幼馴染の変人ベーシストの料理番になった件について。 作:かんかんさば
新学期が始まりはや数日。
ここのところ夜中まで友達とスプ〇トゥーンをやることが多くなり、寝不足な日々が続いている。
まぁ、家事はちゃんとやってるしそれにス〇ラが楽しすぎるのがいけないんだ。俺は悪くない。
でも授業中に寝落ちするぐらいになってしまっているんだったら、少し控えないとな。
「やっと起きたか。次体育だから早く着替えて行こうぜ」
「ああ……そうだな」
急いで体操着に着替え、授業へと向かう。
今日の体育はバドミントン。球技が苦手な俺でも楽しめる種目で試合も結構勝てている。
寝起きで気分はスッキリしたし、今の俺は絶好のコンディションといってもいいだろう
「よし、じゃあ今日も試合をやってくぞ〜。今の所下村が一度も負けてないから他のみんなは打倒下村で行くんだぞ?」
バドミントンの授業が始まったのは新学期が始まった日のこと。初めの2回は軽くウォーミングアップ的な感じで基礎的なことだけをやっていた。そして今週から試合が始まったのだが、今の所無敗を守っている。寝不足が祟らなければ今日も無敗を守り通せるだろう。
アップが終わると今日のリーグの組み合わせが配られた。
試合はリーグ形式で行われていて、毎回組み合わせが異なる。今日の組み合わせは俺、蘆名、隣のクラスの村田くんに虹夏、リョウだ。
一試合目の相手は村田くんだ。
この人中学の頃バドミントン部だったらしいから勝てるか怪しいな。いや、無敗の誇りにかけて戦えばいいか。
審判の合図とともに試合が始まる。
さすが経験者というだけあってか、シャトルが速いし、パワーもある。
どんどん点を取られていくが、こっちだってやられっぱなしじゃ終われない。
相手のミスもあったが必死に食らいつき、なんとかこちらのマッチポイントに持ちこむことができた。この試合は7点先取で勝利。今のカウントは6対5。気を抜かずに行こう。
こちらがサーブを放ち、相手がレシーブをしてきた。
そのレシーブに対し、ドロップショットで返してみる。すると相手はヘアピンで返してきた。さすがは経験者。半端なショットじゃ勝たせてくれない。
そのヘアピンをロビングで返して、相手をコートの奥へと動かす。コート際ギリギリで相手はハイクリアを放ってきた。
高めの球を返すのは得意なんだ。
この勝負、もらった!
狙いを済まし、強く打ち返したシャトルはネットに引っかかり、相手のコートに落ちた。
7対5で一試合目を勝利で飾ることが出来た。
「これはやられたよ〜。お見事だね下村くん!」
「いやいやこちらこそ。負けるかと思ってヒヤヒヤしたよ」
お互いに感想戦をし終えた後、対戦表に記録を付けた。
その後も蘆名に7対3、虹夏とリョウには7対1で勝利し、今日も無敗を守り通すことが出来た。
◇
授業が終わり、学校からスターリーまで歩く。
道中、虹夏がふくれっ面でさっきの試合のことを話してきた。
「さっきのあれさ。さすがに酷くない?ちょっとは手加減してよ……」
「楓容赦なさすぎ」
「どんな相手であっても全力で勝負するのが礼儀だろうが」
「最後に煽りかましてドロップショットでトドメを刺すところのどこが礼儀なのさ」
「あれは心理戦だ。作戦に引っかかるお前らが悪……痛い痛い!」
虹夏に頬をつねられる。
俺は至って真面目に試合しただけなんだよなぁ。
話しているうちにあっという間にスターリーについた。
階段を降りてドアを開けるとひとりが店長とPAさんの二人と話していた。
「おっはよ〜う!あれ、どうしたのぼっちちゃん、お姉ちゃん達となんか話してたの?てか頭の包帯大丈夫!?」
「あっ、はい......」
「なんかあったんすか?」
「ぼっちちゃんが文化祭のステージに結束バンドで出るか迷ってるんだってさ。私は出た方がいいって言ってみたんだけどねぇ……」
「いいじゃん文化祭ステージ!出てみようよ!」
「うっ、でもぉ……」
虹夏が乗り気ならひとりも少しは乗り気になるだろ。
「ライブハウスとはまた違う良さがあるよ〜?」
「に、虹夏ちゃん達は出たことあるんですか……?」
「うん、中学ん時と去年だから、2回あるよ〜」
「私も」
「あっ、あの時楓くんが言ってたのって虹夏ちゃんとリョウさんだったんですね……」
「えっ、ぼっちちゃん知ってるの?」
「あっ、はい。去年伊織ちゃんと見に行きました……。とても大盛り上がりですごいな〜って思いました……」
「まさか去年のアレぼっちも見てたとは……」
そういえば去年の文化祭ひとりも見に来てたっての言ってなかったな。
ん?よくよく考えればあの日、学校に今の結束バンドのメンバー全員が集結してたってことじゃん。世界は広いのやら狭いのやらわからないな。
「あの時は観客湧いてましたけど中学の時はどうだったんですか……?」
「あれ組んだの去年の文化祭が初めてだったんだよ」
「中学の頃はあたしとリョウ別々で出たんだよね〜。中学の頃のやつも結構盛り上がったな〜」
「リョウさんは……?」
「マイナーな曲弾いて会場をお通夜状態にしてやったぜっ」
誇らしげに言ってるけどぜんぜん誇れることでは無いからな?
