人理修復 withウルトラマンネクサス&モルガン 作:グリッド無頼
どうも、3月の頭くらいに次の話を投稿しようとしていたのに、バレンタインイベで絆上げに熱中して執筆をサボったアホです。ですがモルガンの絆レベル15を達成したのでもう何も怖くない。
水着伊吹童子をモルガンへの赤青バッファーとしてしか運用していない馬鹿がいたらそれ自分です。
episode.1 出動 ─オルレアン─
【intro.1】
モルガンに解呪をしてもらってから数日後。いよいよ第1特異点へのレイシフト準備が整い、明日に決行されることとなった。すっかり傷が癒えたオレは、緊張を紛らわすためと療養でなまった体を解すために、『ダ・ヴィンチ』という人が開発するなり渡してきた”
走行距離・消費カロリー・タイマーその他諸々の機能が付いた優れ物で、走者の体力状況をスキャンして速度を変えてくれる機能まで搭載した、まさに至れり尽くせりのマシンだ。しかも脳波コントロールできる!
ただ……。
「はっ、はっ、うおお!?」
たまに、(ボーナスタァイム!!)という音声が流れて急激に加速することがあるのが致命的な弱点だ。ホントになんの前触れもなく来るからタチが悪い。というか、こんな物を作る余裕が今のカルデアにあったのだろうか……。
と言いつつも、結局は超便利なことに変わりないからこうして使わせてもらっているのだが。
そして本日3回目のボーナスタイムをクリアした後、オレは個室に設置されているシャワーを浴びる。改めて考えると、装飾が質素なだけでかなり豪華だよな、カルデアの個室。
などと考えていると、不意に視線を感じて部屋の入口の方へ振り返る。
「だ、誰!?」
「おや、バレてしまったか」
そこに立っていたのは、オレにランニングマシーンを提供してくれた『レオナルド・ダ・ヴィンチ』その人だった。所長とロマン教授の2人、そして全カルデア職員が認める”天才”で、カルデアの技術顧問を務めているサーヴァントだ。天才であると同時に相当な変人だ、とも聞いたけど。
「ダ・ヴィンチさん! 何か用ですか……って、オレ部屋の鍵かけてませんでしたっけ?」
「ふっふーん、私ほどの天才であれば部屋のセキュリティをハックする鍵くらい簡単に作れてしまうのさ!」
なんだそれは……。プライバシーもへったくれもないじゃないか!
これだから天才ってやつは……。
「それよりいいのかい?」
「へ?」
「君、裸のままだけど」
「………………うわああああ!!?」
先日モルガンに上裸を見られたせいか感覚が狂っていたオレは、またしても裸を他人に、しかも女性(?)に見られる羽目になり上ずった悲鳴をあげていた。
「えー、何の用ですか、ダ・ヴィンチさん」
一度彼女を部屋から追い出し高速でシャワーを終わらせ着替えると、妙にニヤニヤしている彼女に話しかける。
「だから、私のことはダ・ヴィンチちゃんと……。まあいいや。前に君にD・Rを押しつ……プレゼントしただろう?」
おい今この人押し付けたって言おうとしなかったか?
「アレの真の目的について教えてあげようと思って訪ねてきたというわけさ」
どこから取り出したのか、なんか妙に似合うメガネを掛けて彼女が言う。
「真の目的? あれってただの……ではないけどランニングマシーンじゃないの?」
「まあ見ていたまえ。そして私の発明の素晴らしさに恐れおののくがいいさ!」
そう言うと、彼女は再びどこからか取り出したシリンダーのような物をD・Rに接続し、なんか触ったらヤバそうだからとオレが放置しておいた操作パネルを慣れた手つきで操っていく。
すると、シリンダーの中に何やら結晶の粒のような物が流れ込み始めた。
「おお、キタキター! 予想以上に頑張ってくれていたようだねぇ藤丸君!」
その大小様々な物体は次々とシリンダー内に流れ込み、時々黄金色の大きな粒が出てくる。
「な……なにこれ?」
「これこそがD・Rの真の機能! その名も”
な、なんだってー! って、何ソレ?
