ミホーク様は異世界でゆったり農業ライフを満喫したい 作:灰音穂乃香
「ふっ!」
裂帛の声と共に勢いよく振り下ろされた鍬が固くもなく、かと言って柔らかくもない、程よく農耕に適した土壌へと突き刺さる。
鍬を振るう男の年齢は40初めから中頃程。
背は2メートル近くこの世界では大柄。
体つきは細身ではあるがかなり鍛え上げられているのはシャツ越しからも判断できる。
顔つきは精悍で顎髭、口髭は整えられている。
だが男の外見で一番特徴的な部分といえば猛禽のそれを思わせるような鋭い目つきだろう。
ジュラキュール・ミホーク…かつて『鷹の目』、『海兵狩り』の異名を持つ海賊であった男だ。
イム、五老星率いる世界政府と四皇麦わらのルフィ率いる麦わら大船団のワンピースを巡る大戦争の後、世界は自由な海を取り戻した。
海には商船が行き交う大航海時代の幕開けである。
無論、海賊の脅威が無くなったわけでは無くミホークの所属する『クロスギルド』の仕事も無くなった訳ではない。
だが、クロスギルドが護衛についている事を知った海賊たちは途端に尻込みし逃走していく。
戦いを求めていたミホークからすれば、退屈この上ない日々を送っていたある日その男から決闘を受けたのだ。
その男とは海賊王、モンキ・D・ルフィの右腕であり、『海賊狩り』の異名を持つ愛弟子ロロノア・ゾロであった。
三日間に渡る死闘の末、ミホークは敗北。
致命傷を負いミホークは46歳と言う若さで命を落としたのだ。
未練と呼べる物は特には無い。
クロスギルドの方はバギーやクロコダイルが上手く回してくれるだろうし、ペローナの方はロロノアに任せてきた。
何一つ、不満なく大往生を遂げた筈だった…‥…。
『む……』
鳥の声に巨木を背にしたミホークは目を醒ます。
『ここは…それに俺は…』
ロロノアから受けた三刀は確かにミホークの骨を砕き、心の臓を切り裂いたはずだ。
にも関わらず、ミホークの身体にその時の傷はなく心臓も脈動を続けている。
『地獄にしてはなんとも小綺麗な場所だな』
空を見上げれば青々としておりうっすらと二つの月が見える、周りを見渡せば木々が生い茂っている。
海賊といえども大量の人間に手を掛けてきた自分が天国へ行けるとも思えない。
一体どういう事かと首を捻っているとミホーク見聞色が物音を捉える。
『これは…幌馬車と巨大な何か…覚醒した動物系の能力者と同じくらいの大きさの何かが3〜4体…他にも人型の何かが100いや、もっとか?』
何故かは分からないが強敵と出逢えるような、そんな予感に口角が緩んでいる事を自覚しつつも、自身と同じく巨木にもたれさせてあった愛刀『夜』を手に取ると物音のする方向へと走り出したー。
ユーチューブの動画からふと、思いついて書き始めました。
遅筆&文章量は少ないかもですが楽しんで頂けたら幸いですー。