくつですか?」

 

「21センチだけど……君は……?」

 

「私、的場矢文っていいます。仗助さん億泰さんとはつい昨日知り合いました」

 

 私は困惑している康一さんの目の前でリサリサのポーズをとって術式を発動させる。

 呪力を練り上げ一足の靴を作り上げた。

 

「えええ~!? 何もない所から靴が出てきたあ!」

 

「履いて確かめてもらっていいですか? 多分ちょうどのサイズになったと思います」

 

「わ、わかった!」

 

 出来上がった靴を手渡して確かめてもらう。

 康一さんはすぐそばにあるベンチに座って早速サイズを確かめると、再び驚きの声を上げた。

 

「すごい、ピッタリだ!」

 

「それはさしあげます。今日はそれで乗り切って後から学校で購入したら代えにでもしてください」

 

「本当にありがとう! 大切にするよ!」

 

「いえ、私の超能力の練習にちょうどよかったんです」

 

 ぴっしりと靴を抱きしめて何度もうなずく康一さんに私はそう言って自分の力を説明する。

 

 正直、今回の術式の使用は上手くできるか自信がないまま発動した。私の術式は①ジョジョ立ちをするかしないか ②ジョジョ原作で登場した物品かそれ以外かの4パターンでの使い方ができる。

 今まで練習で発動した時はジョジョ立ちをして、ジョジョ原作で登場したものしか構築できていないのだ。

 登場していない物を構築する場合、その材質や形状を理解しておこなわなくてはいけない。以前、はじめて構築した金槌は金属と木材で分かりやすくパーツが分かれていたから構築できたが構造や材料が複雑な物はとても難しくてほぼ失敗している。

 

「だから、その靴はもしかするととんでもない不良品になっていたかもしれなかったんですよ。案外、すぐ壊れるかもしれないので必ず後で学校でも靴を買ってください」

 

「わかったよ、ちゃんと買い替える。けど、すごい力だね」

 

 ①をいくつかのポーズ、②を特定の物品と言い換えて伝えたところ、康一さんは納得してきちんと約束してくれた。

 この人もそうだけど、仗助さんや億泰さんも自分の知らない特殊な力に対して偏見を持たずに対応してくれるところは、心根の善良さが良く分かるなあ。

 

「そーだっ! 矢文ちゃん、億泰、康一、すっかり言い忘れていたんだけどよ……」

 

「?」

 

 

 

 

 

 日付がとんで週末、日曜日。私達は杜王グランドホテルに足を運んでいた。

 発端は仗助さんが町で出会ったスタンド使い等の定期的な報告として最近、杜王町にやってきた親戚に報告をしたこと。

 

 親戚、つまり承太郎さんは私の力とオバケについて心当たりがあったらしく、その専門家と連絡を取って私達に講義をつけてくれることになったのだ。

 専門家、呪術師の知り合いなんて原作では全く描写がなかったことだ。これはこの世界が混ざっているからこその影響なんだろうけれど、どんな人が来るんだろう。

 

「専門家ねぇ、オバケに詳しいやつもいるなんてマジでグレートな人脈だぜ、スピードワゴン財団」

 

「やっぱり、わかりやすく漫画の陰陽師みたいな恰好なのかな……それとも海外のシャーマンみたいな感じとか」

 

「そんなんだったら、1階ロビーで集合なんだからもうどっかにいるんじゃねえか?」

 

「……それっぽい人はまだ見えないですね、っぅえ!?」

 

 どむ、と背後から衝撃が響く、首を回してみればお団子頭のかわいらしい女の子。

 とってもイイ笑顔で私を見あげて喜色に満ちた声をあげる。

 

「マジシャンのお姉ちゃんだ! 私に会いにきてくれたのね!?」

 

「ちょっと、徐倫? そのお姉ちゃんは連れていけないからね?」

 

 追いついてきた女性がはしゃぐ彼女をなだめながら引き離した。この女性は承太郎さんの奥様らしい、事情を聞くと彼女と徐倫ちゃんは今日から杜王町を離れて関東圏を観光して回るようだ。

 徐倫ちゃんは、増えた仕事をかたづけてから合流することになった承太郎さんに怒って先に部屋から出てロビーに出てきてしまったのだ。

 見送りはする予定らしいから折角なのでそれまでの間私の術式を使ってマジックを披露することになった。

 

 

 

 

「いきますよ~。私がポーズ(アヴドゥルの構え)をとるとーはいっ、綺麗なマフラーでーす!」

 

「わあっ、スゴイ! ひいひいおばあちゃんのとおんなじやつだ!」

 

「ほんと……そっくりね」

 

 プレゼントとして手渡すと、思わぬ言葉が聞こえた。マジか、三部で存命なのは知っていたけどもしかしてまだリサリサさん生きているの!? 波紋使いすごいな……。

 ほかにも缶のコーラやシルクハットを生み出しては集まってきたギャラリーに手渡していく。

 場が温まり、周囲がおひねりを出すか迷いはじめた頃に承太郎さんがやってきた。

 

「……やれやれだぜ、これはどういう状況だ」

 

「あっ、パパ!」

 

 最前列で見ていた徐倫ちゃんが駆け出して人の輪を崩したことで自然と人垣がはけていく。承太郎さんはそのまま彼女を抱きかかえると、こちらに向きなおる。

 

「矢文、だったか……すまなかったな、送り出したらすぐに合流する。……それまではソイツから話を聞いていてくれ」

 

 私の背後を見る彼の視線に合わせて振り返ると、そこには目つきの悪いツーブロックの男がこちらを見下ろしていた。

 誰だろう……ジョジョでも呪術の原作でも彼のような人は見たことがないような気がするのだけれど。

 

「その年齢でそのレベルの術式の行使、並大抵の努力でできることではない。……何が君をそこまでさせる?」

 

「何が、と言われましても……あの、あなたは?」

 

「私の名前は夜蛾正道。……質問の答えは後でも構わない。だが、明確な答えがないまま呪霊に挑めば早晩、君は自滅するだろう。覚えておくことだ」

 

 え、この人、あの学長さん!? 原作ではもっとヤクザっぽい感じだったよね!? この見た目はプライベートだから? それともまだあの姿に至ってないだけなのかな。

 

 混乱する私をよそに、夜蛾さんは仗助さん達を引き連れてホテルのエレベーターへ向っていった。

 

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