幼馴染の変人ベーシストの料理番になった件について。   作:かんかんさば

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そろそろテストが終わりそうなので初投稿です。
秋の話は次で終わります。
主人公の大まかな設定を登場人物紹介に載せておきました。


#11 文化祭ライブ

キーンコーンカーンコーン───

 

「気をつけ、礼」

 

号令係の合図とともに6限の授業が終わり、残すは帰りのHRのみとなった。

うちの高校は基本50分授業、6〜7時限制で授業を行うのだが、これがなかなかしんどい。

高校生になってかれこれ5ヶ月ほど経つが未だに慣れない。

 

「よ〜し、じゃあHR始めるよ〜」

 

スマホをいじってると担任がやってきて、帰りのHRが始まった。

始まると担任はプリントを配り始めた。

配ったのは来月末に行われる文化祭のお知らせだった。

 

「今配ったプリントはお家の人に渡しておいてくださいね〜。あ、あと文化祭のステージ部門の参加申し込みは今日の16時半に〆切なので参加を希望してる人は忘れずにお願いしますね〜」

 

ステージ部門の参加申し込みねぇ……

そういえば今日締切なのすっかり忘れてた!!

結局リョウに文化祭のバンドのこと話せてないしどうすんだ?

そう焦っているうちにいつの間にかHRは終わっていた。

 

「下村〜!これからカラオケ行こうぜ!」

 

「ごめん今日ちょっと残んなきゃいけないからまた今度で!」

 

「マジか……。あ、お前もしかして伊地知さんとデートか?」

 

「んなわけねぇだろ。文化祭の申し込みで残るんだよ」

 

「ちっ、ようやく下村に春が訪れると思ったのに……。まぁいいや、また今度な!」

 

勝手な期待をするなよ。

まぁ申し込みの書類は虹夏と作るから部分的には一致してるんだけどなぁ……。

 

「残念だったねぇ〜デートじゃなくて」

 

「うるせぇ。ってかどうすんだよ、リョウのこと」

 

バンドを組もうという話になったのは6月のこと。だが、リョウはちょうどその時期にはむきたすを抜けてしまったため誘おうにも誘えない状況が続いてしまい、今日この日を迎えてしまった。

 

「うーん、一か八か説得してみる?」

 

「まぁそれが一番いいかもな」

 

「よ〜し、じゃあ探しに行こっか!」

 

こうして、バンドに勧誘するために俺と虹夏はリョウを探し始めた。

リョウのクラスの教室に保健室に校舎裏、いろんなところを探してみたが見つからなかった。

 

「あいつ……どこにいるんだ?」

 

「あ、もしかして屋上とか?」

 

「あ、そこか……そこならいるかもな」

 

屋上へと向かうとそこにはどこか遠くを見つめているリョウがいた。

 

「いたな。とりあえず一か八か行ってみるか……」

 

「うん……」

 

恐る恐るリョウへと近づいてみる。

虹夏がリョウの肩をポンポンと叩き頬つつきをする。

 

「どうしたの?二人とも」

 

「実はリョウに提案があってな。な、虹夏」

 

「うん。ねぇリョウ、暇ならあたし達のバンドでベースやらない?」

 

「……」

 

虹夏の提案にリョウは黙り込んだ。

そしてしばらくの沈黙の末、口を開いた。

 

「なんで……」

 

嫌そう、というよりは困惑してるような感じでリョウは虹夏に返事をした。

バンドに入れば一度自分から離れた音楽の道に一時的とはいえ戻ることになる。

となると無理強いはよくない気がする。そう思っていると虹夏が理由を答えた。

 

「だってあたし、リョウのベース好きだし! ね、楓!」

 

虹夏の問いかけに俺は少し驚く。

言葉に詰まっていると脳裏にリョウのベースを弾く姿が浮かんできた。ベースから出てくる心に響く美しい低音。

そうだ俺、リョウのベース結構好きだったんじゃん。

 

「……まぁそうだな。俺もお前のベース、結構好きだぞ」

 

リョウにそう言うと彼女は頬を赤らめながらも微笑んだ。

 

「わかった。やるよ」

 

その瞬間、暗く曇っていた空は明るくなり、綺麗な雨上がりの晴れ渡った空に変わった。

 

「よしっ、じゃあよろしくね!リョウ!」

 

「うん……」

 

ところで何か忘れているような……

あ、申し込みの締切そろそろじゃん!

