ミホーク様は異世界でゆったり農業ライフを満喫したい   作:灰音穂乃香

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第二話 『鷹の目、大暴走と相対す』

「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ! まじで死ぬー!!!!」

 

絶叫を上げながら若い商人-ウンソップは手綱を握る手を緩めず、石畳を走る馬のスピードを落とさないように努めていた。

 人間の国トットット王国と魔族の国シケナシ魔王連邦国、獣人の国にモフモフ皇国、3カ国間の戦争が終わったのは今から数百年前。

 現在は三国の間に何ら諍いの種もなく国交は良好状態である。

 唯一つ問題があるとすれば三国の間に広がる広大な森林地帯-シケアル森林である。

 シケナシ国の大気中に含まれる魔力(大気中に含まれる成分、これを利用して様々な現象を起こす魔法等を行使する)は他国のそれよりも濃い。

それがシケアル森林にも影響を及ぼし、異形の怪物である魔物や迷宮《ダンジョン》を自然発生させるのだ。

 魔物の毛皮や牙などは武具の素材となり、ダンジョンは宝物が多数眠っているためそれを求めて三国には冒険者が集まっていた。

 冒険者はダンジョンの探索や魔物の討伐、ウンソップのような商人を護衛することで生計を立ててる者たちだ。

 ウンソップも冒険者パーティー《千本舌》に護衛を依頼したのだが今回は相手が悪すぎた。

 ギルドから配布される転移オーブ(使用すると近くの街まで自分達を転送してくれるアイテム)を使って早々に逃げてしまった。

 それも仕方ないと言える。

 何故ならば、ウンソップの駆る馬車の後方には数百ものと魔物の群れが迫っでいたからだ。

 《大暴走-スタンピード》と呼ばれる原因不明の現象である。

上級の冒険者数名か国の騎士団総出でなんとか事態を収拾できるかどうかという災害だ。

 発生現象は魔族側の陰謀やら新しいダンジョンが生まれる前触れなどの様々な噂があるが真相は定かではない。

 

『早く! 早く! 早く! 早く!』

 

手綱を握る手に汗を掻きながらウンソップは馬を急かす。

 速度を増す馬車だが、なんの因果か車輪が石畳と石畳の段差に引っ掛かり横転、ウンソップの身体は宙を舞い、石畳に叩きつけられる。

 全身を襲う激痛。

 特に右肩は叩きつけられた衝撃で関節が外れたのか恐ろしく痛む。

それでも死ぬよりはマシだと身体を引き摺りながら逃げようする。

 だが、魔物の大群は既に目の前にまで迫っており最後の気力さえも搔き消される。

 

『カーヤ、ごめん!……ごめん!!』

 

故郷に残した許嫁に謝りながら目を瞑る。

 しかし、恐れていた痛みや衝撃も無く、変わりに襲ってきたのは錆びた鉄のような匂いだ。

 それが血の匂いであることは直ぐに理解できた。

 恐る恐る目を開けると、そこには巨大な片刃の十字剣を振るう巨漢の男が多数の魔物を屠っている姿だ。

 余りの事態に呆然とするウンソップ。

結局、トットット王国から出立した騎士団が来たのは男がほとんどの魔物を殲滅してからだったー。

 

 

 ミホークは空を蹴ると宙へと跳躍。

そのまま空中を蹴るようにして進む。

海兵狩りをしていた時に偶然にもCP《サイファーポール》と戦う機会があり、その戦いでCPが使ってみた《月歩》を真似てみたのだ。

 

『意外となんとかなるものだな』

 

そのような事を考えて空中を進んでいると石畳で舗装された道を爆走する幌馬車とそれを追いかける大小様々な異形を確認する。

よくよく見ればそれらはガーゴイルやサイクロプス、ゴブリンやオーク、ミノタウロスといった生前に読んだ小説に出てきたような怪物であることが解る。

未だ、幌馬車と怪物達との距離はあるが追いつかれるのも時間の問題だろう。

 

『さて、どうすべきか…』

 

悩んでいると段差に足を取られたのか幌馬車が大きな音と共に転倒。

 御者の男は投げ出され石畳に叩きつけられる。

迫る異形自然と身体が動いていた。

 空を蹴り、男に迫ろうとしていたガーゴイルに飛ぶ斬撃を喰らわせる。

 両断されるガーゴイル、巻き添えでその近くにいたオークもガーゴイルと同じ目に合う。

一瞬だが魔物の群れにどよめきが生まれる。

 その隙にミホークは地面に降り立つと近場にいたサイクロプスを横一文字に切り裂き、返す刀でゴブリン数体の首を跳ねる。

 そこで魔物の群れは落ち着きを取り戻し、一斉にミホークへと飛びかかる。

 これに対して身体横に回転しながら斬撃を飛ばす事で魔物を直ぐ様に肉塊へと変える。

 

『あぁ…これだ…これこそが愉悦!』

 

気分の高揚するような感覚に思わず顔が笑みの形を作るのを自覚しつつも《夜》を振るう腕は止められない。

 

それからどれだけ魔物を屠って来ただろう百、二百…それ以上かも知れない。

 最初は数え切れないほど大量にいた魔物の群れも数えるほどしかいない。

 それでも尚、戦意折れずといった様子。

その理由をミホークは悟る。

群れの後方にいたローブを纏った数体の骸骨。

 その頭上に巨大な漆黒の火球が形成されようとしていたからだ。

弱そうな外見から放置していたが押し寄せる魔物達が発動までの時間を稼いでいたようだ。

骸骨との距離はあるのだが押し寄せる熱気が頬を焼く。

 

『そう言えば焔は斬ったことはあるが、魔法はなかったな……』

 

そんな事を考えながら笑みを浮かべる。

残る魔物と火球をまとめて斬るべくミホークは《夜》に《武装色の覇気》を纏わせ腰だめに構える。

恐らく、剣を振り抜いた隙狙うつもりか魔物達が一斉に飛びかかる。

 

『!』

 

《夜》を振り抜き、返す刀でを火球を斬ろうとしていたミホークは何かに気づき、後方へと跳躍する。

 

それとほぼ同時に。

 

 『そこの冒険者!! 後ろへ飛びなさい!!!』

 

声と同時にミホークは地面に着地。

 

程なくして業火や暴風が魔物達を蹂躙したー。

 

 




どうもです。
 灰音です、連日投稿となりました。
ミホークの転生話です。
 登場キャラやら地名やらで原作からいろいろと捩ってみましたー。
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