幼馴染の変人ベーシストの料理番になった件について。 作:かんかんさば
番外編を除けば約一年ぶりの続編です。小説を書くこと自体久しぶりなのでつたない文章ですが読んでいただけると幸いです。
ちなみに番外編は怪文書すぎるので消しました。要望があればいつか再掲載します。
澄んだ青空に入道雲、そして燦々と輝く太陽から暑い日差しが降り注ぐ8月中旬。
結束バンドは来るファーストライブに向けて練習を積み重ねていた。
そんな結束バンドのマネージャーに虹夏から任命された俺は、必死に練習する彼女たちをサポートしている。
マネージャーと聞くと、スケジュール管理や現場同行のマネジメント業務や、仕事をとってきたりギャラの交渉をしたりするような営業をやる、ガッチガチのやつかと思うかもしれないが、実際は...
「楓~、お金渡すから飲み物買ってきてくれる?」
「わかった。なんか飲みたいものあるか?」
「あっ、私は水で......」
「私はスポドリでお願いします」
「二人は?」
「う~ん、あたしもスポドリにしよっかな~」
「リョウは?」
「私はお茶で」
「う~い」
飲み物を買いにったり...
「楓~、メトロノームのテンポもうちょい上げてくれる?」
「こんくらいか?」
「お、ちょうどいいかも!」
練習を少しアシストしたりと、芸能マネージャーというよりも部活のマネージャーとかお手伝いさんのような仕事をしている。
決して楽なものではないが、夢を追う彼女たちのサポートをしていると考えると、楽しく感じられる。
そんな楽しくも忙しない日々を送っているが、今日は練習もバイトも休み。俺は今日も今日とて、自分とリョウ、二人分の食事を作る。ここのところ、暑さが猛威を振るっていて、エアコンがないと何もしたくなくなってしまう。文明の利器には感謝しなければならないな。
「楓、課題代わりにやって......」
「簡単なんだから自分でやれよ」
「やる気が出ない......」
まぁ、こいつはエアコンがあってもなくても変わらないみたいだが。
「やる気が出ないのはわかるけどさぁ、さすがに自分でやらないと......」
「じゃあ明日から頑張るから今日だけ代わりにやって」
「どうせ明日もやらないだろ」
「む、私をなめてるでしょ。今年の私は去年より進化している......」
「取り組むペースが段違いに遅いから退化の間違いだろ」
「うるさい......」
今年の夏休みはバンド活動があるため、去年より課題に取り掛かる時間が少ない。とはいえ、夏休みも残り3週間ちょっと。このままだと成績に響いてしまう。成績が芳しくないリョウの場合、最悪留年なんてことにもなりかねないので、課題をちゃんとやる必要がある。
「まぁいい。後で手伝ってやるから今日からちゃんとやれよ?」
「善処しまs(グゥー...)...そんなことより楓、お腹すいた」
今はお昼の少し前、お腹がすくのも無理はない。
「そうだな。じゃあ今からスーパーにいくけどお前も行くか?」
「暑いからヤダ」
「だろうな。まぁいいや、いってきます」
「いってらっしゃい......」
ソファーで寝っ転がるリョウを背に俺は家を出た...はいいものの、メニューが全く思いつかない。普段ならパっと思いつくが、この暑さのせいなのか頭が回らない。とはいえ、人を待たせている以上そうもいかない。俺はスーパーに向かって、この灼熱地獄の中を自転車で駆け抜けていく。
こんな暑さのせいなのか、それなりのスピードで自転車をこいでいると、すごく汗をかく。汗が視界を遮らないよう、一度止まって汗をぬぐった。すると目の前に見えたのは中華料理屋。扉には「冷やし中華始めました」と書かれたビラが貼ってあった。瞬間的に「これだ」と思った俺は急いでスーパーへと自転車を走らせる。
~⏰~
(あぁ~すぅんずしぃ~)
材料を買いそろえた俺は家に戻り、エアコンの涼しさに癒されていた。カンカンに暑い外からキンキンに冷えた室内に移った時の何とも言えないこの感覚が俺はとても好きだ。そんな感覚に浸りながらスマホをいじっていたらリョウに話しかけられた。
「なに買ってきたの?」
「冷やし中華の材料」
「へぇ~、そうなんだ」
「自分から聞いといて興味なしかい...、んでそっちはさっきから何のゲームをやってんの?」
「8番〇口」
「なんか聞いたことあるなそれ。異変を発見したらすぐ引き返さなきゃいけないみたいなやつ」
「小さな変化とかも気にしなきゃいけないから集中力鍛えられるよ」
「ほう、ん?ちょっと待てよ?まさかお前ずっとそれやってるから課題に手つけてないとかじゃないよな?」
「褒めても無駄だよ......///」
「昼飯食い終わったらそれやめろよ?」
「考えとく」
絶対やめるつもりないだろ、と思いながらも俺は冷やし中華を作り始める。
まずは流水麵を袋から取り出し、水で洗う。なぜ流水麵なのかというと、理由は単純、茹でるのが面倒くさいだ。もやしもサッっと水で洗い、電子レンジで2分ほど加熱する。加熱している間にきゅうり、トマトを水で洗う。下処理をしたらきゅうりは千切り、トマトは薄切りにしてまな板においておく。次にチャーシューを取り出し、細切りにする。チャーシューを切り終えたあたりでもやしを電、子レンジから取り出して、次は卵。殻を割ったら箸で溶き、塩を加えたらフライパンに流し込み、薄焼きにする。卵焼きに塩を入れるのはミネラルがどうのこうのって母さんがいってたな......