 

「そういえば今何分だっけ?」

 

「16時……」

 

「?」

 

「20分……」

 

「忘れてた……!リョウ、書類書いてもらうから着いてきて」

 

「え」

 

申し込みに使う書類はなんとか締切に間に合わせることが出来た。

まぁ、締切一分前に提出したおかげで生徒会の人に怒られたんだけどな。

 

こうして、文化祭に向けて組んだバンドにリョウが加入してくれることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後。

 

俺はリョウと虹夏と駅前のカラオケ店に来ていた。

 

「じゃあ、さっそく第1回バンドミーティングを始めようと思いま〜す!」

 

ただ歌うだけではなく、文化祭に向けて3人で組んだバンドのあれこれを決めに来ていた。

 

 

「っていっても何から決めよっか」

 

「ノープランなんだ……」

 

「そんなときのために、こんなものを」

 

「いいね〜」

 

そういってリョウはリュックからサイコロを取り出した。

出目には《演奏する曲》、《担当楽器》に《練習場所》、《バンド名》とバンド活動に関する重要なことと、《バンジージャンプ》、《ハラキリ》とヤバめな内容も書いてあった。

 

「バンジージャンプが出ても俺はやらないぞ」

 

「じゃあハラキリはやってくれるんだね」

 

「お前は俺を○す気か」

 

「まあ、まずは楓からサイコロ振って」

 

「あ、わかった」

 

ヤバめの出目の内容にツッコミを入れたところでさっそくサイコロを振る。

出た目の内容は"担当楽器"だった。

 

「担当楽器ってことで、あたしはドラムやるけど2人は?」

 

「私はベースで」

「俺は姉貴からエレキ借りたからギターはやるけどボーカルどうする?」

 

「あたしは歌下手だしリョウはどう?前のバンドでコーラスやってたんでしょ?」

 

「私がフロントマンまでやると2人が霞んじゃうから楓がやって」

 

「え?俺?無理無理無理!」

 

「いや、楓が歌上手いのはわかってるから。とりあえずこれ歌って」

 

そういってリョウはリモコンで曲を入れて、マイクを渡してきた。

リョウがリモコンで入れて、俺が今から歌わされる曲は米津玄師のTEENAGE RIOT。米津さんの音階なら全然出るが、上手く歌えるかはまったく自信が無い。

 

「──歌えるさ カスみたいな だけど確かなバースデイ バースデイソング」

 

何とか歌いきったがやっぱり上手く歌えた自信はない。

得点は92点とまあまあ高かったが、ただ点が高くてもしっかり聞き手の心を掴まなければ意味が無いのだ。

 

「やっぱ歌上手いね〜」

 

「だからボーカルは楓やって」

 

「いやいや、姉貴に比べたら全然下手くそだよ?俺」

 

「伊織さんは伊織さん、楓は楓だから」

 

「そうだよ。それにプロ並みの実力なんてなくても高校生じゃわかんないって」

 

それ学校で言ったら大炎上するやつだぞ......。

 

「わかった。やるよ、ボーカル」

 

2人の説得を受け、俺はボーカルをやることにした。

 

「じゃあ私はコーラスもやる」

 

「よ〜し、じゃあ決まりね」

 

こうして担当楽器が決まり、次の議題へと移るべく、今度は虹夏にサイコロを渡す。

次に出た目は"演奏する曲"だった。

 

「一応あたしはこういうのをやりたいんだけど2人は?」

 

虹夏がスマホで見せてきたのは、WANIMAなどの国内のバンドや海外のバンドのメロコア系の曲が入ったプレイリスト。

メロコアはギターに力を入れてる系統なので、ギターソロがある曲が多い。

 

「俺はback numberとかMrs. GREEN APPLEとかやりたいかも」

 

「私はこういうロック系とかをやりたい」

 

リョウがスマホで見せてきたのはロック系、B’zとかONE OK ROCKの王道ロック系の曲が入ったプレイリスト。ただこういうのを文化祭でやってお通夜みたいな雰囲気にならないかが心配なところだ。

それぞれやりたい系統をだしたのはいいものの、演奏する曲自体を決めなければいけない。

 

「たしか3曲までだっけ?演奏できるの」

 

「うん、だから1人1曲ずつセットリストに入れるって感じになるかも」

 

「それなら俺はこの曲にする。これなら盛り上がるだろうし」

 

「じゃあ私はこの曲で、これならバンド初心者の楓でもやりやすいと思う」

 

「ならあたしはこれにする。以外にあっさり決まったね〜」

 

それぞれやりたい曲から1曲ずつ上げていき、スムーズに曲を決めることができた。

また次の議題へと移るため、リョウがサイコロを振る。

出てきた目は"バンド名"だった。

 

「そういえばバンド名全然考えてなかったな」

 

「たしかに、なんかいい案ない?」

 

「バンドの名前は予め私が考えてきた」

 

そういってリュックから今度はスケッチブックを取り出し、ページを開くとそこにはバンド名が書いてあった。

 

「バンド名はズバリ、"結束バンド"」

 

 

"結束バンド"?

