幼馴染の変人ベーシストの料理番になった件について。 作:かんかんさば
梅雨も段々と終わりに近づき、夏が近づいているのを感じる6月の下旬。
先日のアー写撮影以降、よく俺の部屋にあるパソコンを使ってリョウは曲作りをするようになった。どうして自分のパソコンを使わないのかと聞くと「いちいちご飯食べに家とここ行ったり来たりするのがめんどくさい」と答えられたので、俺は部屋のパソコンを提供することにした。
「……ここのコード、なんか違う」
「中々大変そうだな」
「うん。ぼっちの書いた歌詞に合わせて作ってるから」
ぼっち、もといひとりの作った歌詞。昨日リョウに頼んでみせてもらったのだが、かなりいい歌詞だった。リョウ曰く刺さる人には刺さるらしいし、それには俺も同感だ。
リョウが曲を作るのを見ながら、俺は漫画を読む。キーボードのカタカタとなる音と、マウスのクリック音。それを聞いているとなんだか心地よい気分に包まれる。
「……楓」
「ん、どうした?」
「アイス買ってきて」
「外雨降ってるから無理」
「む、ケチ……」
本当は自分もアイスを食べたいので今すぐ買いに行きたいのだが、外は生憎の雨。この土砂降りだと買いに行くのは困難だろう。
でも頑張っているリョウに何かしてあげたい。とアイデアを模索する。
そういえば確か冷蔵庫にバニラエッセンスがあったような……。
「よし、アイス作ってくる」
「え、作れるの……」
「物は試しだから、待ってて」
「わかった。おいしいのを期待してる」
部屋を出て階段を降りてキッチンに移動する。
そして、これから作るのはバニラアイス。前にトゥイッターを見ていたらレシピが流れてきて、いずれは作ってみたいと思っていた物だ。
まず、冷蔵庫から牛乳と卵を取り出す。取り出したら牛乳を上白糖と混ぜて鍋に入れる。弱火で沸騰しないよう、じっくり上白糖が溶けるまで煮詰める。
次に卵を割って黄身を取り出してボウルに溶きほぐし、牛乳と上白糖を煮たものを少しづつ混ぜ合わせたらこしザルを使ってこしながら再び鍋に戻し、今度は中火で火にかける。木べらでかき混ぜながら5分ほど煮てとろみがついてきたらボウルに移し、氷水に浸けながら冷やす。
冷やしている間に今度は冷蔵庫から生クリームを取り出す。別のボウルにそれを入れて泡立て器で6分立てにしたら氷水に浸けてるもう一方のボウルに加えて混ぜる。混ぜたらバニラエッセンスを加えてバットに移し、冷凍庫に入れる。
30分ほど経ったら一度取り出してスプーンでかき混ぜて、再び冷凍庫に入れて今度は1時間ほど冷やす。
冷やしている間に食器棚からティーポットとカップを、戸棚からキャンディのパックを取り出す。どうやらこの茶葉はバニラアイスとの相性がいいらしい。ティーポットにパックを入れてお湯を入れて紅茶を抽出する。
冷凍庫からアイスを取り出し、器に盛り付けたら手作りアイスクリームの完成。
おぼんに2人分のアイスクリームとティーカップとティーポットを乗せて部屋に戻る。
「おまたせ」
「ん、いい匂いがする……。キャンディの紅茶入れたでしょ」
「よくわかったな」
机にお盆をおいて、カップに紅茶を注ぐ。茶葉のマイルドな香りが部屋を漂う。
「「いただきます」」
口に入れた瞬間、アイスクリームのあっさりとした甘さが口いっぱいに広がる。紅茶もバニラの香りや味を殺さず、むしろ美味しさを引き立てている。
「紅茶とも合ってるしとてもおいしい……」
「初めて作ったんだけど、美味しいならよかったわ」
「うん、ありがとう。お陰様でいい曲が書けそう……」
紅茶は集中力が増す効果がある。なので今のリョウにはピッタリの物だろう。
夕飯を食べ終わっても、リョウは曲作りを続け、曲が完成したのは俺が布団に入る少し前だった。
「……できた」
「お、どんな感じ?」
「はいこれ、まずは聞いてみて」
リョウからヘッドホンを渡され、マウスで再生ボタンを押して曲を聴き始める。
まだデモ音源の段階だが、ひとりの書いていた"刺さる人には刺さる歌詞"がマッチしているとてもいい曲だった。早くこの曲の完成版を聞いてみたいと思う。
「すごい、歌詞にマッチしていて、まだデモだけど聴き入っちゃった……」
「天才作曲家の私には当然の言葉」
「完成するの楽しみにしてる」
「……わかった。じゃあおやすみ」
「うん。おやすみ」
軽く感想を言って、少し言葉を交わすとリョウは部屋を出て……いかずに俺のベットに寝っ転がった。
「おい、ちょっとまて」
「ん、用があるなら早く言って」
「なに俺のベットで堂々と寝っ転がってるんだよ」
「疲れたからここで寝るだけだけど」
「いやいや、付き合ってもない異性の部屋で寝るのはどうかしてるだろ」
「別にいいじゃん。嫌なら下の和室で寝ればいい」
「そういう問題じゃないんだよな……。俺も寝たいから下行ってくれよ」
ほんとにマズイから早く出てってくれないかな……。
「……眠りに落ちてしまえば問題ない」
「だからそういう問題じゃ……まぁいいや、俺は床で寝るからそのままベッド使っていいよ」
「床で寝たら痛いでしょ。一緒にベッドで寝ればいいじゃん」
「もっとまずいだろそれ」
「うるさい。黙って早くこっちきて」
「だからまz……「早く」あっはい」
ダメだ、これ以上続けると持たない。ここは乗るしかないようだ。
リョウの誘いに渋々乗って、俺はベットに入る。入ってから少ししてリョウは寝息を立て始めたが、一向に寝れない。うっすら漂うシャンプーの匂いが眠気を妨げる。眠れずにただ、夜が更けていくのを感じるのだった。
次回、「バンドと決意と群青の覚悟」
初期のころから書きたくて温めていた案ですね(山田推し)
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