「D・Eは君の体が生成する余剰魔力を吸い取って、
やたらハイテンションで彼女が言うが、話が唐突すぎて置いてけぼりにされるオレ。
「えーと、つまり?」
ぐふふ、という悪の科学者みたいな笑い方をしている彼女に聞くと、
「これで生成される魔力結晶をサーヴァントに与えると、霊基出力が上昇するのだよ。マスターである君に不足している魔力量を、外付けで補おうって寸法さ!」
「えっマジ!? じゃあ、モルガンとマシュがもっと強くなるってこと!?」
「ザッツライ! 喜べ少年、君の願いはようやく叶うのだフゥハハハハーー!!」
高らかに彼女が笑う。なるほど、これがあれば、格段に落ちてしまっているというモルガンの霊基出力を少しでも回復させることや、マシュの戦力を強化することができるのか! あれ、もしかしてこの人まじで天才なんじゃ?
と、思ったのも束の間。
ガシャン! バキバキ! ザーーー!
ん? あれ? なんかヤバい音してない?
「ダ……ダ・ヴィンチちゃん? なんかすっごい爆音鳴らしてんだけど? 壊れかけのゲーム機みたいな音立ててんだけど!?」
さっきまでの高笑いを一瞬で消滅させ、途端に汗を流し始めるダ・ヴィンチ。あれ、マジでヤバい感じ?
「あー、多分、アレのせい……だ。私がノリで搭載した、ギャンブルタイムもといボーナスタイム……」
自らの過失を自覚したのか、引き攣った苦笑いを浮かべるダ・ヴィンチ。
「ボーナスタイムは、機械に無理させて魔力変換の純度を上げる機能だったんだけど……。負荷が……想像以上だったー!!」
そしてD・Eが煙を上げ大きく震え出した! けたたましい警告音を響かせ、次第に膨張していく本体。
嗚呼、これは───
「あ、あ、うおおおォォォォォ!!!」
爆発オチなんてサイテー!
「まったく、明日にはレイシフトだというのに、何をやっているのだレオナルド」
「先輩、痛みますか? 今お薬を塗りますね」
「フォウフォ……フォ~~ウ」
爆心地となったオレの部屋には、騒ぎを聞き付け何事かという顔でやって来たモルガンとマシュ、そしてマシュの肩に乗ってきたフォウくんがいた。モルガンは陣地作成スキルの応用で部屋を修復し、マシュはオレの手当てに当たってくれている。フォウくんは呆れたように鳴きオレの頬を舐めていた。
そしてその傍らで、真っ青な顔をして駆けつけてきた所長とロマン教授にこっぴどく絞られているダ・ヴィンチちゃん。
奇しくも、明日からの特異点攻略における主要メンツがここに集結していた。
「ふ…ふふ…。たしかにボーナスタイムを実装したのは私のミスだったがね、それだけの成果はあったさ……」
反省の色が全く見えないダ・ヴィンチちゃんが、先程D・Eから回収した魔力結晶が詰まったシリンダーを皆に見せびらかす。
「ほら、昨日ようやく霊基調整室の復旧作業が終わっただろう? 第1特異点攻略の前にサーヴァント2人の戦力を強化しておこうと思ってね」
「霊基調整室……ああ、あの地下にあった施設かい? 藤丸君が来るまではカルデアにいたサーヴァントがレオナルドしかいなくて、埃を被ってた」
「そうとも。レフの奴、ご丁寧にあそこも爆破しやがってからに。まあ、今の藤丸君の部屋みたいにガワだけならモルガンがすぐに直してくれたから、マシンの修復と調整だけで済んだんだけど」
モルガンがしばらくダ・ヴィンチちゃんと一緒にいたのは、そういう施設の復旧の為だったのか。たしかに、見る見るうちに元の姿を取り戻していくオレの部屋を見ればそれも納得だ。
「とはいえ、なんで藤丸の部屋で爆発なんて起きたのよ? カルデア内部はレフが残した危険物がないかスキャンして回らせた筈よ?」
「所長、こいつですこいつ!」
オレは部屋の中に転がるさっきまでD・Eだった物を指差す。それは見るも無惨な残骸へと成り下がり、モルガンの陣地作成にも含まれず、修復されていく部屋の中で一際存在感を放っていた。
所長は元D・Eに近づき、訝しげな表情を浮かべた後に溜息をついて言った。
「あのねぇ、ダ・ヴィンチ。あなたの才能は認めるけど、こんな馬鹿なことしてる暇があったら本業の魔術礼装の開発を進めたらどうなのよ?」