 

───だっっっっさ!!!

 

 

「いやいや、いくらなんでもダサすぎるよ!こんな親父ギャグみたいな名前」

 

「荷物をまとめる結束バンドと結束力が大事なバンドのダブルミーニング。これを考えついた私は天才だと思う」

 

「えぇ......」

 

確かにこのダブルミーニングは秀逸な感じはするがまあダサい、ダサいのよ。

結局、俺と虹夏は他にバンド名が思いつかず、リョウの考えた"結束バンド"がそのまま名前として採用されてしまったのだった。

 

 

こうして、俺と虹夏、リョウの3人で結成された"結束バンド"は文化祭に向け、練習を重ねていった。

 

──あるときは空き教室で、

 

「あ〜、あそこの教室ね。これ鍵だから終わったら返してね」

「ありがとうございます!」

 

──またあるときはスターリーの練習スタジオで、

 

「別に貸してもいいけど、後で3人にはきっちり働いてもらうからな」

 

「私はパスで」

 

「逃げるなベーシスト」

 

「ほう、少しくらいなら給料は出すが」

 

「やらせて頂きます」

 

「「チョロ!」」

 

そして迎えた文化祭ライブ当日。

文化祭自体は2日目ということもあってかかなりの人が学校に来ていた。

午前中、俺はクラスの模擬店で働いていたが、緊張でそれどころではなかった。

模擬店で働いてる途中、姉とひとりが店に来てくれたときは...

 

「ご、ごごご、ごじゅっ!ご、ご注文は......」

 

「楓...、あんた緊張しすぎだよ。ねぇ、ひとり」

 

「あ、うん......そうだと思う。あ、ナポリタンひとつ」

 

「じゃああたしもナポリタンで」

 

緊張のあまり噛んでしまった。姉に笑われてしまい、ひとりも少し微笑んでいた。

そこまで俺が噛んだのが面白かったのだろうか。

 

 

──そんなこんなであっという間に午前中が過ぎていき、気づけば体育館で午後の文化祭ライブが始まっていた。

 

「え〜、"ザ・スタッグズ"のみなさん、ありがとうございました〜。続いては"ミスターホワイトストロベリー"のみなさんお願いします」

 

全部で7組この文化祭ライブに出演していて、俺たち"結束バンド"の順番は4組目とちょうど中盤に当たる。

そして今、3組目の演奏がはじまった。

 

「いや〜、緊張するね〜」

 

「俺とか午前中緊張しすぎで姉貴に笑われたよ」

 

「私は緊張しなかった」

 

ほんと元バンドマンは羨ましいよ。

こっちなんてどんどん緊張が高まっていくんだが。

 

「いよいよ次だな」

 

「うん、2人とも頑張ろ」

 

「私のベースの腕を見せるときが来た」

 

まったく、その自信はどこから来るんだよ。

それに比べ俺はあまり上手く弾ける自信はない。それでもこの1ヶ月、星歌さんや姉にアドバイスを沢山もらった。

 

『無理に合わせようとしてるのがバレバレだから、もう少しリラックスしろ』

 

『ギターに意識が向きすぎて歌に感情がこもってる気がしないのよ。気持ちもうちょっと歌に意識向けてみな』

 

そんな2人からのアドバイスが俺に勇気を与えてくれた。

そして、今になってその勇気が自信に変わる。そんな気がしてきた。

 

「"ミスターホワイトストロベリー"の皆さん、ありがとうございました〜。え〜続きましては"結束バンド"のみなさん、お願いします」

 

そう思っているといつの間にか3組目の演奏が終わり、俺たちに順番が回ってきた。

 

「いこう。リョウ、虹夏」

 

「3人なら大丈夫だよね」

 

「きっといける」

 

