幼馴染の変人ベーシストの料理番になった件について。   作:かんかんさば

44 / 83
エピグラフに脳をこんがり焼かれたので初投稿です。
こんど番外編でエピグラフベースのお話しかけたらいいな。


1年生編のブラッシュアップ(という名の大幅改稿)が終わりました。
主な変更点は活動報告にまとめてるので是非ご覧ください。

活動報告

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=316127&uid=357480


#20 新学期

夜明け前の涼しい風に俺は目を覚ました。

枕元に置いてあるスマホから充電のケーブルを外し、画面をつける。

 

日付は九月一日、ロック画面にある時計は朝の五時ちょうどを示していた。

昨日まで夏休みだったので二度寝したくなるが残念ながら今日から新学期だ。二度寝して初日から遅刻なんて恥ずかしい。

 

学校の支度をするにも、朝ごはんを食べるにもまだ早いから家の近くを散歩することにした。

外に出るとまだ辺りは薄暗く、東の空は朝焼け色に染まっていた。そして家の近くにある教会の十字路にはカラスが数羽止まっていた

そんな景色を少し見上げてから俺はまだ動き出していない下北沢の街を歩き始めた。

家の前を通る坂道を下って茶沢通りにでる。そして道なりに進んでいくと小田急線の線路跡に出来た下北線路街にたどり着いた。

いつもは人混みで溢れかえっている線路街にも今この時間は静寂に包まれていて、スズメが2、3匹鳴いているだけだ。

 

4、50分ぐらい散歩をしたところで家に戻る。

時計を見ると時刻は既に6時を回っていた。

ちょうどいい時間なので朝ごはんと昼に食べる弁当を作ることにしよう。

フライパンでスクランブルエッグを作り、トースターでパンを焼く。そしてスクランブルエッグをトーストに乗せたら朝ごはんのたまごトーストの完成だ。

一人暮らしを初めてから朝ごはんはなるべくすぐに食べられるようなものにしている。本当はしっかりしたものを食べた方がいいのかもしれないが、こういうものでも意外と大丈夫だし、朝が弱いリョウの世話をしたり弁当を作ったりするので悠長に食べてる余裕が無いのだ。

 

朝ごはんを食べ終わったら弁当を作り始める。今日は自分の分だけじゃなくリョウの分も作る日。普段リョウの弁当は俺と虹夏が当番制で作っている。毎週火曜日と木曜日は俺の担当だ。本当はもう一日担当出来たらと思っていたが虹夏に断られてしまった。

まぁ、多分俺に負担をかけさせたくないとかそう思ってるんだろう。

冷蔵庫からカレー味のサラダチキンとレタスを取り出し、耳を切り落とした食パンで挟む。そしてラップで包めばリョウに渡すサンドイッチの完成。

余ったパンの耳でラスクを、チキンと冷蔵庫にあった余り物の具材で自分の弁当を作り終える頃には時計は8時を示そうとしていた。

 

寝巻きから制服に着替え、くせっ毛の髪の毛をブラシで梳かし、半袖ワイシャツにネクタイを結んだら準備完了。

リュックに自分の弁当とお茶が入った水筒を詰め、リョウに渡す弁当を持って家を出る。

外に出るとさっきまでの涼しさとは打って変わって暑い日差しが降り注いでいた。

 

家を出たタイミングでスマホを見ると虹夏からロインが来ていた。

 

「あと五分で家出るから薬局のとこで待ってて!」

 

さっきと同様、坂を下って茶沢通りにでて約束の薬局で虹夏を待つ。

もうしばらくかかりそうなのでポケットからスマホとイヤホンを取り出し、音楽を流す。

プレイリストをシャッフル再生し、最初に流れたのはフレデリックの「オドループ」。

軽快なサウンドにノリノリになっていると虹夏がやってきた。

 

「おはよ〜。って、朝からノリノリだねぇ〜」

 

「まぁな。今日から新学期だし、少しでも気分上げとかなきゃやってらんないだろ」

 

「そうだよね〜。ぼっちちゃん、ちゃんと学校行けてるかな……」

 

なんか色々と泣き言言ってそうなひとりの姿が浮かんでくるな……。

音楽を止め、イヤホンを外して歩き出す。

しばらく歩き、茶沢通りと線路街の交差点にたどり着く。

いつもならここでリョウと待ち合わせなのだが、いないということは今日も寝坊したのだろうか──

 

「ふっふっふっ、新学期の私はひと味違う……!ひと夏を超えて成長した私が寝坊なんてするわけが無いだろう」

 

──と思っていたらドヤ顔で立っていた。

なんだろう、明日には寝坊して大慌てで学校に行く姿が目に浮かぶな。

とりあえず、無事にリョウと合流して学校へと向かう。

 

「はい、これ弁当のサンドイッチ。具材はカレー味のチキンとレタスだから」

 

「新学期早々主人に素晴らしい弁当を作るとは関心だ。 今後とも精進するように」

 

いつものうざったい上から目線で傲慢な態度に更に磨きがかかってるな。

 

こうしていつも通り、三人で談笑しているうちに教室へとたどり着いた。

チャイムがなればいつも通りの何気ない1日がまた始まる。

今日も平穏に過ごせますように。そう願って俺は席に着く。

 

 

 

 

───

 

 

 

 

「よ〜し、じゃあ今から進路希望調査配るぞ。21日締切だからそれまでお家の人としっかり考えるんだぞ」

 

授業が終わり、HRに入り担任がプリントを配る。配られたのは進路希望調査と三者面談のお知らせ。

進路希望調査は今の段階で進学したい大学の学部学科だけでなく、来年度の文理選択の希望も書かなければならない。

にしても進路か。やりたいことなんて特にないんだよな。

また熱中できる何かがあればそれに合わせて進路を決めればいいんだけどな。

今の俺にそんなものはないし、一体どうすればいいんだろう。なんだかモヤモヤするな。

 

「楓、バイト行こう。給料が待ってる」

 

「あ、うん……」

 

自分の心にモヤモヤとした何か、いや、具体的に言えば何かを必死に抑えようとする壁のようなものが現れたような感じ。

その感じに包まれながら俺はリュックに進路希望調査を入れて、いつも通りバイトに向かうのだった。

 

 




次回、「やらない後悔よりやる後悔の方がマシ」

高評価、感想、お気に入り登録などしていただけると作者のモチベと筆のスピードが上がるのでぜひお願いします。


☆9、☆10くれー!!(承認欲求モンスター)

第二回 誰にご飯を作りたい?

  • 喜多ちゃん
  • PAさん
  • 大槻ヨヨコ
  • 虹夏ちゃん
  • 志麻さん
  • イライザさん
  • 園田智代子
  • 好きな総菜発表ドラゴン
  • 重音テト
  • あり
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。