卵の薄焼きを細切りにしたら今度はタレを作る。調味料を入れている棚から醤油、砂糖、ごま油、味の素を、冷蔵庫からお酢を取り出す。鍋に醤油、水、お酢を50㏄ずつ、砂糖を30g入れる。そして塩、ごま油、味の素を少々加え火にかけ、砂糖が溶けるのを待つ。
待っている間にちらりとリビングをのぞいてみる。リョウはゲームをやめてなにやらスマホを見ている。何を調べているんだろうと気になったが、タレが沸騰して味が硬くなるといけないのですぐに調理に戻った。
砂糖が溶けたことを確認したら、二人分の皿にきゅうり、トマト、卵、チャーシュー、麺を盛り付け、そこにタレをかけたら冷やし中華の完成だ。
「「いただきます」」
合図とともに、さっそく冷やし中華を口にしてみる。シャキシャキとした野菜の食感にチャーシューの旨味。そこに甘酸っぱいタレと歯ごたえ抜群の麺があわさり、絶妙なハーモニーを生み出している。
「おいしい......」
どうやらリョウもご満悦の様子みたいだ。
~⏰~
食べ終わり、食器を片付けた後、俺はリョウの課題を手伝った。夏休み前の授業内容の復習のような内容だったが、彼女は授業ををほとんど聞いていないので、俺がほぼ教える形になったが、まぁなんとか夏休みの終わりには間に合うぐらいまで進めることができた。
そして今、俺とリョウはテレビで甲子園の中継を見ている。甲子園中継を見るのはここのところ、俺とリョウ、そして虹夏のマイブームとなっている。ほぼ毎日中継を見ては、ロインで感想を語り合っている。
「うわ~、芳文大中野だいぶまずくないか?9回裏の2アウトランナーなしだぞ......」
「私だったらここでホームランを打てる自信がある」
「お前バットろくに振れないだろ......、お、打った」
画面の向こうにいる芳文大中野のバッターがレフトスタンドに向かって球を打った。打球はどんどん伸びていき、観客席に入る......と思ったが、惜しくもレフトフライとなり、3アウト。芳文大中野は敗れた。
敗れた芳文大中野の選手は涙を流しながら甲子園の砂を袋に詰めている。彼らにとっての夏はここで終わりだ。
「ああいう涙、すごいわかるんだよな。悔しさとかこれまで積み重ねてきた日々がこう、ぶわぁって」
「そういえば中3の引退試合の時、楓泣いてたね」
「まぁそりゃな」
しばらく話をしていると甲子園の中継から天気予報へと変わった。どうやらここ2、3日は晴れる日が続くみたいだが、問題なのはファーストライブ当日の日。
その日の予報は──
「日本の南沖に発生した台風〇×号は、今後勢力を強めながら北上し、週末には関東地方に警報級の大雨や土砂災害をもたらす可能性があります......」
──台風が関東地方に直撃する日だったのだ。
次回「けっそく・ざ・ろっく!」
改めてお久しぶりです。かんかんさばです。またしても失踪してしまい読者の皆様にご迷惑、ご心配をおかけして申し訳ございませんでした。
長いこと執筆できなかった理由は、実生活の多忙化です。去年11月に大学に合格して以降、課題や共通テストに向けての勉強など、様々な理由が重なり、続編の執筆が困難な状態でした。
さて、今後の予定ですが、大学のスケジュールに合わせつつ、不定期更新でやっていこうと思っています。ただ、夏休みに入ったら週1~2回投稿もできるようになるかと思います。
そしてもう一つ、読者の皆様にお知らせがあります。現在、この物語は1年生編、2年生編で構成されているのですが、先日、物語をすべて読み返したところ、読みづらかったり、つじつま合わないところがたくさんありました。
ですので、夏休み以降順次ブラッシュアップしていこうと思います。もちろん、物語ががらりと変わるなんてことはないのでご安心ください。
最後に改めてこの拙作をどうかよろしくお願いします。
第二回 誰にご飯を作りたい?
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喜多ちゃん
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PAさん
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大槻ヨヨコ
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虹夏ちゃん
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志麻さん
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イライザさん
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園田智代子
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好きな総菜発表ドラゴン
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重音テト
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あり