3人で拳を合わせ、軽くグータッチをして、ステージへと入場した。

そこには大量のお客さんの姿が広がっている。

普段の俺ならあまりの観客の多さに卒倒してしまうだろう。

でも、そんなものでは俺の自信は揺らがない。そう確信してギターを構え、2人に合図を送り、虹夏のカウントで1曲目を弾き始めた。

 

「So now my time is up. Your game starts,my heart moving?」

 

1曲目に演奏するはONE OK ROCKの完全感覚Dreamer。

この曲が演奏する3曲の中でいちばん難しい曲だった。

もともと4人組バンドの曲だったものを3人でやるため、俺はギターの伴奏をやりつつ、ボーカルもやらなければいけなかったが、ハイトーンのところはリョウがサポートをしてくれた。

実際、リョウのコーラスが入るのはなにかと心強かったりもする。

 

「I can’t get enough! Can’t get enough!!」

 

1曲目を弾き終わると、場内は静寂に包まれたが、一瞬にしてそれが拍手と歓声に変わった。

 

「え〜、最初から素晴らしい曲でしたね......。ここで結束バンドの皆様の紹介をさせていただきます。まずはリーダーの伊地知虹夏さん」

 

歓声に包まれる中、司会によるメンバー紹介が始まった。

 

「リーダーの伊地知虹夏です!今日はよろしくお願いします!」

 

「次にベース兼コーラスの山田リョウさん!」

 

「山田です。よろしくお願いします」

 

「キャー!!リョウ様今日もカッコイイーー!!」

 

あいつクラスでモテてるんだ......。

まあ、基本学校だと無口だし無理はないか。

 

「次にギター兼ボーカルの下村楓さん!」

 

「ギター兼ボーカルの下村楓です。今日は沢山楽しんでくれると嬉しいです。よろしくお願いします!」

 

自分の紹介が入り、軽く一言をいうと観客席から声援が飛んできた。

 

「下村!!後でお姉さんの連絡先教えて〜!!!」

 

蘆名さぁ、人の姉ナンパすんのはやめた方がいいぞ......。

 

「男なら直接聞かんかい!」

 

姉貴も声援に混じって答えなくていいから、ほんとに弟として恥ずかしいし。

 

「じゃあ続いての曲紹介を......。下村さん、お願いします!」

 

「あっ、はい。え〜次はWANIMAさんの"ともに"という曲をやらせてもらおうと思います。この曲はリーダーの伊地知が選んだ曲で、知ってるとか聞いたことあるよ〜って人も多いんじゃないかなって思います」

 

曲紹介を終え、深呼吸をして息を整える。

この曲はカウントを挟まず俺の歌い出しで曲が始まる。俺は2人に合図を送り、歌い始める。

 

「ああ、どれだけ過去が辛くて暗くても昨日よりも不安な明日が増えても、悩んだり泣いたりする今日も進め、君らしく心躍る方」

 

歌っているうちに観客もテンションが上がったのか、一緒に歌ってくれたり手を振ってくれたりしてくれしている。

俺はそれに応えるべくさらに懸命に歌う。

 

「全て追い越して、何もかも置き去りに思い描いたその先へ」

 

懸命に歌っていたらあっという間に歌いきっていて、またしても会場が歓声に包まれる。

姉が、星歌さんが、リョウがライブで感じていたのってこういう演者と観客が一体になって盛り上がることに対する嬉しさのことだったのか。

本人たちが直接話したわけではないが、なんとなくわかった気がする。

 

 

 

 

 

 

その後、3曲目も歌い終わり俺たち"結束バンド"の文化祭ライブは無事に終わりを迎えた。

 

「楽しかったね〜、ライブ」

 

「そうだな。みんな凄い盛り上がってて弾いてるこっちもなんか嬉しくてたまらなかったよ」

 

「私のベースの素晴らしさがまた1つ広まった……」

 

「あ、あの......!」

 

体育館を出て、渡り廊下で3人で話していると赤い髪の毛にサイドテールを結った1人の女の子が話しかけてきた。

 

「山田リョウさん、ですよね?」

 

「だって、呼ばれてるよ。リョウ」

 

「リョウはお前だろ」

 

「私……リョウさんの大ファンなんです!」

 

「見る目あるね」

 

ファンが直接会いに来るなんてあるんだな。

本物のバンドってなんか不思議だな。

 

「今日のライブ、最っ高でした!だからこれ、受け取ってください!」

 

そういって彼女は俺たち3人に封筒を渡してきた。

中身を見るとなんと、諭吉と一葉が1枚ずつ入っていた。

 

「いやいや、こんなには受け取れないよ……」

 

「有難く使わせていただきます」

 

「こら、リョウ。さらっと受け取ろうとしないの。にしてもこんなにあげちゃっていいの?」

 

「いいんです!私、1度でいいから推しにお金を貢いでみたかったんです!」

 

あれ?ちょっとこの子ヤバくない?