「いやーははは、それはまあ、うん、何も言い返せない。が! 天才にも気分転換と言うものがだね」
などと供述しており、反省や謝罪の言葉はない。
そんな様子に呆れたのか、所長は再び溜息をついて元D・Eを蹴りつけた。すると、
「うん? 何かカタカタ言ってないかいそのマシ……ぶへっ!?」
元D・Eから虹色の結晶が飛び出した。それは所長を回避し、オレとマシュの間を綺麗に縫ってロマン教授の顔面にヒットした。
その物体は星型八角体の結晶体で、シリンダーに入っている魔力結晶とは違う何かだった。てかめっちゃ痛そう……。
案の定声にならない悲鳴を上げて悶絶するロマン教授。
「ふむ、これは……”聖晶石”というやつか。”擬似霊子結晶”、とも言ったか」
部屋の修復を終えたモルガンが、のたうち回るロマン教授を無視してその結晶を拾い上げる。
「非常に高密度な魔力と概念の結晶ですね。ですが、不純物も多く混じっているようです。即時の魔力供給には使えると思いますが、霊基出力の向上には向きませんね。マスターの余剰魔力を変換しているだけであれば生成されなかったでしょうが、大方そのボーナスタイムとやらが誤作動でも起こしたのでしょう」
魔術に精通しているからか、モルガンはその聖晶石という物体の特性を見抜いたようだ。
「……? モルガンさん、それ、少し見せてもらえませんか?」
何かを感じたのか、マシュがモルガンにそう言った。彼女は聖晶石を受け取るとそれをじっと見つめた後、宝具の盾を取り出して言った。
「やはり、これはわたしの宝具に反応しています。特異点Fで召喚サークルを作成したときのような反応です」
「じゃあ、聖晶石があればモルガン陛下のときみたいにサーヴァントを召喚できるって事?」
「かもしれません。しかし1つだけでは足りないようなので、今の所は盾の収納スペース内に入れておきますね」
「んーっ! 私の発明の素晴らしさが証明されていくこの感覚、たまんないねぇ! では諸君、この興奮冷めやらぬ内に霊基出力強化といこうじゃないか! はっはっはー!」
すっかり調子を取り戻してしまい高笑いをしながら地下へと向かうダ・ヴィンチちゃん。眉間を押さえながら着いていく所長。モルガンとマシュ、フォウくんもそれに続いた。
そして取り残された
そんな事件から翌日。昨日の間の抜けた気配は消え、カルデア全体は緊張に包まれていた。スタッフ達は全員が管制室に集結し、オレとマシュ、モルガンのレイシフト組は各々その準備に当たる。
「いよいよ……か」
専用のスーツへと着替え持ち物を確認した後、短刀を懐へ忍ばせてそう呟く。
幕間の時間は終わり、再び特異点で危険と隣合わせの使命と戦わなければならない。常に死が纏わりつく恐怖を思い出し、オレは身震いする。
でも、逃げない。オレは、オレたちは、1人じゃない。
「……よし」
頬を叩いて気持ちを整え、オレは管制室へと向かった。
管制室には既にオレ以外のメンバーが揃っており、最後の1人を迎えたことでレイシフト最終準備が開始された。ちょうど、ここに来て初めて受けたブリーフィングと同じような状況だ。
「今度は寝るんじゃないわよ?」
そんな考えを見透かしているかのように、所長がからかうようにそう言った。
「あはは……どうでしょう。でも、カルデアのベッドの寝心地を覚えてしまったからにはもう床には戻れませんし、多分いけますよ」
オレもそんな風に冗談で返す。なんだかんだで、昨日の一件のおかげで全員の緊張が緩和されているのだろう、それくらいの余裕は生まれていた。所長はくすくすと笑って、オレの肩をポンと叩いた。
「じゃあ、早々に解決して無事に帰ってくること。いいわね?」
「了解!」
「よろしい。行ってらっしゃい!」
所長とそんなやり取りをした後、オレはコフィンの中へと入る。マシュはもう既にもう1つのコフィンに入っており準備万端といった感じだ。
モルガンは……何やら特殊な術式を組んでいるようだ。そういえば、彼女はオレたちとは少し違う方法でレイシフトすると所長が言っていた。恐らくそのための魔術なのだろう。
そしてコフィンの扉が閉じ、ロマン教授からの通信が始まる。