しかも結構トラウマなくせに。なんで自分から黒歴史掘り返すんですかね。
そのうち自滅しそうだな。
「まぁ、今の結束バンドで出たことはないから出てみたいな〜ってあたしは思うな!」
「私もここ以外で演奏してみたい」
スターリーだけでライブをするにはどうしても知名度を広げるにも限界がある。
結束バンドがどれくらい有名になりたいかは知らないが、知名度を広げるには文化祭は絶好のチャンスだ。
「……でっ、でも、高校の文化祭って盛り上げないと退学になるんじゃ……」
「ならねぇよ。高校をなんだと思ってるんだよ」
文化祭盛り上げなかったら退学とか怖すぎるだろ。
そんな理不尽あってたまるか。
「とはいえ、ぼっちの迷う気持ちもわかる。下手したら……というかここより圧倒的に多い人数で演奏することになる」
秀華の体育館がどれくらい大きいかは知らないが、リョウの言う通り、間違いなくここよりおおい人数の前で演奏することになる。
ひとりはまだ顔を下げたまま。きっと出たい気持ちと不安や恐怖が心の中でぶつかり合っているのだろう。
「だからそんなに焦って決める必要は無い」
珍しくいいこと言うな。普段は俺の家の客間を我が物顔で占拠してるくせに。
「正直お通夜状態だったライブたまに夢に見るし去年の文化祭もああなったらどうしようって思ってた」
それ見たことか。
ハンカチを取り出してリョウは涙を拭く。
まぁでもトラウマってそう簡単には乗り越えられないもんな。俺だってそうだし。
明日カレー作ってあげようかな。
「明日カレー作ってやるから元気出せよ」
「楓……」
「なんだ?」
「明日のカレー黒毛和牛入りのカレーにして……」
「調子乗んな馬鹿野郎」
「それじゃないと元気百倍にならない」
「そんな高級食材で復活するアンパンマンなんかいるか。普通のビーフカレーで我慢してくれ。あとしらすの冷奴も作るからこれでいいだろ?」
「よかろう」
「あっ、あたしもしらすの冷奴食べたい!」
「えぇ……」
急に増えるのは困るな。まぁ、買い物についてきてもらえばいいか。
「てか話脱線してないか?」
「そうだよ!とりあえずぼっちちゃん。悔いが残らない選択をした方がいいなってあたしは思うな。リョウも楓もそうでしょ?」
「うむ」
「そうだな。まぁ、これは俺の持論なんだけど文化祭出ないで後悔するくらいなら出て後悔した方が断然いいと思うぞ。とりあえずまだ時間はあるわけだし今のはあくまで参考意見だから。出るか出ないかはじっくり考えな」
「楓くん……」
やらないで後悔するよりやって後悔する、か。
ビビって結束バンド入らなかったくせして一丁前にひとりを諭すなんて、まるで俺はダブスタ野郎だな。
そんな自分に少し嫌悪感を抱きながらも俺はその日のバイトをいつも通りにこなした。
次回、「新宿行脚」
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第二回 誰にご飯を作りたい?
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喜多ちゃん
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PAさん
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大槻ヨヨコ
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虹夏ちゃん
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志麻さん
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イライザさん
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園田智代子
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好きな総菜発表ドラゴン
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重音テト
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あり