しかも見た感じからしてまだ中学生だし、さすがにこのお金を受け取ろうとは思えないよ。

 

「そういえば君、名前は?」

 

「喜多郁代です。あ、喜多ちゃんって呼んでください」

 

「あのね、喜多ちゃん。気持ちは嬉しいんだけどさすがに貰えないよ」

 

「え、そんな……」

 

「多分だけど、まだ中学生でしょ?こういうことは高校生になってからバイトとか自分で稼いだお金でやったほうがいいよ。だからごめんね」

 

俺が諭すと、喜多ちゃんは黙り込んでしまった。

しばらくの沈黙の後、彼女は笑顔で話した。

 

「はい!また今度お金に余裕が出来てからにしますね!」

 

「そのほうがいいよ。あたしも気持ちはすっごい嬉しいし。ね、リョウ」

 

「うん......」

 

そういって俺たち3人は封筒を喜多ちゃんに返した。

まぁリョウは不機嫌そうにしてるのだが。

 

「今日はありがとうございました!またライブあったら行きますね!!」

 

そういって喜多ちゃんは謎の効果音(キターン)とともに眩しい笑顔を見せてこの場を後にした。

 

「私の貴重な諭吉と一葉が......。せっかくお金貰えるチャンスだったのに」

 

「「おい」」

 

金にがめつすぎるんだよ、全くお前というやつは。

 

二人と一旦別れ、俺は姉とひとりの元へ、感想を聞きに向かった。

 

「二人とも今日来てくれてありがと」

 

「いや〜、あんためちゃくちゃ緊張してたのに本番になったらあんなに楽しそうに弾いてたね」

 

「う、うん。楓くん歌もギターも上手かったし、それに......」

「それに?」

 

「と、友達がいない私じゃあんなふうにバンドできないって思っちゃうよ......」

 

自分に自信の無いひとりが俺に言う。

以前、バンドを組みたいと言っていたのを覚えていた俺はすかさずひとりにバンドのことを話す。

 

「あのドラムとベースやってた2人は昔からの友達なんだけどさ、俺、あの2人以外だとほとんど友達がいないんだよ。だからそんなこと考えないで」

 

「で、でも……」

 

「いや、もしかしたら高校で友達ができてそのままバンドを組もうってなるかもよ?お前は俺よりギター上手なんだしきっと大丈夫」

 

「私が......ギター上手......ふへっ、ふへへへ」

 

従兄としてはひとりには友達をつくって、充実した高校生活を送ってほしいと思っている。

 

「だからそのためにも勉強、頑張れよ」

 

「う、うん」

「じゃあ、私ひとりと帰るから。今日のライブ、最高だったってリョウちゃんと虹夏ちゃんにも伝えといてね」

 

「わかった。あ、ギター返さなきゃ。取ってくるからちょっとまってて」

 

姉から借りていていたギターを控え室に取りに戻ろうとすると姉に呼び止められた。

 

「あ〜、あれあげるよ。あんたそろそろ誕生日でしょ?誕生日プレゼントってことで」

 

「え?あれ大学の頃から使ってたやつじゃ……」

 

「いいのいいの。あれサブギターだしちゃんと使ってくれる人ならあげてもいいかなって」

 

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて」

 

まさかの姉からのギター譲渡の話に驚いたが、せっかくの機会なので、ギターを受け取ることにして、駅へと向かう姉とひとりを見送り俺はまた2人の所へと戻った。

その後、後夜祭も大盛況を見せ、下北沢高校の文化祭は終わりを迎えた。

帰り道、3人で帰っていると不意にリョウが呟く。

 

「バンド、誘ってくれてありがとう」

 

その言葉に俺はまたリョウがバンドへの熱意を取り戻したような気がしてホッとして、何だか嬉しい気持ちになった。

 

 

 

 

 




これでついに原作の結束バンドメンバーは全員登場させました...。
主人公のギターの腕はだいたいぼっちちゃんの7割くらい、歌の上手さは喜多ちゃんの8割くらいだと思ってください()
登場人物紹介に主人公の身長などの設定も載せておいたのでそちらも見ていただけたらと思います。
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