「来たね、藤丸君。それじゃあ今回のミッションの内容を手短かに再確認するよ。
1つ目は、特異点の核になっている”聖杯”の回収。2つ目は、この事態を引き起こしたレフ・ライノールの捜索及び身柄の拘束。そして最後が、ウルトラマンとスペースビーストに関する情報収集だ。
メインターゲットは聖杯の回収で、他2つはあくまでサブとして捉えてくれて構わない。現地の詳細な様子は分からないけど、レイシフト地点周辺には敵性反応は確認されていないから、まずは落ち着いて探索に当たってくれ。以上がミッションの概要だよ。何か質問はあるかい?」
「いえ、大丈夫です」
そう答え、前もって知らされていたレイシフト先の時代について振り返る。
西暦1431年のフランス。救国の英雄『ジャンヌ・ダルク』が処刑されたほんの少し後に当たる。本来であれば歴史通りに進むはずだったこの時代に、何らかの異常が発生している。それを解決するのがオレたちの任務だ。
この異常がレフ教授によって引き起こされたものなら、特異点Fの時のようにスペースビーストが出現するだろう。その時こそがオレがウルトラマンになって戦うべき時だ。
前回のように上手くいくとは限らないけど、やるしかない。
「よし、レイシフト準備完了だ。藤丸君、覚悟が決まったら何か合図をくれ。ほら、”発進!”とか”ロマン、行きまーす!”みたいに、何でもいいから」
彼なりにオレをリラックスさせようとしてくれているのであろうその言葉に、オレはまんまと引っかかる。ロマンの名を背負っているだけあって、なかなか分かってるなロマン教授。
「うーん、どうしようかな……」
”カルデア、sally go!”ってのはどうだろう。”藤丸出ます!カルデア発進!”とかもいいかな? いや、敢えてここはシンプルな方がそれっぽいかも。
「よし、それじゃあ……」
この一言で、オレたちの特異点修復が開始する。息を吸い、覚悟を決め、そして叫ぶ。
「出動!」
【第1節 閉ざされた空】
レイシフトが無事に完了し、オレたちは特異点内に到達した。目の前に広がるのは、なだらかで広大な草原。日本ではまずお目にかかれない光景に、思わず息を漏らした。
「どちらも無事に転移が成功したみたいですね、先輩。マシュ・キリエライト、特異点に侵入完了です」
近くに転移したマシュが、オレにそう声をかけてくれる。彼女もまた、目の前の光景に目を輝かせていた。
「前回の事故レイシフトで成功したんだから今回も大丈夫でしょって思ってたけど、いざ受けてみるとちょっと緊張したね……」
特異点Fから帰還した後に知った事なのだが、レイシフトに失敗すれば命を失うことも有り得るらしいのだ。
幸いオレのレイシフト適性は非常に高く失敗はまず有り得ない、と言われていたから不安は無かったものの、それはそれとして緊張はするものだ。
「あれ、モルガンは何処だろう?」
景色に見入っていてすぐに気付けずにいたけど、近くに居たのはマシュだけで、モルガンの姿が見当たらない。
と思っていたら、オレたちから少しだけ離れた所から彼女の声が聞こえて来る。彼女はオレたちと違う方法でレイシフトしたらしいから、微妙に位置がズレてしまったんだろう。
声が聞こえて来た方に向かうと、
「おのれキャスパリーグめ、私の魔術に乗って同行なぞ……。おかげで魔力消費が2人分だ。ペットは飼い主に似るとはよく言ったものだな」
「フォーーウ! フォ、キュ!」
そこにはモルガンと何故か着いてきたらしいフォウくんが居て、何やら会話(?)をしていた。
モルガンの言葉が癇に障ったのかフォウくんが飛び蹴りのような構えをしているが、彼女にがっしりと掴まれているためその攻撃は届いていなかった。
「モルガン陛下! よかった、そっちも無事にレイシフトできたみたいだね」
オレたちに気付いた彼女は、フォウくんから手を放しオレの方へ向き直った。そしてどこかへ行こうとするフォウくんをマシュが追いかける。
「ええ、マスター。ですがキャスパリーグの仕業で余計な魔力を消費しました。今後はこのようなことが起きぬよう、よく管理しておくように」
