幼馴染の変人ベーシストの料理番になった件について。 作:かんかんさば
来週の週末には2年生編をスタートさせたいとか言ってたけどそもそも2年生編1話を書き溜してたのを忘れてたなんていえない
2年生編は1話あたりだいたい2500〜4000くらいで書こうと思います。
#1 クラス替え
春風に乗って強く、甘く、桜の香りが街を彩る4月の1週目。
俺は軽く朝食を済ませ、制服のネクタイをしっかりと締め、ブレザーを羽織るように着て、髪を軽く櫛でとかして学校に向かう。
今日は新年度の始業式。始業式といえばクラス替え。新たなクラスに俺は期待と不安を感じる。去年のクラスは虹夏や蘆名、佐竹に西荻がいたため、話し相手には困らなかった。でも彼らが2年連続で同じクラスになるとは限らない。今年も自己紹介で黒歴史を作らなければいいのだが。そんなことを考えてると後ろから肩をぽんぽんと叩かれた。
「おはよ〜、楓」
「おはよう、虹夏」
「あれ?リョウはどうしたの?楓の家に泊まってるんじゃ……」
「2回ぐらい起こしたけどダメだったから鍵と朝飯用意して置いてきた」
「なんだ寝坊か〜」
虹夏と雑談しながら歩いていとあっという間に学校に着いた。校門には「東京都立下北沢高等学校入学式」と書かれている看板が置いてあり、改めて新年度の始まりを感じさせる。門を潜り、学校に入るとそこには同学年であろう人たちが掲示板の前で人集りを作っていた。
「は〜い。じゃあクラス替えの発表するぞ〜」
教師が丸められている紙を伸ばして、掲示板に貼り付ける。俺と虹夏は目の前にいる大量の人のおかげでなかなかクラス替えの内容を見ることが出来ない。しばらくして人が減り、俺はようやくその内容を見ることが出来た。
「え〜っと……。あ、あった。2年6組の29番か」
29番、だいぶ引っ張られたな……。例年ならだいたい25番とか26番あたりになるのだが、まぁ、いいだろう。
「楓〜、何組だった〜?」
「6組だけど、お前は?」
「あたしも6組。ってことはまた同じクラスだね!」
「そうだな。まぁ、1年間よろしく」
「うん!よろしくね!!」
まさか虹夏と2年連続で同じクラスになるとは……。
俺は驚きながらも虹夏と一緒に2年6組の教室へと向かう。教室に入るとそこには新学期初日特有のぎこちない雰囲気が漂っていた。
俺は教卓で自分の席の位置を確認して席に座る。そして隣の席の人に話しかけようとしてみたが、まだ来ていないようだ。HRまであと10分ほどしかない。この時間になっても来ないということは今日は休みなのかもしれない。初日から来れないのは残念だなと思っていると隣の席の人がやってきた。
「私を起こさずに置いていくなんていい度胸してるね」
「2回も起こしたのに起きないお前が悪い。ってかお前同じクラスなのかよ」
「みたいだね」
隣の席の人はリョウだった。まさか幼馴染3人で同じクラスになるとは思わなかった。ちなみに最後に3人で同じクラスになったのは小6のときだ。
「お〜、リョウも同じクラスだったんだ!」
「虹夏もいるんだ。これで話し相手には困らない」
「久しぶりだな、3人で同じクラスになるなんて」
その後しばらく3人で雑談していると新しい担任が入ってきてHRが始まり、それが終わるとすぐに、放送による全校集会が始まった。
途中、隣にいるリョウを何度か見たが、ぐっすり居眠りをしていた。
やっぱりいつまで経ってもこいつは変人だな……。
「……人が居眠りしてるときに褒めるのは反則」
「褒めてないしそもそも居眠りすんなよ」
「おい、下村。集会中に話するな!」
なんで俺が怒られるんだよ。
◇
その後、集会が終わって担任からの諸連絡が伝えられると、今日の学校は終わった。昇降口を降り、門を出ると新入生であろう人達が沢山いた。真新しい制服を身にまとい、期待と不安がまじった笑顔。俺はそれを素敵だと思った。
「じゃあ、俺今から秀華高いってくるからここで」
「え?急にどうしたの?」
「従妹に入学祝いを渡しに」
「あ〜、そういえばそんなこといってたね」
「楓って従妹いたんだ」
「まぁな。じゃあまた」
リョウと虹夏と別れ、俺は秀華高へと向かう。歩いている道中、初めのうちは下高の制服を来た新入生がチラホラいたが、秀華高に近づくにつれてそこの制服を着た生徒が増えてきた。
下高からしばらく歩き、秀華高に着くと見覚えのある家族がいた。
「あ、かえでおにーちゃんだ〜!!」
「お、ふたりか〜。相変わらず元気がいいな〜」
「あら、楓くん。学校の方は?」
「今日は始業式で早く終わったんですよ」
「そうか。ひとりのためにわざわざすまないね」
「いえいえ。ところでひとり、いつまでそこで震えてるんだ?」
俺は門の隅にうずくまっているひとりに話しかけた。ひとりはいつも通りコミュ障を発症している。
「わ、私みたいなのが秀華高に入学したらきっと皆様を不快にさせてしまう……!!」
「高校生活初日からそんなこと思うやつなんて1人もいないだろ」
「でも……」
「大丈夫。ひとりならきっと大丈夫だから」
「うん……」
「よし、いけるな?じゃあこれ、入学祝い」
「あ、ありがとう……!!」
俺はひとりに入学祝いが入った小包を渡す。中身はシャーペンも入った多色ボールペン。自由に組み換えできるタイプで、インクはひとりが好きそうな色のものを入れておいた。
「それじゃ、俺はこれで……」
「楓くん、ありがとうね〜」
「楓おにーちゃん、またねー!!」
軽く挨拶を交わし、秀華高を後にする。
家に帰る途中、ふと風が吹いてきた。
それは、これから始まる新たな生活の始まりを象徴するような、そんな春風だった。
次回、「路上ライブ」
2年生編にあたって話数カウントをリセットしました。
今回のクラス替えのときの数字は適当に決めました。もし違ったら誤字報告などでお伝えください。
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