幼馴染の変人ベーシストの料理番になった件について。   作:かんかんさば

10 / 83
テスト期間だから更新が少し先になると言ったな、あれは嘘だ。
今回はかなり短めです。


#9 夏の終わりに

 

──8月31日

 

今日は夏休み最終日、俺は明日から始まる新学期への期待と夏休みが終わる寂しさに包まれていた。

今年の夏休みはこれまで過ごしてきた夏休みとは全く違うものだった。部活に入ってなければ家族も家にいない、リョウが家に入り浸るようになり、バイトもスターリーが繁忙期に入って、朝から晩まで働き、かなり忙しい、そんな夏休みだった。

そんな夏休みとはいえ、思い出が作れなかったわけじゃない。

三浦にマグロを食べにいったり、リョウと虹夏と花火大会にいったりと夏休みならではの鮮やかな思い出を作ることができたと思う。

でも、なんだかやり残したことがあるような感じがするのは何故だろう。

 

「なんかやり残したことがあるって顔してるね」

 

「よくわかったな」

 

前日から家に泊まっているリョウが話しかけてくる。

なんで考えてることがわかるんだよ...

 

「この夏休みいろんなところいったけどさ、な〜んか物足りないって感じがしてさ」

 

「ほう。楓、今日バイトは?」

 

「ないけど...どうした?」

 

「行きたいところがあるからついてきて」

 

「え?」

 

リョウの事だから絶対ロクなところに連れてかない気がするが、暇を潰すチャンスだと思い、ついていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

井の頭線と京王線を乗り継ぎ、下北沢から40分、リョウに連れてこられたのは南大沢のアウトドアショップだった。

 

「アウトドアショップって...別に下北沢のところでも良かったんじゃないか?」

 

「ここにしか売ってないキャンプ用品もあるし、いい情報も得やすいから」

 

見かけによらずアウトドア派の彼女からすればそうなのだろう。

アウトドアショップに入るのはこれが初めてなのだが、キャンプ用品の他に洋服なども売ってるとは以外なもので、新たな発見に俺は驚く。

 

「お客様、なにかお探しのものはありますか?」

 

「あ〜、とくには...こういうの素人で全く分からないんですよね...」

 

実は、キャンプは小学生の頃に1度だけリョウの家に連れてってもらったことがあるが、当時はまだ幼かったというのもあって、どの用具がどんな用途で使われるとかは全く分からなかった。

 

「じゃあ、こちらのイスとかはどうでしょう?こちらのモデルは初心者さんからベテランの方まで人気があって、普段キャンプをしないよって人でも日常生活で使える商品になっております」

 

「へぇ~、そうなんですね」

 

確かにこのイス、座り心地は良さそうだ。これなら庭でバーベキューをするときとかに便利かもしれない。バーベキューじゃなしにしても外で食べるご飯はかなり美味しそうだ。

 

「これって、いくらするんですか?」

 

「1万7000円になります」

 

「うぐっ!」

 

た、高すぎる...

給料3ヶ月分くらい貯めなきゃじゃん...

イスがこんなに高いなんて思いもしなかった俺はこの椅子に手が出なかった。

 

「楓もキャンプに興味出たんだ」

 

「いやぁ〜、出たには出たけどイスとかが高くて手が出なかった」

 

「しっかり節約してお金貯めれば買える」

 

「お前に一番言われたくないんだが」

 

自覚してるんならもう少しお金の管理はしっかりしてくれよ、しかもこの前のカフェ代未だに返ってきてないし。

 

「そうだ、ちょっと待ってて」

 

そういってリョウは食器のコーナーへと走っていき、何かが入っている箱を2つレジに持っていって会計を済ませて、そのうちの一つを俺に渡してきた。

 

「これ、あげる。受け取って」

 

「え?俺誕生日2ヶ月くらい先だけど」

 

「普段ご飯作ってもらってるお礼。いいから開けて」

 

中に入っていたのはステンレス製のマグカップだった。よく見るとブランドのロゴらしきものが入ってるし、そこそこの値段はするのだろう。

 

「これまあまあしたんじゃないのか?」

 

「別に、買えそうだったから買っただけ。それにこれ、ここでしか買えないから」

 

「そっか、ありがとう。大切に使わせてもらうよ」

 

にしてもなぜマグカップを俺に?

異性にマグカップを贈る意味って特になかった気がするが、それがうろ覚えだったのと自分の考え込みやすい性格からか、深く考え込みながら自宅へと戻るのだった。

 

南大沢から自宅に戻り、俺は晩御飯を作り始める。リョウはというとリビングでス○ブラをして遊んでいた。

 

「そういえば、なんで今日俺をわざわざ南大沢まで連れてったんだ?」

 

「さっき渡したマグカップが買いたかったからっていうのもあるし、新しい発見があるとやり残した感じが消えていくんじゃないかなって思ったから」

 

「確かに、なんかやり残した感じは消えたかも。とりあえずありがと」

「その感謝を忘れずにこれからも私にご飯を作るといいよ」

 

すっごい上から目線でイラッとするわ...

俺がお前に感じた感謝を今すぐ返してくれ、山田リョウよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

晩御飯を食べたあと、程なくしてリョウは家に帰っていった。

気になったので俺はマグカップを贈る意味をスマホで調べることにした。

やはり、特に意味はなかったようだが、せっかくのプレゼントだし大切に使わせてもらおう。改めてそう思い、明日の学校の支度をして眠りについたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、「しじみ汁」




次回から秋のお話になります。
高評価、お気に入り登録、アドバイスなどあると作者のモチベと筆のスピードが上がるのでぜひお願いします。
感想、誤字報告なども受け付けていますのでこちらもお願いします。
次回のタイトルで誰がでてくるか察しがつく読者さん多そう(小並感)

だいたい何文字くらいが読みやすいですか?

  • 1000〜2000
  • 2000〜3000
  • 3000〜4000
  • 4000〜5000
  • 5000〜6000
  • 6000以上
  • 作者にお任せするぜ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。