彼女にはフォウくんに関する知識があるようで、詳しいことは教えてくれないが彼のことを”キャスパリーグ”と読んでいる。なんでも『マーリン』という人のペット(正確に言えば使い魔)だとか。
しかし何故カルデアにそれがいるのかは謎で、未だに彼の核心には迫れていない。
「フォウくん、着いてきちゃったんだ……。前回はオレの部屋で待ってたのに。というかレイシフト適性あるの……?」
「適性がある、とは些か違います。恐らくは”奴自身が持つ特性で無理矢理着いてきた”のでしょうね」
「え、それってどういう……」
彼女の何やら意味深な言葉について聞こうとすると、オレのリストバンドが音を鳴らした。どうやらカルデアからの通信が無事に届いたらしい。とりあえずモルガンの発言について聞くのは後にして、通信を繋げる。
「あ、よかった繋がった! 画質はちょっと荒いけど、通信感度は良好だね、よしよし。こちらも3人のレイシフトを確認したよ。周辺の状況も想定通り安全みたいだし、ひとまず安心かな」
通信画面の向こう側には、オレたちの安全を確認し胸を撫で下ろしているロマン教授と所長がいた。そしてすぐに所長が切り出す。
「早速だけど、周辺に何か異常は見られないかしら、藤丸?」
「いえ、近くには特に変な所は無いみたいです。とりあえず何処かに移動して……」
そんな風にロマン教授と所長に状況を報告していると、フォウくんを抱え何やら慌てた様子のマシュがこちらに走って来る。そして彼女は空を指差して言った。
「先輩、空を……!」
オレたちが空を見上げると、そこには空を切り取るように鎮座する、巨大……なんて言葉では片付けられないほどに大きな光の輪があった。
「な、何だあれ!?」
「衛星軌道上に展開した何らかの魔術式か……!? 何にしたって、あんな物がこの時代にあったなんて記録はない!」
「まさか、アニムスフィアの天体魔術……? いえ、あんな魔術は聞いた事ないわ……!」
あれも魔術だっていうのか!? でも、たしかに自然にあれができるとも思えないし、魔術に類するものだと考えた方が寧ろ自然といえるのかもしれない。
そうだ、魔術だっていうなら……。
「モルガン陛下、あれが何か分からない?」
「いえ、私もあのような魔術は見たことがありません。ただ、あれはアルトリアの宝具に匹敵する、或いはそれ以上の魔力量・熱量を秘めているようですね。遠目からの観察だけでは、この程度しか」
アーサー王の宝具以上って、それ相当ヤバいものなんじゃ……!?
しばらく皆で空を睨んでいたが、所長が切り出す。
「……でも、今の所は何も動きが無いみたいね。間違いなく人理焼却の原因の一端なんでしょうけど、今は放置するしかないんじゃないかしら」
所長の言う通り、現状は光の輪に動きはない。ただそこに存在しているだけ、という風だ。
「とりあえず、あれは”光帯”と呼称しましょう。ロマニ、記録を取っておいて。解析もしなきゃだし、もしかしたらお父様の書斎の研究データに何か情報があるかもしれないから」
「了解。藤丸君、少しリストバンドを空に向けてくれるかい?」
オレは指示通りに空に左腕をかざす。
改めて見ても、やはり異様な光景だ。世界が円形に切り取られてしまっているかのように、ぽっかりと穴が空いている。オレの知っている青空とは何かが決定的に違っていて、何かが致命的に欠けていた。
「オッケーね。藤丸、近くに光帯以外の異常がないなら、まずは情報収集が必要よ。あなた達の座標を確認したけど、そこから西北西の方向にヴォークルールという街があるはず。まずはそこを目指してみるのはどう?」
「分かりました。2人とも、それでいい?」
オレの問いかけにモルガンとマシュは頷いて答える。そして、オレたちは歩き出した。
正直なところ、気合い入れてレイシフトしてきたはいいけど、どうすればいいかとかは全然ビジョンがなかったから、所長が指示を出してくれて助かった。いつまでも彼女に頼る訳にはいかないけど、しばらくはお世話になりそうだ。
今はまず指示の通り、情報収集を頑張ることにしよう。
デッデッデッデッデレデレデンンネェクサァス……
前回までフォウくんの表記をミスってました。
✕→フォウ君
〇→フォウくん
今回以降は修正して表記します。